『子猫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
今日は中身の無い創作
子猫を拾った。汚いダンボールに入れられ、降り注ぐ雨に小さな体を震わせていた。目が合ったのでいても立っても居られずに連れて帰った。幸いうちはペット可の物件。汚れを拭いてやりミルクを与えると元気に飲み干してくれた。これも何かの縁と思い、そのまま買うことにした。それから数年経った。子猫はまだ子猫のままだ。これはおかしい。そのうち尾が割れた。なるほどこの子は妖怪だったのか。それから数十年経った。子猫はまだ子猫のままだ。自分が死んだ後、子猫は消えた。どうやら子猫は自分にしか見えていなかったらしい。
子猫
北風が吹く寒い冬の日、道端に捨てられた段ボールの中に怪我をしている子猫がいた。ひどく弱っていて寒さに震えていた。私は可哀想になったのでそのまま段ボールごと家に持って帰った。お母さんに相談して家で飼う事になった。
名前はヌク。ヌクはすぐになついた。私は傷の手当をした。傷の手当をしてるうちに痛々しい傷に胸が痛くなった。
皆さんは多頭飼育崩壊という言葉を聞いたことがありますか?多頭飼育崩壊とは、ペットの動物を多数飼育した飼い主が無秩序な買い方に寄る異常繁殖の末、飼育不可能となる現象のことです。そして飼育不可能になり、捨てるという思考に至ってしまうのです。
なぜ多頭飼育崩壊が生まれるのか?生き物を飼うという事は責任を持たなければいけないという事。今はもう亡くなってしまったが、私ががヌクを飼っていた時もお母さんにちゃんとお世話できるの?と何度も聞かれ、毎朝、六時から三十分程散歩をする事を一年間続けられたら良いよと言われ、しっかり続けられたから飼わせてもらえたのだ。動物を飼う事は命を育てるという事。
私は動物を飼う事に責任を持ってほしいと思います。そうする事で少しでも捨て犬捨て猫を減ってくれればいいと思います。
「猫派」と「犬派」で人間を仕分けするコンテンツをたまに見かける。
しかし、私はどちらか選べと言われたら「猫」を選択するが、断然「鳥派」と主張したい人間である。
もう随分昔にセキセイインコを飼っていた時のことだが、野良の黒い子猫に「待ってー!」とばかりに追いかけられて、足元にしがみつかれたことがある。
その子ときたらそれは目鼻立ちの整った美猫で、めちゃんこかわいい黒猫ちゃんであった。許されるなら連れ帰りたいくらいに。
しかし、ウチにはかわいいインコがいる。
猫にとって鳥は獲物である。
私にとって我が家のインコちゃんこそが家族なので、その黒い子猫の頭を数回撫でてやったのち、心を鬼にして野外に置き去りにした。
後悔はしていないが、今でも子猫といえばその黒猫のことを思い出す。
【お題:子猫】
「あれ、子猫なんて飼ってたっけ?」
「拾ったの。親猫が、この子の近くで亡くなってたから」
相変わらず、貴方は優しい。
スマホに映し出された、小さな三毛猫の写真を、貴方は愛おしそうな目で見つめていた。
「それに、三毛猫って、よく幸運を呼ぶとか言うじゃない?私はこの子自身が、私自身の幸運なんじゃないかなって思うの」
相変わらず、貴方は難しいことを言う。
とても小さくて、ボロボロな幸運でも、貴方はすぐに気づいて優しく拾い上げる。傲慢な私とは大違い。
そんな貴方の笑顔は、子猫のようにどこか愛おしく思えた。
#子猫
子供のことを時々「猫」と呼んでしまいます。
名前が決まるまでの間、仮名として猫と呼んでいた名残です。 赤ちゃんは言葉が通じないし、ニャーニャー泣くし、可愛いので実質猫なのではないか?ということで付けた仮名でした。
元々猫は大好きです。私が生まれて初めて与えられたぬいぐるみは可愛い猫ちゃんですし、赤ちゃんの頃にも、遊びに行ったおうちの猫と仲良くなり、私のミルクとその猫のかつお節ご飯を交換して食べていたという話もありました。
また実家は、犬を飼ってもなぜか早死してしまうのに、猫は絶えずにずっと飼っていました(猫をうちの庭に捨てていく輩もいました)。
思い返せば、猫とは随分縁のある人生でした。赤ちゃんを見て「猫じゃん」と思ったのも、猫が私にとって身近な存在だったからに他なりません。
『子猫』
生まれてからずっと、同じ時間を共にした
愛猫を亡くしてから、君は心ここに在らず。
そんな君に、僕はこの子を贈る。
その子を手の中に抱いた君は、久しぶりの
笑顔と、幸せそうな顔を見せた。
透明で綺麗な涙が頬を伝っている。
そんな君の表情が見たくて。
君に元気になって欲しくて。
空へ旅立ってしまった、君の愛猫の代わりとは
言わないけれど、僕はこの子を君に贈るから。
この子とも、大切な思い出を作ってみないかい?
