『Love you』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あなたと
一緒にいたい。
嬉しい時
楽しい時を
共有したいな
って思うし
辛い時
悲しい時
苦しい時
側で支えたいな
って思う。
あなたが
優しい
愛をくれるから
わたしも
返しきれてないけど
返したいな
って思ってるから。
不満はあるし
多分
色々
喧嘩していくんだろうけど
あなたとの
結婚を
これからも
ずっと
【正解】
にしていくの。
#Love you
君だけを見つめてるよ。
どんな時でも、そばにいてくれたね。
楽しかった時も。
悔しかった時も。
君から離れようとした時も。
ごめんね。
こんなんでもついてきてくれるなんて、やっぱり君には敵わないな。
優しすぎるよ、君は。
包み込んでくれるような暖かい太陽のような優しさに甘えてたんだよな。
ありがとね。
_2024.2.24.「Love you」
"バレーボール"。
今日は大事な日。なんですが、サーブが入るおまじないと応援をハートマークでおねしゃす!自分緊張しいなんです…。
あなたには
わたしのことより
自分のことを愛してほしい
だから I love you.じゃなくて
Love you.を
深夜0:23、鍵をかけながら遅くなっちゃったな、なんて考える。
「すーちゃん、ごめんねぇ、ただいま〜」
返事が返ってこない。
おかしいな、この時間ならまだ寝てないだろうに。お風呂にでも入ってるのかな、と思い風呂場を覗くも入った形跡はあるがすずはもういなかった。
手を洗って、寝室で着替えてからリビングへ行った。だけど、すずはいない。トイレも一応覗いた。いなかった。
これで部屋は全部なので、若干焦りながらメールを確認すると、5時間も前に『今夜ははるちゃんの好きな煮込みハンバーグだよ〜!』と言っていた。えっ、嬉しい!
テンションが上がってすぐに冷蔵庫の扉を開ける。そこにはすずの作った煮込みハンバーグが仰々しく鎮座していた。
いそいそとハンバーグを取り出すと、ラップの上に付箋があることに気づく。メモには
『ドレッシング買ってくるね! らびゅ♡』
とあった。なんだ、らびゅって……。ただ、なんだか可愛らしかったので思わず写真を撮ってしまった。
付箋を剥がして、ラップもふんわりかけ直して、電子レンジに投入する。その少しの間、テレビでも見ようかななんてスイッチをいれたとき、液晶のなかに見慣れた景色が見慣れない光景として映っていた。
「え、ここすぐそこのスーパーの前じゃないの」
パトカーが立ち並び、警察官が大勢の野次馬を規制している様子が、アナウンサーの後ろに伺えた。
まさか、なんて考えた
「本件は、スーパーの前を歩いていた20代女性が路地裏に連れ込まれ、抵抗するも酷い██を受ける。気絶したところ████をさらに加えられ、2時間ほどに渡る████と███により被害者女性が██するという悲惨な事件です。」
「貴方は、本件の被害者である三森すずさんの同居人、青木陽さんで間違いないですか?」
「……」
「お辛いのは分かります、加害者男性にはしっかり罪を償って頂きます。」
「…はい。」
あれから記憶が断片的にしかない。結局その日はハンバーグを食べ損ねて、すずの実家の静岡で葬式をあげるために急いで口に入れたハンバーグは、涙と鼻水で味が分からなかった。
立ち直るのに4年、元の通りに仕事ができるようになるまでもう2年、それから3年経った。毎年欠かさず静岡の墓に線香をあげに行く。朝は必ずあの子の写真に「行ってきます」って言うの。ロック画面はあの時の付箋。
ねぇ、最近部下の子が教えてくれたんだけどね、『らびゅ』って『Love you』の略語らしいね、しかも10年前からあったって言うのよ。9年間も気づかなかった。あなたからの最後の言葉は「愛してる」だったのね。ふふ、行ってきます!
今朝も
君の遺影に囁く
ILove you
# Love you
いいなと思う子は
幼い頃からいた
でもそれが好きという感情で
表現されるとはわからなかった
男の子なのに
あとで振り返ると
彼と友達でいたかったのは
好きに近い感情だったんだなと
振り返ったり
好きだと思っても
伝えられなかったり
受け入れられないことの方が多かった
彼女もできなかった
奥さんに出会うまでは
彼女に出会い
初めて好きということが受け入れられた
Love you
はずかしいけどさ。
嫌なわけじゃないよ。
バレンタインの日、
ちっちゃなしかくい赤の箱に
黄色いリボンがかかっている。
「好きな色、覚えてたんだ。」
リボンを解いて開ける。
中にはかわいらしい手作りのチョコ。
それも、ひとつひとつ形が違う。
「なにこれ、可愛すぎる。」
私の、大好きな人。
私の、気が合う人。
私の、大切な人。
不思議だな。
バレンタインは女の子が大好きな
男の子にチョコを上げるんじゃない?
