突然の君の訪問。』の作文集

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突然の君の訪問。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

8/28/2024, 2:33:48 PM

完全に休日だった。
今日は一日中、ダラダラと怠惰を貪っていた。
畳んだ布団を枕に、床に寝転んで。

余暇時間を贅沢に食い潰していた。
読破済の本を流し読みして、読み潰した漫画をなんとなく捲って、視聴済の動画を視聴して、たまに気を引くおすすめ動画があればそれを開く。
脳を使う気なんて微塵もなかった。

今日の用事は、数時間前に行った病院くらい。
微熱と軽い頭痛。それから軽い食あたり。
動けないほどではないけれど、動く気はしない。そんな体調不良。
一応、内科にかかって薬はもらって、後はもう何をする気もない。
布団にくるまって眠り込むやる気も深刻さもないけど、学校に行ける気はしない。
だから欠席連絡を入れて、とりあえず体力を使わずにゴロゴロすることにしたのだった。

ぐずぐすの体調管理の一日。ダメダメだけど、忙しい毎日にふと恋しくなるそんな一日。
今日はそういう日になるはずだった。

突然の君の訪問。
間の悪いことにそれは今日だった。

君は元気で強い人間。
誰よりも努力をして、誰よりもエネルギッシュで、誰よりも正しい、普通…いや、努力の才能に恵まれた人間。

君がインターホン越しに用件を告げた時、正直、気持ちが落ち込んだ。
君に何が分かるだろうか。
今日、ここで君と会って休みの理由を正直に話したとして、幻滅されてズル休みと見做されて、最悪、噂になって…そんなことになるのがオチだろって。

君は、学校でも人生でも一番の友達だった。
人としての出来は全然違うけど、君が眩しかったし、君に憧れていたし、ずっと仲の良い友達でいたかった。

だから、絶望した。
ここで友情は終わってしまうんだって。
今まで隠してきた、怠惰を極めた本性に呆れられて、疎遠になるんだって。

そんな葛藤を知ってか知らずか、君は家にやってきた。
とりあえず、迎え入れる。
麦茶を出す。
向かい側に座る。

くらくらする。
なんだか頭痛が痛い。酷くなってきた気がする。
緊張からか、心臓がすごく嫌な音を立てている。
君の顔をまともに見れない。

いつも通り、明るく笑って、君がプリントを差し出す。
夕日が窓から差し込んでいる。
君の次の言葉が怖い。

君が麦茶を一口含む。
喉を湿らせて、それから何か言おうとする。
顔を上げられない。
身体が熱い。
頭痛い。お腹も痛くなってきた気がする。

君が血相を変える。
慌てて向かいの席から立ち上がる。
目が霞む。
脂汗と冷や汗が止まらない。
瞼が重い。

君の慌てた顔が見える……



目が覚めた。
布団の上で、君が隣で声を掛けてくれた。
どうやら、緊張と行きすぎたネガティブ思考からか、あの後、倒れてしまったらしい。

上半身を起こす。
目に涙を浮かべ、大袈裟に喜ぶ君を見て、一抹の罪悪感と、胸いっぱいの安堵感が込み上げる。
…ああ、君はよくできた人間で、最高の友だ。……それに比べて僕ときたら……

複雑な気持ちから、ようやく君宛の言葉を絞り出す。
「…ありがとう。君が友達で良かった」

ズル休みスレスレで休んだ日の、突然の君の訪問。
…心臓に悪すぎる。
いつの間にか、外はだいぶ暗さを増していた。

8/28/2024, 2:32:57 PM

突然の君の訪問。
バンッと開かれたアンティークのドア。
隙間から涼しい風が吹き込んできた。
彼はいつも秋の匂いを連れている。

「1年ぶりだな、アキタカ!」
「久しぶりだねルカ。ところで、
そろそろチャイムの存在を覚えてよ。
百歩譲ってノックでもいいんだけど?」
「だって、この1年間で話したいことが沢山できたんだ」
「」

