『お祭り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【お祭り】
それを見た瞬間、心臓が止まるかと思った。
「どうかな、変じゃない?」なんだ、この天使は。
恥じらう赤い頬が白い肌に映え、まるでりんご飴のよう。
なんで浴衣姿ってこんなに可愛いのだろう。
「ぜ、全然。変じゃないよ」可愛すぎて、むしろ目に毒。
でも素直に褒められないから意気地なしなんて言われる。
今日だって、君を誘ったのは僕ではなく友人だった。
口だけで誘う勇気のない僕に焦れて、声をかけてくれた。
おかげで夢のような時間を過ごせることになった。
君が受け入れてくれた理由はわからないけど、今はいい。
今日を楽しみにしていたという君の言葉を僕は疑わない。
来てくれただけで嬉しいから、別にお世辞でも構わない。
君は意外と活発で、いろんな屋台に興味を示した。
射的も型抜きも自信満々だったけど失敗。
何食べようと選んだかき氷で見事に青くなった舌を出す。
無邪気に笑う君は楽しそうで、僕も子供みたいに笑った。
はぐれないように、と言い訳をして手を繋ぐ。
手汗が心配だとか、僕より温かいなとか。
そんなことを思いながら、つい早足になってしまった。
だから君に言われるまで、足が痛いと気づけなかった。
罪悪感でいっぱいの僕に、君は優しい言葉をくれる。
「私こそごめんね」って。君が謝る必要などないのに。
屋台の通りから離れ、人通りの少ない場所で座って休む。
その時、大きな音と同時に、夜空に鮮やかな花が咲いた。
「たーまやー、とか言っとく?」君が悪戯っぽく笑う。
その笑みに射抜かれて、また鼓動が早くなる。
「言っとこうかな」返事ではない、気持ちの話。
どうせ花火の音に掻き消されて聞こえないだろうけど。
お祭りについて書くことあまりないなあ。なぜならお祭りにはあまり行ったことがないから。というのも人混みがあまり好きではない。けれども数少ない経験の中でお祭りについて印象的だったことは以下のことです。
すなわち初めて付き合った彼女と行った七夕。付き合って1,2ヶ月で七夕の日を迎えたのだが、その時初だったこともあって、なかなかうまくしゃべれない僕がいた。2,3時間デートしてたんだけど喋ったのが2,3言ぐらい。まぁそういう風にした結果は1ヶ月後くらいにふられたっていう感じ。
2つ目の思い出としてはこれも七夕の思い出だったんだけど、それもまた違う彼女との思い出で彼女の浴衣に肉のタレが着いちゃったという思い出。それで彼女がひどく悲しんでいたのを見て僕も少しいたたまれない気持ちになったというなんとも言えない思い出。まぁそんなこともあったんだけど、その彼女とはフランクに話せる関係で続いたので結構楽しい時期が続いた。
祭りまた行きたいなあ。非日常だよね。ハレとケを大事にしたい。
何百年も続く
伝統のお祭り
神様を敬い
神様に捧げる祈り
いつからだろうね
お祭りは
神事からイベントに変わっていった
夜空に打ち上げられる花火も
屋台のりんご飴も
子どもたちがワクワクする
イベントになっていった
平和なのかもしれない
船乗りだった頃の話。給養員は甲板掃除を終えると夜食のお結びを握る。30個あまりの高菜結と胡麻結びがラップをかかえて並んでいる午後8時。給養員は作り終えるとすぐいなくなるもんだから、船幽霊かなと思う。我らの深夜ワッチがおわる午前3時。お祭り騒ぎが始まる。食卓に30個余りの握り飯がない。通路を覗くと、航海長が口をもぐもぐしながら歩く航海長を見た。皿の上には3つのおむすびが乗っている。それを運用長。本当のお祭り騒ぎが幕を上げた
祭ってさ、
うん。
興業なの?慣習の維持装置なの?それとも、
ちょっと待った。
なに?
あんた、また面倒なこと考えてるね。
考えるのに建前を使えるほど器用じゃないよ。
.....。でもさ、それ、祭の楽しさをばらしちゃってるというか。
うん。だから君に話してみた。
うん?
