『君と最後に会った日』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#100 そして、大人になろうと決めた
じゃーまた明日!
あの日の僕は、手元にあるゲームステージのクリアが重要で、惰性のさよならを君に送った。
何よりも、明日も明後日もずっと今日と同じ朝がきてまた会えるものだと疑う余地もないほど僕は子供だったのだ。
あの頃の僕は君と憂鬱を共有しあえるほど大人ではなかった。
でも、あの時、せめて、君と向き合って「また明日」と別れていたら、もしかしたら、少しは君の思いとどまる理由になれていたかもしれない...
なんて、あの日から安っぽい偽善を僕はずっと抱えているよ
少なくとも
明日が必ずしも今日と同じとは限らないと、
思い知らされたあの日、
子供すぎる自分にやっと気付いて
もっと真剣に、真面目すぎるほど懸命に
君の分も大人になってやろうって決めたんだ
お題「君と最後に会った日」
君はもうほんとうにボロボロだった。
正直、私も見たくなかったのよ。
いつもの笑顔で迎えてくれる君で、
上書きしたままにしておきたかった。
だけど会いたかったから.........
視界に入ったのは、
くしゃくしゃの笑顔が貼り付けられた君だった。
あんなに赤く染まるものなのね。
君も「もう会いにこないでくれ」なんて不器用なこと言っちゃって。
馬鹿。
誰に言ってると思ってるのよ。
ーーこの後、君の母親から全てを聞いたわ。
もう自分は治らないから、硝ちゃんにはこんな姿見せたくなかったんだって。
だけど、
会えて良かったって。
最期に話せて本当に嬉しかったんだって。
君のせいで本当に辛かった。
...なんて、1度たりとも言うつもりはない。
君が1番頑張っていたから。でしょ?
今日も寂れた家で、赤い彼岸花を一輪。
お題
『君と最後に出会った日』
僕が最後に見た君は笑っていた。
僕はその笑顔に、ふわっとしたその心地良さに惚れんたんだ。
僕は中学の時ヤンキーだった。自分で言うのは恥ずかしいけど、、今の性格とは程遠くグレていた。
あの日も当たり前のように他校と喧嘩しては勝って眠かったから中庭で寝てた。起きたらいつの間にか隣に女がいて…
『あ、起きたんだ。如月くん』
俺は知らない女だった。聞いてもないのにそいつは話し出す。
『如月くん、知らないと思うけど私たち同じクラスなんだよっ!』
『いつも気になってたんだよ、怪我したまま寝てるから』
「あそ、」
人と話すことが嫌いなのに、何故か話せた。
『ほら、絆創膏貼っておいたからね。』
顔にも腕にも足にも貼ってあった。
『じゃあね!ちゃんと手当するんだよ〜』
笑っていた。彼女は笑っていた。
その笑顔と優しさが気がついたら大好きになっていた。その後も彼女は手当をしに中庭に来ることが多くなった。弁当だって作るようになった。そしていつの間にか俺の隣にずっといるようになった。
気づけば3年。俺は中3になっていてヤンキーもやめていた。未だに彼女とは一緒にいて、、でも付き合っている訳では無かった。受験もまじかになって会わなくなった。でも連絡は途切れなかった。
『やっほ〜!うわ、似合ってる!』
久しぶりに見る彼女はやっぱり綺麗だった。
「同じ高校、、なんで言わなかった?」
『うーん、サプライズ?』
なんのサプライズだよ、とツッコミを入れて高校の門をくぐる。
「また、3年間よろしく」
僕がそう言うとひとつ間を置いてから彼女は頷いた。
高校でも隣にいた。付き合いたかった。でも言い出せなかった。隣にいるのが当たり前で、でも彼女は時々悲しい表情をするから、こんなに長く一緒にいる僕にも言わないから。タイミングが分からなかった。
そしてまた、会わなくなった。連絡もなくなった。
また明日、!そう言って笑顔で言ってたじゃないか。何を、こんだけ隠してた…。
君に会ったのはそれが最後。
どうかお元気で。
『楽しかったよ。ありがとう。』
君と最後に会ったのはいつだっただろう。
