『愛を叫ぶ。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
愛を叫ぶ
「この前の日曜、映画見に行ったんだ。その映画のキャッチコピーが世界で君に愛を叫ぶ!むっちゃ泣けたんだ。今度見に行ってみてよ。主人公の女の子があの有名な𓏸𓏸だったんだから。可愛いし、演技上手いんだから。」
「愛を叫ぶ。」
夕食のカレーを食べている時、自称マッドサイエンティストが聞いてきた。
「ねー、キミに聞きたいことがあるんだけどさ!!!キミたちニンゲンの言う『愛』ってなんだい???今まで便宜上、ボクは』宇宙を愛している』と言いながら宇宙を管理してきた!!!」
「ボクかてなんの知識もなくここにきたわけじゃあない!!!今までにキミたちが残してきた色んなものから『愛』の意味を理解してきたつもりだよ!!!」
「だがしかしだ!!!本当に、これでちゃんと愛というものの正体をわかった気になっていいのかい?!!ボクはそう思えないのだよ!!!」
「だからキミに教えて欲しいんだ!!!『愛』ってなんだい?!!」
なるほど、愛……か。
色んなところで、ひとびとは愛を語り、愛を叫ぶ。
ありふれているのに、目には見えない、それが愛。
……愛とは何か。そんなことを聞かれても、自分には答えられない。もしわかっていたとしても、言葉にするのは難しい。
……愛とは無縁の暮らしを送ってきたから。
そんなものは、自分にはわからない。
「……そうか、そうなんだね。無理なことを聞いてしまってすまない。」
少し考え込んだあと、こいつは話した。
「それじゃあさ!!!ボクがキミを愛するっていうのはどうだろう?!!もちろん、ニンゲンのいう『愛』と、チョーカガクテキソンザイのボクの愛が同じものだと言えないだろう!!!」
「あ、無理強いはしないよ!!!でも、ボクは宇宙の一部としてのキミを、ニンゲンとしてのキミを、ボクと一緒にいてくれる仲間としてのキミを……。」
「愛したいんだよ!!!」
愛したい。そんなことは今までに一度も言われたことがなかった。……でも、期待なんてしてもいいのか?
素直にこの気持ちを受け取って、喜んでもいいのか?
自分にはわからない。
「そうかい!!!わかったよ!!!」
「変に意識させてしまうとかえって苦しくなってしまうんだろう?いつかボクの気が突然変わって見捨てられる〜、とか、ボクの愛に応えなくちゃ〜、とか!!!」
「そんなことを考えなくっていいんだよ!!!キミもボクも、いつも通り、穏やかに楽しく過ごしたらいいのさ!!!それがきっと、ボクらにとっての、一番の愛の形だ。」
「まあ改めて、これからもよろしく頼むよ!!!あ!!!カレーが冷めちゃうよ!!!早く食べたまえ!!!」
そんなことを言いながら、あいつはカレーのおかわりをよそう。
……そうか。愛に条件なんて、なくたっていいよな?