いい加減なこと言ってきれいな部分を見せあうだけの相手じゃない、ってこと。
君も大概たらしこんでくるね。嫌いじゃないけど、案外ベビー級な――愛情表現するんだね。
愛情表現いうなよ。
そういうのを愛情表現っていうんだよ。いや、だから嫌いじゃないのさ。
恥ずかしくなってきた。もういい。この話題中止。ああもう、手を握るな。
君と初めて来たお祭り。
家族と来たときは感じなかった気持ちの昂り。
君もりんご飴みたいに頬が赤く染まっていた。
君と見た花火は世界一輝いていた。
真夏の猛暑日
僕は今日亡くなった大好きな祖父と幼い頃 毎年行っていた家の近くの神社で行われるお祭りに来ている。
祖父が亡くなって以来行けていなかったお祭り。ところが中学の頃 出会った友達の尋と毎年来るようになった。
今日僕がこのお祭りに来ている理由も尋と遊ぶ約束をしているからだ。
尋とは中学の頃よく放課後も遊んでいたが、高校が違うためや、忙しいのもあり遊ぶ頻度は落ちていった。それでも毎年のお祭りは絶対に会う約束をしていた。
いつもの鳥居の前で。
神社は賑わい、普段人が居ないのが嘘のように思えた。
僕がお祭りの雰囲気に浸っていると、後ろの方から「仁」と僕の名前を呼ぶ声がした。
振り返ると紺色の甚平姿の尋が手を振っていた。
尋の姿を一見して今日に気合いを入れていることは一目瞭然だった。今日のお祭りが楽しみで、という考えではないかと予想した。
「甚平なんて新鮮でいいねお祭りっぽいよ」と僕が言うと
「いやぁ〜久しぶりに仁に会えるし、来年受験だから夏祭り楽しみたいじゃんだから気合い入れてきちゃってさ。」と。
大体予想は的中した。
淡い夕焼けに屋台の赤い光が映える時間帯
僕たちは久しぶりの再会で思い出話をしながら屋台の通りを歩いた。
鳥居からまっすぐ長い参道にそって多くの屋台が並んでいる。焼きそば屋、わたあめ屋、ラムネ屋、射的屋…
尋がラムネを片手に近くのベンチに腰掛けて「そう言えば」と近況報告に話題を変えた。
ラムネを1口飲み「仁は神様はいると思うか」と話し始めた。
僕は突然の哲学的な質問に驚き回答を悩んでいると尋がこう続けた。「俺の友達は将来の夢とか進路とか聞いてもてきとうに答えるやつで夏の進路相談もてきとうに済ませるようなやつだったのに、こないだ急に学校帰りに神様に会ったとか言い出して俺に熱く夢を語ってくれて今進学する為に勉強めっちゃしてるんだよ。夏バテとかなのかなって…あ、バテてはいないか?」
きっと覚悟ができたから今自分にできることをやろうって前に走れる。
僕も見習わなければ。きっかけはなんであれ行動に移さないどダメだ。
変われない。
「僕も変わらないと。」
自省していると。近くの焼きそば屋の方から大きな音がした。反射的に振り向くとそこには倒れる鉄板と少女があった。
周りが騒然とする。
僕は走って向かった。
体が勝手に走っていく。少女は火傷をしていた。辺りの状況から熱々の鉄板が落ちてきて火傷をしたと考えた。鉄板が重いことも他の怪我の可能性も考え、救護テントに少女を運び手当をした。幸い火傷以外の怪我はなかった。お礼をしたいと名前を聞かれたが、お気持ちだけで充分です。と言い残してその場を後にした。
その間 尋は屋台を元に直してくれていた。
いつも僕が突っ走って行くのを止めずに何も言わずに協力してくれる尋。
彼が、彼こそが頼れる人間であり、人のために行動できる人間だと思う。
僕とは違う。僕は優しい訳では無い。本当の人助けはできない人間。そう考え込む僕に
「仁はさ昔からすごく優しくて、頼りになってヒーローみたいだな。さっきも無心で助けてただろ?やっぱりじいさんのヒーローの念が仁に宿ってるんだな」と尋腕を組み感心したように言った。
「優しくないよ。ただ利用されて!面倒事を押し付けられるだけで…僕がもっと頼り甲斐のあるしっかりした人間できてたら。僕のせいなんだよ。」感情が押さえられずに声を荒げて、泣き出しそうになりながら話す僕に冷静で力強い声色で「仁は悪くない。」と言ってくれた。
