沈む夕日』の作文集

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沈む夕日』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

4/8/2024, 4:27:45 PM

太陽の色が変わってきた。
キラキラと白く照らしていたそれは、いつの間にか橙色に。
2人の影がどんどん長くなる。
「ねぇ、見て。」
手の影を重ねて、ふわりと笑う君。
「手、繋いでるみたい。」
「そうだね。」
「ねぇ、」
言われる前に、君の手を取ると、頬を染めた。
その表情に愛おしさが溢れ出して、思わずその手を優しく引き寄せて。
そのまま抱きしめれば、2人の影はひとつになった。

4/8/2024, 11:19:39 AM

〝沈む夕日〟

海に沈む夕日なんて、いつぶりに見ただろう。
今までは盆地の学校に通っていて、周り一面山だった。
海の見える学校に進学して良かったな。
くだらないけど、この学校にした理由の一つ。

4/8/2024, 10:09:08 AM

勇気と愛が世界を救う

そう思わせてくれた君に出会えたよ

4/8/2024, 9:59:16 AM

『捕まった。逃げろ』
夕刻前。合わせたアラームより早く僕の目を覚ましたのは一件の新着メッセージだった。
がばりと起きてポップアップをタッチする。開いたトーク画面に出るのは通知と同じ文面で、それ以上も以下の情報もない。
「あちゃー。いつも用心深いのに、珍しいこともあるもんだ」
しかも「逃げろ」だなんて穏やかじゃない。
確か彼が今請け負っているのは浮気絡みの素行調査だったはず。ということは、藪をつついて蛇が出たか。
「まったく忙しない。厄介事を引き寄せる天才だね、彼は」
強面な上に口は悪い。本人はドライに淡々と仕事をこなしているつもりなのだろうが、そんな振りでは騙されない。面倒見が良く放っておけない性格なのは、共に仕事をこなし、一緒に生活している内にすぐに分かった。
だいたい、吸血鬼と承知の上で僕を相棒 兼下宿人として認めているのだ。とんだお人好しで間違いないさ。
こちらだって伊達に長生きしていない。人の世に紛れて生きるため、人間観察はお手の物だ。
「さーて藪から出たのは何かな~」
お気に入りのふかふかソファーから立ち上がって体を伸ばす。それを見計らったかのように、スマホのアラームが鳴り響いた。日没を知らせるアラームだ。
「おっタイミング良いじゃ~ん」
拉致されたのは不運だが、夕方に捕まるとは都合が良い。
これが昼間だったならば、僕に出来ることは限られてしまうけれど、幸いにも日は落ちた。
彼が用意した分厚い遮光カーテンを開け放ってベランダに出れば、眼下には明かりが灯り出した薄暗い街が広がっていた。
彼の伝言の通りなら、この事務所の場所も割れているのだろう。捕まった彼を探すとなれば、尚のこと長居は無用だ。
「緊急事態だし、仕方ないよね~」
仕舞い込んでいた羽を悠々と広げ、星が瞬き出した夜空にふわりと飛び立った。
いつもなら、「飛ぶな」「目立つな」と彼に喧しく怒られるところであるが、今はその声もない。
「あーあ。逃げろだなんて、何言ってるんだか。そんな薄情に思われてるのかな、僕」
うっかりヘマをした彼を見捨てるくらい、悠久の時を過ごしてきた僕にとっては些細なこと。そういうこともあったよね、と思い出せるかも怪しいくらいに一瞬の出来事だ。
されど、お人好しなのはお互い様。僕の方が年寄りな分、筋金入りで年季も入っている。
何せそのせいで一族に見放されたのだ。まったく、なめてもらっては困るな。
「助けに行くに決まってるじゃん」
上空を大きく旋回し探りを入れる。そうして見付けた彼の気配がする方へ、くるりと向きを変えて羽ばたいた。
夕日も沈み、暗くなれば僕の世界。
さあ、久しぶりに暴れさせてもらおうか。
「待っててね。僕の大事な大家さん」


(2024/04/07 title:022 沈む夕日)

