『こんな夢を見た』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私はこんな夢を見た。
「サッカー選手になりたい!」
「お父さんみたいになりたい!」
「仮面ライダーになりたい!」
etc etc…
私はこんな現実を見た。
才能の壁にぶち当たって、心が折れた。
努力という名の茨の道から逃げて、楽な方へ。
そんな事してるから運という味方はやってこない。
わかる。
こんな事じゃいけないんだって。
でも、
才能の壁を飛び越えるのも、
茨の道を歩くのも、
運という不確定要素に身を任せるのも、
怖いんだ。
一歩でいいんだ。
わかってる。
でも、その一歩がなかなか出せない。
だから、
その一歩を踏み出せる人って、
夢を叶える人ってすごいよな。って思う。
木造で統一されたお洒落な店内。
コーヒーの香りが漂っている。
角の席には、彼が座っている。
いつも通り彼はブラックコーヒー。
机にはマカロンが2つ置いてあった。
「おまたせ、待たせた?」
「全然待ってないから大丈夫。マカロン、好きでしょ?先に頼んでおいたよ」
優しすぎる彼。
ブラックコーヒーを飲むと、彼のメガネが少し曇った。
「曇っちゃった。ホットコーヒーは駄目だな」
「ハンカチあるよ使う?」
そう言って私はバックの中を探す。
彼にもらったハンカチを手に取り、彼に差し出そうとした。
目の前に、彼は居なかった。
いつもの部屋。いつもの。
でも、でも、去年とは違う。
ベランダから空を見る。
こんな私の気持ちとは逆に、朝日は水たまりを照らしていた。
「マカロン、1個余っちゃうよ」
ー
どうでしたか?
本当に久しぶりの投稿ですね。すみません!
夢という題名を見て、最初に楽しいものを思い浮かべました。
その楽しい夢から現実に変わる。
その苦しさを美しく表現しようと思い、執筆しました。
また少しずつ書いていきますので、
♡お願いします!
『こんな夢をみた』
突然そいつはやってきた。
刃物を振り上げて、充血した目で叫んだ。
「この家に住む家族を一人残らず殺してやる!」
宣言通りそいつは、持っていたそのナイフで父をめった斬りにした。
父は動かなくなった。
次は誰だ、自分か?家族の誰かか?助けを呼ばなければ、何とかしなければ。頭が真っ白になって、息が上がって、指の一本も動かすことができない。
冷たい恐怖に包まれ、今度は母が殺された。
私は絶望した。もうだめだ、もうみんな殺されるんだ。
しゃがみ込んで耳を塞いだ。兄が血を流して倒れた。
ああ、いよいよ私の番だ。死ぬんだ。もう終わりなんだ。
ブルブル震えながらその時を待った。
「お前…何してるんだ?」
そいつが静かに言った。
「お前はこいつらの家族じゃないだろ?」
一緒の帰り道
黙ったまま立ち止まる
同じ景色を見て
二人なのに一人の時間になる
何かを感じて
何かを思い出して
何かを覚悟する
冬の夕暮れ
一段と美しいグラデーション
それは一瞬で消えてしまうけれど
その人の夢が見えた気がした
【こんな夢を見た】
夢を見るのは楽しいことだけど。
夢を見過ぎるのは、あんまり良くない。
振り回されて疲れてしまうから、夢を見るのは程々に。
夢は見たけど覚えてない位がちょうど良い。
夢は所詮、夢でしかないから。
目の前の現実を大切に。
テーマ「こんな夢を見た」
こんな夢を見た
父は入院する前に、
中古のワンバックスカーの契約をした。
入院中にその車が届いた。
しかし、父はその車を見ることも、
乗ることも願いは叶わなかった。
亡くなって暫く経ってから、
運転席に座り、助手席の窓を開けて、
笑顔でこちらに手を振っている父の夢を見た。
あまりにもいい笑顔でリアルでくっきり覚えている。
きっとその車に乗って
空に旅立ったんだと思う。
いっぱい走り回っているに違いない。
あんなに嬉しそうな父は久しぶりに見た。
母を迎えに来る時は、
その車に乗ってやってくるんだろうか。
