やわらかな光』の作文集

Open App

やわらかな光』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

10/16/2023, 10:39:40 PM

【やわらかな光】

やわらかな光が斜めに差し込み、ソファで本を読む君の足元を三角に照らしている。
なんでもない休日の午後。
おれは2人分のコーヒーを淹れ、黙って君の前に差し出す。
君は優しく笑って、また本の世界へ。
おれはコーヒーを飲みながら、楽器の手入れ。
2人に今は言葉はいらない。
やわらかな光に包まれて、今はそれだけでいい。

10/16/2023, 10:22:25 PM

やわらかな光
窓から室内に広がる光を全身で浴びる。
まるで母に抱かれているかのような温かさだ。
パジャマ姿の僕は、胸ポケットに入っているお守りを握り締めた。
明日もこのやわらかな光を全身に浴びることができるはずだ。太陽の光を浴びることが、こんなに心を落ち着かせるものだとは思わなかった。日常の当たり前が愛おしい。

「それでは、そろそろ行きましょうか?」
女性の優しい声が耳に響く。いよいよだ。

白い服を着た女性が3人と男性が1人。部屋に入ってくる。車椅子を移動させると僕を包んでいた光はなくなり、急に寒く、恐怖で身体が震え始めた。

「大丈夫ですよ。必ず元気になります。私が約束します」
心強い言葉を男性に掛けられた。

ゆっくり立ち上がると身体は宙に浮き、ストレッチャーに乗せられる。窓から差し込む光を見つめながら、大きく深呼吸をし、僕は覚悟を決めた。

手術室に向かう。

10/16/2023, 10:17:13 PM

やわらかな光



少女は、小鳥のような歌声で、楽しそうに歌う。

花々のほんのり甘い香りを纏っていた彼女は、
ふんわりと舞い踊る。
軽い声色で口ずさみ、風を切って踊る少女の長髪を
やわらかな木漏れ日が、朱色に染めた。

10/16/2023, 10:09:53 PM

【やわらかな光】

 血に塗れた人生だった。人の命を奪い、幾度となく両手を汚してきた。この罪の報いは受けねばならない。自分の死はきっと惨たらしいものとなる。そう覚悟していたというのに。
「お疲れ様」
 あなたの声が降り注ぐ。ああ、やめてくれ。俺なんかに触れれば、あなたの手が汚れてしまう。そんな俺の願いを見透かしたようにあなたは薄く微笑んだ。
「おまえのそれが罪だと言うなら、その罪に支えられ命を救われてきた私も同罪だ」
 高潔にして寛大なる俺の王。あなたの腕の中で死ねるなんて、俺のような者にとっては身に余るほどの光栄だ。
「おまえのような臣を得て、私は幸福だったよ」
 やわらかな光が俺を包み込む。あなたの温もりが、優しく意識を溶かしていく。
(おれも、あなたにおつかえできて、しあわせでした)
 最期に囁いた感謝は、もはや声にはならなかったけれど。

10/16/2023, 10:01:19 PM

やわらかな光が私の部屋のカーテンの隙間から刺してくる。
もう、起きなさいと言わんばかりに。

「駿さん……もう起きる時間………」

「うーん。もう、も、少し……………くー」

「駄目です。早く起きて」

そういうと私はベットからスッと降りる。

恋人の制止の腕をかわしながら…

「……今日は駄目です」

「………………」

力なく恋人の腕はベットに落ちる。
その腕は一度落ちたまま、動かなくなった。

…………また寝たな……。

「駿さん、早く起きてっ!遅刻しちゃう」

そう言いながらベットへ戻り膝をベットに置くと、手を優しく引っ張られ、バランスを崩しベットに私は倒れてしまった。

「ちょっ!なんですもうっ!!」

「………たまに敬語になるの、いつになったら辞めてくれるの?……それに、名前もまださん付け……年だって一個しか違わないのに………。」

「忙しい朝にいじける題材じゃないですっ。早く起きて、準備してください!」

「起こしたいなら、一度でもいいから名前にさん付けやめて……そしたら起きる……」

「〜っあのねー。」

「早く……」

私だって本当は名前で呼びたい。
でも、まだ、何だか名前でさん付けをしない呼び方で呼ぶのは、何だかむず痒いのだ。

「…………っ、どう、しても?」

「どうしても」

「………………………………………ん」

「…、なに?聞こえないよ?」

「………くん」

「まだ聞こえない…………」

「駿くん、早く起きて!」

そういった後の沈黙……………


「なんでだまってるのよーーーー!!!!」

こっちは凄く恥ずかしかったのに、黙るなんて狡いっ!!!