自分も、もっと誰かを愛せるようになりたい。
そう思って、窓から夕暮れの空を見つめた。
不意に、目が覚めた。
朝はまだ遠い。
暗く静かな時間の中、独りだけの部屋。
他には誰もいない。
どうして、とあの日から繰り返し思う。
何があったのか、彼は何一つ話してはくれなかった。ただ、必死で知識を貪り何かを探し求めていた。
常に焦りを含んで、まるで何かに怯えているようにも見えて。
だから、あの時の私は彼を止めようとしたのだ。
幼馴染の立場に驕り、それが悪手であることを分かろうともせずに。
そうしてその結果が、今のこの独り、だ。
ずっと、好きだった。憧れだった。
笑った顔も、優しい所も、少し気弱な所も。一人で泣いていると必ず来て、手を引いてくれる所も。
全部が、大好きだった。
これ以上嫌われたくなくて、逃げるように遠くに来た。
会うのが怖くて、でも会えないのが苦しかった。
手を引いてくれていた、優しい幼馴染はここにはいない。
「…っ…ヒサメ…!」
泣きながら名前を呼んでも、答えてくれる声はどこにもなかった。
不意に、目が覚めた。
朝はまだ遠い。
暗く静かな時間の中、独りだけの部屋。
「…ヒサメ」
「どうしたの?シオン」
返ってきた声に驚いて顔を上げると、扉の側に影が一つ。
「怖い夢でも見た?」
低く甘い声。高い背丈。
記憶の中のそれより、大分大人びた彼の姿に混乱する。
どうして。なぜ。
疑問ばかりが、ぐるぐると回る。
けれども、近づく彼の背後の景色が自分の部屋のものでない事に気づき。
そして、思い出す。
繋がれた部屋。
絡みつく呪詛のような言葉。
触れる熱。
枕元に置かれた銀のナイフ。
私は、彼を殺せなかった事を。
「シオン」
抱き寄せられ、頭を撫でられる。幼い頃、よくされていたように優しく。
「大丈夫、俺がいるから怖くないよ。シオン、愛してる」
囁く睦言はどこまでも甘い。
昨日の慟哭し、愛を叫び乞う彼とはまるで別人のよう。
「今さら…」
「うん、今さらだ。でも、もうこれしかできない」
「馬鹿みたい」
吐き捨てた言葉に、彼は苦笑する。
「逃げる時は、ちゃんと俺を殺して。置いていかないで」
懇願する声は静かでありながら、絡みつくような強さを秘めて。
手を背中に回し、囲うように抱き締められた。
「こんな愛し方しかできなくてごめん」
「ヒサメ…」
「愛してる。シオンだけをずっと」
きっと、この腕は離れない。
彼を殺す事も出来はしない。
それなら、いっそあの日のままの想いを叫んでしまえば楽になれるのか。
殺せない理由を告げれば、彼は満たされてくれるのか。
「ねぇ、シオン。俺の事、愛して?」
「馬鹿」
呟いて、目を閉じる。
今はまだ、何も言わないまま。
彼には振り回されてばかりなのだから、少しくらいはいいだろうと。
愛を乞うその言葉に応える日を夢見て、眠りについた。
20240512 『愛を叫ぶ。』
愛を叫ぶ。
ずっと、ずっと前から君に届けたかった言葉だった。
何回も練習して何回も逃げて何回も何回も、何回だって紡げたことのなかった言葉を、叫んだ。
君は聞こえただろうか。届いただろうか。
手を伸ばす。
「なんで言えなかったんだろうな。」
これは一人言だろうか。君も聞こえてるんだろうか。
「人が自分と同じくらい生きる保証なんてないのに」
ひんやりとした墓石の温度がじわじわ手のひらに広がる。
「僕の方が先に死ぬってずっと思ってたんだけどな。」
君は優しかった。素敵な人だった。何故そんな君が殺されたのだろうか。
うーん…上手くいかないなぁ…後で……
【愛を叫ぶ。】
「くそー!!ばかばかばかー!!」
放課後の屋上で思いっきり女子生徒が叫ぶ。
「やってらんねー!ふざけんなー!」
その目には溜まった涙が。
ぼろりと重力に従って頬を滑り落ちた。
思い切って好きになった男子生徒に告白をした。そうしたら、笑って「ごめんね」と言われてしまった。
真剣だった。こんなに好きになったのは人生で初めてだったかもしれない。なのに、すごく面倒くさそうに笑われたのだ。それが脳裏に貼り付いて消えてくれない。それを友達に笑い話にして話されてたいたのが、たまたま耳に入ってしまって気分は落ちる一方だった。
「あんなやつ、トイレットペーパーに包まれてウォッシュレットに流されてしまえー!」
叫んでも消えない胸の痛み。
と、後ろでどすんっ!と人が転けたような落ちたような音がした。
振り返れば同じクラスの男子が燈屋の上から備え付けの梯子で降りようとして落下したようだった。
え、もしかして聞かれてた?
