「子供の頃の夢」
子供の頃は、早く出家して尼さんになって、山籠りをしたいと思っていました。(別に仏教徒じゃないのに……。)
今でも基本的に根っこの部分は変わっていないのですが、大人になった現在の将来の夢(?)は、変な鳴き声の犬か猫になって、人々を笑わせることです。そのために今、功徳を積んでいるつもり……です!
「どこにも行かないで」
変な時間に目が覚める。時刻は3時42分。
なんとなく右腕を掴まれた気がして、目を向けた。
不安そうな顔で自分の腕をぎゅっと掴む小さな機械。
急にどうしたんだろう。
「おちび、どうしたの?」「いかないで?」「?」「ずっといっちょがいいの。」「嫌な夢、見たの?」「ん……。」「みんな、いないだったの。」「おなまえよんでも、きてくれないの。」
「怖かったね。」「かなちいだった。いやだったの。」「でも、もう大丈夫。おちびはひとりじゃないだろ?」「ん。」「ね、ニンゲンしゃん。」「ん?」「ほんとに?」
「ボク、ほんとにかなちいじゃない?」「大丈夫だって。しばらくは自分も生きてるつもりだし、変な弟も、お父さんもいるから。」「ん……。」
「ほんとに!ほんとにいないいないちないでね?!」「わかってるよ。」「それじゃ、もう寝ようか。」「えー?!」「ねんねのまえに、だっこ、ちてー!」「はいはい。」
……あったかい。でも、不安、なんだよな。大丈夫だろうか……。そう思って顔を見る。おちびはあっという間に眠っていた。
とりあえず、一件落着、かな。
さて、自分も寝るか。
……おやすみ。
「糸」「雨の香り、涙の跡」(6/18-19)
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私はマリオネット。あなたの思う通りに、どんな動きでもしてみせるの。
あなたは私を踊らせる。
白鳥の湖にコッペリア。
なんだって踊れるの。
あなたは私を廻らせる。
ぐるぐる、ぐるぐる。
どれだけだって廻れるの。
あなたは私を手放した。
私はマリオネット。糸の切れたマリオネット。
あなたは私を手放した。
雨が降る。私は溺れる。
雨に、涙に。
あぁ、空が泣いている。
あぁ、私も泣いている。
これは雨の香りか、それとも涙の香りか。
わからないまま、私は眠った。
「届かないのに」
今日もおちびと一緒に散歩。
おちびは景色を眺めながら歩く。
前見ないと危ないぞ?
公園に来て、ベンチに座った。
さて、おちびは何して遊ぶかな?
そう思って様子を見ていると……。
「ニンゲンしゃーん……たいへんなのー……。」
おちびが不安そうに自分を呼ぶ。
なに?何があったの?
「ねこちゃ、きにいるのー!」
???猫がきにいる?
「どれ?どういうこと?」「あれ、みてー!」
指差す方向を見てわかった。
茶トラ猫が木の上で震えている。降りられなくなったらしい。
「たしゅけたげてー!」
……全く、木登りは得意じゃないんだけど、頑張るか。
と思っていたら、おちびも登ろうとしてる。
「ちょ、危ないから駄目だって!」「むー!」
頬を膨らましてるけど、駄目だよ?
……というか、どれだけ背伸びしても無駄かも。
おちびは小さすぎるので、木の節にも枝にも手が届かない。
届かないのに───届かないけれど、それでも手を伸ばす。背伸びをする。
「むー!とどかないのー!」「下で待っててね!」「んー。」
もうすぐ手が届きそうだ。
「ほーら、大丈夫だよー?」
その時だった。
「フシャーッ!!!」
威嚇に驚いているうちに、猫は自力で木から降りていってしまった。
「ねこちゃ、ありがとっていってたねー!」
「いや、絶対言ってないから!!」
降り終わるより前に自分は叫んでいた。
……さすが猫だ。やっぱり猫のことはよくわからない……。
「マグカップ」「記憶の地図」(6/15-16)
それは大きな大きな地図。
埃の被った箱の数々と、新しく鮮やかな写真が同時に隠れている。
地図は感情によって色が、時に火がつけられる。
火のついたところは次第に穴が開き、やがて、最初からなかったかのように消えてしまう。
幸せも、苦しみも、いつかは消えてしまう。
ポピーの花畑。お気に入りだったマグカップ。
好きな人。友達だった誰か。綺麗な歌声。
どれがかつてあったものなのか、それともなかったものなのか。
私は全て、忘れてしまった。