8/28/2024, 2:27:09 PM

光が入らないところを選んだのに、それでもあなたに見つけられた。運命の相手との出会いが薄暗い路地裏なんて、誰が想像するもんですか。

/突然の君の訪問。

8/28/2024, 2:25:05 PM

君の訪問
私には、恥ずかしながら不登校だった時がある。
サボリまくっていた。
単位が取れないのは、困るので仕方なくクラスとは違う場所に逃げた。
そこには、同じくサボっていた人達が集まっていた。
最初は、人と話したくも無かったのでこの人達と話すことなんて一つもないと思っていた。
それなのに、最終的に、話してしまった。人はやっぱり話さないと生きていけないし1人では生きれないのだなと思い自分の弱さに悲しくなった。でも、今なら思い直せる。
どれだけ立ち止まっても引きこもっても、少し元気になれば私は、人との繋がりをもつことができて楽しいけど苦しい毎日を生きていけると。逃げた先で人に出会えて良かったと思う。

8/28/2024, 2:23:10 PM

まあまあな夜更けに
とてもとても会いたくて
『来ちゃった』…をしてしまった事が
あるのだけれど、
あれはドラマとかマンガに任せるものだと
2回とも思った(1度で反省出来ていなかった)。

人にもよるのだろうけど、私が訪ねた一人暮らしの男性は二人とも
ゴミと共同生活しており、
私が部屋に入れてもらえるまでに
(玄関から)小一時間はかかり
「やっぱり帰るわ」と何回も声をかけた。「連絡くれたら片付けといたんだけどさ」と黙々とゴミ袋に色々放り込んでいくのだけど、
予め連絡を入れておくと
『来ちゃった』のドキドキ感がなくなるので、本末転倒なのである。

そして、とりあえずスペースを作ってくれ、飲み物を出してくれるのだけど、余りに周りが不衛生すぎて、会いたかったはずの恋人が近くに来ると
「おっと」と思う。服、毛玉だらけだし…クッション埃が…

果たして彼等は『突然の君の訪問』を歓迎したのだろうか?

君の訪問を夢見る人と
君の訪問に困惑した人の話が楽しみだ。

#突然の君の訪問

8/28/2024, 2:22:59 PM

突然の君の訪問。
ルールールー、
スマホの着信音に吃驚した…普段、メールの着信音しか鳴らないのに…周章てて出ると、
ねぇ、今からそっちに行ってもいい…
と、あなたからの電話…返事をする間も無く、直ぐに通話が切れた…まだ、日曜日のお昼過ぎで、何時もみたいに、起きたばかりで、頭もぼんやりしている…
そうか、今から、あなたが来るんだ…来るんだ…と頭の中で考えていた、けど…えっ、ヤバく無い…周章てて、部屋の片付けを始めた…よく、◯◯部屋なんて言われるから、滅多に人を呼んだりしてない…押入れや、ベッドの下に色々投げ込み、適当に掃除機をかけて…大雑把な私は、ある程度で諦めて、あの人を待つことに…でも、突然、どうしたのだろうか…
何時も、口数少ないし、感情も読めない…何かあったのか、それとも、私が何かしてしまったのか…色々考えていると、玄関のチャイムが鳴った…