そう思うとかあっと顔が熱くなる。
「あー、悪ィ。こそっと居なくなろうと思ったんだけど。つーかなに?ウォッシュレットに流されて欲しいくらい嫌いな奴でもいるの?」
「あ、いや、…ちょっと私都合というか」
「いいんじゃね、人なんてみんな自分都合だろう」
叫んでいた事を非難する訳でもなく、倒れ込んだまま体を起こすと淡々と男子は言った。
「じゃあ、邪魔したな」
「ちょ、ちょちょ待って!」
立つとくるりと振り返って燈屋の入口に向かう男子に駆け寄ると腕を掴む。
「っ、なに?」
驚いたように立ち止まって気まずそうにする姿に慌てて手を離した。
「あの、見聞きした事黙っててもらえる?」
「言わねーよ。俺になんの得があんの」
「ああ、よかった」
ほっと息をつけばすっと目の前に差し出されるタオルハンカチ。
「拭けば。濡れてる」
「あ、…ありがとう」
特に突っ込んでくる訳でもなく淡々としている態度に、ささくれ立っていた気持ちが落ち着いていく。
ハンカチを受け取って濡れた頬に滑らせると、ふわりとハンカチから柔軟剤の匂いがする。
あ、好きな匂いだ。
「洗って返すね」
「…ん」
沈黙が落ちる。
「あの、告白失敗、しちゃって。なんであんな人好きだったのかなって」
それが耐えられなくて思わず口走っていた。
男子が迷ったように視線をさ迷わせて、ぽそりと言葉を落とす。
「…、好きだったんだろう。だったら好きだった自分まで否定する必要はなくね」
思いもよらない言葉だった。
「そう、なのかな」
「まだ好き?」
笑い話にされて他人に話されて。真剣な気持ちを踏みにじられた思いがした。そんな人を好きなんて感情は少しづつだが薄れていっているような気がする。
「トイレに流したくなる位だから、ね」
「ふっ、はは。そうだな」
男子が相好を崩して笑った。
それにおかしくなって一緒に笑う。
「因みに言っとくけど、ウォッシュレットは流すんじゃなくて洗う方な」
「あれ、そうだったけ?まあいいよ。私にとっては洗い流したいものだったってことで」
不思議だった。この男子と話していると気持ちが楽になる。
さっきまで不満を叫んでいたのがおかしく感じてしまう。
「お前、こんな場所で叫んでたのといい思い切りがいいのな」
「だって黙っててくれるんでしょう」
目の前の顔が呆れたように軽くため息をつくと、今度こそ燈屋の入口へと向かって歩き出した。
「さあな。そんなに口止めしたきゃ同じクラスなんだし張り付いてみたら」
「え、さっき黙っててくれるって言った!」
「気が変わったって言ったら?」
「得すること!黙ってたら得する事するから!」
「じゃあ、また明日教えて。俺が得すること」
そう言って入口のドアを開けると男子はにやりと笑ってひらりと手を振った。
「え、待って!」
「明日な」
そう言ってぱたりとドアは閉じられる。
残された女子生徒はその場でしゃがんでしまう。
変な汗が出た。あれ?これやばくない?
今になるとどうでもいい捨ててしまいたい感情を吐き出す最悪な場面を見られて、それとなく多分、慰めてくれた。根掘り葉掘り事情を聞くこともなく、下手な助言をすることもなく。
手元に残った男子のハンカチをぎゅうと握る。
優しい。そう思ったのに。
「ひとでなしー!!」
思わずまた叫んでいた。
「明日、何が食べたい?たまにはフルーツとかどう?」
私の問いかけに気怠そうに目を開けると、微かに嬉しそうに彼が微笑む。
「ありがとう……苺高いかなぁ…無理しなくていいよ、来てくれるだけで嬉しい」
ベッドの柵に置いていた、私の指先にそっと触れた。
男性としては、元々、肌も白く華奢で綺麗な手をしていた、私が大好きな優しい温もりを纏う。でも、いまは硝子のように壊れてしまいそうで、私より細く人形のような指先。
「もう少しここにいるから、安心して」
彼の頬にそっと触れる……予想より高い体温に不安になり、動揺しないように……絶対に悟られないように、いつものように笑顔の仮面を貼り付ける。
「うん……今日はね……眠るまで側にいて欲しい……何故かな……」