「何か言って!!」

そう言うと、彼は静かに私と目があったもののすぐにそらし、こう言った…。



「ごめん……。自分で頼んだくせに、いざ言われたら、なんか凄く恥ずかしくて、むず痒くなった………………
でも、嬉しい。」

10/16/2023, 9:49:14 PM

#やわらかな光

彼女が僕を見る時、いつもその瞳には仕方ないなぁ、とでもいうような光が宿っている。

暖かく、僕を導いてくれる光。

その光が僕は嫌いだった。

本当はありがたいはずなのに、何故か僕は君に見下されているような気になって、どうしても許せなかった。

ごめん、ごめんね。

僕はその言葉を飲み込んで、君の首に手を掛けた。

そんな時にも瞳にはやわらかな光を宿していた君は、どうして、僕を受け入れるのか、今でも分からないまま。

10/16/2023, 9:06:11 PM

『お腹』
膨らんだ大きなお腹は希望だ 暗い道が照らされる
お腹の不思議な力だ 羽より重たく フライパンより軽い お腹が行進していくよ いつのまにやら 柔らかい光がお腹に宿る

10/16/2023, 9:00:44 PM

朝のやわらかな陽光を
  グラスに注いで
  一気に飲み干す


  少しずつ 少しずつ
  優しい気持ちが戻ってくる
  尖った気持ちが消えていく



  心が傷んだ時の
  わたしの特効薬






        # やわらかな光 (305)

10/16/2023, 8:34:02 PM

カーテンの隙間から射し込む、朝のやわらかな光で目が覚めた。
 ぼんやりした頭で横を向くと、肩に君の頭がもたれかかっていた。
 あぁ、そうか。
 昨夜は君と二人で飲んで、ソファに座ったまま気付かぬうちに寝てしまったのか。

 週末の仕事帰り。「明日休みだし、今からうちで飲もーよ!」と、こちらのことをなんとも思ってないからこそ、気軽に誘ってくる君。
 おいおい、一応俺だって男なんだ。襲われたって文句は言えないぞ。とは思うものの、君のことを大切に想っているから、絶対にそんなことはしないのだが。そして君も、そんなことはしないって俺を信頼してくれているからこそ、こうして誘ってくれているのだろうが。
 それが、嬉しくて、でも、少し寂しい。
 そうして結局二人で君の家で飲んで、こうして何事もなく平和に朝を迎えたのだ。

 君はまだ眠っている。幸せそうな顔をして、一体どんな夢を見ているのだろう。
 この射し込んでくるやわらかな光のような、明るく、そして優しく俺を照らす君の存在。
 もたれかかる右側の温もりが心地良くて、まだしばらくこのままの関係でいいかと、俺もまた幸せな気持ちで再び目を閉じた。


『やわらかな光』

10/16/2023, 8:23:28 PM

ボクに見せてくれないか
      キミの心に潜んだ暗闇を
      ボクを信じてくれないか
      キミの全てを抱くことを
      少しずつ溶かしていこう
      ゆっくりと進んでいこう
      月の光が差し込むように
      闇夜の道を照らすように
      キミがキミを思い出す時
      ボク達はひとつになろう
      小さく瞬いた星がひとつ
      心の色を優しく照らして
      心の灯を激しく揺らして


         『やわらかな光』

10/16/2023, 8:19:43 PM

自然


カーテンの隙間から差し込む

太陽からの光

直接的に目覚め

間接的に眠る

昔に思いを馳せる


※やわらかな光

10/16/2023, 8:16:04 PM

やわらかな光

樹々の間から差し込むやわらかな光。平日の午前中。本当なら仕事で慌ただしい時間。
私は壊れてしまった。100時間を超える残業。時間に追われる毎日。疲労と挫折。
そして、マンションの屋上から飛び降りた。植え込みに落ち、一命は取り留めた。
都心から離れた病院。ここで、私は癒されていく。両足、複雑骨折で歩けるようにはならないと思うが、心は穏やかになっていく。
逃げれば良かったんだ、あの地獄から。逃げる勇気がなかった。