8/28/2024, 2:22:48 PM

まだ演奏会に時間があるし、せっかくだから家で何かしようと思いつつも、特にすることがなくてぼんやりと外を眺めているたらコンコンと扉がノックされる音がした。
 誰だろうなんて疑問が頭によぎったすぐ後に、そもそも意志を持って扉を叩ける人間など権力者しかいないんじゃないかと、そう気づいてしまった。悲しい事実である。
 それでも心のどこかでもしかしたら迷い子が扉をノックしてくれたんじゃないかという期待と共に開けば、最初の予想通り権力者が微笑んでいた。
「来ちゃった」
 彼女はそう言った。
「何しに来たんだい?」
 特に用はないだろうという気持ちを込めてそう問いかければ、彼女はニコニコと笑いながら言ったのだ。
「まあいいじゃん。たまにはさ、外だけじゃなくてお家の中とかさ、そういうところで交流するのもありじゃない?」
「一理あるような無いような……君はいつもそんな感じだね」
「褒めてるようで、褒めてない。そういうところが嫌い」
 むっとした顔で言った権力者になんとなく可愛いなんて感情を抱いてしまって、慌ててその思考回路を首をぶんぶんと振ることによってかき消した。
「どうしたの? 急に首なんて振っちゃって…………大丈夫?」
「ああ、平気さ」
 なるべく表情を取り繕いながら、いつものように接する。それでももう既に浮かんでしまった思考回路というものは、簡単に消えないもので、なんだかんで笑っているだけで、もう可愛いような気がしてくる。
 やはり長い間連れ添っていると、たとえ皮肉しか言ってこないような敵対関係のやつでもそれなりに好意的に見えてしまうんだなということに、少しだけ呆れてしまった。

8/28/2024, 2:22:05 PM

#突然の君の訪問


「…い、、お〜い、お〜〜い!」

少し遅い朝飯のあと、
腹がいっぱいになって横になっていたら、
そのまま寝てしまったようだ。

もう随分と会っていない息子の声を聞いた気がした。

ぼーっとしたまま体を起こす。

"ああ?今のは夢か?あいつがいるはずないもんなぁ"

またパタリと横になる。



「お〜い、父さん!お〜いお〜い!」

………
………………
"間違いない!あの声は息子だ!"

今度は確信して飛び起きる。

「お〜!俺はここだぁ!!」




ピンポーン。

「はい、、あら!まぁ、随分久しぶりだこと!元気にしてた?」

「急にごめんねぇ。近くまできたもんだから、寄ってみたの。この辺すっかり変わっちゃってさぁ!
道に迷っちゃって(笑)
も〜電話すれば良かったんだけど、チョコがいきなりワンワン吠えてぐいぐい引っ張るもんだから〜」

「あら、そうだったの!最近は滅多に吠えなくなったクロが急に遠吠え始めたから、なんだろうねって話してたところだったのよ〜。案内してたのかしら。さ、上がって」

「わ〜、クロちゃん久しぶりね!白っぽくなったねぇ。ね、チョコ、お父さんだよ、分かる?」


「おぉチョコ、よく来たな、元気だったか?」

「父さん久しぶり!僕はね、元気だよ!父さん、クロじゃなくてシロになってるじゃん!」

「はは、昔は真っ黒だったのになぁ。」





「こんなに楽しそうなクロ久しぶりに見たわ。最近は歳のせいか…寝てばかりだったんだけど、なんだか元気でたみたい。チョコありがとね、また来てね」




「じゃあな、チョコ、またな!」

「父さん、またね!次は、昔一緒に遊んだ公園行きたいなぁ!」




"ふあ〜〜!子供だったチョコがあんなにデカくなってなぁ。。。公園かぁ、……よっしゃ"

「お〜い、飼い主ぃ、久しぶりに散歩でも行こうぜぇ!」


                 ころあね.

8/28/2024, 2:21:57 PM

─── 突然の君の訪問。 ───


淡い月明かりを身に纏い
君は僕に会いに来た

昔見た時と同じ姿で

迎えに来てくれたらしい
わざわざご苦労だね

誘われるまま手を取り
眠れぬ夜にさよならする

窓から旅立つ間際
ベッドの上を目の端にとらえる


淡い月明かりに照らされて
眠る僕がそこに居た

8/28/2024, 2:17:47 PM

【突然の君の訪問】

大事な大事な曲は特別な場所に閉まっておいているから

偶然にもその曲が流れる確率なんて

途方もなく低いだろうし

それにタイミングだって

僕がその曲のことを少しばかり忘れてしまいそうな時で

本当に求めている時に流してくれるなんて

やっぱりきみの仕業だと思うの



2024-08-28

8/28/2024, 2:15:57 PM

突然の君の訪問。

いつも君は突然やってくる。
何の前触れも無しに突然。
でもいつもタイミングが良い。
僕の心の悲鳴を聞きつけて飛んできたかのようだ。
心友って触れ合わなくても不思議と繋がっているんだな。