私の掌が冷たく気持ちが良いのか、気持ちよさそうに、嬉しそうに微笑む。そして、そのままうつらうつらと微睡み始めた。
最近、よく目にする彼の姿であるはずなのに……何故だろう、とても不安になる。
このまま揺り動かして、寝ないで!と懇願したい衝動と胸騒ぎが拭えない。
規則正しく白く曇る酸素マスクに、そっと安堵の息を漏らす。
大丈夫、絶対に大丈夫……いつも通りだよ、熱も最近よくあることだから……私が不安になってはダメだ。
無機質な白い空間に、たくさん繋がった点滴の機械が目に入り、さらに不安が増す。
昨日より点滴の種類が増えている……
「煩かったらゴメンネ……聞いてほしくて……本当は退院したときに伝えようと思っていたけど、いま伝えたくなっちゃって……いまも、これからも二人共、おじいちゃん、おばあちゃんになっても、ずっとずっと一緒にいよう、大好きだよ……結婚しよう……離れたくないから……ずっと側にいて……お願い……私は貴方がいれば何もいらない……」
壊れそうな掌をそっと私の掌で優しく優しく包み込む、この世で一番大切な宝物。
『愛を叫ぶ。』
『愛を叫ぶ。』
「愛を叫ぶ」といえば
小説や映画で大ヒットした
「世界の中心で愛を叫ぶ」ですが、
この映画はもう20年前に
公開されたものなんですね。
当時話題になったので
映画館に観に行ったのですが、
周りは私よりずっと若い子が多くて
なんだか恥ずかしかった記憶があります。
数年前に知り合った方のお子さんの名前が
主人公「サク」と同じたっだたので
「もしかして『セカチュウ』からですか?」
とあえて略語で尋ねてみました。
すると、やはり『セカチュウ』の朔太郎から
名前を付けたとのこと。
『セカチュウ』の影響力、
ずっと続いているんだなぁと
その時感慨深く思ったものです。
私自身はこれまでに
「愛を叫ぶ」ほどの経験はないのですが、
もし今後それほどの
激情にかられるような思いがあれば
きっと紆余曲折ありながらも
腐れ縁で続いている夫と
別れた時なのではないか……と思います。
そう思えるような別れでありたいな、
いつかの未来を想い描き願っています。
〝愛を叫ぶ〟
懐かしいプリ写真を見つけ、思わず見入ってしまった。
みんな盛れていて、なかなか可愛らしい。
もう帰れない遥か昔に、そっと愛を叫ぶ。
言いたいことはちゃんと自分で、相手に届く声で言うように。そう自分に説教したのはこの人だ。言わなければ伝わらない、伝わらないから誤解とすれ違いで崩壊する。身に覚えはある。この人との関係は崩れてしまうと困るから、なるべく努力はしたいのだ。けれど、いざ恋人関係になってみたらどうだ。どんな小声でも聞き逃さず、言い捨てようとしても捕まえられる。パーソナルスペースがぶっ壊れているのだ。逆に秘匿する努力が必要になっているが、この人はそんなことお構いなし。迫る夜を前にため息をつく。嫌ではないが、ひたすらに恥ずかしい。また言わされるし、啼かされる。
(題:愛を叫ぶ。)
自然体で飾らないところ
自分の感覚を大切にしているところ
周りに迎合せず自分の考えを言うところ
無邪気に大きな口を開けて笑うところ
好きなことを追求しているところ
努力家で頑張り屋さんなところ
苦手なものを苦手だと言えるところ
好きなことについて話し始めると早口になるところ
繊細な感性
隠すこともできる弱さや葛藤を吐露してくれるところ
社会のあり方について恐れる気持ちを乗り越えて発信しているところ
自分なりの表現を模索し続けているところ
挑戦することを厭わないところ
フランクな話し方
澄んでいる唯一無二の声
優しくも芯のある歌声
キラキラと輝いていて意欲に満ちた目
凛とした綺麗な佇まい
心の底から溢れるこの気持ちを
愛と呼んでいいのか分からないけれど
私はずっとあなたのことが好き
-愛を叫ぶ。-
65歳になったとき
私は誰に愛を叫びたいのかな
そんなに大きな声は出なくていいけど
ゆったりぽかぽかした日に
愛を叫んで、ハハハと笑える
おばあちゃんになりたいな
なんてね
愛を叫ぶ。
