みみかゆい

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8/26/2024, 1:29:35 PM

『私の日記帳』

終焉の鐘が鳴る。
黒炎の剣は解き放たれ、この世界は浄土と化した。
遂にラグナロクの時が来たのだ。

黒雲の合間から、赤き月が笑う。

暫くして、天上の世界から次々と翼の使者たちが現れた。
彼らの使命は地上で生き残った人間たちを探すことだ。

捕えられた人々は、神々から永遠の命を与えられる代わりに、永遠の地獄を味わい続けることとなる。
もう、人類に未来はなかった。

いや、そんな結末、この私が許す筈がない。

大地を裂いた黒煙の剣を手にし、私は翼の使者達を次々と薙ぎ払った。
私が剣を振るう度、黒い鮮血が大地を濡らす。
やがて全ての使者を仕留めた私は、最後にその刃を天に振るった。

黒雲は裂かれ、とうとう赤月は姿を現した。

血で黒く染まった剣を月に向け、私は叫ぶ。

「私はお前たちを許さない。しかし、命だけは勘弁してやろう。だから、全てを元に戻せ」


という事が、前日にあったんです。
だから、赤点のことは勘弁してくれませんか、お母さん。

8/26/2024, 3:15:19 AM

向かい合わせ、2人の自分。
一体どちらが本当の私なんだろうか?

乱暴で柄の悪い私が叫ぶ。

「人間は所詮獣だ。本能の儘に赴く俺が本当の姿だ」

穏やかで愛想の良い私が、それを否定する。

「いいえ、人は誰しも心の奥底で慈愛に満ちています。私こそ真実です」

歪み合う2人であるが、
正直、私はどちらとも本当の私であると思っている。

私がそうであるように、きっと他の人もそうなんだと思う。

そう考えるようになってから、
ずっと窮屈に感じていたこの世界が、ほんの少しだけらくになったような気がした。

7/7/2024, 1:48:56 PM

七夕に織姫と彦星が会うように、
年に一度、この日だけは互いにどれだけ忙してくても、
必ず時間を作って会うようにしていた。

思い出の展望台で夜空を眺め、2人の近況を報告しあっていると、
ふと、何か決心した顔つきで、彼が口を開いた。

「なあ、ちょっとだけ、いいか?」
「どうしたの?」

自分から話を切り出した癖に、暫く彼は何も言わなかった。
きっと、言いづらい事なのだろう。

私には、彼が何を話すのか想像が付いていた。
もう付き合って10年経つ。今まで、お互いに浮いた話など幾らでもあった筈だ。
それでもこの関係が今でも続いているのは、やはり互いに好きだから、
少なくとも、私は今でも彼のことが大好きだ。
でも、好きだからこそ、日々が辛い。

こんな関係、終わらせてしまった方がいいに決まってる。

そして再び何かを決心した顔つきで、彼は口を開く。
私も決心した。

「俺と、結婚してください」

「えっ?」

小さな箱から取り出された指輪のダイヤモンドが、
夜空に照らされて、きらきらと輝いていた。

7/1/2024, 1:55:18 PM

窓越しに見えるのは、青い空に白い雲。
なんてことはない、ただの、いつもの景色だ。

けれど、そんな外の世界を眺め、
どうしようもなく渇望してしまうのは、
きっと私が、この閉ざされた空間に僻遠としているからだ。

「それでは、教科書の36ページを開いてくださいね」

早く、自由になりたい。

6/26/2024, 10:37:51 AM

君と最後に会った日は、
さらっとした、とても簡潔な別れ言葉を口にしたように思う。

本音を言うと寂しくて辛かったけど、
それを伝えると、きっと私は重い言葉を吐いて、
君のせっかくの新たな旅立ちだというのに、
それに水を差してしまうんじゃないかと、とても怖かった。

なのに君は、そんな私に対して深々と頭を下げこう言った。


「…長い間、くそお世話になりました!!!」

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