たしかあの日は夏祭りだった、沢山の屋台が並び、人が沢山居て混んでいたんだ。
リンゴ飴を頬張る君のほっぺたが紅くてまるで君のほうがリンゴ飴みたいで可愛らしかった。
そして花火が上がる時間となり僕らは人気の無い穴場に移動して花火を見た。
夜の静けさと暗闇を打ち消す花火はとても綺麗で、この永遠にも思える時間が一生続けばいいのにと願った。
そして花火がもうすぐ終る時に君は口を開いた
「絶対に、来年も見に来ようね…!」
君はそう言いながら儚い笑みを浮かべていた、それと同時に最後の花火が打ち上がった。
今僕は病院のベッドの上に居る、「どうして…今…こんな事を、思い出しちゃったんだろうな~…」
僕は生まれつき病気があった、春の暖かさから夏の暑さに変わろうとする時期、僕の病気は悪化した。
今日は毎年恒例の夏祭りの日、結構僕は約束を果たせそうに無い「ごめんな…」そう呟いた言葉は誰にも届くことはなかった。
『君と最後に会った日』
美しくも哀しい瞳の貴女は
此の世は美しい、と
つねづね云つていたけれど
その言葉とは裏腹に
違う世界へと
旅立つてしまつた
密やかに降る雨、木漏れ日のさす庭
そこかしこに
貴女の欠片は
まだゐるといふのに
其方の世界も美しいのでせうか
わたくしは
貴女がゐたこの世は
仮初めだつたのだと
やうやく氣づきました
貴女のゐない此の世は
残酷で
哀しみに満ちてゐるといふのに
#君と最後に会った日
小学生の夏
クラスでイジメられた僕は、学校から帰りに決まって、裏山近くの神社に通った。
そこには狐のお面を付けた僕と同じくらいの少年が暮らしていた。
お面の少年は僕とは違い勇気があって面白く、何でもできるように思えたけど、読み書きができなかった、少年が言うには彼は神社を離れるわけにはいかなかないそうだった、僕は読み書きを彼に教え、お面の少年は僕にイジメに負けない護身術を教えてくれた。
冬になり、いつしか僕は誰にもイジメられなくなり僕は学校でも友達を作れるようになっていた。
僕は仮面の少年にお礼を言いに行こうと神社によったが、そこには誰もいなかった、代わりに巻き物が一つ置きてあり、僕は中身を開いた。
中身は仮面少年の別れの言葉が不格好な字でつづられていた。
君と最後に会った日を思い出し何だか無償に寂しさが込み上げ僕は泣いていた。
それから仮面の少年はいないが毎週神社の掃除とお参りが僕の日課になっていた、
いつかまた再会できると僕は信じている。
流れる水に想いを寄せ
風吹く夜に頬を赤らめた
暑くなった心は春の別れで
一瞬にして冷めて溶けていく
君と繋いだ手から届く酸素を
明日の僕はきっと知らない
薄れていくあの日の記憶は
今日の僕の手と繋がっている
思い出せない過去の君を
最後の日見た知らぬ人の笑顔を
あの日の暑く燃えた心臓を
今日の僕に捧げて「明日の君に幸あれ」
「またね」
そのまたねは何にも約束がないまたねで、本当にまた会えるだなんて約束されやしない…
本当に君にまた会えてたら、僕はなんて言うんだろうな、
いつからか、1人になってしまった僕は寂しく空を見上げた。
「違うなぁ」
君と最後に会った日、またねって約束した日
その日の空はこんなに濁ってなかったのに…
君と最後に会った日は、モネの回顧展だった。表参道をぶらぶらして、ラーメンが1500円もする店を見てふるえたりしたよね。
新幹線のホームで君を見送った夜、君は「メンタルの調子が良かったらまた遊びに来たいな」とメールをくれたよね。
あれからメールが宛先不明になって、二度出した手紙にも返事が来ないなんて、のんきな私は思いもしなかったよ。
君の家がまだあるのはちゃんと知ってる。小1からかけ続けた電話番号だって忘れるはずがない。でもその一歩を踏み出すのがこわくて、ずっとなにもできないままいる。
今日インターネットを見ていたら君と同姓同名の人を見つけた。生年月日も出身地も何もかも違うけれど、君と同じように本がとても好きな人だったよ。