けして聞き入れることのできない
声で叫ぶ
私を愛してと
皆、耳を塞ぐ
聞きたくないと
あぁ、どうして、どうして
ほしいものを欲しいと
言っては駄目なのか
なぜ、なぜ、なぜ、
私は愛し方を知らない
誰か教えて
ワ タ シ を
あ い し て
愛を叫ぶ
僕は彼女に欲情していた
それはある夏の日のことだった──────────
彼女は1人蒸し暑い図書室で勉強していた。その姿に僕は一目惚れした。汗ばんでいる首元、垂れていく汗の行方を見届けてしまいたいほどに綺麗な首筋。僕は彼女に欲情していた。
その日の帰り道は夕日に包まれながら
「大好きだ!!!!」
と叫んだ。
『愛を叫ぶ』
誰かを愛おしく思うとき
同じくらい自分のことも愛おしく思えたら
「ばかー!」
そう言って、彼からもらったネックレスを海へ投げた。彼は昨日、私を裏切った。女の人と腕を組んで歩いていた。そのことを問い詰めると彼は白状した。なんと私のほうが浮気相手だったらしい。私は彼に別れを告げ、独り身へと戻った。
家に帰り、ベッドに倒れ込むように横になると、チャリっという音がした。彼からもらったネックレスの音だった。彼とお揃いのネックレス。彼はよくアクセサリーを付けた。ネックレス、指輪、ピアス、服の装飾。すべてが好きで、全てが憎たらしい。
「好きだったな…。」
しかし、いつまでも未練たらしく思っているわけにはいかないので、彼と初めて行った海へ行き、区切りを付けようと思い、今に至る。
波にさらわれたネックレスは海の反射と同じ様に海を光らせ、まるでこれ本来の役目だったかのように消えた。
気が済むまで海を眺め、そろそろ帰ろうと歩き始めた。その時、別の人がけがあることに気がついた。元カレと元彼の本カノだった。彼らは私の存在にも気が付かず、まるで世界に2人しか生きていないかのように、イチャイチャとしていた。
「愛してるー!」
そう、彼は海に向かって愛を叫んだ。私も、初デートで彼に海へ叫ばれ「やめてよぉw」なんて、したものだ。
そうだ、アレも捨てなきゃ。
私は、全力で走りにくい砂浜を全力で走り、彼を海へ突き飛ばした。
「ばーーか!!!浮気者ー!!!」
うちに突き飛ばされた彼は、キラキラと海の反射と同じ役割をしていて、すごく綺麗だった。
No16 _愛を叫ぶ_
モンシロチョウが頭の中でほわふわひら、暖かい日なたの平和に現を抜かしてたら事件は起こった。自分の人生が喰われたものだと思いたくない。割り込みに喪失したものがあるかもしれぬなどと、ともすれば悲しく、悔しいような感情に、内側の天秤が傾きそうになる。怒りが煮える前に、掴める本質を見つけなければ…
自分自身からの愛を求める「未だ照らされていない」心は、叫んですらいるのだけど、声なき声は知らんぷりの憂き目に遭いやすい。そんな状態であるばかりに、周りをも巻き込む苦痛と悲しみを顕現し、内側の被害者意識は無責任を決め込み、自分ばかりが不幸だと自慢を始める。安い自慢だ、続きを言ってみろ。
私のアンカーを損なうな。バケモノを見なくて済む安寧を選ぶが良い。「やられてきたから仕方ない」…? “気が合うな、私もだよ”などと「私」が響き始める前に、己の足元で呻く痛みを直視しろ。
愛は静かに自ら立つ。力に責を持ち、結果を受け止め、エゴの表面を突き抜けて、いのちを直視する。内側の叫びに応えろ。ほかならぬ自分自身じゃないか。バランスを保て。だいじなものがあるなら。
まだアンカーは無傷だ
落ち着け
目を開け
しっかり立て
……彼氏と喧嘩した。
彼女はぶすくれて、クッションを抱いて座っている。
その姿はまるで置いてけぼりにされたウサギみたいで思わず笑ってしまいそうになるけれど、ぐっとこらえた。
彼女は私の親友で、喧嘩した彼氏も私の友達。
どちらも大事な友達だから、内容によっては味方をしようにもできない。
いままで何回か大きな喧嘩もあったけど……その度に私が協力してなんとかしてきた。
今回はどうしようかと悩んだけど……
ピンポーン
……ごめん○○……あ、あ……あい、…………愛してる!!!!!