やわらかな光。
少し休もう。何も考えずに、、、。

10/16/2023, 7:28:40 PM

朝の光で目覚めるのは、社会競走のスターターピストルの音が頭に鳴り響くような気がして苦手だ。
だから朝日が昇る前に生活を始める。自分だけフライングしてルール無視の1日を踏みしめられる気がする。

 数年前は、日がこのまま昇らないでくれと自殺願望に似た何かを願いながらベッドで怯えていた。


 朝日に怯えず強くなれたのは、窓際のベッドでおかしな寝相で寝ている彼女のおかげだ。
「どうやったらそんな体勢になれるんだよ」ツッコミを入れながらコーヒーを淹れる。
今日もコーヒーが苦いことを確認してから視線を寝相に戻す。

今日も日が昇る。
窓から差し込む光は、寝顔に反射してやわらかくなって僕の目に届けられる。
今日も生きていこうと活力が湧く光。
残酷な1日の始まりを寝ているだけで美しいものに変えてしまう魔法に惚れ惚れする。

あしたも日が昇る前に起きようと決意する。

10/16/2023, 7:28:13 PM

雨上がりの渓谷で、メルルの回復魔法の柔らかい光が辺りを照らしていた。
ヒムのひび割れた腕を治している。
「ポップやマァムのとは違うな」
メルルが目線だけ上げてきた。可愛い眉が寄せられている。ヒムの腕はむくむくとスライムのように治っていった。
「ポップさんやマァムさんに治して欲しかったらそうしてください」
「なんか怒ってる?」
「怒ってます」
「なんでだよ」
なんでだと言ってからなんとなく分かった。別の人の名前を出したのが悪かったのか。
「違います!無茶しないで欲しかったんです!」
こちらの心を読んだように叫ぶ。もしくは本当に読んだのか…
「しない訳にいくか。何のためにオレが居るんだよ」
傍には落石が転がっていた。メルルに当たっていたら命はなかった。彼女を庇うようにヒムが飛び出したのだ。
ヒムは泣き出した彼女に戸惑う。目の前で命を投げ出されたようで恐ろしかったのだ。治療の光が止む。
「もっと次からは別ルート行こうな」
「はい」
涙を恥じて目元を拭う彼女はもうてきぱきと散らばる荷物を片付け始めていた。

10/16/2023, 7:09:09 PM

お題『やわらかな光』

蛍は
侘び寂びを感じさせてくる
繊細でやわらかな光の持ち主だ
きっと源氏物語の時代から
変わってないのだろう
もしかして、蛍はみんな長寿??
(そんな事はない)
そうだったら面白い!

次に赤ちゃん!

決して、赤ちゃん自身が光っている
わけではないが、私は赤ちゃんが
視界に入るとどうしても見てしまう。
単なる癖なのかもしれないが、気に
なってしまう。ここは、赤ちゃんが
私にやわらかな光を放っていること
にしたい!お願いします
            まー

10/16/2023, 5:48:58 PM

初投稿です。
※言語力向上のために不定期でできたらいいかなと考えます。読みにくいのは許してください。


前日に睡眠をとっていなかったせいか、酷く瞼は重いかった状態で月曜日の憂鬱な朝を迎えた。最近の朝は肌寒い。
今日の講義は1限からで気分が上がることなく授業が終わった。早く帰りたい。授業が終わった後、今朝、人生で初めて買った電子タバコを吸った。親に内緒で。バレたら怒られるよなと思いつつも買ってしまった。結構後悔してる。吸った後も大学で昼を食べ、早く帰りたかったのに、気づいたら16時を回っていた。今日は21時からバイトで家に着くのは日付を跨いだ1時だ。正直嫌。大学から家に着いたのが17時でまだ時間があったから、仮眠を取った。
起きたらバイトが始まる21時だった。しまった。やってしまった。なんとか親に送ってもらいバイトには15分遅れた。ありがとうそしてごめんなさい。バイトも上手くいかなかった。なんか月曜日は毎回ハプニングが起きる。誰かに代わって欲しいのに終電を気にしなくていいのは自分を入れて小学以来の親友の2人だけ。全然仕事は終わらなかったけれど、仕事量が多いからしょうがないよね。
信号を無視してる人をチラチラ見ながら、スマホをいじって、最近ハマっているモンハンnowをしながら帰路に着いた。タバコ吸いたかったけど、家に忘れた。最悪。こういう心が疲れた時のタバコ美味しいそうだな…と。家に着き、残りのご飯を食べることにした。電子レンジのボワボワしてる橙色の光を見てると優しさで温めてくれそうだなとふと考えてしまった。冷めた気分の人間も電子レンジのようにやわらかな光で温めてくれるそんな都合のいいものを見つけたい