私たちが中学生だった頃、君は一緒に本屋に行くと、私が話しかけても聞こえないほど夢中になって立ち読みしていたよね。今では笑い話。君と一緒にあの頃の笑い話をしたいとずっとずっと思っているよ。
君のことが好きになった。そして話して見たいと思った。だから後ろからついていこうとした。そしたら、君が話してきた。なんですか?と言われた。その時俺は、恥ずかしくて何も言えなかった。そして俺は走って逃げてしまった。どうしてだよ。なんで自分は何も言えないだ。と自分を責めてしまった。俺はどうしたらいいのだろう。
君と最後に会った日
私がおじいちゃんと最後に会った日は、おじいちゃんが亡くなる数週間前。
ちなみに、私以外の家族(母、兄、妹)は亡くなる前日に会っている。
心不全だった。
私はおじいちゃんが大好きだった。
入院期間絶食を言い渡されやせ細っていく姿を見るのは辛かった。
退院して元気になる姿を見るのは嬉しかった。
おじいちゃんの後ろ姿は日に日に小さくなった。
車椅子を押している私は。
後ろ姿を見るのが怖くなっていた。
でもまさか、そんな急に亡くなるとは思っていなかったからとても。うん。なんとも言えなかった。
未だに本当に亡くなってしまったのか不思議なくらい。
私が貴方と最後に会った日は多分私が自殺未遂をしたと知った日。
ごめんなさい。死ぬ前に不安にさせて。
ごめんなさい。1番大好きだと言ってくれていたのに大好きを返せなくて。
ずっと後悔しています。
貴方の妻、おばあちゃんには大好きなら大好きと伝えます。もう同じ後悔はしたくないので。
私のやるせない気持ちを今この文章で。
少し差別が入っていたにしろ。
毎日1番大切だと、私に伝えてくれ、生きる意味を沢山与えてくれ、本当にありがとう。
1番大好きと言われる度私も心の中で思ってたよ。
世界で1番、大好き。今までも、これからも。
#君と最後に会った日
あれは去年の秋頃だったかなぁ
お風呂で湯船に浸かっていたら
爪の中に閉じこもっていた君が
外に出て行った。ヾ(;´Д `)ノ
長年ずっと一緒にいた君が。
君…
内出血が←( •᷄ὤ•᷅)は?
君が私を思いだすときは、いつだってかわいくてとびきりの笑顔の私でいたい。
そう思っていたけれど。
君と最後に会った日、私はちゃんと笑えていたのかなと思うのに。
ききたい君はもういないんだ。
【君と最後に会った日】
いつも通り手を繋いで
お気に入りのあのお店で
好きなだけいっぱい食べて
欲しいフィギュアがあるんだって
ゲーセンでにらめっこ
今コラボしてるのって
ショップまで競走してみたり
何も変わらないデートの軌跡
夕陽を背負って一、二、三
またねっていつも通り
背中合わせで手を繋いで
いつもは言わない愛してる
お互い諦めなんてつきやしない
惹かれ合ったが故の悪夢
そうでも言わなきゃ別れられない
僕らはきっと運命共同体
タイムマシンは成功した。
長い時間旅行から帰ってきたとき、世界は薄桃色の底にあった。夜明けと朝焼けがないまぜになった
海がしずかに揺らめき、透明な光に溺れている。
死んでしまった君の姿を追いかけて、もう時間の
感覚もなくなるくらいの旅をした。
僕にとっては、物事の最初も最後もないようなものだ。タイムマシンさえあれば、いつでも朗らかな君の姿をみることができるから。
君がまだ元気で、僕の隣にいた頃。僕たちはよく
小さな夜空を観察した。
夜鷹の声が笛の音のように響いて、流れ星は夜の縁を永遠に描いていた。
昔から記憶力は抜群によかった。僕のあまりに細やかな記憶に、君もいつか笑っていた。
それなのに今、僕の瞼の裏に浮かんでくるのは
およそ地球のどこでもみられるであろう景色ばかり。これからもいつでも観られる、そんな夜。
美しい世界をひとしきり眺めて、再びタイムマシンにのりこんだとき、ふいに涙がおちた。
君と最後に会った日は、もう思い出せない。
「君と最後に会った日」
また遊びに来いよ〜
じいちゃんは何度も言った。
しつこいとばあちゃんも何度も言って、
じいちゃんに聞こえない声で
次会うときは葬式の時だよ
と冗談ぽく言った。