僕は涙が止まらなかった。
ずっと悩んでいたこと。辛かった。
「変わらなくっていい。仁がやりたくない事はやらなくっていい。仁が助けたいと思った時に助ければいい。義務にしてひとりで背負い込まなくっていいんだよ。面倒事を押し付けてくる方が悪い!」
尋は力強く僕を励ましてくれた。
肯定してくれた。
もう空は深い青
打ち上げ花火と屋台の光
涙で光露と電色が混ざり僕の視界は万華鏡だった。
3話 ※今までのを見て頂けるとさらに…
お祭りは人がたくさんいるイメージだが、人がいないお祭りもあるのだろうか。だとしたら、ちょっと行ってみたいかも、なんて。
その理由が他人があんまり好きじゃないから、だけなのは、ちょっと重症かもしれない。
風物詩
まるで蝉の様な
長い準備と一瞬の閃光
その輝きは戦士に勇気を与え
まるで蝉の様に
一斉に求愛する
その賑やかさはまさしく夏だ
※お祭り
お祭り
夜の闇に光がぽつぽつ灯り始める。
静けさが耳に痛いほどだった道も、
笑い声や、話し声がほら、また一つ二つ。
賑わう声を横目に、進んでいくと
先には赤い「門」
そこを潜れば何があるんだろう?
好奇心に負け「門」を潜った。
先にあったのはこの世とは思えない風景。
人の形をなさない生き物たちのお祭り。
見たこともないものや、食べ物
話をしてみると、自分たちと何も変わらない者たち。
怖いものは怖い。
悲しいことは悲しい。
楽しいは楽しい。
そんな当たり前の感情も同じだった。
楽しい時間が過ぎていく。
終わりの時間が近づいていく。
この「門」を引き返せば、きっと終わりが来るだろう。
この時間は、たった一度の気まぐれが起こした奇跡。
本当は交わらない二つの世界が交わり、
そして、離れていく。
寂しい。
けれど、例えもう2度と会えないとしても。
きっと今日笑ったことも。勇気を出してここを訪れたことも。
私は忘れないだろう。
みんなは忘れないだろう。
「門」を振り返っても、何もない。
遠くから聞こえる音楽も、賑わいの音も、
その全てが、一つのお別れを知らせる。
少し切なさを残す。そんな夜にお話し。
〜お祭り〜
これは昔むかしのお話
山の麓の名もない小さな村に
真面目で働き者の農民たちが暮らしていた
来る日も来る日もせっせと働く姿は
まるで働きアリの様
そんな農民たちも年に一度羽目を外す日がある
そう、お祭りの日だ
普段は真面目な農民たちが
踊り、歌い、笑っている
いつも農民を見守っていた山の神様も
その豹変ぶりに大笑い
あまりにも楽しそうだから
こっそり人に化けて紛れ込む
紛れ込んだのはどうやら神様だけではないようだ
茂みの方から人に化けたキツネも1匹
神様とキツネは顔を見合わせニンマリ
一緒に跳んで回って踊ってみる
あまりの楽しさに我を忘れ踊っていると
農民たちが驚いた顔で踊りを止めている
夢中になりすぎてしまった
神様もキツネも本当の姿に戻っていたのだ
慌てた神様はキツネを抱き上げると
雨を降らせた
農民が気を取られている隙をつき逃げ帰る
その雨は恵の雨となり
それ以降農作物が豊富に育つ村として豊かになった
農民たちは社を建て
その脇に神様の遣いとしてキツネの彫刻を祀り
年に一度のその日を
豊作を願い感謝する大切な日とした
せっかく買ったチョコバナナは、食べ方が下手すぎて、
串からすっぽ抜けて地面に落ちてしまった。
ヨーヨーも、はしゃぎながら何度も手に叩きつけるうち、
ゴムが切れて、コンクリートの上で破裂してしまった。
思えば、随分容量の悪い祭りの過ごし方だったように思う。
転勤族で、そのうち住んでいた地域も新興住宅地 だったりした関係で、地元の祭りというものにイマイチ縁がない。
唯一、住んでいた家の傍でそれなりにしっかり行われていたのが、北海道某所の祭りだった。商店街で行われていた。
失敗ばかりの祭りだったが、とても楽しかった。
