kaya

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君と最後に会った日は、モネの回顧展だった。表参道をぶらぶらして、ラーメンが1500円もする店を見てふるえたりしたよね。

新幹線のホームで君を見送った夜、君は「メンタルの調子が良かったらまた遊びに来たいな」とメールをくれたよね。

あれからメールが宛先不明になって、二度出した手紙にも返事が来ないなんて、のんきな私は思いもしなかったよ。

君の家がまだあるのはちゃんと知ってる。小1からかけ続けた電話番号だって忘れるはずがない。でもその一歩を踏み出すのがこわくて、ずっとなにもできないままいる。

今日インターネットを見ていたら君と同姓同名の人を見つけた。生年月日も出身地も何もかも違うけれど、君と同じように本がとても好きな人だったよ。

私たちが中学生だった頃、君は一緒に本屋に行くと、私が話しかけても聞こえないほど夢中になって立ち読みしていたよね。今では笑い話。君と一緒にあの頃の笑い話をしたいとずっとずっと思っているよ。

6/27/2023, 7:58:26 AM