4/8/2024, 9:58:19 AM

夕方、君と2人で並んで歩く。
今日は惣菜を安く買えたねなんて言いながら、僕たちの家に帰る。夕日に照らされた家々を通り過ぎ、黒と橙色の縞模様ができた道を歩いていると見知った街が見知らぬ街に変わっていく。
のびていく自分の影を見つめていると、いつの間にか君は僕より数歩先を歩いていた。ご機嫌に歩く君の背中を暫く眺めていたが、僕はどうしてか不安になって、君を呼び止めた。
「ねぇ、ちょっと待って。」
君は不思議そうに振り返った。夕日が眩しい。僕は今どんな顔をしているのだろう。
「…もっと、ゆっくり帰らない?」
夕日が沈んでいく。最後の灯火とばかりにいっそうと煌めいて、日を背にした君の表情は見えなくなってしまった。
「そうだね。ゆっくり、帰ろう。」
夕日が沈んだ。辺りは急に真っ暗になった。
僕は左手に確かに君が居ることを感じながら、いつもの道を歩いていく。

『沈む夕日、君とともに』

4/8/2024, 9:56:57 AM

それでいい…。それでいいんだ。と私は、ひどく揺れる心 に言い聞かせた。

私は親に捨てられて道端にいたらしい。持っていたのは、 手紙とお守りだ。手紙とお守りを渡した人は私の母らし く、母は、私のことを愛してくれていたらしい。

そこからは、保護施設に引き取られ、3歳まで育った。優し いおばさんが、引き取ってくれて、私は楽しく青春を謳歌 しながら、今を生きている。

最近、私には悩みが山来た。

同じクラスの友達から私が気づくか気づかない程度の嫌が

らせや、いじめを受けていた。はじめは、気のせいだろう と思っていたけど、日に日にひどくなって。。 私は、実の母からのお守りを破られて、、おばさんに迷惑をかけたくなくて相談しなかった。私は、日が暮れ、夕方になった学校で、一番星空に近い場所。

私は迷わず、
屋上に飛び出した。

そして、棚を飛び越えようとした。その時、彼が私の手を つかんだ。彼は、一瞬驚いた顔をして、すぐに真剣な表情 になった。私は泣いていたらしい、だから彼は驚いたのか もしれない。

その後、彼に事情を聞いてもらって、私は、声が枯れるほ ど、沢山、沢山泣いた。

私は彼とルールを作った。何かあった時は彼に相談するこ とと、その友達とは関わらないことの2つだ。

次の日、ルールをしっかり守って過ごした。
今日は、辛くなかった。昨日、彼に聞いもらったからだろう。休み時間やお昼は隣のクラスの親友と過ごした。親友の女の子とは、たまたま私と同じような境遇だったというきっかけで仲良くなった。本当に良い親友を持ったなと思う。お昼、ご飯を食べていると、親友が改まってこちらを見てきた。私は不思議に思いながらも、親友の方を向く。
親友が顔を赤らめながらも嬉しそうに、
「私、好きな人と最近付き合い始めたの。あなたには伝えておこうと思って。」
それを聞いた私は、自分のことのように喜んだ。親友の恋が実ったのだ。私も嬉しいに決まっている。
放課後、彼に今日の事を報告した。それから、他愛のない会話をした。星があいまって余計に彼がかっこよく見えるなと思った。家に帰った。彼の隣は優しくて、居心地がいい。私は、少しずつ彼に惹かれていっている事に気がついた。
彼とのドキドキの数日を過ごした。
数日後の放課後、彼に今日の報告をしようと向かっているところだった。親友と彼がニコニコと仲良く喋っていた。あの笑顔は、私には向けられない笑顔だと思い、全てを悟った。私は急いでその場を去った。家に帰っても、何もする気が出なかった。そのまま、寝てしまった。

次の日、違うと言ってほしくて、見間違えだと言ってほしくて、親友のもとへ急いだ。そしたら、親友は照れながら彼だと言った。覚悟はしていたが、やっぱり悲しいものは悲しい。他の人なら…正直に応援できるのに。
お昼、親友が彼と食べるから、一緒に食べないかと言ってきた。考えた末、私は、彼のところまで送り届けるまでが私の限界だと思った。彼のところに送ると、親友と離れる。私は、無理やり「お似合いな二人だね!」と笑ってみせた。すると、私の目の前で二人は目を合わせて嬉しそうに微笑んだ。

