「風鈴の音」
りーん、ちりーん。
「ニンゲンしゃん!あれ、なにー?」窓辺でゆらゆらする風鈴を指さして、小さな機械は自分に聞く。
「あれは風鈴っていってね、夏に涼しく過ごすためのものなんだ。」「へー。」「ふーりん、ちめたいのー?」「風鈴自体は冷たくないよ。でも……。」「んー?」
そう言いつつ、自分はガラスのコップに氷を入れて、そこに水を注いだ。からん、からから、と音が鳴る。
「ほら、氷みたいで涼しい音だろ?」「すずちいおと!ふーりんのおと、ひんやりなのー!」嬉しそうにコップを揺らしている。
「ニンゲンしゃん!」「?」「だっこー!」「コップ、もう飽きた?」「ちがうのー!」「ふーりんちゃんのとこ、いきたい!」「?いいけど……。」風鈴を近くで見たかったのだろうか。
「ふーりんちゃん、きれー!」ガラスでできた風鈴をじっと見つめる。随分と気に入ってるみたいだ。
「ふー、ふー!」ちりん!ひときわ大きな音がする。
「おっきいりんりん!すずちい?」「うん、涼しいよ……。」
「すずちい、いいねー!」
……涼しいけど、あったかい。
風鈴も、悪くないかも。
「願い事」
この幸せな時間がいっぱい続きますように。
皆さんが無事で平和に暮らせますように。
「空恋」
嘘か真か、私は恋をしています。
初めてのこの気持ち、これが恋だと言ってしまってもいいのかどうかはわかりませんが、多分恋をしています。
そのひととお話をしていると、なんだか心がふわふわで暖かくなるんです。でも、同時に私なんかでつりあうのだろうか、こんな私でいいんだろうかとも思い、不安にもなります。
夢か現か、この気持ちは。
この気持ちがいずれ泡沫になったとしても、いい思い出になったらなぁ。空虚なものだったと思いたくはないと、そう思います。
でも、いちばんうれしいのは、そのひとも、ずっと私を好きでいてくれること。できれば、私のことをじっと見つめていてほしい。
そう思って、今日も彼と繋がっている空を見上げるのです。
「夏の匂い」
雨に濡れたアスファルト。
若草の大人の姿。
いつもより早いシャンプー。
ふとした匂いで、夏が感じられる今日この頃。
あなたはいかがお過ごしですか?
「青く深く」「カーテン」(6/29、30)
゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。
かき氷のブルーハワイよりも。
思い出の紫陽花よりも。
神秘のラピスラズリよりも。
ドビュッシーの月の光よりも。
まだ見ぬ深海よりも。
ユングフラウヨッホの空よりも。
青く深く、永遠に続くのは───。
あなたの美しい心そのもの。
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「カーテン」
朝起きた時、そっと開ける。
誰かが来た時、そっと開ける。
レース模様の影がひらひらと、風と一緒にうごいて、部屋に涼しさを運ぶ。
あなたの声で、ゆったり揺れる。
部屋のカーテンを開いて。
心のカーテンを開いて。
今日もいちにちがはじまる。