10/16/2023, 5:16:15 PM

(男性記者が気の強い女社長に雑誌に載せるインタビューを行っている)

―『あなたにとって“やわらかな光”とはなんですか?』

「変な質問ね?」

―『なんでもいいんです。抽象的なものでも実際にあるものでも。』

「そうね。私にとって光っていうのは他人からの評価よ。」

―『評価?例えばどういうものがありますか?』

「何かで表彰されたり、仕事で商談がうまくいき契約がとれたり、人の心を動かせた時貰えるもの。」
「でも、“やわらかな光”はまた別ね。」

―『と言うと?』

「娘の笑顔。」

―『そうですか。娘さんは確か3歳になられますね?』

「ええ。今まで自分のために生きてきた私が今は娘のために働いてる。」
「どんなに疲れてても嫌なことがあっても、娘の笑顔が見れればそんなこと忘れるし、明日をまた生きようとまで思える。」
「こんなにやわらかくて強い光は他にないわ。」

―『素敵なお話ですね。ありがとうございます。』

10/16/2023, 5:08:59 PM

ミーハーが多くて嫌いって言ってたロッキンも
普通に行ったし
全然 高橋藍の方がイケメンだし
行きまくってた旅行もそろそろ飽きてきた頃

新しいスウェットが届くことも
クリスマスまでに可愛くなる計画も
灰色のナイキ買いたいなってZOZOTOWN見るのも

全部ぜんぶ楽しみ
免許取ってドライブ旅行したいな

キリングミーは難易度高いけど
ナイトタイマーは聴けるから

10/16/2023, 4:41:08 PM

※ポケモン剣盾二次創作・マクワとセキタンザン(タンドン)
※幼少期の話

冷たい風がびゅうと洞窟の外を吹き抜けていった。
穴の外から漏れる光は次第に弱まり、薄暗い洞窟の中がずっと暗くなり始めた。湿っぽい香りが強まって、それは雪や雨を連想させた。
小さな洞穴の奥の岩壁に凭れて本を読んでいたボブヘアの少年は、母親に買ってもらったアローラのロコンやキュウコンが描かれた栞を挟んで開いていたページを閉じ、敷いてあったピクニックシートの上に置いた。
それから身をかがめて入口まで出ると、空を見上げる。顔を覗かせた瞬間、ぽたりと冷たいものが頬にぶつかり、それから落ちていった。大粒の雨がぽつぽつぽつと降り始め、あっという間に周囲を飲み込むように降り注いでいく。雲は分厚く、空は重たい暗がりの顔をしていた。
穴の周りは緩やかな斜面になっているが、境界線を区切るように白い雪で覆われている。
これがもし雨で流れてしまったり、凍ってしまったら、帰れなくなるかもしれない。マクワは不穏な予想を立てるが、激しい雨の中、山道を下っていく気持ちにもなれなかった。
真っ白な丸い頭を引っ込めると、再び先座っていた場所へと戻ろうとした。外の灯りが閉ざされて、いよいよ洞穴の中はよくよく目を凝らさないとわからない程の暗闇になり始めている。
マクワは光を付けぬまま、再び身をかがめ、時折掌で地面にある岩の凸凹を感じながら来た道を再び戻ろうとした。しかし奥の壁の下の方だけがうっすらと赤い色に染まっている。
思わず尻もちをつきそうになったが、じっと見れば小さなシルエットが浮かび上がっているのがわかった。
その赤い光はゆっくりと大きくなったり、小さくなったり大きさを変えながらゆらゆらと揺れている。
光を追うようにように進めば、壁に向かって眠っていたタンドンがそこにいた。真っ赤な目は瞼を閉じていても淡い光を放っていた。

「……静かだと思ったら……眠っていたのですね」

マクワはそっとその頭に手を伸ばし、石炭の出っ張りを撫でた。ごつごつして、少しだけ砂っぽくて不揃いの凸凹だらけだが、撫でるとほんのりと温かさが伝わってくる。皮膚の温かさとは違う、彼の身体の奥底に灯ったものが漏れ出た柔い熱だった。

