『ブランコ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「あれが、例のやつか」
とても幼く、拙い少女の声が聞こえた。
「そうだ、会話は不可能らしい」
貫禄のある、渋い男性の声が聞こえた。
近くのブランコが、風に揺られて軋んだ音を出す。
土を踏み締める、足音が鳴り響く。
ごくりと喉唾を飲み込む音が聞こえた
何かを構えた、金属音も聞こえた。
一つの足音がこちらに近づき
「大丈夫だ。そのまま目を瞑っていてくれ」
と、男性の声がそう語りかけた。
「さて、やるか。課長?」
「年上には敬語を使って欲しい物だがな。まぁいい、
戦闘開始だ!」
少女が合図を出したのと同時に、奥から、何かの咆哮が聞こえた。
それはまるで、水に溺れたような叫び声だった。
破裂音が聞こえ、何かを切る音が聞こえ始める。
それと同時に、まるで水風船が割れたような、そんな音が聞こえ続けた。
いっとう激しい音を皮切りに、戦闘音は止まる。
「まだ目は閉じててくれ!まだ…見なくていい」
男性の声が、少し遠くから聞こえた。
「心海警部?民間人の保護は任せたぞ」
幼い声がそう言った。
男性の声が近づき、この体を持ち上げる。
大丈夫だ、と言われるまで目を閉じ続けていた。
お題『ブランコ』×『水売り』
ブランコにあまりいい思い出のない人は、どのくらいいるだろうか。
高い所が苦手だからとか、ブランコから誤って落ちてトラウマになったからとか。
自分の理由は後者寄りだ。
誤って落ちたではなく、誤って「落ちかけた」
尻を滑らせて、それでも鎖から手を離さなかったせいで、膝立ちの状態になってしまった。
そして、そのまま足裏ではなく両膝でブランコを止める羽目になった。
八歳のときのことだ。
地面と激しく擦れ合った両膝はボロボロ。
全く使い物にならず、暫く介助が必要な状態だった。
今思い出しても痛い。
トラウマになるには十分である。
なお両膝の傷は未だに残っている。
大分薄くはなったが、ブランコのトラウマがなくならない限り、この傷も残り続けるだろう。
果たして消える日はくるのか。
今はまだ断言できそうにない。
お題『ブランコ』
夕方、午後5時25分。
私は家から近い公園で子供達が遊んでる所をみた。
歳は…小学校低学年くらいだろうか。
3人は鬼ごっこ、2人はブランコで遊んでいる。
…ていうか、あんなに大きくこいで大丈夫なの?
見てると少し心配になってきたけど、同時に少し懐かしい感じがした。
私も、小学生の時にここでよく遊んだ。
そこでよく遊んでた人が、私の初恋の人だったなぁ…。
しばらくぼーっと子供を見ていると、1人が私に気づいて、トコトコと歩いてきた。
「おねーさん!私達と遊ぼうよ!」
はじけるような笑顔に魅了されそうになったが、今は高校生として、子供達に教えないといけないことがある。
「ありがとう。でもあなたたちはもう帰る時間じゃない?5時すぎてるからさ」
「あ、ほんとだ!ママに怒られちゃう」
「帰るかー!」
「ありがとう!おねーさん!」
みんなが帰路へと向かっていく中、私は空っぽになった公園のブランコに座る。
何年も経ってるのに、全く変わらない景色だ。
あの子達も私くらいの年齢になったら、私と同じように子供達に5時に帰ることを教えるのかもしれない。
私もそこにいたら、あの子達にさらに先のことを教えてあげようと思う。
この公園のブランコで、ずっと君達を待ってるよ。
『ブランコ』
〚ブランコ〛
夜の公園で私はブランコに座り、
足先で砂をかすかに蹴った。
チェーンが鳴る微かな金属音が、心の揺らぎと音叉のように共鳴している。
年上の部下を持つことは、特別なことではない。
理屈では分かっている。