それでいい。それで良かったんだ。と思った。

親友が笑顔でいられるなら、
彼が幸せなら、私はそれでいい。それだけでいい。
でも、願っていいなら、
彼と星空の下また、出会えますように。

Vol.8 それでいい Vol.9 星空の下 完

『ここまで読んでくれてありがとう!
こんな自分のお話を読んで、もっと読みたいと思ってくれる人がいて、心がポカポカしました。
皆は、失恋したことありますか?気になります!
私は初恋もまだで、友だちの惚気話で満足しちゃってます…。笑
今日もあなたが幸せでありますように。』

4/8/2024, 9:56:38 AM

波が引いていく。
それを追いかけるキミが急ぐから、バシャバシャと大きな音が静かな夕焼けを台無しにしている。
「危ないよ」
僕の声は届いているだろうに、キミはお構い無しといった様子で波を追いかけてどんどん進んでいく。
たくしあげたズボンの裾が濡れてまるでレースの如く彩られているのに見とれている僕のことなんて気がついていないのだ。
水平線に沈む太陽がキミの背中に重なって、まるでスポットライトを浴びたかのようなキミは神々しく思え、僕の住む世界とは別の存在に思えて寂しい。
浅瀬で波を追いかけて足を右へ左へやるキミが踊っているシンデレラのように見えるのは、惚れた弱みってやつなのかもしれない。
「ねえ、もうそろそろ戻っておいでよ!」
随分と遠くまで進んだキミに呼びかけて、僕もひとしずく波飛沫を立てた。

4/8/2024, 9:55:25 AM

7月の午後6時
人気のない肌寒い海岸を照らす温かいオレンジの光
水平線に沈み行く夕日をただひたすら眺めていた
「…死ぬにはいい日だな」
靴を脱ぎ捨てて美しい青色の海に足を踏み入れる
ひんやりと冷たい水の中をひたすら進んだ
半分ほど沈んだ夕日に向かってひたすら進んだ
もっと奥へ、もっと、もっと
いつの間にか足がつかないところにまで来ていた
深呼吸を一つして、体を沈める
もう苦しまなくていいんだ
一通りもがき苦しんで、意識を手放した

4/8/2024, 9:55:22 AM

沈む夕日に まばたき忘れ

浮かぶ

明日への不安




----- 沈む夕日

4/8/2024, 9:51:04 AM

#3 【沈む夕日】

君と見た沈む夕日に
思いを乗せて
どこまでも続くオレンジ色に
小さな思いが溢れ出す

「君とまた会えたらいいな」

一つ一つの思いを今
沈む夕日と共に

4/8/2024, 9:49:58 AM

2024 4/8 (月)

夕日を綺麗だと思える人でありたい。
活動時間が終わる、
もうすぐ夜が始まる

#6 沈む夕日

4/8/2024, 9:48:59 AM

天気のいい日に、見晴らしのいい高台に1人で登って、そこの草むらに咲いた黄色の小さい花を愛でながら、髪が流されるくらい強い風を受けて春が来たと感じ、首元から香るお気に入りの香水の匂いをかいで目を閉じる。日々の喧騒を忘れる。目を開けるとそこは夕焼けで一面オレンジ色になっていた。

