僕がもう一度夕日を見る日は来るのだろうか。
水平線をゆっくりと沈みゆく夕日を見ながら、僕は考えた。
病室の窓からは決して見ることの出来ない、雄大なこの夕日は僕に何も答えてはくれない。
最後だから、楽しんでこいと背中を押された退院は、
僕にとっては憂鬱なものでしか無かった。
「最後に何見たい?」母が尋ねた言葉から、僕が残り僅かなことが分かる。
僕は少し考えて、「夕日、最後に夕日を見たい。出来れば水平線に沈む夕日を。」
こうして、夕日が綺麗なことで有名なこの浜辺に連れてきてもらった訳だが、むしろ虚しくなってきてしまった。
ねぇ、どうして僕はこの世界から居なくならなければならないの?僕はまだこの世界にいたい。できれば、もう少し、もう少しだけ、この世界の住人で居させてください
4/8/2024, 9:47:46 AM