役割が違うだけ、線引きは明確、
尊重と対話。
でも、人一倍気にしてしまう性格は、今日も静かに自分を消耗させた。
ふ、と溜息が漏れる。
仕事は楽しい、仲間も素敵だ。
笑い方が好きだなと思う人がいる。
背中を預けられる人もいる。
だからこそ、些細な言い回しや顔色に自分の未熟さを見つけて、
胸の奥に小さな棘を増やしてしまう。
「相席いい?」
耳に落ちた声に、はっと顔を上げた。
そこにいたのは、いつも通りの優しく微笑む彼だった。
彼は私の返事を待たず、隣のブランコに腰をかけた。
「寒いね」
「うん」
それだけで十分だった。
彼は自分のリズムで、ゆら、ゆら、と揺れる。
私はその揺れを横目で追いかけ、
気づいたら口元が緩んでいた。
頬の裏側がほどけ、胸の棘がひとつ、砂の上に落ちる気がした。
私は小さく息を吸い込み、空を見る。
星はまばらだ。
私はもう一度、鎖を握り直す。
冷たさは、さっきほど鋭くない。
2人を包み込む空気は優しく、
温もりに満ちていた。
お題「ブランコ」(雑記・途中投稿)
……ハイジとは思ったけど、ハイジ嫌いなんですよね。
世界名作劇場で唯一好きな作品は「世界名作劇場シリーズで放送されていたオリジナル作品」っていうね。
何を思ってそんなチョイスしたんだろう。まさか名作のネタが尽きたわけでもあるまいに。
ちなみに話の途中で主役級キャラが死ぬとんでも展開だったらしい。シャチの話って事しか知らない。(途中から見ていたはずなのに記憶に残ってない)
Prompt ブランコ
ゆらゆらと ゆっくり 景色を観ながら
ビューンと 思いっきり 風を感じながら
その時の気分次第で
幼い時は 怖がる事無く こげた
思いっ切り落ちたり
椅子に後ろから当たられたり
この歳で 乗るのは怖い
あの頃を思い出したくて
恥ずかしいけど
こいでみよう
あの頃を思い出しながら
景色は 風は どんな感じだろうか
ブランコみるたびに、寂しくなる。
夜、帰れない家に帰るまで、ぷらぷら足を揺らしてまってた、相棒はママがえらんだ茶色のランドセル。
ブランコは本来
足を離して乗るのが正しい
でも離せない
あまりに不安定で
あまりに高すぎる
だけど足を離さないと
待っている人に怒られる
座るならベンチに行けと
でも私はブランコが好きだから
夜中にブランコに乗る
真っ暗の中一人で
足を地面につけたまま
ゆらゆらゆらゆら
ある日あなたがここに来た
あなたは隣のブランコに座った
あなたは私を見て
なぜ足を離さないのか聞いた
私は少し考えて
怖いからだと答えた
あなたは怒らなかった
あなたはしばらく静かになって
それから煙草をくわえた
あなたも足を離さず
ゆらゆらゆらゆらしていた
私はあなたを見て
なぜ足を離さないのか聞いた
あなたは少し考えて
煙草の火が消えるからだと答えた
二人でゆらゆらゆらゆらしていた
毎夜毎夜そうしていたら
ある日あなたは
煙草を吸わなくなった
私はあなたを見て
なぜ煙草を辞めたのか聞いた
あなたは少し考えて
それからとっても考えて
少し照れくさそうに笑った
“好きな人に
煙を吸わせたくなくなったんだ”
ブランコ(オリジナル)(秘密の手紙続編)(微腐)
俺は最期の手紙配達員をしている幽霊だ。
心残りがあって成仏できない人の手紙を相手に届ける仕事をしていて、見習いから始めてもう3年になる。
俺は大学2年の冬に事故で死んだので、同級生はもう社会人だ。
今日、俺は仕事を終え、居候させてもらっている同級生の家に、夜の9時頃帰ってきた。
「ただい…」
マンションの一室、ベランダの窓をすり抜けようとして、すんでのところで思いとどまった。
家人以外の人の気配がある。
俺の姿は他人には見えないが、突然現れたら家人は反応に困るだろう。
(珍しいな?)