#8 沈む夕日

4/8/2024, 9:47:46 AM

僕がもう一度夕日を見る日は来るのだろうか。
水平線をゆっくりと沈みゆく夕日を見ながら、僕は考えた。

病室の窓からは決して見ることの出来ない、雄大なこの夕日は僕に何も答えてはくれない。

最後だから、楽しんでこいと背中を押された退院は、
僕にとっては憂鬱なものでしか無かった。

「最後に何見たい?」母が尋ねた言葉から、僕が残り僅かなことが分かる。

僕は少し考えて、「夕日、最後に夕日を見たい。出来れば水平線に沈む夕日を。」

こうして、夕日が綺麗なことで有名なこの浜辺に連れてきてもらった訳だが、むしろ虚しくなってきてしまった。

ねぇ、どうして僕はこの世界から居なくならなければならないの?僕はまだこの世界にいたい。できれば、もう少し、もう少しだけ、この世界の住人で居させてください

4/8/2024, 9:46:19 AM

京都を

一緒に観光した。







これまでは
独りで
何度も
京都へ来たことが
あるけれど

あなたと

主要な観光地を
一緒にまわったら

景色が
また
違って見えた。





この場所も

何度も来たことが

ある。






なのに、





夕日が

とてもキレイで





はぁ、

帰る時間が

近付いてくるのが




悲しい。


#沈む夕日

4/8/2024, 9:46:05 AM

沈む夕日
もう、卒業して二週間。
季節は変わって行くなか世界は
進歩しているのに。
私はまだなにも変わった気がしない。

ちゃんと、大人になれてる?
しっかり、気遣い出来てる?

私の心には別れの寂しさがこびりついている。
もう中学生なんだからしっかりしないと。
そうとばかり考える。変わらなければいけないと

いつまでも変わらないでいい太陽を羨ましく思う
夕焼けの橙色は涙で腫れた目を消し去ってゆく。

嗚呼
この夕日が沈んでも私の目は赤く染まった
ままだろう。何もかも置いてけぼりにされた
私は過去ばかり見て、未来を呪う。

嗚呼
沈む夕日よ。
どうか永久にこの世界を照らしていて。
君が変わらなくても、君以外が変わって行くから

涙を知らない太陽は静寂の訪れと共に
よるの世界へ消えて行く―

4/8/2024, 9:44:57 AM

昔から冒険に憧れていた。息が詰まる様なコンクリートジャングルにとらわれないで大海の中を自由気ままに動き見たことのない美しいものを見に行くのだ。
そう思って今僕たちはここに居る。サファイアの様な美しい海を渡るのは艶々と輝く黒漆の海賊船。
燦々と輝く太陽の下で僕たちは一日だけの冒険をした。小学校6年生の夏休み前日、重たい荷物を背負いながら気を紛らわすため親友である彼(ここでは彼と呼ぶが名前はちゃんとある)と話していた。朝ごはんはパン派かご飯派かやたけのこの里とキノコの里どっちがいいかなどのくだらない話題で馬鹿笑いしていた。
話のネタも無くなって石蹴りをしていると黒いボロボロのローブをきた怪しげな婆さんに当たってしまった。最初はその浮ついた雰囲気に唖然としてしまったがすぐに謝ると老婆はキヒヒと笑うと小さな船のストラップを渡してから「これは海賊になることができる魔法の船です。でも夕日が沈む頃に沈んでしまいます。使い方は簡単。水に浮かせるだけです。ああ、お金は入りません。それでは」と早口で怪しげな雰囲気を醸し出しながらフッと幻影の様に消えてしまった。
そして今に至るわけだ。船の中にはご丁寧に宝の地図がありそこに今向かっているわけだ。そろそろ島が見えてくる時に、大砲の音が聞こえた。その方向を向くとそこには僕らと同じような船。つまり海賊船があった。船長はジョン・シルバーと名乗った。
船を奪うという彼はマスケット銃とレイピアを取り出した。僕は衣装にあったカトラスと拳銃を持って戦った。どうしてだろう。カトラスも拳銃も握ったことのないのに導かれる様に使うことができる。レイピアが来るところを弾く。好きができたところに
ーーーーーーーーーーー『閃』ーーーーーーーーーー
ジョン・シルバーは斃れた。殺しても何も情は湧かなかった。このコートのおかげかも知れない。或いはここが幻だからかも知れない。けどとにかく島にたどり着いて僕らは宝を手に入れた。一つのコインをポケットに仕舞い込んで宝箱を開けると眩い光が溢れて海岸に帰ってきた。夕日が沈んだ。すると船と宝島はアトランティスのように海底に沈んでいった。
このことは幻ではない。そう確信できるのはあの日ポケットに入れたコインだった。
お題沈む夕日
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。