8/28/2024, 2:04:53 PM

『突然の君の訪問』

突然の君の訪問に、嬉しさとか喜びとかそんなものよりも先に驚きがやってきた。びっくりしすぎて一瞬固まる僕に君はくす、と笑いながら定期を差し出す。
「これ、忘れてたよ。明日じゃ遅いかなって、届けに来た」
「あ、ありがと」
少し震える手で定期を受けとる。
君はまた鈴みたいな笑い声を上げて全然、と答えた。
じゃあね、また明日、なんて言いながらローファーの音を響かせて去っていく君を呼び止める言葉を、僕は知らない。
ただただ小さくなっていく後ろ姿を見つめている。
明日は自分から君に話しかけよう、と決意を固めて家に入ったのは実に10分後のことだった。


主人公の純情ボーイが定期を忘れたのは偶然とかじゃなくて明日受け取って君と話す口実になればな、なんて考えてのことでした。
本文中にうまく入れられなくて申し訳ないです🙏

8/28/2024, 2:02:48 PM

家に帰ってくると

庭にちょこんと君は座っていたね

とても人懐っこくて

すぐに足元に擦り寄ってきた

綺麗な毛並みの猫

迷子になったのかな?

次の日もその次の日も

そのまま庭に座っていた

外に出ると

にゃーんと鳴いて擦り寄ってくる

その可愛さに家族みんながやられた

何時でも帰れるようにと家には入れなかった

それからずっと

その猫は今日も庭で座っている

もう君はうちの子だねw






「突然の君の訪問」

8/28/2024, 1:58:06 PM

八月、夏休み真っ只中の僕を訪ねる者が居た。心当たりの無いインターホンの音に目覚め、欠伸をしながら玄関へ向かう。

「ふぁあ…ねむ……」

大学生は夏休みが長いから、つい眠り過ぎてしまう事もある。というか、ほぼ毎日10時間以上睡眠している。小さい頃から夢を見る事が大好きだったから、自然と眠りも長くなっていった。保育園時代はお昼寝の時間に起きられなくて何度も叱られた。今となっては良い思い出である。

「先輩、寝起きですか」
「………え?」

ドアを開けた瞬間、僕は思わずそう言ってしまった。高校時代の後輩である木更津くんが居る。何の用で来たのだろうか。疑いつつも、どこか満更でも無いと思ってしまう自分が居た。

「俺、京都行ってきたんでそのお土産です。先輩には絶対渡したくて来ました」
「そ、そうなんだ…ありがとう」

紙袋を除くと、それはお菓子らしかった。金箔押しの高級そうな文字で抹茶チョコ餅と書いてある。僕が抹茶が好きである事をいつの間に知ったのだろうか。というか、お土産を渡す為だけに彼はここに?決して家も近くない筈なのに、僕に会いに……?

「…もし良かったらゆっくりしていかない?」

久々に会えたんだ、このまま帰らせるのも勿体無いし、彼がこの後も時間があるというなら少し話でもしたい。

「先輩が良いなら是非…!俺は今日も明日も暇なので、お泊りも出来ます」
「さ、流石にそれは飛躍しすぎだよ…!!順序っていうものがあるじゃないか…」
「…ん?どういう意味ですか?」

首を傾げてとぼける彼。本当に分かっていないのだろうか、彼の行動パターンから察するにきっと僕の事が好きなんだろうけど、それを隠しているつもりなのか……?それとも僕の勘違い?いやそれは無いな。