でもまだ来なくていいからね。
親愛なる友人がいた。コスモスが先広がっている所に君と私の二人だけ。小学生の姿だった。とっても元気で生き生きしてる。君が私を見て嬉しそうな悲しそうな顔でこちらを見た。私は初めて断腸と言う言葉の意味がわかった気がする。親愛なる君はもう死んでいる。
「大きくなったね、なんてズルすぎるよ。私はまだ子供のままだよ。」
お題『こんな夢を見た』
#こんな夢を見た
誰かと一緒に笑い合う夢を見た
相手の顔は霧がかかったように見えて分からない
でも話してて安心する
誰かと一緒にいるって凄く心が暖かくなる
そんな事を感じた今日の夢
昔と変わらない笑顔を浮かべたあなたが、橋の向こうで手招きしている。
「ごめんね、まだそっちには行けないの」
目が覚めた私はそう呟いた。
「3月頃、『夢が醒める前に』ってお題なら書いた」
次は「こんな夢を見た」か。某所在住物書きは頭をガリガリ。スマホの通知画面を見る。
直接的な配信としては、「夢」は2度目である。
問題は物書きが別の投稿で散々に夢ネタを書き散らしていたこと。 すなわち、書くのが楽だったのだ。
どんな理不尽も「だって夢だもの」で解決するから。
「ゆめ……?」
え?こんな「夢小説」を見た、とか?とうとう二次創作デビューすんのか?物書きは再度息を吐く。
「それか『こんな理想を夢見ました』とか……?」
――――――
最近最近の都内某所、某アパートの一室の、部屋の主を藤森というが、
今回の題目が題目なので、こんな夢を見た。
完全に非現実的な夢である。題目が題目でなければ、ゲームも娯楽小説もドラマも、漫画すらも疎い藤森には、見る余地も可能性も一切無い夢である。
舞台は森の中の廃墟。天井抜けて光さす広いエントランス。中央に2名がぽつん。ひとりは床に倒れ伏し、ひとりはその隣。見下ろし、突っ立っている。
『おのれ、おのれ。いまいましい』
倒れている方、藤森のそっくり顔が弱々しく呟いた。己を見下ろす相手を睨みつける余力も無い。
『この体だけでは飽き足らず、400年見守り育ててきた森と泉まで、私から奪うのか』
遠くから聞こえるのはチェーンソーと重機の駆動音。それから大樹倒れる末期の悲鳴。
『エネルギー確保の大義を振りかざし、利益をむさぼる人間ども。数年後数十年後、私の恨みと怒りと悲しみと、嘆きを思い知るがいい』
けほっ、 げほっ。
藤森モドキは小さく、それはそれは小さく咳込んだ。
……と、いう状況を、遠い場所からシラフの藤森が、いわゆる事務机とパイプ椅子の特別席で、
ポカン、の3字が相応しかろう表情で見ている。
なんだこれ。誰だアレ。
私モドキを見下ろしてる男は、私の親友の宇曽野に随分似ているが、何がどうして、こうなったのだ。
隣のパイプ椅子にちょこん、おすわりの子狐が、いわゆるドッキリに使われるような横看板を、前足で支え持ち藤森に見せた。
【しゃーないのです。
夢ネタ、ほぼほぼ出し尽くしたのです】
くるり。看板が裏返る。
【新人チュートリアルの期間から醒める(3月)
夢の中で仕事(4月) 登場人物の過去(6月)
「こういう夢を見ました」でオムニバス(6月)
可能性としての予知夢モドキ(10月)
なんかとりあえずエモいやつ←New!】
スワイプが面倒過ぎるので参照は推奨しない。
『恨むなら、俺だけを恨め』
藤森のポカンをよそに、題目が題目なので夢は続く。
ぐったり藤森モドキを見下ろす男が、ポツリ言った。
『この計画の最終決裁を通したのが、俺だ。
責任はすべて俺にある。最大限、環境と生態系には配慮する。可能な限り動植物の保護もする。
ただ、ここに発電所ができれば、2ヶ所の山と4ヶ所の平原湿原が、伐採や開発から守られるんだ』
許せとは言わない。お前とこの森の犠牲を無駄にはしないし、お前の恨みも怒りも俺が引き受けるから。
藤森の親友モドキの、懺悔か懇願にも似た言葉に、
藤森は、ただ困惑と困惑と困惑の視線を向け、
隣でおすわりする子狐は器用に前足を使い、号泣の素振り。【安心してください。夢でフィクションです】