4/8/2024, 9:44:19 AM

夕暮れのラストシーンが印象的な小説はいくつもある。日没は一日の終わり。だから物語の幕引きに似つかわしいのかもしれない。
 私が好きなのをいくつか。


 夕焼けのむこうの国。そこでは、時計はいつも日暮れで止まったまま。(竹下文子『木苺通信』)


 那須湖畔に雪も凍るような、寒い、底冷えのする黄昏のことである。(横溝正史『犬神家の一族』)


 見る間に、太陽はぶるぶる慄えながら水平線に食われていった。海面は血を流した俎のように、真赤な声を潜めて静まっていた。(横光利一『花園の思想』)




(沈む夕日)



 きれいな夕日を見るとスペシャルサンドを連想します。

4/8/2024, 9:35:08 AM

沈む夕日を見る貴方の横顔は寂しそうだった。明日だって太陽が登って夕日も訪れるのに。貴方の視線に見向きもせず去っていく夕日なんて放ってしまえばいいのになと思った。でも私は夕日を憂う貴方も好きだから、傷付きながら夕日を追いかけ続ける貴方を私は横で見ているのだ。

4/8/2024, 9:17:46 AM

沈む夕日


夕日が西の空を
金色と朱色に染めながら、落ちていく。
晴れた日なら毎日でも見ることができる
平凡で豪華な景色。

どこまでも追いかけてみたくなる。
その空を横切るように、白い飛行機雲が伸びていった。



#198

4/8/2024, 9:10:26 AM

いつもの帰り道。
何年も乗り続けているMTの軽自動車で、坂にさしかかる。
坂を進むにつれて苦しそうになるエンジン音。力不足を感じてギアを一つさげた。
ウゥ──……ン、と控えめな唸りをあげて、車は先程より少しのんびりと、でも力強く前に進んでいく。
車内は広くないし、装備も素っ気ない。
軽い車体とターボの組み合わせは、うっかりすると濡れた路面でタイヤを空回りさせる。だから、雨上がりはクラッチペダルを踏む足の力を、いつもより慎重に緩めるように気をつけて──その他諸々、こちらが車に合わせてやらなければいけないことが、最近の車と比べると沢山ある。
でもそこがいい。難しいところが大好きな私の愛車。

週五日、通勤の足となり、買い物や遊びに行くのも公共交通機関が少ない田舎ではこの車が頼りだ。
それに、私に悲しみに沈んだとき、立ち直るために必要な一人の時間をくれるのも、この車。
好きな音楽をききながら、田舎の道を夜中に走る。途中、あらわれる点滅信号に気をつけながら、音楽と車の音をききながら運転していると、ゴチャゴチャに絡みついていた悲しみの糸がするりと解けていくような気がするのだ。
そんな、ささやかなストレス発散に、長年付き合わせてきた。
楽しいばかりで走れたら良いのにと思ったこともあるけれど、悲しいときに寄り添ってくれた──車にそんな気はないのだろうが──からこそ、私はこの車を手放せない。

坂の途中で道路横の防音壁が途切れて、オレンジ色の光が車内に射し込む。
夕陽だ。
車内に流れる音楽も相まって、オレンジ色の光が照らす田んぼや住宅がとても美しく見える。
エモいってこんな感じかなぁ……と考えながら、近づく坂道の終わりに備えて、ギアをもう一つさげて減速。坂の終わりから、そう遠くない場所に信号がある。
安全運転、安全運転。いつかこの車を手放すとしたら、私が納得いくかたちで手放したい。
坂道でスピードを殺しきれずに単独事故からの廃車は絶対に嫌だ。
どんどん伸びていく走行距離に、沈む夕日をかさねてしまう感傷を、音楽で消し飛ばす。
周りに車も人もいないのを良いことに、大きな声で歌う。
明日も明後日も、この先もずっと限界まで私と一緒に走ってくれよ。
大事にするから。部品だってオイルだってホイホイかえてやるから、お願いだよ──とかなんとか、もう数え切れないくらいくれ返したプロポーズまがいの言葉を胸の中で叫びながら。

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