『こんな夢をみた』
突然そいつはやってきた。
刃物を振り上げて、充血した目で叫んだ。
「この家に住む家族を一人残らず殺してやる!」
宣言通りそいつは、持っていたそのナイフで父をめった斬りにした。
父は動かなくなった。
次は誰だ、自分か?家族の誰かか?助けを呼ばなければ、何とかしなければ。頭が真っ白になって、息が上がって、指の一本も動かすことができない。
冷たい恐怖に包まれ、今度は母が殺された。
私は絶望した。もうだめだ、もうみんな殺されるんだ。
しゃがみ込んで耳を塞いだ。兄が血を流して倒れた。
ああ、いよいよ私の番だ。死ぬんだ。もう終わりなんだ。
ブルブル震えながらその時を待った。
「お前…何してるんだ?」
そいつが静かに言った。
「お前はこいつらの家族じゃないだろ?」
1/24/2024, 6:26:33 AM