君とこの子との幸せな未来を願って――。
君に――子猫を贈ります。
「子猫」
公園に行くとダンボールがあってその中に子猫がいる…
そんなシチュエーションはドラマやアニメの中でしか見たことない。拾う人はきっと子猫を保護してあげたいという想いの人だと思う。私はいつも、経済的余裕があるのかな、と思ってしまう。生き物である以上、食事代、おもちゃ、掃除用品、生活必需品、などお金がかかるものが多い。拾い猫ならば病院で注射を打たなければならないこともしばしばあるだろう。保護センターや施設に電話して保護を求める手もあるが、拾った人は子猫を見た時に飼おうと思える決断力があることを考えると、尊敬できる。
今自分が、公園で子猫を見つけるという場面に遭遇したら飼うのかなと考えてみた。だが、私は子猫が嫌いだ。子猫どころか猫も犬も嫌いだ。どれくらい嫌いかと言われると、見るだけで後ずさりたいくらい。
私は速攻通報して、子猫を保護してもらうだろう。助けてあげたいけど触れるのは抵抗がある上、親も許してくれないだろうと。あなたはこの子猫を見たら何をしますか?
お題「子猫」(雑記・途中投稿)
猫は好きだけど、子猫は飼った事ないなぁ。
過去に実家で飼ったのは全部元野良猫で、生まれ月も何も分からないけど半年とか一年とか過ぎていそうなのは確実。
そんな訳で今回は猫全般の話。
猫をブリーダーとかペットショップとかで買う人は全員猫好きじゃないと思っている。
まあ私がブランド猫あんま好きじゃないのはある。母も同じなんだけど、なんか目つきが悪く感じる。
最後に実家で飼った、野良猫気質の強い雄猫(故猫)は父からヘビ顔と呼ばれていたけど。三角顔は野生気質が抜けないらしい。
……子猫といえば、何年か前にテレビ放映されていた、ムツゴロウさんこと畑正憲がナレーションを務める「チャトランの冒険」だかいう動物実写映画を思い出した。
一応「自然に生きるやんちゃな子供のトラ猫の波瀾万丈」って感じの物語を装っているんだけど、ぼんやり見ていても「猫(動物)好きならこんな状態で放置しないわ」と思っていた。NHKの生きもの地球紀行とか野生動物を年単位で追いかけるドキュメンタリーじゃなくて、人が出て来ない里山というか、植物園のような人工的な雰囲気がした。
……もしや、あれが今は亡き動物王国か。
終わってから気になって評判を検索したら「映画館で見たけど、どう見てもチャトラン(主役)役が何匹も入れ替わっていて怖かった」とか割と不評だった模様。しかも当時撮影に関わった人によると何十匹も使い捨てにしたらしいし。
畑正憲は実は動物好きじゃないだろとか言われていたのを同時に思い出した。(実際はどうだか知らない)
どうぶつ王国が東京に移った時にドン引きしたなぁ。実際にどれだけ自然が残っていても、東京って地名の時点でダメ。
大型犬はいても大型猫がいないのは、今家で飼われている猫が「人が飼い慣らせる最大の大きさ」だからだと聞いた。まあ最大品種のメイクーンで1mを超えるんですが。
ちなみに猫の品種の中では特にハゲ猫ことスフィンクスが嫌い。猫アレルギーなら猫を諦めろ。抜け毛の片付けが嫌なら猫を飼うな。
猫に限らず、金がないなら動物を飼っちゃいけないのか、という問題をたまに聞くけど、病気になった時の病院代も出せないなら飼うなよと思う。自分以外の命を預かっている自覚ないんじゃないか。
後述の飼育崩壊を検索したら、「猫一匹の終生飼育に200万円以上掛かる」と出てきてさすがにびっくりした。うん、やっぱり一人暮らしで飼うものじゃないわ。(だから野良猫に声を掛けるのも我慢している)
ちなみに多頭飼いも嫌い。天災の時に守れるのは一人につき動物一匹までという説があるから、家族の人数以上は容量超過だと思っている。