「温かい……」

一度手を引っ込め、前のめりになっていた重心を後ろに置き、身体を安定させると、今度は両手で彼を包み込んだ。それからなんとか重さに負けぬよう上に持ち上げる。まだ幼いマクワにとって、タンドンの質量は随分と重力に近かった。
そしてやっと抱きかかえると壁に持たれるように座りなおす。ふう、と大きく息を吐いた。

「ああ、やっぱり温かいな……」

掌の一部だけで感じていた温度が、身体全体に伝わって心地がいい。思っていたよりも洞窟の中は冷え込んでいたようだ。
タンドンはまだのんびりと寝息を立てていた。ふとマクワは目を閉じてみる。じんわりと染み入るような温かさが、記憶を呼び覚ます。
それは妹が生まれた数か月後、嫌な夢を見て起きてしまった真夜中のことだった。自分の部屋でひとりで寝るのが怖くなって、どうしようもなかったマクワは隣の部屋の母親の寝室に向かった。
冷え冷えとした廊下を抜け、閉め切った扉を小さくノックして、こわごわと開く。中を覗いてみると、もとは自分のものだったらしいものの、最近どんと母の部屋に鎮座したベビーベッドがある。近づけば妹がすやすやと眠っていた。
母はベッドでぐうぐう眠っていたけれど、小さな手で揺らせばあの深い海のような目を開き、大丈夫だよ、と安心する声とともに少年をベッドに入れてくれた。
おかげで朝までぐっすり眠ることが出来たのだった。その温度に少しだけ似ているような気がした。

「もう妹もいるのに……うわ?!」

赤い光が直接目に入り、思わずマクワは目を瞑った。タンドンが目を覚まし、じっと自分の顔を見つめていた。

「ああごめんなさい……。その……きみがあったかくて」

タンドンはふたたびぱちぱちと瞬きをすると少しだけ身体をマクワに寄せ、再び目を閉じて、頭を下げた。目を焼くような赤い光は弱まったが、自分のベストの腹部を光らせていた。

「……きれいだ」

まるでひとの腹を燃やすような温度と色は、マクワの灰簾石の瞳を輝かせた。仄かに揺れ動く暖かでやわらかい光は、強い引力で少年の心を惹きつける。
このきらめきは、まだ誰も知らないきらめきのたまごだ。
今よりうんとはるか未来のいつか、光は強い炎に変わって誰もを驚かせ、楽しませることが出来るだろう。
どんな相手にも立ち向かい、リーグのポケモン勝負にだってすべて勝ててしまう可能性さえ秘めている。彼の燃え立つ炎は、巨大な岩の身体は、容易く砕かれはしない。
それだけじゃない。
こうやって凍える誰かを温めることだってできる。それももっとたくさんのひとだ。
果てしない心の灯は燃え上がり、どこまでも無限を描いていく。
スタジアムの切り揃えられた芝生の上、眩いスポットライトの下。
たくさんの観客がマクワたちを見る。応援する。歓声を上げる。
彼の隣に立ち、ふさわしい格好をして、ふさわしいポーズを決める。
彼の大きさにも負けない成長した立派な自分の姿がここにあった。

ふとマクワは目を開く。水っぽい香りが鼻についた。洞窟の中を川になってちょろちょろと流れていく音がしていた。ざらつく岩壁が背中に当たる感触があり、自分の腕の中で眠るタンドンがいる。そこは薄暗い洞窟の中だった。いつの間にか夢を見ていたらしい。ぽとり、ぽとりと洞窟の入り口で水滴が落ちていて、明るい光が差し込んでいるのが見えた。
母親の今日の試合が終わる夜には、母親の待つスタジアムへ行ってジムリーダーになるための訓練をしなければいけないが、まだもう少しだけ時間はあった。
またあの凍えるようなこおりの夜がやってくるまでの、ほんの僅かな自分の時間だ。なるべく自分のために使っていたかった。

「……この夢が……本当になればいいのにな」

少年は石炭の上に祈りをのせると、再び抱きかかえるようにして瞳を閉じるのだった。

10/16/2023, 4:09:50 PM

やわらかな光

逆光。その人があまりにもやわらかな光に包まれているので、私は死んでしまうのではないかと思った。
とうに夜。日は沈んで、街は眠り、ようやく呼吸できるのに、電灯の光すらも私たちに牙を剥く。
逆光。真綿で首を絞められるような世界で、その人の輪郭を信じていた。

Next