次の年、じいちゃんは布団に寝かされていた。
親戚がたくさん集まった。
「じいちゃん、遊びに来たよ」
返事はなかった。
2019があと数分で、、
終わった
私は唐突にあの町に向かった
サイゼリヤ以外どこも空いてないこの日になにをおもったのか、
あの頃の神社やいつの日かの旧友、大切なあの頃を回収し君とも別れを告げる。
またね
そのまたねが叶わないよう、普段は飲めないコーヒーを買って電車に乗り込む、
普段は苦手なこの苦味もどこか美味しく感じた。
あの日は、梅雨時にしては珍しく、雲一つない快晴だった。
幼馴染みと出先で偶然再開し、昼だったのでそのまま一緒にランチをした。
観光客や学生でごった返す大通りから路地へ抜けて、個人経営だろう小ぢんまりとした喫茶店へ。
カリリンッ、と控え目なドアベルが鳴り、涼しい店内に入る。
カウンター席が六つ、テーブル席が二つ、テラス席もあるようだ。
テーブル席には既に先客が居たので、カウンター席に並んで座った。
老年の女性が「いらっしゃいませ」と持ってきてくれたメニュー表を二人して暫しにらめっこ。
悩みに悩んで結局アイスコーヒーとランチセットのAを二つ頼んだ。
出されたランチを食べながら、色々と話をした。
家族のこと、仕事のこと、趣味のことを。
ボリュームたっぷりなランチを平らげた君が食後のデザートと、追加でアイスクリームを頼む。
幸せそうにアイスクリームを頬張っていた君の顔が印象的だった。
午後も仕事だ、二人で駅前まで歩いて、他愛もない話をしながら、改札で別れた。
バイバイと手を振る君に、またねと手を振り返した。
一月も経たない内に、君が亡くなったと御両親から報せが入った。
テーマ「君と最後に会った日」
今日のテーマ
《君と最後に会った日》
彼女と最後に会ったのは祖母ちゃんの葬式の日。
桜の蕾が膨らみ始めた、春もまだ浅い頃。
一緒に暮らしてた俺達家族は、日に日に弱っていく祖母ちゃんを目の当たりにしていて心の準備ができていた。
亡くなった時も、もちろん悲しさや喪失感はあったけど、心構えができていた分、動揺も少なかったんだと思う。
けど、離れて暮らしていた彼女にとっては寝耳に水の出来事だったんだろう。
叔父夫婦もまだ高校生の彼女には祖母ちゃんの容態を詳しく話していなかったらしい。
棺の前で泣きじゃくりながら、休みの度に見舞いに来ればよかったと後悔の言葉を重ねていた。
彼女は小さい頃から祖母ちゃんっ子で、夏休みや冬休みはしょっちゅう家に泊まりがけで遊びに来ていた。
一人っ子の俺にとって、彼女の訪れは妹ができたみたいでとても嬉しかったし、弟しかいなくて家では姉の立場の彼女にとってもまた俺は兄のような存在だっただろうと思う。
だけどそんな交流も彼女が中学生になると同時にすっかり頻度が減ってしまった。
彼女の所属している部は県大会突破の常連校で、土日はおろか夏休みや冬休みも部活動の練習があってなかなか休めない。
たまに休みがあっても、そこは年頃らしく友人達とのつきあいを優先させるのが普通である。
小学生の頃ならまだしも、自転車でもバスを乗り継いでも20~30分かかる親戚の家に、そうそう頻繁に足を運ぶことはなくなっていた。
葬式を終え、火葬も済ませ、親族一同での食事の時も、彼女はずっと啜り泣いていた。
隣に座る叔母が宥めるように背中を叩いてやっても、反対隣に座る弟が心配そうに声をかけても、その涙は乾くことはない。
こんなことならせめて祖母ちゃんの容態を知らせておいてやれば良かったと、俺は少し離れた席から様子を窺いながら激しく後悔した。
最近は意識も混濁してることが多くて、見舞ったとしても祖母ちゃんと話せるわけでもなかったけど、それでも彼女はきっと見舞いたかっただろうし、そんな祖母ちゃんを目の当たりにしていれば俺達家族みたいに心の準備をすることが叶っただろう。
可愛い妹分をこんなにまで泣かせてしまった一因が自分にもあるんじゃないかと、そんな罪悪感に苛まれてやまない。
だから俺は、彼女達一家が帰る前に少しだけ話す時間を取らせてもらった。