彼はとても真面目なので、家に誰かを呼ぶ時は事前に教えておいてくれるし、そもそも家に他人を招く事自体、滅多にない事だった。
俺は「恋人を連れ込む時はどっかに行っててやるから事前に言えよ」なんて、からかい半分で言っていたのだけれど。
(誰だろう?)
穏やかな話し声だけが聞こえる。
カーテンの隙間から覗くと、可愛い女性がいた。
(?!!?!)
思ったより狼狽している自分がいて驚いた。
(俺は何を驚いているんだ?!)
そのまま耳をそばだてる。
どうやら会社の同僚で、職場で飲み会があった帰りのようだった。
(女を連れ込むとは、聡、やるな?!)
俺はドキドキしながら彼女と友人を観察した。
彼女の方は顔を赤らめて、瞳をキラキラさせながら楽しそうに話をしている。友人に気がありそうだ。
友人は少し困ったように笑っているが、優しく受け答えしていた。満更でもない顔の気がする。
俺は見ていられなくなって、近所の小さな公園に逃げ込んだ。
ブランコがあったので腰かける。
実体がないので透過するのだが、座りたい。
気分の問題だ。
(何でショック?)
俺は頭を抱えて、悶々と考えた。
友人にようやく訪れた春ではないか。
女を連れ込めと言っていたのは俺の方だ。
女性経験がないまま死んだ己と比べて羨ましくなったのか?
友人を取られたようで寂しいのか?
帰る家がなくなって悲しいのか?
どれもその通りのような気もするし、けれどどれも真の理由ではない気がした。
冬の寒空の下、頭も身体もキンキンに冷えている。
ブランコは風にキコキコ揺れ、俺も合わせてユラユラ揺れた。
もし彼に良い人ができたら、俺はどうするのだろう。
そもそもこの配達員の仕事を続けられるんだろうか。
(……成仏するのかもな)
薄ら寒いけれど納得もできる想像をしてしまって、俺は落ち込んだ。
人の成仏を手伝っておきながら自分はまだ成仏したくないとか。
(格好悪いな…俺)
顔を俯けたまま、俺は長い時間、動けなかった。
「かずくん!!」
突然聞き慣れた声がして、俺はゆっくり顔をあげた。
息を切らして、顔を真っ赤にした友人が公園の入り口に立っている。
「……さとし?」
「探した!!」
彼は大股でズンズンこちらに近づいてくる。
「へ?」
「一度帰って来たのに、全然戻ってこないから」
怒った声でそこまで言って、彼は震える声で、
「心配した」
と呟いた。
俺の肩に手でも置きたいのだろうが、それはできないのでブランコのチェーンを強く掴んでいる。
冷たいだろうに。
「いや、邪魔しちゃ悪いと思って…」
「邪魔なんかじゃないよ」
「……可愛くて良い子そうじゃないか」
「ただの同僚だよ。飲んで具合悪くなったって言うから休憩させてあげてたんだけど、全然元気だから帰ってもらった」
俺は驚愕のあまり、目が点になった。
「おっまえ!!な!ん!で!もったいない!!」
「はぁ?かずくん女性見る目ないでしょ。酔ったフリするような子、僕は嫌だ」
普段穏やかな彼が、ぷんぷんと怒っている。
それがちょっと面白くて、俺は少し気分が浮上するのを感じた。
「ひでぇなぁ」
なんだか泣き笑いみたいな顔になってしまった。
彼はキュッと唇を噛み締めると、
「ごめんね、かずくん。寒かったでしょ。あそこはかずくんの家でもあるんだから、気にせず出入りしてくれて良いんだからね」
危なかった。
俺は危うく涙をこぼすところであった。
嬉しい。
嬉しくて仕方がない。
温度をあまり感じない幽霊の俺よりも、寒い中走り回って探してくれた彼の方が冷えているに違いなく、彼を抱きしめてやりたくてたまらなかった。