十五年ぐらい前のシルバー川柳の入選作に「まだいける もう一度だけ 犬を飼う」なんてのもあったし。自分より先に死んで遺族を困らせない、と確証を持てないなら飼うな。(一人暮らしの場合、飼っていたペットは大抵故人の屍肉を食べて生き延びる事から、遺族も引き取りたがらず殺処分されやすい)
かれこれもう十年ぐらい前かな? にニュースになった、北海道の猫飼育崩壊を思い出した。確か四十六匹とかだったはず。
飼育崩壊というと大抵はミイラみたいに痩せ細って共食いを起こしているのだけど、そこの家はみんなふわふわの柔らかそうな毛をしていて、飼い主はご飯をちゃんと食べさせていたんだろうなと思った。
子供がほしくて番を買って交配させた後、雄だけ去勢手術を受けさせたんだったかな。室内飼いだったのにどこからか種をもらったらしく、大量繁殖に繋がったらしい。(この辺曖昧)
【書く練習】
今日はダメだ
一通のラインで、胸の中がみるみるモヤモヤして
落ち着かず、体が肩からずんっと重くなり
腕が震える
懸命にこらえる
何をこらえてるのかはわからない
ただ手を固く握り耐える
目に涙がにじんだと思ったら遅かった
嗚咽が止められなくなった
涙もボタボタと落ちる
どうにもならず絶望で真っ暗になる
これも一過性だ長くは続かないはず
だから大丈夫
言い聞かせて過ぎるのを待つ
私は目の前の人物に対する無礼も構わず、思わず眼前の光景を凝視してしまった。
(宰相が……小さき生き物を抱いている)
目を剥きながら視線を逸らせない私を、宰相は氷のように冷たい瞳によって射抜いた。
「なんだ」
たった一言。それだけなのに、まるでその一声で世界を支配できてしまうのではないか、と錯覚を覚えるほどの重たい音。
聞く者の意思を捻じ曲げるような低い声は、逞しい喉を震わせて発せられる。宰相補佐に着いてからもうずいぶん経つというのに、私はふいに聞くその声にいつまでも慣れることができない。
「その、猫」
私は口を間抜けにあけたまま、宰相の膝の上に寝転がっている小さな黒猫を指さした。彼は「ああ」と極めてめんどうくさそうに答えた。
毛玉やほつれというものを知らないその黒猫の艶々とした毛並みのなかに沈む宰相の武骨な指は、いっさい毛に絡みつくことなく、すいすいと泳ぐように梳かれてゆく。黒猫を愛でる手つきは恭しいを通り越して、もはや淫靡なものに思えてならなかった。
「あいつに」
「は」
我ながら間の抜けた声を出してしまった自覚を持った直後、宰相がいきなりまだ小さな黒猫の首を片手で掴み上げた。それまで腿の上で安らいでいたはずの猫は、突然の暴挙にたまらず鳴き声とも取れない悲鳴を上げる。
「似てるだろ、あいつに」
彼は自身の整った相貌にぐっと黒猫を近づける。猫が持つ爪で傷つけられることも厭わないらしい。だが意外にも、黒猫は首根っこを掴まれたまま静かにしていた。睨んでいた、という表現のほうが正しい。
だが表面上は文字通り借りてきた猫のように大人しくしている黒猫を見て、宰相は自嘲するように言った。
「ま、こいつはオスだけどな」
「……メスも揃いにしてはどうですか」
「言われなくてもそうすらあ」
黒猫をゆっくり地面に着地させると、猫はさっさとあらぬ方向へ逃げていった。
その光景を見届けた宰相は、愉悦を含んだ表情を歪ませて笑った。
私今、片思い中。
でも、自信がないのでいつも物に隠れて見とれているだけなんです。
あまり知らない人なんだけどね。
生まれた場所も違うので、ただの一目惚れです。
私は、ビビって声も掛けられないのであなたについて行くだけ。
行き場所は、いつも何一つ分からない。
でも、毎回素敵な場所に行っていることは知っています。
この目で見てるからね。
あれ?