金魚すくいは1匹もすくえなかったが、おじさんに、1匹袋に入れてもらって、家で大切に育てた。
その後名古屋に引っ越すことになって、その金魚は同じアパートに住んでいた方にお譲りした。熱帯魚や爬虫類を沢山飼っていて、快く引き受けてくれた。
先日、ふと気になってその商店街について調べた。
店の並びも随分変わって、なんだか外観も小洒落ている。
この商店街には、小学校時代の同級生の家が雑貨屋を営んでいたはずだ。あの店はまだあるだろうか。
お祭り
橙色の丸が連なる暗闇の中で,声はさざ波のように揺らめいている。遠くで誰かが笑い,それに誘われるように周りの声が耳をすり抜けていく。
300を超える日にちの中でたった3日。寂れた町が生き返る夢のような時間は,いつの間にか人に呑まれてしまった。2年,6年,3年と時を重ねて増えた思い出と人の記憶。
屋台を過ぎて,人を見て,かつての記憶を煮詰めたような場所を出る。
彼は数学が得意だった。彼女は誰もかなわないほど走るのが速かった。あの子はいつこの町に帰ったのか。そこにいた同級生がかつてわたしを笑った声はどこまで付いてくるのか。
全てを忘れて踊り明かす泡沫の灯りはただ暗闇に貼り付いて,途方もない記憶を呼び戻しただけだった。
【お祭り】
お祭りの夜は22時以降には外に出ないこと、って。神様が来ちゃうからって出して貰えないって。去年、お祭りの夜に22時以降外に出ちゃった隣の家の子はさらわれちゃったんだ。でもあの時あの子は探しに行くって言ってた。じゃあ、私も探しに行かなきゃって、何故か思ってしまったの。外へ出て一分。
「今年は君か。すぐにお友だちのところに連れて行ってあげる。」
神様なんかじゃなかった。この街から助け出してくれる不思議ななにかだった。
お題《お祭り》
風の言の葉で歌う涼やかな旋律。
それが、人の子を呼ぶ。
カラカラ廻る朱い風車。
青い狐の青年と人の子である、小さな娘。
――拾わなければよかった。
今さら後悔するのはずるいのだとわかってても、もう遅い。憂鬱で悲壮ただよう青年に娘は、風車を指差し楽しげに言った。
「あかい風花きれいだねぇ」
「……風花は、そういう意味じゃないだろう」
「えー? 風に廻る花だよ。ほら」
カラカラ……。
「まあ、たしかに」
綺麗なものだけ集めた、祭り。あやかしも人の子も――結局は好きなのだ、美しく儚いものが。
迷わぬように、その小さな手を引いて、青年は果たしてこの娘が帰れるだろうかと見つめた刹那――目が合った。
「いいの。この夢が終わらないのなら、それでも。だってまだ、お兄ちゃんと一緒にいたいから」
正直、浴衣なんてめんどうくさい。
動きづらいし、きゅっとするし、
そしてなにより暑くて苦しい。
夏祭りがなかったら、多分着ることないだろな。
それでもやっぱり着てくのは、
普段とは違うわたしを見せたいから。
そこらで売って、いるような
安いヤツじゃあないんだから。
おばあちゃんが作ってくれた、
殿茶に白菊、帯はからし。
正直、下駄なんてめんどうくさい。
歩きづらいし、かぽかぽするし、
そしてなにより鼻緒が痛い。
夏祭りがなかったら、履くことなんてきっとない。
それでもやっぱり履いて歩いてくのは、
普段とは違うわたしを見せたいから。
ほら、よく言うでしょう。
おしゃれは足もとからよ、って。
おかあさんが貸してくれた、
朱色の鼻緒、焦茶の台。
正直、お団子なんてめんどうくさい。
かざりは多いし、ゆらゆらするし、
そしてなによりあたまが重たい。
夏祭りがなかったら、絶対こんなにしないけれど。
それでもやっぱり結えてきたのは、
普段とは違うわたしを見せたいから。
もちろん仕上げは丁寧に。
ここでくずしてなるもんか。
おともだちと買いに行った、
あわい牡丹のおそろいのかんざし。
お化粧だって、いつもの倍は時間かけてる。
毎日の研究が大事なのよ。
いっぱいのめんどうくさいを詰め込んで、
いざ、彼のもとへ。
お代は「かわいい」のひとことでいいわ。
2023.7.29. お祭り
