赤い糸
ほつれた糸
「さっきから気になってんだよな」
と私のお気に入りの服を手にした彼
刺繍部分の赤い糸が垂れ下がっていた
「あっ、ほんとだ」
右の臀部。何も言われなくて触られると
頬をひっぱたいてしまうデリケートな場所
「これ以上、垂れたら嫌だから切って」
ハサミを彼に渡す
「いいの? 触るよ」
糸を手に取り、服を破らないように
慎重に糸だけを切ってくれた
「ありがとう」
こんな細かい場所、気になってたんだ?
そう思いながら、クスリと笑った
私の顔を照れ臭そうに見つめる彼の顔を
見つめる私
私達の赤い糸は切って欲しくないなぁ
素直にそう思った
相合傘
相合傘か。
思い出すなぁ~
君と相合傘したくて、
わざと持っていた折り畳み傘
カバンにしまったままで。
ある学校の帰り道。
急に振りだした大雨。
生徒会で帰りが遅くなって、校内に生徒居なくて、
2人で玄関で立ったまま空を見上げていると
担任の山田先生が1本のビニール傘を俺に渡し、
1本しかないけど2人で使えって言って、
貸してくれた。
右半身がずぶ濡れで、傘なんて役に
立たないくらいの強い雨だったけど、
幸せな時間だった。
山田先生のこと神かと思ったよ。
今ならソーシャルディスタンスとか言われて、
相合傘なんて出来なかったかな?
というか、相合傘なんて言葉、まだ使えるのかな?
好きな女子と相合傘したいと密かに思ってる
男子いるのかな?
沈む夕日
新婚旅行でハワイに行った時
沈む夕日を眺めながら、食事をしようなんて、
サンセットレストランに誘ってくれたけど、
貴方は食べることに必死で夕日なんて全く
見ていなかったわよね。って話してたら、
貴方は言った。
「ちゃんと見てたよ、沈む夕日を見ていた君を」
だって~。
あれから25年。
銀婚式を向かえた私達は、2回目のハワイに行く。
また、あの時みたいに沈む夕日を眺めながら、
ゆっくりお話しない?って誘ってみたら、
貴方は言った。
「今後はちゃんと沈む夕日を見たいなぁ~」
だって。それって私のことより、夕日を見たいって
ことなの?って言い返したら、
貴方は言った。
「ただ同じ景色を見たいだけだよ。」って。
君の目を見つめると
君の目を見つめると、僕の顔が赤くなる。
体温が上昇するのを感じるんだ。
恋をしていることに気付いた瞬間。
こんな僕だって恋ができるんだ。
桜の花が咲き始めた頃
僕の心に咲いた小さな花。
今はこの花を大切に育てたい。
星空の下で
星はいつも輝いている
何万光年をかけて、光を届けてくれている
地上から見上げた時は
雨や曇りの日は見えないけれど
それでもいつも輝いている
星から見れば、私達も輝いて見えるのかも
しれない。とても綺麗だね、って思われて
いるかもしれない
星空の下にいる私達も
いつも輝いている