気づかれた!?
やばい。
好きな人が近づいてくる。
毛綺麗かな?
顔変じゃないかな?
どうしよぉー!?
「君、何してるのー?」
急に頭を撫でられた。
えっ!?
恥ずかしすぎるんだけど!?
「かわいいね。」
意味もわからない言葉を連発してくる。
このまま喋れば両思いになれるのかな…?
「にゃ、にゃー」
「えっ!喋ったー!この子猫可愛すぎるー!俺の子になるー?」
未だに言葉は、分からないけど、いつか私はあなたと会話ができる日が来るのだろうか。
私の片思いは、まだ続きそうです。
題 子猫
「子猫ちゃん、どこいくの?」
そんな言葉をかけられた日曜の午後、渋谷。
私は最大限の冷たさを持って相手を一瞥する。
そしてそのまま歩いて去ろうとした。
「あ、待ってよ、ねえ」
相手の男性は慌てた声を出すと、私の目の前まで走ってくる。
「・・・何か?」
「何かじゃないよ、何で無視するの?」
「だってくだらないこと言ってたから、何?子猫ちゃんって」
私がため息をつきながらそういうと、相手・・・私の彼氏は目をウルウルさせて反論してきた。
「だって、ほら、僕にカッコ良さがないって前きみちゃん言ってたでしょ?だから、カッコイイ男性が主人公の小説読んだんだよ、そしたら、子猫ちゃんって言ってたから」
「いや、普通に、日常で使ってる人いるかどうか位わかるでしょ!」
私は彼氏のトンデモ理論に即座に強い口調で返答した。
いないでしょ、子猫ちゃんって・・・しかも、私の彼氏だ・・・。
絶望しかない。
「ええっ、そんなの、他のカップルの会話聞き耳立ててるわけじゃないから分からないよ〜!でも、僕頑張って本読んだんだよ、褒めてよ?」
「もー、聞かなくても分かるでしょっ」
とか言いながら、弟系の可愛い顔にふわふわっとした髪の毛でこちらを見つめてくる彼氏の顔に負けてしまう。
あぁ、そうよ、私はいつもこの顔に負けちゃうのよ。
もう、何でそんな可愛い顔なのよ!?
「・・はいはい、偉いよ、ちゃんと私の言う事聞いて調べてくれてありがとう、でも、今度それしたい時は私に参考書籍聞いてくれるかな?」
彼氏の、ふわふわの髪の毛を撫でながら私はちゃんと次回の改善点を忘れずに伝える。
「うんっ、分かった。ありがと、いつも優しいきみちゃん」
とっても嬉しそうに彼氏が私に笑いかけるものだから、私も釣られて口角が上がってしまう。
なんだかんだ言っても、私は彼氏に、メロメロなのだ。
片手に乗るぐらいの
小さくて温かくて、柔らかい生き物
黒目がちな目は
私の服のヒモに集中していて
何を見てるのかな、なんて見ていた
次の瞬間
ヒモ目がけて
短い手を目一杯広げて飛びかかってきた。
でもそれは最初の勢いだけで
大した飛距離もなく
地面に前足をぺたんとついて終わった。
パヤパヤした産毛に
このふわふわした動き
目の前にいる子猫の存在全てに
私達のハートは射抜かれた。
あの日から
この子は私達の家族になった。
子供のいない、私達夫婦にとって
この子は本当に
我が子同然だった。
あれから4年経った今では
子猫時代の10倍の大きさになって
家の中を我が物顔で歩いている。
お腹丸出しで寝ている姿は
まぁまぁ貫禄が出ている。
人で言えば、もう私と同い年くらいの年齢。
私が4つ年を取る間に
この子はもう
私と同じぐらいのニャン生を過ごしている。
子猫の時は
成長していく姿が微笑ましかったけれど
今はもっと
ゆっくり年を取ってほしいと願う。
#子猫
子猫
私のお母さんは
とても暖かい
私のお父さんは
とても優しい
私の兄弟は
とても小さい
みんなでぎゅーってすると
とても暖かい
この温もりを忘れないようにしたい
あ、もう別れる時か
私の家族
私はこのショーケースから出る
また新しい家族と私は過ごす
子猫
ドアを引っ掻いて
気づいて貰える様に
泣いていたね
私は猫
大人の私はね、寂しさを心の内に隠すの
ぼくは、おっかない、いじめっこが、たくさん、いる、みちを、いっぱい、はしる、はしる
ぼくも、みんなと、おんなじ、はずなのに
みんなは、ぼくを、みたら、ひっかいて、にげていく
すれちがうたびに、きずがふえちゃう
ぼくは、みんなと、なかよく、したいのに
ぼくが、まだまだ、ちいさな、こねこだから?
