しじま

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 あの日は、梅雨時にしては珍しく、雲一つない快晴だった。

 幼馴染みと出先で偶然再開し、昼だったのでそのまま一緒にランチをした。

観光客や学生でごった返す大通りから路地へ抜けて、個人経営だろう小ぢんまりとした喫茶店へ。

 カリリンッ、と控え目なドアベルが鳴り、涼しい店内に入る。

カウンター席が六つ、テーブル席が二つ、テラス席もあるようだ。

 テーブル席には既に先客が居たので、カウンター席に並んで座った。

 老年の女性が「いらっしゃいませ」と持ってきてくれたメニュー表を二人して暫しにらめっこ。

 悩みに悩んで結局アイスコーヒーとランチセットのAを二つ頼んだ。

出されたランチを食べながら、色々と話をした。

 家族のこと、仕事のこと、趣味のことを。

ボリュームたっぷりなランチを平らげた君が食後のデザートと、追加でアイスクリームを頼む。

幸せそうにアイスクリームを頬張っていた君の顔が印象的だった。

 午後も仕事だ、二人で駅前まで歩いて、他愛もない話をしながら、改札で別れた。

バイバイと手を振る君に、またねと手を振り返した。

一月も経たない内に、君が亡くなったと御両親から報せが入った。

テーマ「君と最後に会った日」

6/27/2023, 5:15:59 AM