頑張って生きる一般人さん。

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10/31/2024, 1:21:51 PM

 今日は年に一度のハロウィン。この日くらい、仮装している人々に紛れて君に逢いたい、触れたい。彼が住んでいる号室の前に、ずっといる。だって、未練タラタラで捨てきれないんだもん。ベランダから街を見下ろす。たくさんの灯りがギラついていて、あまり好きじゃない。
(……あ、帰ってきた)
 向こうから伸びをしながら歩いてくるのは、僕の好きな人。愛して愛してやまない人。前まで幸せに暮らしていたのに。血が出そうなほど下唇を強く噛む。徐々に近づく距離。僕は耐えきれなくなったように、そこから歩き出し、手を伸ばしてしまった。
「おかえり、待ってた――」
 よ、と言い切る前に彼は完全に無視して、僕のことを素通りしてしまう。泣きたくなったけれど、何とか我慢して一緒に歩き出す。彼だって、楽しそうな笑顔が好きって僕に言ってくれた。鍵を開け、ドアが開いた瞬間を見計らって、即座に中へ入る。
「ねぇねぇ、今日はハロウィンなんだってね。すごく街が賑やかそうでさ。でも僕は君がいればどんな日だって……」
「んん……なんかやけに今日は寒いな。あれ、俺ちゃんと部屋の窓閉めたよな」
 やっぱり、聞こえてない。うん、そうだよね。仕方ないよね、知ってるよ。会話することが出来ない、手を繋ぐことも出来ない、抱き締めてもらうことなんて尚更。彼と逢えて嬉しいはずなのに。勝手に涙がこぼれ落ちて、地面を濡らす。そんな中で彼は電気をつけてリビングへ入り、ソファにスーツとバッグを放り投げるように置き、とある場所で足を止めた。それは――僕たちが一緒に撮った写真の数々が置いている所。遊園地、動物園、水族館。お互いの誕生日をお祝いした時。一つ一つが小さな額縁に入っていたり、アルバムに閉じていたりした。僕がそっと彼の前に回り込んだ時。君は一枚の写真を手に取り、いつもみたいに軽く笑って言った。
「ハッピーハロウィン!お菓子をくれなきゃイタズラするぞー!……って、何言ってんだろうな、俺。もうお前いないのにさ」
 写真を持っている手がふるふると震え出す。眉間に皺を寄せて、目には大粒の涙が浮かんでいる。いつもなら僕の前でこんな顔しないのに。でも、君も僕と一緒の気持ちなんだよね。
「もっと色んな場所行って、姿も見たかったのに……あわよくば今日の仮装だって……。早く、またお前に逢いたいよ……戻ってこいよ……」
「僕はここにいるよ。ずっと、ずっと君のことが大好きなんだから。身体が弱いからって、ネガティブだらけな僕と一緒に笑ってくれたの、大切な思い出なんだから……!」
 思わず僕は彼のことを後ろから抱き締めた。今ここにいる君の身体と、きっと今しかいられない透けている僕の身体。温度なんて分かんない。彼が感じているのかも。こんなにも近いのに遠く感じる。でも絶対に胸に秘めている気持ちは一緒。それだけでも心が満たされていくのを感じる。
 今日の仮装は『お化け』ってことで許してよ。まぁでも、来年も再来年も一緒かなぁ。でもまた逢いに行くから。絶対にね。

〜別題〜

10/25/2024, 4:39:35 PM

あめだまひとつ、いかがですか

きれいなあめはころり、ころがって
ひびがいっぱいのは、すてられる
あまいみつがとろり、とろけても
みんなはそれに、ふれてくれない


わたがしひとつ、いかがですか

ふわふわしてるね、ゆめみごごち
ふわふわしてるよ、ぼくのからだも
だれかだいてよ
このからだ


こんぺいとうひとつ、いかがですか

イガイガ、ゴツゴツ
まるでぼくのこころみたい
チクチク、モヤモヤ
みんなのこころもそうなの?


いっしょうけんめいさそっても
ぼくはからっぽ、みたされない
ねぇ、おねがい、だれか
ぼくをだいて
あいをおしえて

〜別題〜

8/26/2024, 5:06:39 AM

あなたと向かい合わせ
画面越しのあなたと向かい合わせ
絶対に会えない、
言い切ります。

あたしにかけられる
頑張ろうとか、君ならできるさとか
魔法の数々

……あなたはそれをもっと他のひとにもかけているんでしょ
知ってる
あなたが好きな奴らがたくさんいることくらい
知ってる
みんながあなたを求めて大小の戦争勃発させてるのも

全部全部知ってる。

次元の違う空間でしか生きられない、

あなたと向かい合わせ

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〜向かい合わせ〜

7/31/2024, 1:42:52 PM

貴方を独り占めしたい
僕の傍にいてほしい
どくん、どくん
心音が聞こえるくらい
どくん
もっと近く。

この寂しさを埋めて頂戴
貴方の温もりで
僕は貴方のために踊り続ける
黒のうさ耳揺らして、手をぎゅっと握って、
蕩けるような快楽に腰を反らして
視線をも逸らす

手を差し伸べて
甘えた声でねだってみるけど

貴方はなかなか僕の物にならない

だから今日も想い続けている
寂しさだけじゃなくて、愛情で満たして
絶対に貴方を堕としてみせる

〜別題〜

7/25/2024, 11:39:42 PM

あたしは一生抜け出せない
心の鳥かごに囚われて。
気持ちの解放なんて
鍵がないから出来ないじゃない

あたしはずっと囚われの身
本当はもっと自由になりたい。
でも、無理なの
押さえつける声が態度が頑丈すぎて


それでも、
僅かな希望があるのなら
抜け出したいって
思ってしまう時もある

〜鳥かご〜

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