みんなとちがって、たかいところを、じょうずに、のぼれないから?
けがうすくて、じょうずに、けづくろいが、できないから?
ぴんっと、おそらにむかって、たった、きれいな、おみみが、ないから?
ぼくが、にほんの、あしでしか、じょうずに、あるけないから?
おっきな、おみせが、たくさんある、みちを、いっぱい、はしる
そして、きょうも、その、みちの、とちゅうにある
すきとおった、いたをみつめる
すきとおった、いたに、うつった、ぼくは、みんなとはちがう
みんなのなかまになれない、こねこなんかじゃない
一体、何なのだろう?
子猫
「えぇ〜! おい!また猫かよ神様!」
「ああ、すまぬすまぬ間違えた、間違えたがもう生まれてしまったから変えられんのじゃ、後は、また死んで戻って来たら話そう、まあ、ゆるりと見物しろ、今度は生まれながらの飼い猫じゃ、まあ、達者で暮らせ」
「何が、達者で暮らせだ!ヘボ神様、何度も何度も猫に生まれさせやがって!もう何周目?いや、もう百万回ねこだ!」
「今度は、犬のお巡りさんになって可愛い子猫ちゃんの世話をしたかったのに!」
彼は、百万回猫に生まれ変わって今また神様の手違いで猫に生まれ変わり、子猫から始めることに悲観しているのであった。
「もう、退屈だ、退屈でしょうがない、今度は生まれながらに飼い猫のようだが、日がな一日ぐうたら生活だ、兄妹たちも母親もみんなそうだな、デブだ!ルーティンは決められたこの狭い檻の中、俺の特等席は違うものたちが通り過ぎて行くのが見物出来る場所だけだ、つまらない話だ、そこから日がな一日、目に写り通り過ぎるものをあくびをしながら時に毛づくろいしながら眺め、飯食って、糞して寝るだけだから肥える、見ろ今の俺の姿、ブヨブヨのデブ猫で野生のカケラもない」子猫のくせに爺のような小言を吐きまくるのは、猫百万回目の子猫だから許してやって欲しい。あくびをひとつ、また猫百万回目の子猫は文句をたれ始める。
「俺は、その時誰の猫でもなくて…ってのやっただろこの前、それで白い猫に出逢うんだ、あの白い猫どうしているだろう、また猫に生まれていやしないか?」
「今度は漁師の猫でもなくて、雨の中濡れてカラスに狙われていた子猫だったな、あの時は肝を冷やした、生まれて来たと思ったら逆戻りか、まあ、俺たちは、人間みたいにてめぇでてめぇの命を終わらせるような意気地のない鬼畜でも殺し屋でもねぇから、その最後の瞬間まで生きる、生きるだけだ…まあ、寿命があれば死のうとしたって生きてるもので、その時俺は救われた、書生とかいう人間に抱かれて先生の家に行った、確かあの時は、吾輩とか自分を呼んで、先生の残した酒というのをしたたかに失敬し、したたかに酔って候、いい気持でお勝手場まで歩いて行き、喉が渇いて水瓶の縁に登り中を覗き込んだところで記憶が途絶えた、、、それから何回生まれ変わったろう、何度生まれ変わっても猫だ、猫でしかないな俺、、」
子猫は、その時大きなお屋敷の飼い猫でしたが彼は、猫なので金銀敷き詰められた絨毯も高そうなブランド品の食器にも興味がないのでした、そして親兄弟姉妹たちのように子猫のくせにふてぶてしく肥った野性味のない自分の姿にもため息が出て、そんな自分を「かわいい〜」って、臭い体や毛やベタベタした顔に擦り付けられるのが嫌で仕方がありませんでした、以前は、ここよりも広い広い仕切りのない場所を自由に歩きまわり、狩りをしたり、時に人間にすり寄ってゴチになり、沢山名前を持ち、喧嘩をしボスと呼ばれ、いつか喧嘩に負けて人知れず去る、そんなことを繰り返し、ある、冬の寒い日に縁側で婆ちゃんに「寒かろう、温たたまってゆけ」と言われて縁側の奥のコタツという夢みたいに温かいものに包まれた時、飼い猫ってのも良いなと思い目を閉じたら開かなくなり、それから何度も野良あがりの飼い猫をあの手この手で人間に近づいてはやっていたが、今度は生まれながらの飼い猫だ、何の不自由もなく寒くもなく暑くもなく飢えもなく、狩りも喧嘩も人間で言えば生きるための戦いも冒険もない暮らしだ、ふと子猫は、人間が自分で自分の命を殺す理由が分かった気がしていた。
