〜お祭り〜
これは昔むかしのお話
山の麓の名もない小さな村に
真面目で働き者の農民たちが暮らしていた
来る日も来る日もせっせと働く姿は
まるで働きアリの様
そんな農民たちも年に一度羽目を外す日がある
そう、お祭りの日だ
普段は真面目な農民たちが
踊り、歌い、笑っている
いつも農民を見守っていた山の神様も
その豹変ぶりに大笑い
あまりにも楽しそうだから
こっそり人に化けて紛れ込む
紛れ込んだのはどうやら神様だけではないようだ
茂みの方から人に化けたキツネも1匹
神様とキツネは顔を見合わせニンマリ
一緒に跳んで回って踊ってみる
あまりの楽しさに我を忘れ踊っていると
農民たちが驚いた顔で踊りを止めている
夢中になりすぎてしまった
神様もキツネも本当の姿に戻っていたのだ
慌てた神様はキツネを抱き上げると
雨を降らせた
農民が気を取られている隙をつき逃げ帰る
その雨は恵の雨となり
それ以降農作物が豊富に育つ村として豊かになった
農民たちは社を建て
その脇に神様の遣いとしてキツネの彫刻を祀り
年に一度のその日を
豊作を願い感謝する大切な日とした
7/28/2023, 6:36:26 PM