「愛を叫ぶ。」
夕食のカレーを食べている時、自称マッドサイエンティストが聞いてきた。
「ねー、キミに聞きたいことがあるんだけどさ!!!キミたちニンゲンの言う『愛』ってなんだい???今まで便宜上、ボクは』宇宙を愛している』と言いながら宇宙を管理してきた!!!」
「ボクかてなんの知識もなくここにきたわけじゃあない!!!今までにキミたちが残してきた色んなものから『愛』の意味を理解してきたつもりだよ!!!」
「だがしかしだ!!!本当に、これでちゃんと愛というものの正体をわかった気になっていいのかい?!!ボクはそう思えないのだよ!!!」
「だからキミに教えて欲しいんだ!!!『愛』ってなんだい?!!」
なるほど、愛……か。
色んなところで、ひとびとは愛を語り、愛を叫ぶ。
ありふれているのに、目には見えない、それが愛。
……愛とは何か。そんなことを聞かれても、自分には答えられない。もしわかっていたとしても、言葉にするのは難しい。
……愛とは無縁の暮らしを送ってきたから。
そんなものは、自分にはわからない。
「……そうか、そうなんだね。無理なことを聞いてしまってすまない。」
少し考え込んだあと、こいつは話した。
「それじゃあさ!!!ボクがキミを愛するっていうのはどうだろう?!!もちろん、ニンゲンのいう『愛』と、チョーカガクテキソンザイのボクの愛が同じものだと言えないだろう!!!」
「あ、無理強いはしないよ!!!でも、ボクは宇宙の一部としてのキミを、ニンゲンとしてのキミを、ボクと一緒にいてくれる仲間としてのキミを……。」
「愛したいんだよ!!!」
愛したい。そんなことは今までに一度も言われたことがなかった。……でも、期待なんてしてもいいのか?
素直にこの気持ちを受け取って、喜んでもいいのか?
自分にはわからない。
「そうかい!!!わかったよ!!!」
「変に意識させてしまうとかえって苦しくなってしまうんだろう?いつかボクの気が突然変わって見捨てられる〜、とか、ボクの愛に応えなくちゃ〜、とか!!!」
「そんなことを考えなくっていいんだよ!!!キミもボクも、いつも通り、穏やかに楽しく過ごしたらいいのさ!!!それがきっと、ボクらにとっての、一番の愛の形だ。」
「まあ改めて、これからもよろしく頼むよ!!!あ!!!カレーが冷めちゃうよ!!!早く食べたまえ!!!」
そんなことを言いながら、あいつはカレーのおかわりをよそう。
……そうか。愛に条件なんて、なくたっていいよな?
自分も、もっと誰かを愛せるようになりたい。
そう思って、窓から夕暮れの空を見つめた。
5/12/2024, 3:02:17 PM