そりゃ夢だろう。フィクションだろうよ。
藤森はため息を吐くばかり。
私、人外だったことも、400年生きたことも、妙な森の中の廃墟在住だった事実も無いよ。
そもそも山や平原、洋上や火山地帯ならいざ知らず、森の中に作る発電施設ってなんだ。
ただひとりを置いてけぼりに、藤森モドキと藤森の親友モドキの物語は進んで、終わって。
朝目を覚ますと、大きく首をかしげて一言。
「……は?」
何故あんな夢をみたのか、藤森は職場で数時間、考え続けておりましたとさ。
こんな夢を見た。基本夢を見ないからなんとも言えん。
そんなことより花粉症だよ。今年も地獄の季節がきたって感じだぜ。
症状出る前から薬は飲んでたんだけどめんどくさくて鼻薬と目薬はしてなかった。
おかげで鼻水とくしゃみが酷い。軽い方だと思うけどきついものはきついのだ。
やっぱり鼻薬も症状が出る前に使っておくべきだったか。来年からはちゃんとしよう。
あるいは市販薬では効果がなくなってきてるのかな。ちゃんと耳鼻科で薬をもらった方がいいのはわかるんだけどめんどいんだよな。
『こんな夢を見た』
「今日の宿題は、自分の進路について考えてみましょう。皆さんの将来やりたいことをこの紙に書いて提出してください。」
進路、進路。
小さな頃はたくさんの夢と、希望を抱いていた。
将来の夢。そう聞かれると3つくらい余裕で言えるように。
今の私はどうだろう。
なんの取り柄もない真面目が。
いい所を全て真面目に取られた私。
帰りながら、そう思っていると家に着いてしまった。
一体どれくらい考えていたのだろう。
昔の記憶をたどる。
年長の頃に書いた夢は「たこ焼きになる」だった。
1年生から3年生は「ぬいぐるみ職人」
4年生から6年生は「お笑い芸人」
じゃあ中学生は……?
学校で書かされた紙を1枚1枚めくっていく。
そこである共通点に気づいた。
「私は……人を笑顔にしたい……?」
はぁ、とため息が出た。
そんなこと思ってもみなかった。
高校2年生の私。
将来の夢は人を笑顔にしたい。
具体的な職業じゃないけれど、こんな夢を見たって良いだろう?
最近では見た夢さえ覚えていないことは前に書いた。夢十夜どころか夢一夜にも至らない。
かつて見た夢の記憶はある。いろんな夢を見た。不思議な夢、恐ろしい夢、幸せな夢、不気味な夢。
──こんな夢を見た。
亡くなった親族が出てきて、とある頼み事をされた。ちなみに霊感は皆無。困った。ただの夢だと片付けてもいいが、やはり引っかかる。
万が一あの世からの出演だったとしても、なぜ特段可愛がられたわけでもない私の夢なのか、故人に質問したいくらいだ。
そういえば、私だけ用事を言いつけられたことが何度かあったな。頼みやすい子だと思われたのなら複雑な心境である。
信じるにせよ信じないにせよ、私一人ではどうすることもできない頼み事だったので、そのまま長い年月が経った。
次はどうぞ適任者の夢枕に立ってください。
『こんな夢を見た』
豪華なホテルが見える
何故か私は その中を案内されて
誰かに会うようだ
案内されている最中
見知らぬ三人組が近づいてくる
手のひらサイズのクワガタをもって
『これを一万で購入したい』
そのようなことを言われたが
私には よくわからないことだった
『無理です』
口から出たのはその言葉
それでも、三人組は何か言おうとしてくる
でも、誰かに遮られて
そこで、気づいたら終わっていた
暗い海から次々に花火が打ち上がる。
私は海上へ凧のように浮遊して、爆発を眺めていた。
わかっていた。あれらは欲望の猛りだ。
底の見えない暗流に、私の本性が隠れている。厭な笑みを浮かべ、大統領の妻みたいに高価な装いをした私。そいつに火が入り、宙を駆け上がって空にて弾けるのだ。耳をつんざく絶叫が飛び散る。尊敬されたい! 愛されたい! 悦びたい! この世の全ての人間よりも幸せになる権利が、命の価値があるのだと断定してほしい!
