冬晴れの日
でも洗濯物が乾きにくい
寒いし、肌は乾燥するし、好きじゃない
だけど、遠くで鳴く鳥がまるで近くに
いるように聞こえる
鳥のさえずりなどに耳を傾ける暇などないが、
自然に耳に届く
好きじゃない冬晴れの好きなところを見つけた
幸せとは
当たり前のことが当たり前にできること
だと気づけたこと
自分をもっと大事にしたい
この身体も
この心も
あの経験も
あの想い出も
過去も未来も
そして、現在も
全て私だけのものだから
誰にも持ってないものだから
赤い糸
ほつれた糸
「さっきから気になってんだよな」
と私のお気に入りの服を手にした彼
刺繍部分の赤い糸が垂れ下がっていた
「あっ、ほんとだ」
右の臀部。何も言われなくて触られると
頬をひっぱたいてしまうデリケートな場所
「これ以上、垂れたら嫌だから切って」
ハサミを彼に渡す
「いいの? 触るよ」
糸を手に取り、服を破らないように
慎重に糸だけを切ってくれた
「ありがとう」
こんな細かい場所、気になってたんだ?
そう思いながら、クスリと笑った
私の顔を照れ臭そうに見つめる彼の顔を
見つめる私
私達の赤い糸は切って欲しくないなぁ
素直にそう思った
相合傘
相合傘か。
思い出すなぁ~
君と相合傘したくて、
わざと持っていた折り畳み傘
カバンにしまったままで。
ある学校の帰り道。
急に振りだした大雨。
生徒会で帰りが遅くなって、校内に生徒居なくて、
2人で玄関で立ったまま空を見上げていると
担任の山田先生が1本のビニール傘を俺に渡し、
1本しかないけど2人で使えって言って、
貸してくれた。
右半身がずぶ濡れで、傘なんて役に
立たないくらいの強い雨だったけど、
幸せな時間だった。
山田先生のこと神かと思ったよ。
今ならソーシャルディスタンスとか言われて、
相合傘なんて出来なかったかな?
というか、相合傘なんて言葉、まだ使えるのかな?
好きな女子と相合傘したいと密かに思ってる
男子いるのかな?