川と田んぼしかない私の町にも、毎年夏のお祭りはあった。
普段は閑散とした町並みもこの日ばかりは人だかりで賑わっていて、みんな今までどこにいたんだと驚いてしまう。
けれどそれは私がまだ小さな子どもだった頃の話で、だんだんと体が大きくなるにつれて、町の祭りが小さく子どもじみたものに感じるようになっていった。
高校生になったある日、私は同級生から祭りの誘いを受ける
そいつとは小学からの同級生で昔はよく遊んでいたのだが、中学に上がってからは全くと言っていいほど疎遠で、顔を合わせればお互いに手を挙げるくらいの仲だった。
祭りに誘ってくれたのは素直に嬉しかったが、なんだかそいつと祭りに行くのが面倒に感じてしまい、ずるずると返事を伸ばして結局最後には断ってしまった。
これは後から知った話なのだが、実は私と一緒に祭りに行きたかったのはそいつではなく、どうやら私と同じクラスの女の子だったみたいで、その子と部活が一緒だったそいつが仲介役として私を誘ったつもりだったらしい。
結局、私が祭りに来ないので仕方なく二人で祭りに行き、なんとそこで二人は付き合ったそうだ。
私がそれを知ったのは二人が付き合った祭りのあとのことで、
まさに、あとの祭りである。
〝祭り〟というワードが今日のテーマだ。
私自身が人混みを嫌う
暑い気温が大の苦手
この2つが合わさって
祭りというものは基本的に思い入れがない。
夏祭りといえば
祭囃子に屋台だ。
出店が並び、浴衣を来た人々が行き交う。
わたあめが好きだった記憶はある。
あと、りんご飴は夏祭りで買ってもらった記憶がある。
祭りというものを連想させる時はだいたい夏祭りだ。
中学~大学生ならば文化祭というものあるな。
あれも祭りというものだろう?
私は中学1年の時に3.11 通称、東日本大震災で被災した身だ。
海が近いところでは無かったから津波は無かったものの地震よる影響が顕著に出ていた。
通っていた中学校の校舎が全壊したのだ。
二学期から仮設校舎だったが、
一学期は朝6時半に中学の駐輪場に自転車を止め、バスに乗り、他校へ行く。
学年ごとに違う中学の空き教室を借りて過ごしていた。
それでも学校は行事をなんとかして開催した。
合唱コンクールと文化祭が同日開催だったので、少し大変だったが。
私の学年は毎年、劇をしていた。
私の学年は6クラス。劇に出れるのは他の出し物に参加しない生徒のみ。
私は弦楽部で演奏するので客席から見た事しかないが。
この劇がなんとも面白いとウケていた。
1年は竹取物語。
しかし、翁が光を帯びた竹を気味悪がって火をつける。
そしたら竹の中の姫がビックリして出てくる。
「なにすんだ!てめー!家燃やしたんだから、お前が養え!」
とかなんとか言い、翁の暮らす家に居候する。
2年時は白雪姫。
ただし、この白雪姫、性格に難アリ。
「どうして私に彼氏が出来ないの!?」
と問えば小人の1人が
「そんな性格だからじゃね?」
と辛辣なコメントをする。
早く恋人が欲しい姫は家を飛び出す。
小人の1人が
「そもそも白雪姫ってどんな話だっけ」
とメタイ発言をする。
何故か一緒にいた魔法の鏡がご丁寧に説明する。
カオスすぎる。
3年時は浦島太郎
内容は分からない。
理由は私は弦楽部だと先に言っただろう。
そう、この3年時だけ、弦楽部がチューニング(音合わせ)してる時にやっていたのだ。
高校の文化祭は、高校では美術部だったので
ラミネート加工した栞をプレゼント+その年に描いた絵を展示した。
他の部活を見たりまわったりしたのだろうが、あまり記憶ない。
一般OKの文化祭より生徒のみの文化祭が楽しかったせいだろう。
3日くらい文化祭があったのだ。
クラスの出し物とかカラオケ大会とかなんとかそんな感じのことをした。
けれどやっぱり私に祭りというものは記憶に薄いのだ。
お祭り
あのころはまだ、夏と言っても30度を超えるか超えないかくらいの暑さで、けれども彼は顔を真っ赤にして言った。