目が覚めてみれば、涎でべたべたの枕に突っ伏していた。帰宅してから着替えていない服と洗っていない埃まみれの身体が痒くてたまらない。
垢の詰まった爪で頭を掻きながら携帯を揺り起こすと、寝る前にぼんやり見ていた動画が現れた。ああ、ポップコーンを作る動画だったっけか……
お題:こんな夢を見た
夢見心地から現実へまどろみ落ちていく
大切な友達と一緒に
朝会ったら笑顔の挨拶をして
昼は取り留めもない話をしながら弁当を広げて
帰り道は駅までみんなで歩いて帰る
そんな取り留めもない日常
心から笑って
心から泣いて
道端に溢れている不思議には気づけもしない
それくらい幸せな日常
辛くて苦しくて張り裂けそうだ
それでも確かに生きている
私は生きているんだ!
他人事なんかじゃない
確かに生きているんだ!
そんな夢を見た
残酷な現実へ引き戻される
世界から切り離されたような
霧の中をひとり彷徨うような空虚な心地
見えているもの全てが
自分の感情でさえも他人事
底の見えぬ虚無を悟られぬよう
笑顔を張り付けやさしい虚像を映し続ける
悪夢のような現実がやってくる
こんな夢を見た。
僕が仕事から帰ってくると、玄関前で君が仁王立ちして待ち受けていた。しかもその顔は穏やかじゃない。
「どうかしたの?」
「自分の胸に手を当ててみてよ」
そんなこと言われたって、僕には何も思い当たる節がない。黙ったままつっ立っていると、君がゆらりとこっちへ一歩踏み出す。薄暗い照明の下で何かが光った気がした。君の左手には果物ナイフがあることに気がついた。咄嗟に僕は後ろへ身を引くけど、こういう時に限って何故かドアは開かない。逃げなくては。そう思った瞬間と腹部に鋭い痛みを覚えたのは同時だった。自分の腹を覗き込むように見る。赤くてどろりとしたものが白いセーターから突き破るように滲み出してくる。
「当然の報いよ」
君が、かつてない程の悪い笑い方をして僕にそう言い捨てる。甲高い笑い声が狭い玄関に響き渡る。やがて僕の視界は暗くなっていき、君の姿も見えなくなってしまうのだ。
「なぁにそれ」
「だから昨日見た夢だって。君がものすごいおっかない顔して僕を殺すんだよ」
「やだー。それ悪夢じゃん」
勝手に人殺しにしないでよー。朗らかに笑いながら洗面所へ消えてゆく彼女。夢の中で恐ろしい笑い方をした人物と同一とは思えない。やっぱり夢は夢のままでいいんだ。良かった、彼女が今日も可愛くて。
「そうそう、聞きたかったんだけどさあ」
洗面所から戻って来た彼女は白い服を持っていた。僕のワイシャツだ。
「これ、何なの?」
彼女が指差す所。襟のちょっと下の部分に真っ赤な唇の形をした汚れがあった。赤黒くて、昨夜の夢の中の血のような色をしていた。僕はハッとなる。あれは、違うんだ。
「違うんだ。これは、」
「こんなに綺麗に残るもんなのね。お相手はどんな人なのか知らないけど」
誤解だ。これは満員電車の中で後ろから押された女性が僕にぶつかってできたものだ。その人からも謝られたし、何ならシャツを弁償するとも言われた。でも僕は断った。ワイシャツを変えたら不審がられると思ったから、帰ってからこのキスマークを自分で落とそうと思ってたのだ。だがそれをすっかり忘れてしまい、そのままシャツを洗濯かごに入れてしまったのだった。