けれど、幽霊は人に触れない。
(何で俺は生きていないんだろうなぁ)
俺は彼の頭に手を置き、顔に触れ、手が透過するのを見て悲しくなった。
「かずくん?」
「ありがとな、聡。寒いから帰ろう」
俺たちの家に。
俺は、いつか成仏する日が来るだろう。
彼に最期の手紙で贈った「幸せになって」の言葉は、まだ深くこの胸にある。
彼を悲しませないように逝けると良いのだが。
少しの覚悟と決意を持って、これからの日々を過ごしていこうと思う。
ブランコ
キーコキーコキーコー
無心で鳴らすただただ鳴らす
この公園に私が一人
ひたすら鳴らす
この背徳感がたまらない
社会人である私が深夜2時にブランコだなんて
ブランコ
キィ…キィ…
古びた公園。地面を蹴って漕ぐたびにブランコが錆びた奇妙な音を立てる。
ここには誰もいない。サッカーをする小学生も、イヌの散歩をする大人も、いない。たった一人、あたしだけ。
鳥の鳴く声、近くを通る車の音、風で揺れる木の葉。
最初はうるさかったが、毎日ここにいるせいで、耳がすんなり受け入れるようになってしまった。
ここにいる理由はたったひとつ。
他県に転校してしまった幼馴染と、再会するため。
あの頃は小学生だったから、ぼろぼろに泣きながらここで絶対また会うと約束したけど、あの頃は人も多かったから思い出すと恥ずかしくてしょうがない。
あたしにとってその人は憧れで、かっこよくて、頼りになる人だ。
…まだあのときは気づいていなかったけど、あたしはあいつのことが好きらしい。それが恋愛的なのかは…あんまり考えたくないけど。
昔、よくお互いに背中を押し合いしたり、どちらが高く漕げるかの勝負をしていた。この公園のブランコは、あたしとあいつにとって思い出の場所。
あいつのことを考えだしたらキリがない。だからいつも考えるのをやめる。
会いたくて会いたくて、苦しくなるから。
ふと気がつくと、そろそろ暗くなる頃だった。高校の制服のスカートの端を持ち上げ、カバンを持って立ち上がる。
「…今日も、来なかった」
あたしはうつむき、砂場にあいつの似顔絵を描く。
こんな感じだった。目元にほくろがあって…笑顔が…
「…今はもっと可愛いのかな」
そんなこと考えたって、会えるわけないか。似顔絵を消して家へ帰ろうとした、そのときだった。
「あれ、消しちゃうの?それ。」
黒いサラサラの髪に目元のほくろ。綺麗な指先にふわっと香るいい匂い。間違いない。
そのとき、あたしは咄嗟に彼女に抱きついた。
「…っ…遅い…!何年ここで待ってたと…!」
あたしの目からはは何故か自然と涙が出てきた。
ああ、会いたかった相手が目の前にいる。
「そんなに泣く?まあ、私も会いたかったけどさ」
「泣くに決まってんじゃん…!」
彼女の胸に顔を埋めて、心を落ち着かせる。
だめだ。ドキドキして破裂しそう。
「…ごめんね、待たせて。ただいま」
「こらこら、可愛い顔が台無しだよ」
そう言って涙を指で拭う彼女の手を引っ張り、ブランコの近くに行く。
「どっちが高く漕げるか勝負ね。あんたが勝ったら許してあげる。」
そう言って漕ぎ始めた二人は、楽しそうに笑っている。
まるで、数年前に戻ったみたい。
あたしが安堵していると、思わず手が滑った。
「ぅわぁっ、!?」
頭を地面にぶつける覚悟で前に倒れ込むと、なぜか身体が浮いていた。…いや、正確には、お姫様抱っこされていた。
「危な…全く…ほんと私がいないと駄目なんだから」
