川と田んぼしかない私の町にも、毎年夏のお祭りはあった。
普段は閑散とした町並みもこの日ばかりは人だかりで賑わっていて、みんな今までどこにいたんだと驚いてしまう。
けれどそれは私がまだ小さな子どもだった頃の話で、だんだんと体が大きくなるにつれて、町の祭りが小さく子どもじみたものに感じるようになっていった。
高校生になったある日、私は同級生から祭りの誘いを受ける
そいつとは小学からの同級生で昔はよく遊んでいたのだが、中学に上がってからは全くと言っていいほど疎遠で、顔を合わせればお互いに手を挙げるくらいの仲だった。
祭りに誘ってくれたのは素直に嬉しかったが、なんだかそいつと祭りに行くのが面倒に感じてしまい、ずるずると返事を伸ばして結局最後には断ってしまった。
これは後から知った話なのだが、実は私と一緒に祭りに行きたかったのはそいつではなく、どうやら私と同じクラスの女の子だったみたいで、その子と部活が一緒だったそいつが仲介役として私を誘ったつもりだったらしい。
結局、私が祭りに来ないので仕方なく二人で祭りに行き、なんとそこで二人は付き合ったそうだ。
私がそれを知ったのは二人が付き合った祭りのあとのことで、
まさに、あとの祭りである。
7/28/2023, 4:54:28 PM