「じゃあお邪魔します…先輩?どうしたんですか?」
「…木更津くん、僕は別に君が誰を好きでも構わないよ」
「は?何の事ですか、先輩。さっきから訳の分からない事ばかり…」

そうやって僕をまた騙すつもりなのか、それとも本当に僕に好意を抱いていないのか。僕にも訳が分からないよ。

8/28/2024, 1:55:48 PM

詩(お題)
『突然の君の訪問』


突然の君の訪問
台風ならば、行ってくれ
ゴキブリならば、死んでくれ
宗教ならば、居留守する
ハチやアリなら、殺虫剤(ころし)屋だ

突然の君の訪問
スマホの電源、落とそうか
ドアホン鳴っても、知らぬ振り
お酒で寝れば、夢の中
会えばケンカに、なりそうで

突然の君の訪問
悲しいことって、突然さ
さよならはいつも、突然さ
鈍感だからか、突然さ
ジタバタしちゃうよ、逃げたいよ

8/28/2024, 1:55:33 PM

「よっ大我、久しぶり!」
「翼!?お前なんで?!」

突然の訪問だった。
10年振りに会った親友は「ドッキリ大成功〜」などとこちらの心情などつゆ知らず、ふざけた事を抜かしていた。

「驚いた?驚いたか?」
ニヤニヤと顔を覗き込んでくる翼にイラッとする。
そうだこいつはこういうヤツだった。

大我はため息をつき、肩に腕を回してこようとする翼を手で軽くあしらった。

冷たい対応に不貞腐れる翼をつま先から頭のてっぺんまでまじまじとみる。
高校生の頃はお互い同じくらいの背の高さで毎日どちらが背が高いか競っていたのに、少し会わない間に翼はスラッと背が伸びスーツをかっこよく着こなしている大人になっていた。

羨ましい限りだ。
悲しいことに高校生から成長が止まってしまった大我は無意識のうちに猫背気味の背筋が伸びていた。


「それにしてもお前なんでこっち来たんだよ」
「え〜?やっぱ気になっちゃう感じ??まあ、あれだ...強いて言うなら大我に会いたかったから...とか?」
「お前...今の状況分かってんのかよ!!?」

翼のヘラヘラとした態度に再度苛立たしさが募る。
むしゃくしゃした気持ちをぶちまけてやろうとしたのに出てきたのは涙ばかりで言葉が上手く紡げない。

「なんで...だって...お前まだ」
「まあまあ、落ち着けよ。時間は十分すぎるくらいにあるんだろ?」
しゃがみ込み赤子のように泣きじゃくる大我の隣に腰を下ろし翼は背中を優しく摩った。

「ほら、いい加減泣きやめって。俺初めての場所なんだし色々と案内してくれよ」

立ち上がり案内をしろと言う割にはフラフラと勝手に歩き出す翼を涙が溜まった目で追いかける。
久しぶりに会えた嬉しさと苦しさふたつの感情が混じり合い心が苦しい。

「ばか。まだこっちに来るには早いんだよ...」

親友の頭上に浮いている金色の輪っかを静かに睨み呟いた。

【突然の君の訪問。】

8/28/2024, 1:54:40 PM

突然の君の訪問

待っていたよ!
やっと来たじゃないか!
来る来ると言いながら…
来る来ると言いながら!