そう、内容によっては、どちらの味方をするか決まるのだ。なんとも締まらない言い方だけど、まあ及第点だろうな笑
そして翌日からも彼は「愛を叫ぶ」。
【愛を叫ぶ】
[一年後 続編]
登場人物
紬19 剛志6
優斗20 雅6
「お姉ちゃーん大変だー!」
「どうしたの剛志?あら、いらっしゃい雅ちゃん」
「あれ、お姉ちゃん驚かなの?」
「何を?それより、ふたりは同じクラスになれたの?」
「お姉ちゃんは雅ちゃんがボクの家の近くに越してくること知ってたの?」
「知ってたわよ。優斗さんから聞いてたもの。剛志には言ってなかったっけ?」
「そういう大事な事はちゃんと言ってよ」
怒っていいのか、嬉しいのか、よくわからなかった。
ボクたちはいつも一緒にいた。
毎日が輝いていた。
嬉しくて、楽しくて大声で叫びたいくらいだった。
「お姉ちゃん、ボクたちは毎日会えるんだから、もう無理してあの男に会わなくてもいいよ」
「えっ、何言ってるの?」
「ボクたちのためにイヤイヤ会ってたんでしょ?」
「そんな事ないわよ」
「そうなの?でもお姉ちゃん、あんまり楽しそうじゃなかったから」
「そんな事ないわよ」剛志はどうしてそんなことを言うのかしら?
もしかしたら、優斗さんにもそんなふうに思われているのかしら。いままで男の人とお付き合いしたことがなかったからだわ。優斗さんに嫌われたら、どうしよう。
「もしかして、あの男が好きなの?」
剛志に言われて、やっと自分の気持ちに気付いた。私は優斗さんが好きなんだ。思わず体が熱くなった。
「お姉ちゃん、顔が赤いよ。熱でもあるの?」
「なっ、ないわよ。それから、あの男って言うな!」つい、照れ笑いならぬ、照れ怒りをしてしまった。
今日は1ヶ月ぶりに優斗さんに会える。嫌われないように、楽しそうに、そんな事ばかりを考えていた。
「紬さん、何かあったんですか?今日は様子が変ですよ?」
「いいえ、何もありません。ごめんなさい」まずい、このままじゃ嫌われてしまう。何とかしなければ、思えば思うほどぎこちなくなってしまう。
「紬さん、今日は大切な話しがあります」
「はい?」どうしよう。きっと、もう会わない終わりにしようって言われるんだ。
「僕たちも、出逢ってから1年になります」
「はい」どうしよう、どうしよう、終わってしまう。
「今まで、ちゃんと言ったことがなかったので」
「はい」ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ誰か助けて。
「僕と」
くる、クル、来る、くる。
「正式に、お付き合いして下さい」
「へっ、」
「好きです」
「え〜!€÷*〒♪%$〆...」
「お願いします」
「いえ、えーあーうー???」
「ダメですか?」
「いえ、あのーそのー、ごごごごゴメンナサイ!」
「やっぱり僕じゃダメですか。」
「ゴメンナサイ、?そそそそうじゃなくて、」ひゃーわたしテンパってる。
『わたしも、わたしも優斗さんが好きです‼️』思わず叫んでいた。
「剛志くん、うまくいったね」
「雅ちゃんが、お兄さんに話してくれたからだよ」
どうやら、この2人が愛のキューピットのようだ。
つづく.....かも?
〇〇がすきだー
そして大事にする!
幸せにしまーす
愛を叫んだこと無いから分らないけど、言葉に出したくなる気持ちはわかる。
初恋の相手に初めてバレンタインデーのお返しを貰った時、叫びたくなったもん。
でも叫ぶとうるさいからダッシュしちゃったなぁ。