百万回目の子猫物語
★追記、これは幾つかの物語をリスペクトしてオマージュした物語です、多頭飼いとか飼育方法とか持ち出す物語を読むセンスの無い方には不向な噺ですので悪しからず。
令和6年11月15日
心幸
「わたし、来世では子猫になりたいな。」
キリリと冷たい空気の下で、彼女はそんなことを呟いた。私は、冬の空からふりそそぐ、少しだけ神秘的な陽の光を受けとめている彼女の横顔をながめる。そうして、小さく、でも、と声を出した。
「でも、どうして子猫? 成長したら猫になるのだから、猫になりたい、が正しいんじゃないかしら。」
「うん。だからね、」
彼女は勢いをつけて、私の方を向いた。影になっていた部分にも光があたって、肌が少し赤みを増したように見えた。光と影の境目だけが熱を帯びているようだった。
「だからね、子猫のうちに、幸せなうちに、死にたいんだ。」
なんて言って、彼女は少し足を伸ばした。ムートンのブーツがかかとに引っかかって、コロンと転がる。それが、なにか大切なものに見えて、私はベンチから立ち上がって拾ってやった。
「あんがとぉ、」
にこぉ、と白い息を吐きながら、彼女はゆっくりと私に礼を述べた。私は聞こえなかったふりをして、彼女にブーツを履かせてやる。
「ねえ、本当にいってしまうの。」
なんて私が問いかければ、彼女は私の目を見ながら、
「うん! いってくる。」
なんて元気な声で言うのだった。その声は、グラスに熱湯を注いでいるみたいにちぐはぐで、何だか切なくて、私は少し笑いたくなった。
「じゃあ、わたしは来世で、子猫の飼い主になろうかしら。」
脈絡が無いことは自覚していた。
「うふ、じゃ、わたしを看取ってくれるの?」
でも、彼女には正しく伝わったみたいだった。私は再び、彼女に向かって口を開いた。
「ねぇ、」
「楽しみだな! あのね、お手紙を書いたんだよ。月ちゃんに届くはずだから、読んだらお返事ちょうだいね」
私の言葉を遮ったのは、わざとだろうか。彼女は眩しいのか、目を細めて、私の手を取った。まつ毛が光を浴びて、漆黒のそれが深いブルゥに見える。それが二、三度上下するのを、ぼんやりと眺める。
「私で、良かったの? 手紙って、一通しか出せないのじゃなかったかしら。」
「うん。月ちゃんが良かったの。」
「そう、光栄ね。」
私は少し目を閉じて、彼女の視線から逃げた。彼女は冷たい指先で、私の頬に触れる。
「ほたる」
私は目を開けた。彼女のアメジストのような、透き通っている瞳を目にうつす。
「なぁに」
彼女はやわらかな声を出した。そうだった。この人の声は、いつも柔らかくて、細くて、麗しい。
「とってもきれいよ。」
「知ってる。だって私、今が一番輝いているもの!」
その後、私は彼女とただ喋ることを続けた。夏は森に行こうとか、カレンとリリィみたいにパフェを食べに行こうとか、スペインの街並みを見てワインみたいと言おうとか、そんな、普通の話を。さっきまでの話なんて無かったみたいに、そんな話を続けた。
「月ちゃん、わたし、きれいでしょう。あんね、人生ってきっと、煌めく瞬間があるんだよ。それがきっと、今なの。だからね、やめないよ。」
ふ、と会話が途切れた時。彼女はヴァイオリンのグリッサンドのような、したたかで美しいトーンでそのようなことを言った。私は何も応えず、彼女の唇に指を這わせた。