ずっと来ないかと思う日々を過ごし、
それに慣れてしまい…
あぁ今日も来ないのか…と途方に暮れる日々

貴方は知らないだろう
貴方は知らないだろう
そんな苦しい日々
そんな辛い日
そんな退屈な暇な日々
そんな苛立たしい日々
そんな無意味な日々

貴方はどれくらい気付けるだろうか…?
私の心想いに

8/28/2024, 1:53:05 PM

「今日、〇〇地区にある店舗に、本社の偉い人が抜き打ち訪問して監査を仕掛けてるみたいだから、不用品の片付け等々急いでやっておいてね。顔写真と名前も添付してあるから粗相無いように」

という身内リークが届いて、せっせとお出迎え準備をする。

現場に出ていない偉い人が、怪獣のように効率を踏み荒らす前に急いで粗を徹底的に隠蔽。

突然の訪問を仕掛けてきた頃には、全員顔も名前も役職もバッチリ頭に入っている。謎の緊張感を漂わせながら。

そして後日近隣で怪獣に粗相をした数名が「吹き飛んだ」という噂を耳にして、明日は我が身と恐怖するのだった。

君は本当に怪獣だね。

もしも よく足を運ぶ店が、その日に限ってぎこちなくテキパキした動きを見せていたら、妙に細かい掃除を大人数で繰り返していたら、もしかしたら怪獣が突然の訪問を仕掛けて来るのを