…ああ、駄目みたい、私
彼女のことが、好きでたまらないや。
思い出のブランコの前、あたしは世界一の幸せ者だった。
大嫌い
ブランコはいつも
あの子のもの
占領して
立ち漕ぎで
高笑い
いつまでたっても
変わってくれない
大嫌い
暗くなって
みんなが帰っても
あの子
まだ
ブランコ
#132「ブランコ」
子供の頃、散々遊んだぶらんこ。
「お姫様も公園で遊んだりするんだ。」
あなたはそんなこと聞いてきた。
その時からあなたのことが好きだったわよ。
この恋は叶わなかったけど、
少なくとも私のほうが長く好きだった。
ずっと恋愛相談乗ってきて、親友でいて、
どれだけ私が辛かったことか、
あなたは知らなかったわよね。
いや、きっとこれからもずっと知らない。
教えてなんてあげないんだから。
私に、こんな健気で惨めな気持ちさせるなんて、
一生許さないんだから。
でもあなたは気づいてたみたい。
「お姫様が恋していいの?」
またあなたは無邪気に聞いてきた。
当たり前じゃない。
お姫様以前に女の子だもの。
今日も私はあなたに恋をしている。
そんな健気で惨めな恋は、
いつも遊んでいた公園のぶらんこの上で、
あなたに知られずに、夕日とともに儚く散っていくの。
《ブランコ》
突然ですが!夜中のブランコって乗った事、ありますか?
私は、今、よ、よよ、夜のブランコに、そ、そそその…す、好きな人と乗っています…(えぇぇぇぇ!!?)
というのも、まだまだ春も程遠い冬の中、何故だかすごく佐藤先生に会いたくなって会えないかなーなんて思いながらフラフラと家を出た30分前。どうせお母さんもお父さんも仕事でほとんど帰ってこないんだし。ストーブも電気も消して鍵をかけて隣町の人気の少ない公園を目指して歩き出した。隣町なのは、佐藤先生がたまに出現するって知ってるからで、たぶん、先生の家からも近いんだと思う。大好きな先生の事を沢山考えながら足早に公園へ向かった。
キィー。古びて色褪せたブランコが鈍い音を歌った。これがいわゆるレトロってやつなのか。サッと腰を下ろすとその冷たさに少しだけ背筋が伸びた。白い息をフーっと吐き出す。夏よりも冬の方がずっと好き。寒ければいつもよりも近付けるから、なんて浅ましい理由もあるけど。目に見えるこの息がちゃんと生きてるって感じさせてくれるから。宙を行ったり来たりしているうちに寒さなんてどーでもよくなってひと蹴りひと蹴り丁寧にこいだ。
「まぁまぁ元気だこと」
いつもの誰よりも聞いたこの大好きな声。私はこぐのをやめて隣のブランコに目をやった。
「佐藤先生、こんばんはー!」
「こんな時間にJKが出歩いちゃダメでしょ?なんで家を出てきたのかな?」
「いや、職質かー!補導されるにはまだ早すぎる時間ですよ…ちなみにお兄さんはどこから来たんですかー?お家まで送って行くから教えてよ〜」
「それ職質じゃなくてナンパじゃねぇか!いや、本気で結構夜に出歩くよな、工藤。危ねぇからやめとけ」
「でもそういう時に限って先生がいてくれるじゃん」
「ありがたく思えよ、一応たまに巡回してるからな」
「え?それって徘徊の間違いじゃ…認知症にはまだ早いッたたたた」
「はーい黙りたまえー。で、なんで出かけてんの?」
「会いたかったから、先生に。寂しかったから」
少しだけ沈黙が流れる。これは、、、やってしまったかもしれない。引かれちゃったかもしれない。
「…ん?待て待て。連絡してくれたら会えんだろ」
「それはそうだけど!」
