くり

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やわらかな光
窓から室内に広がる光を全身で浴びる。
まるで母に抱かれているかのような温かさだ。
パジャマ姿の僕は、胸ポケットに入っているお守りを握り締めた。
明日もこのやわらかな光を全身に浴びることができるはずだ。太陽の光を浴びることが、こんなに心を落ち着かせるものだとは思わなかった。日常の当たり前が愛おしい。

「それでは、そろそろ行きましょうか?」
女性の優しい声が耳に響く。いよいよだ。

白い服を着た女性が3人と男性が1人。部屋に入ってくる。車椅子を移動させると僕を包んでいた光はなくなり、急に寒く、恐怖で身体が震え始めた。

「大丈夫ですよ。必ず元気になります。私が約束します」
心強い言葉を男性に掛けられた。

ゆっくり立ち上がると身体は宙に浮き、ストレッチャーに乗せられる。窓から差し込む光を見つめながら、大きく深呼吸をし、僕は覚悟を決めた。

手術室に向かう。

10/16/2023, 10:22:25 PM