待ち構えているのかもしれない。

8/28/2024, 1:52:00 PM

突然の君の訪問。

「来ちゃった」

真夜中のチャイムに眉を顰め
玄関ドアを開くと君がいた。

「いくらなんでも汚すぎじゃない?」

驚く僕を尻目に、横をすり抜けて
勝手に部屋の感想を宣う君の背中を見て
取り敢えず当然の疑問ぶつけてみる

「どうして‥?」

思ったよりも掠れた声に自分でも
驚いた、聴き取れるかどうかも怪しい
質問に彼女が答える。

「んー、いやさ、寂しくて変な事してないかなって思ってさ」

彼女の答えに内心ドキリとしながら
なるべく冷静に努めた。


寂しく無いわけがない
突然君は居なくなったのだ。

同棲の約束を取り付け、親御さんたちに
挨拶も済ませ、部屋の内覧までしていたのに。

「てか、お酒飲み過ぎじゃない?好きだったっけ?うわっ炊飯器ぐらい洗いなよ」

当時の事を思い出してた僕に
少し怒りながら君は言う。


ダメだな、俺は
ついにこんな幻覚まで見始めて。

「‥言っとくけど、幻とかじゃないよ?」

都合の良い幻聴まで‥

「空耳でもないからね?」

ちょっと静かにして欲しい。

「今、失礼な事考えたでしょ、そんな顔してた」


その後も、部屋の汚さに文句を言いながら
どこか楽しそうに彼女は振る舞った。

でも途中で、気付いた
あぁこれ無理してる時の顔だって。

「あのね、ビックリしたと思うけど、ちょっと顔が見たかっただけなの、神様も粋なことするよね」

それは
「2回も喪失感味わうなら、神様は残酷だとも思うよ」

彼女は悲しそうな顔で呟いた

「‥やっぱ、来ないほうが良かったかな」

そんなことは無い、驚きはしたが
嬉しいに決まってる。

「行かないでほしい」

背を向ける俺に、彼女は寄り添っていた。

ひんやりと、背中に彼女を感じていた。


「‥ごめんね、こうなるってわかってて、私のわがままで来ちゃったの」

「‥いや、嬉しいよ、俺も会いに行こうとしてたから」

「だめ!それはだめだよ!」

彼女は怒って、僕の背中を叩いていた
虚しく、通り過ぎる手が僕の胸から見えていた。


「私はさ、これでもう未練ないから、だから君も私の事忘れて欲しいの」

そんなの勝手だ
「俺は、君が居なければ何も無いんだ、生きる意味も希望も」

彼女は泣いていたと思う
俺も泣いていた。

「私は、それでも生きてほしい、わがままばかりだけど、私の事を忘れて、私の分も幸せになってほしい」

それができれば、俺は
「無理だ、君のいない世界に未練なんて無い」


それから、暫く押し問答が続いたが
彼女の方が時間切れになってしまった。

「ごめん‥もう行かなきゃいけないみたい」

「まって、まってくれ、2度もおいて行かないでくれ」

「これで最後だからさ、申し訳無いけど私の言いたいことだけ言うよ」


「愛してました、本当に、だから幸せでいて欲しい、お願いね」

彼女はそう言うと、あっという間に消えてしまった


俺は、うずくまり泣きながら
「ずるいぞ、そんなの、俺だって、俺だって‥」


慟哭は誰に聞かれることもなく
意識を手放すまで続いた。




「来ちゃった」

「‥いやそれは無いだろ」

突然の彼女の2度目の訪問
アレだけ昨日泣き喚いたのに

「これ、また泣かせにきたのか?」

彼女は、何故かドヤ顔で
腕を組んでいた。

「ふふーん、それがだねー、このままだと君、悪霊になるから責任取ってこいと、守護霊に任命されたんです!」


なんじゃそりゃあ‥

「‥いや、良いのか?」

「だめ?」

「‥だめじゃないけど」

「でしょ?取り敢えず」


ご都合主義?俺もそう思う、でも正直
もう立ち直れそうな位、嬉しさで溢れていた


「掃除、しようか?」

8/28/2024, 1:47:02 PM

俺の名前は、五条英雄。
 探偵だ。
 といっても、漫画のように難事件を解決するわけじゃない。
 専ら仕事は身辺調査やペット捜索をしている、地域密着型の探偵。
 それが俺。

 今日も浮気調査で、疑惑のある男を尾行していた。
 依頼人は男の妻、『浮気の証拠』が欲しいとの依頼だ。

 俺と助手は、カップルに偽装して浮気男を尾行する。
 助手の下手くそな演技にヒヤヒヤしたが、なんとか浮気相手の密会に立ち会うことが出来た。
 俺は浮気男たちに気づかれないようカメラで証拠を残していく。
 『成功報酬でトンカツが食える』。
 俺の心は、喜びにあふれていた……

 だが予想外の事が起こる。
 浮気男と浮気女が喧嘩し始めたのだ。
 そして浮気女がバッグを投げつけたかと思うと、そのまま走り去っていった。
 そして残された浮気男はというと、呆然として雨の中で佇んでいた……
 彼の心の中を表すように、雨が強くなり土砂降りである。

 ……なんでこうなった。
 『浮気現場をカメラで撮ってたら破局した』
 探偵歴は割と長いが、こんなん初めてだ。
 どうすんのコレ。

 妻は浮気を疑い、事実として夫は浮気していた。
 そこまではいい。
 だが今この瞬間、浮気は終わった。

 だが依頼人に報告すれば、この男は慰謝料をたんまり搾り取られることになる。
 まさに泣きっ面に蜂。
 悪いのはこの男なのに、なんだか追い打ちしているよう気分が悪い。
 どうすればいいんだ。

 そうだ、一緒に来た助手に相談しよう。
 そう思い振り返ると、助手はいい笑顔でこちらを見ていた。
 親指を立てて。
 『浮気男に天罰が下りましたね』と言わんばかりである。

 ……そうだね。
 女性から見たらそうなるね。
 浮気男なんて女の敵だし……

 だが俺は助手の顔を見たことで、覚悟が決まる。
 そう、浮気男は社会の敵なのだ。
 そして俺の依頼人は、そこに立っている男ではなく、奥さんのほう。
 ありのままを報告し、どうするかは依頼人が決めるべきだ。
 俺が勝手に決めていいことではない

 一応フラれた報告するために、雨に佇む男を写真で撮ってさあ帰ろうとなった時、、浮気男に近づく女性がいた。
 まさか二人目の浮気相手?
 驚いたが二人目がいるなら話は早い。
 これで依頼人に報告しても、心は痛まない。