「30日の祭りで、告白する、から行かね?」
「え」
行く、と瞬間的に私は答えた。
「浴衣、着てきて欲しい?」
「うん」
「じゃ、そっちも着てきてよ」
「持ってねー」
『次のニュースです。四国地方の記録的な大雨の影響で、30日夜までに5人の遺体が見つかっています。警察は土砂災害等の二次被害を警戒しなから行方不明者の創作を続けています』
私の家は冠水して、近いうちに東京に越すこととなった。
祭りは行われないまま、私たちの夏は彼方へ流されてしまった。
「そっかー、東京出てきてたんだ。連絡先変えちゃってたし全然知らなかった」
「高校の友達とは連絡とってるの?」
「ううん。上京でバタバタしてて、それっきり」
社会人二年目、彼が取引相手として現れたのは全くの偶然だった。
「東京の夏は暑いね」
「あっちの方が南にあるけど、涼しい記憶ある」
「風鈴とか欲しい」
「あね、あんま売ってないかも。こっちでは祭りの屋台とかでしか見たことない」
「あー。行きたいね?祭り」
その言葉に、耳の後ろが熱くなるのを感じた。
「コロナで今ないよ。祭り」
「じゃ。祭り、勝手にやっちゃおうよ」
私の家に帰る途中、彼はコンビニに寄って。
線香花火とコンドーム。
5円のレジ袋の中身を見ないフリした。
もうすぐ恋人になるふたりだ。
「良かったら一緒に行かない? 神社のお祭り」
学校が夏休みに入ってから全く接触もなかったクラスの男子。
課題のために久しぶりに来た図書館で会うとは思ってもいなかった。
さらにお誘いを受けるなんて、青天の霹靂ってやつ?
正面の席に着いた彼は、どこか気恥ずかしそうに私の返事を待つ。
去年と一昨年のお祭りは親友と行ったから、今年もそうなるかな連絡来るかな、なんて考えていた所だ。
まさか、まさかのデートのお誘い。
今まで恋愛とか乗り気になれなかったのもあって、彼氏の一人もいない私。
親友には、男の影が一切ないのもどうなのよ、なんて小馬鹿にされたのもつい最近。
見返してやるべきか、私だってその気になれば!
「悪いけど、友達と一緒に行く予定なの」
「そっか分かった、じゃあね」
残念そうに立ち去る背中を見ながらスマホを取り出し、メッセージアプリを開く。
いつも通り、一緒に遊ぶ予定が立っているはずだ。ついでに話題のネタにしてやろう。
--ねぇ、今年のお祭りさ、待ち合わせどうする?
--ゴメンね、言ってなかった
--何が? まさか行けない?
--最近付き合った人と行くことになった
乱暴に席を立ち、荷物をまとめて彼の姿を追った。
外に出て、目の前の横断歩道の渡った先に見つけるも、何と呼べばいいか分からない。
そういえば名前、何て言うんだったか。
「ちょっと待って!!」
距離があったので叫んでしまったが、幸い周りには人はいない。
立ち止まりこちらを見る彼に勢いのまま叫び続けた。
「予定が変わったの、お祭り一緒に行こう!」
はっきり言って、理由は不純だ。自分のプライドのために彼を利用しようとしている。我ながらなんて奴だ。
親友に見せつけてやろうと、私だってすぐに男を捕まえられることを分からせてやると。
なのに、
「ありがとう!!」
向こうの歩道で頬を赤らめ嬉しそうに笑う姿に強い衝撃を受けた。
心臓の鼓動が早い、顔がやけに熱い、胸が締め付けられるような感覚、一体どうした私!?
ああ、なんて約束したの私。
当日は何を着れば良いの、可愛い浴衣なんて持ってない、髪とかめっちゃ痛んでるし、メイクはまだしもアクセサリーとかバッグとかお祭り向けの良いのあったっけ??
いやいや何考えてるのさ。そもそも名前も連絡先も分からない、顔見知り程度の相手なのに、めっちゃデート楽しみにしてるみたいじゃない!
ああああ、こっちに戻ってくる、めっちゃ嬉しそう可愛い、可愛いじゃない違うそうじゃなくて!!
笑われるの覚悟で相談するしかない??
私より経験値高いんだから乗ってくれるよね!?
親友教えて! こんな時どうすれば良いの!!??