血液の色だった。いとおしいくらいに熱い、生の色だった。
「うん、わかったわ。だってほたる、悔しいくらいに麗しいもの。」
私は漆黒の笑みを浮かべる。彼女はそんな私の顔を見てきゃらきゃらと無邪気に笑った。
「月ちゃん、きれい」
「そんなことないわ。……ねえほたる、私もいつか、煌めく日が来るのかしら」
「さあ、わかんない。でも、ただ待つだけじゃつまんないし、煌めいてる方が見つけやすいかも。」
「何よ、それ。」
そうしてまた少し、二人で話した。これまでの人生のことと、これからの人生のことを。彼女は相変わらず、来世のことばかり話していたけれど。
来世では仔猫じゃなくて、猫になって、ふりそそぐ光をそのままに瞳にうつして、麗しく優雅に死んでいけばいいのに。なんて残酷なことを思いながら、私は彼女との最期の逢瀬をたのしんだ。
「月ちゃん、私そろそろ逝くね。」
「そう。いってらしゃいな。手紙、楽しみにしているわ。」
「ふふ、来世でもきっと、私を幸せにしてね。」
応えなかった。わたしは残酷な人間だから。
「じゃあね、ほたる。」
返事はなかった。その変わり、小さくにゃあとなく音が聞こえた。
「おっとぉ……」
バイクに乗ろうと駐輪場に行ってみると、タイヤの隅何かがいた。身体を屈めて見ると恐ろしく小さなにゃんこが数匹、身体を寄せあって震えていた。
その姿に胸がきゅっとなった。
「どうしたんですか?」
俺の後に家を出てきた恋人が俺の肩越しに子猫を見つめた。
子猫の様子に驚いた彼女。それはそう。
多分、生まれてそんなに経ってない。ここにいたらおそらく死んでしまうだろう。
俺は彼女を見つめると彼女の瞳の中にも強い意志を感じられた。彼女も動物が好きな方だ。きっと、同じことを思ってる。
「ごめん、家に連れてくよ」
「もちろんです!」
過去に動物を飼ったことがあるようで、この状況がマズイことは理解していたようだ。
俺が上着を脱いで猫たちを落とさないように包む。そのついでに、ここにいるのは三匹いるのが分かった。
一匹の衰弱が激しい。
「先に鍵、開けますね」
「ありがとう!」
家に帰ると、通販で使われたダンボールを作り直して、タオルを敷く。俺は一匹ずつ箱に入れてあげるけれど、一匹が動くことがなくてやばいと肌で感じる。命が抜けていくのを感じられた。
俺は立ち上がって、スマホから動物病院に連絡をした。
まだ早いけれど……出てくれ!!
その裏で、彼女はお湯を沸かして湯たんぽを作ってタオルの下に入れていた。
『はい、朝からどうしたの?』
俺は堰を切るように事情を話し始めた。
その後は、許可をもらったので子猫を動物病院に連れていく。結局、彼女にも全部突合せてしまったな……。
……あ!!
職場に連絡するのを忘れていたことに気がついて、背中に冷たい汗が滝のように流れる。
その表情を見た彼女がふわりと笑って背中をさすってくれた。
「大丈夫ですよ。私、事情を連絡してあります」
本当に気の利く彼女です。
子猫たちは、一匹は大変だったけれど甲斐甲斐しく世話をしたので、奇跡的に持ち直す。
引き取りたい気持ちはあったけれど、今回はたくさん話し合って見送ることにした。
縁があったとはいえ、生きものを迎えるのには覚悟がいる。覚悟がないわけではない。それでも今ではないと思ったからだ。
その代わりに、引き取ってくれる飼い主を必死で探して、良い人たちと巡りあわせられた。本当にホッとしている。
「ちょっと寂しいですね」
「うん……でも、ごめん」
いつか、動物を飼いたいけれど、今は彼女との時間を大事にしたかった。
俺は彼女とは将来を見据えている。
家族になって、家族が増えたら……いつかね。
おわり
一八三、子猫
子猫
可愛いねぇ。
猫カフェ行きたくなるぅ。