 俺は手に持ったカメラで写真を撮ろうとして――
 しかし、その手が止まる。

 なんてこった。
 依頼人の奥さんじゃないか!?
 なんでこんなところに……

 俺が不思議に思っていると、俺たちのいる方をチラリ見て、そして口に人差し指を当てる
 なるほど、黙って見てろということか……
 よく分からんが、見守ろう。

 そのまま依頼人は、浮気男に近づき傘を差し出す。
 その時の男の驚きようは半端ではない。
 先ほどまで浮気していた現場に、自分の妻がやってきたのだから無理もない。

 浮気男は引きつった笑みを浮かべながら、受け取った傘を差す。
 遠くから見ても動揺しているのが丸わかりだった。
 依頼人の方はと言うと、恐いくらい優しい笑顔だった。

 俺は知っている。
 あの笑顔は、敵を破滅させることを決めた時する顔だ。
 この後、二人の間で話し合いが持たれるのだろう。
 どんな凄惨な話し合いが行われるのだろうか……
 想像したくもない。

 俺が恐怖に震えている間に、二人は去っていった
 浮気男よ、達者でな。

「依頼完了ですね」
 後ろから浮かれた助手の声がする。
 この場に似つかわしくない声だ。

「お前、何か知ってるな!」
「はい、依頼人の奥さんから、浮気相手と会う時になったら連絡をくれと言われてました」
「俺、聞いてないんだけど」
 マジで初耳なんですけど。
「聞かれてませんから」
「……ホウレンソウって知ってるか?」
 同じ女性と言うことで助手に対応させたのだが、失敗だったらしい
 後で説教だな。

「でも先生……
 先生は浮気なんてしないですよね」
「何の話だ?」
 急に話が変わって俺の頭にハテナが浮かぶ。
 なんで俺が浮気する話になっているんだ?

「私、この仕事始めてたくさん人の醜い部分を見てきました……
 お互い望んで一緒になったって言うのに、なぜ人は裏切るんでしょうか……
 先生は、私の事を見捨てたしませんよね?」
 助手の目が涙で潤む。
 不安でいっぱいの顔だ。
 ならば助手の安心させるために、男としてハッキリ言わねばなるまい。

「俺とお前、恋人関係じゃないよな。
 恋人ごっこ、まだ続ける気なのか?」
 この前食事奢ったときも似たようなことやられた。
 なんなの、コイツの中で流行ってんの?
 俺の苦言を聞くと、助手は呆れたようにため息をつく。

「はあ、先生もノリが悪いでですねえ。
 遊びなんだから、もう少しロマンチックなセリフ、言ってもいいんですよ」
「やだよ。
 どうせ飯を奢らせたいだけだろ」
「ソンナコトナイデスヨ」
「嘘つくのが下手糞すぎる」
 前もやったなこんなやり取り。

「こんな美人が頼んでいるんですよ。
 奢ってもバチは当たりませんよ」
「ならもう少しいい女になってから出直してこい」
「へえ、そんなこと言うんだ……」
 助手は、依頼人とはまた違った怖い笑顔になる。
 悪だくみを思いついた顔だ。
 コイツ、何をするつもりだ?

「ならなりましょう。
 今すぐに、いい女に」
「何言って――」
「『水も滴るいい女』。
 今丁度雨が降っているようですし、雨の中佇んだらいい絵になると思うんですよね」
「やめろバカ!」

 そんなことされてみろ。
 周囲から『あの男は彼女をびしょ濡れするクズ』だと思われるじゃないか!
 探偵業は評判が命なんだぞ。
 殺す気か。

「では、私をいい女と認めていただけますね」
「それは……
 分かったから飛び出す準備するな。
 くそ、お疲れ会として何か奢ってやる」
「やった!
 じゃあ、一時間後、いつものファミレスで!」
 そう言って助手は走り去っていった。
 偽装カップルで相合傘をするために一つしかない傘を持って……

「マジか」
 俺に濡れろと?
 この土砂降りで?

 さすがにそこまで考えてないと思うが、いくらなんでもそそっかしすぎる。
 助手が気付いて戻ってくることを祈りながら、雨を前に佇むのだった。

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