嬉しさと何か少し拗ねたような感情が入り交じってこれ以上言葉を紡げなくなった気がした。
「俺に連絡すんの嫌?」
目の前に屈んで顔を覗き込む先生に私はまた少しだけ拗ねた。
「だって…面倒だって思われたくないもん。嫌われたくないもん」
「思わねぇよ。毎日熱烈なプロポーズされて今更嫌わねーよ笑それより夜中出歩かれる方が困んの。何かあってからじゃ工藤を助けられないしな」
「…ごめんなさい」
「ん。じゃ、送るから家帰るぞ」
せっかく会えたのに、今日もまた先生のペースに乗せられてまた何事もなかったかのように振舞われる。
「……嫌。今日、家誰もいないから一緒にいたい…」
少しだけ出過ぎた我儘。それでも先生だけはこの我儘を許してくれる。
「……それ、意味わかって言ってんの?」
真っ直ぐ見つめる先生にまた拗ねたような我儘を重ねた。
「今日くらい帰さないでよ。最近ずっと会えなかったし…明日だって休みじゃん」
「うーわ、なんだ今日の工藤相当甘えモードだな。いつものプロポーズはどこ行ったんだよ笑」
「少しくらい素直になったっていいじゃん?大好きな気持ちは変わらないんだし」
「健気だよなー本当。ま、そこが可愛いだけどなー」
「…え?い、今可愛いって…え?先生もっかい!」
「バーカ、何回も言ってやるか。ほら、早く帰んぞ」
先生のあったかくて大きな手を握って私達はまた真っ白な息を吐き出して笑う。生きてる、私、たぶん先生といるこの時間が1番幸せ。
題材「ブランコ」
「こちらがopで実際に使用されたブランコです。今はロープの老朽化で乗ることは出来ませんが。」
アルプスの奥地の聖地巡礼をようやく済ませ、ロッジに戻る。
「あぁそうだ、お土産にあのブランコの模型もあるんですがおひとつどうですか?」
(ブランコ)
アルプスの少女ハイジのオマージュ、模型のロープだけで5m程入ってるそうですよ。
'26年2月1日 ブランコ
弱く漕げば小さく揺れて
強く漕げば大きく揺れる
簡単なようだけど
自分次第で楽しみ方が変わる
穏やかな日々も
ドキドキする瞬間も
漕ぐのを辞めたら
揺れは徐々に小さくなり
いつか止まってしまう
漕ぐ力が無くて
ただブランコに座っている
あの子の背中にそっと手を添える
自分で漕ぎ始めるまで
無理に背中を押したりしない
楽しみ方は自分次第
弱く漕げば小さく揺れて
強く漕げば大きく揺れる
簡単なようだけど
ブランコ
あんなに小さな手をにぎり
力いっぱい地面を蹴る
そうすればふわっと体は宙に浮き
空とあの子は近くなる
錆び付いた鎖を握る
小さな天使を私は見た
『鞦韆』はスマホを見ずに読めるけど君の言葉の裏など読めるか
題-ブランコ
ブランコ
ふたりで隣に座ってゆらゆらする。
ぼーっとする時間や、笑い合って楽しむ時間。
乗る人によってその時の感情は違う。
面白い遊具だ。
一緒にスタートしても、バラバラのスピードでだんだん上へ上っていく。
人生みたいに…
自分の足で、自分のスピードで
だんだん進んでこう。
ブランコ
キィ、キィ。と小さく音を立てる。そんな古びたブランコに腰掛けた。
時間は明け方の4:00。公園には誰もいない。
そんな時間に、私はタバコと缶チューハイを両手にブランコに腰掛けた。
明日も早い。
それでも、仕事が終わらず帰るのがこの時間になってしまった。
立ち仕事で足は限界を迎えており、どこかへ座りたかった。
昔はこのブランコで遊んでいたのに、大人になると漕ぐことすら忘れてしまったらしい。
ただ、足をプラプラと浮かせて、風の吹くままに揺られた。