「まぁいいや。言い訳とか、聞きたくないし。次からはきをつけてね。でないと夢のとおりになっちゃうかもよ?」
その時の彼女の笑みは、昨夜の悪夢のそれと少し似ていた。鼻歌交じりに洗面所へ戻ってゆく。その後ろ姿を見ながら僕はごくりと唾を飲んだ。悪夢の続きはもう沢山だ。
こんな夢を見た。
君が隣で本を読む傍ら、僕がぼんやり窓の外を見ている。
外は冬。赤い南天の実が、重そうに雪の帽子をかぶっている。
空は灰色で、通りには人がまばらだ。道が滑るのか、みな慎重に歩いている。
こんなふうに、ぼうっと外を見ているのが、僕は好きだ。
ふと気づくと、僕の目の前に香ばしい香りの珈琲の入ったカップが置かれている。
隣を見れば、いたずらっぽく笑う君が、長い黒髪をもてあそびながら僕を見ている。
『飲まないの』
そう言って、彼女は自分のカップを持ち上げた。
僕も自分のカップを持ち上げ、飲もうとした。珈琲の香りを楽しもうと、そっと目を閉じたそのときに、とつぜん電子音が鳴った。
ピピピピ。
その電子音に驚いて目を開ければ、そこは今までいた場所ではなかった。
僕はベッドに寝ており、窓の外は爽やかな新緑が広がっていた。隣には誰もいない。
そこで思い出した。あれは僕の若い頃の、いつかの日常であったときだった。
ゆっくりと起き出して視線をめぐらすと、サイドテーブルにカップが置かれている。
そこからは、あたたかな湯気と、珈琲の香ばしい香りが立ちのぼっていた。
「飲まないの」
あのときと同じ口調で、しわぶいた手をそっとカップにのばす女性がそばに立った。
僕はゆっくりと微笑み、感謝をしながらカップをとった。
題『こんな夢を見た』
「おはよう。今朝は随分ゆっくりだね」
「…………夢を見た」
寝室からのそりと出てきた彼は、白い髪をあちこちに跳ねさせたまま、地を這うような低い声で呟いた。
「夢?」
オウム返しに聞けば、眉間に皺が寄った。カップでその顔を遮り、中身をひと啜り。
「……俺があんたを抱く夢だ」
「うん? ……ゲホッ」
予想外の答えに咽せた。
「なるほど、なるほど……」
こちらの困惑をよそに、彼は言うだけ言って(問うたのはこちらではあるのだが)シャワーを浴びに浴室へ篭ってしまった。
揶揄われたような、試されたような気分だ。
なるほど、それならば……。
「つまりキミはーー」
頭を拭きながら出てきた彼にすかさず切り出す。
「?」
「とても気持ちの良い夢を見たから寝坊したのだということかな?」
私が言い終わるか終わらなかいかの内に、湿ったタオルをぶつけられた。
『こんな夢を見た』
ぼうとした頭で見た夢を思い出そうとするが手のひらに乗せた雪のように形を無くしてしまいもう誰にも掴めない。世の中には夢が形になって残っているものもあるようだ。文豪というやつは酔狂なことをする。
百年後に咲いた白百合
禅寺に鳴り響く時計の音
百年後に裁かれた人の親
帰ってこない酔いどれた老人
岩に残った蹄の痕を撫でる手
散らばった木屑
穏やかな黒い海
桶に入った様々な形の金魚
寒々しい鳥居と石段
人の手に渡ったパナマ帽
残らないと思われた夢の欠片は文字を与えられてしまったばかりに留まり続けている。自分には琥珀に取り残された虫のように思えてしまい、それは少し不憫に思える。