「ごめんな。祖母ちゃんのこと、連絡しとけば良かった」
「ううん、お兄ちゃんが謝ることない。わたし、入院してるって聞いてたのにどんな容態なのかも聞いてなかった。お見舞いにだって行こうと思えばいつでも行けたのに……」
「部活忙しいんだろ。しょうがないって」
「それだけじゃないの……それだけじゃなかったから……お祖母ちゃん、ごめん……ごめんなさい……」
また泣き出してしまった彼女の頭を子供の頃みたいに撫でてやりながら、何となく腑に落ちた。
彼女は、たぶん祖母ちゃんを見舞いたかった。でも、それを躊躇う何かがあったんだ。
たとえば祖母ちゃんかうちの母親と些細な喧嘩をしたとか、そんな、来づらくなるようなことが。
「おまえのせいじゃないって。そんなに泣いてたら、祖母ちゃん、心配で成仏できないぞ」
「でも……ううん、そうかも……そうだね、お祖母ちゃんのためにもこんなめそめそしてちゃ駄目だよね……」
俺の言葉が響いたのか、必死で涙を堪えようとする。
その健気な様子がたまらなく愛おしくて、何だか妙にそわそわと落ち着かない気分になってきた。
最近会ってなかったから、すっかり女らしく成長していたことに今更気づいて狼狽えたのもある。
ずっと小さな妹のように思ってたのに。
いやいや、落ち着け、俺。
子供の頃から兄妹みたいに過ごしてきてたのに、その俺がいきなり女として意識し始めたなんて、そんなこと気づかれたら気持ち悪がられて引かれるのは間違いない。
こいつは妹、俺にとって可愛い妹。
でも従兄妹って結婚できるんだよな。
いや、だから、待てって! 節操を持てって、俺!
いくら彼女いない・彼女欲しいからって、そんな目で見たらこいつだって迷惑だろ!
やっと泣き止んだ彼女を叔父一家の元へ連れていって送り出し、俺は何だかひどく落ち着かない気持ちを抱いたままその後の日々を過ごすこととなった。
あれから3年の月日が流れた。
祖母ちゃんの葬式から程なく、俺は地元を出て就職した。
GWや盆暮れ正月の帰省も県を跨いでの移動が面倒で頻度は少なく、法事の時は彼女が部活の関係で来られなかったりで、結局あの日以来会ってない。
そして今日、従姉の結婚式で、久しぶりに顔を合わせた。
大学生になった彼女はもうすっかり大人の女性然としていて、着飾った姿が目に眩しい。
久しぶりの挨拶を交わした彼女から「お兄ちゃん」ではなく名前で呼ばれ、そのことが益々俺を落ち着かない気分にさせる。
この再会を機に程なく交流を再開した俺達は、それから暫く後に、彼女による猛攻を経て関係を改めることとなる。
そして、彼女が祖母ちゃんの見舞いに来れなかった理由が、俺に彼女ができたと勘違いしたことによるものだと知るのは更にその後の話。
一緒に墓参りに行った俺達を見て、きっと天国の祖母ちゃんは「やっとくっついたか」と笑っているに違いない。
九月、彼はいつもの場所に現れなくなった。
最後に会ったのは八月だ。
私は彼から借りていた本を返して、また新しい本を借りた。読んだ感想をたくさん話して、お礼を言ってその日は解散になった。
「また、いつか」
私は彼が言ったその言葉を、未だにはっきりと覚えている。いつも通り住宅街にある階段に腰掛けて、風に黒い髪をなびかせながら、私に手を振っていた。私は笑って手を振り返して、そのまま家へ帰った。
今思えば、あの日だけだった。
いつもは別れの際「また、来月」と言ってくれていた。なのにあの日だけは「また、いつか」だった。
引越しとか、仕事の都合とか、何か事情があったのかもしれない。と、当時相談した母からは言われた。でも、私は何故かそう思えなかった。
最後に会った日から十年。彼が本当に存在していたのか、実は夢を見ていたのではないかと思い始めるほど、私は所々の記憶が薄れてきていた。しかし、彼から借りている本を見て、表紙を触ると、そこには存在感があり、あの時の私と彼との繋がりは実際にあった出来事だと強く認識するのだった。
【君と最後に会った日】フィクション作品 #1