なのに、
どうしてこんなに嬉しいんだろ。
去年、
「来年は君もバレンタインを作ること!」
って。
冗談交じりに言ったの、覚えてたんだ。
本当に、作ってくれたんだ。
そんなことを考えてるであろう君が、
耳まで赤くして立ち尽くしている君が、
大好きでたまらない。
そんな君からもらった、
バレンタインチョコ。
Iを入れ忘れたのかな?
でも伝わるよ。
「LoveYou」
呼吸を合わせる
絡ませた瞳と瞳
囁く言葉の愛は
夜空の向こう側
生まれたものが
真実かどうかは
分からないケド
夜の静寂の魔法
その時だけでも
『LoveYou』
僕は最初助けてから入った
そこから君への感情がILoveyouに変わるまでは時間がかからなかった
今は変化をしてILoveyouだけでは足りない感情が産まれている
僕を変えたのは君だ
君が僕を光の世界へ連れ出してくれた
ありがとう
あなただ、あなただ、と繰り返し秘した胸が私を愛してくれもした
「あい らぶ ゆー。」
いきなり、後ろから肩を叩かれて、そんな言葉を言われたのは、初めてだった。しかも、六つも年下の女の子に。
「え、っと。ありがとう」
とりあえず、どうにかこうにかと口の中から言葉をはき出す。
「いいえ、こちらこそ、です」
そんな飾り気のない言葉を、涼しい顔で言いのけるわりに、両耳は真っ赤に染まっている。よく見ると、目線は決してこちらに合わせないで、グルグルグルグルと私を中心に円を描いている。
「こんな踏切の真ん中で話すのもなんだからさ、ちょっと座って話さない?」
天下の往来で見世物になるのはゴメンだと、瞬時に道路の向かい側にある閑散とした公園を発見した私の脳みそ。そちらを指差し促すと、彼女はロボットのごとき直角運動で、公園に向かい歩き出す。
前を歩く彼女に顔を見られないのをいいことに、今更になって身体が熱くなるのを感じる。きっと、今の私は両耳どころか、首まで紅葉しているだろう。
公園には、少し塗装の剥げたベンチがあり、そこに二人で並んで座る。
「こうして、ちゃんと話すのも久しぶりだね。元気にしてた?」
我ながらテンプレートな質問だとは思うが、彼女と会うのは本当に久方ぶりで、前回会ったのはもう半年前だろうか。この半年でずいぶん伸びた後ろ髪は、髪飾りでくくられ、ポニーテールと呼ぶには少し低い位置で結ばれていた。
「元気かといわれると、あまり元気ではありませんでしたが、今は元気です」
なんだか、答えになっているのだか、いないのだか。煙に巻いたような回答が、正面を向いたままの彼女から返ってくる。まぁでも、今現在は元気ということなら、それはそれで良しとしよう。
「その髪飾り、使ってくれてるんだね。嬉しいな」
彼女の髪をくくるそれは、私が半年前に誕生日プレゼントとして、贈ったものだ。そのときは、まだ彼女の髪も短く、使うのもだいぶ先だろうな、と考えていたことを思い出す。というか、そもそもすぐに使えない物をプレゼントするなよ、と今更ながら過去の自分に苦言を呈す。
「部活を引退したばかりのころはダメでしたけど、最近になって、ようやく着けても様になる長さになってきたんです」
丁寧に手入れをしていることがうかがえる黒髪は、彼女の生真面目さをよく表しており、思わず手のひらでそっと撫でたくなる。
「撫でてくれても、いいんですよ。昔みたいに」
私の気持ちを知ってか知らずか、こちらに向き直った彼女の口元は、からかいと本音の狭間のような、なんとも言えない角度で笑いかけてくる。
「子どもあつかいされるのをあんなに嫌がっていたのに、ずいぶん大人になったね」
悪戯心でそう返すと、一転フグのように頬を膨らませ、ムッとした表情になる。普段はあまり表情の変化を見せない彼女だが、昔からむくれた顔だけは見事なものだ。この可愛らしい変化を見るために、ついついからかいが過ぎてしまう。
「ごめん、ごめん。本当に大人になったと思っているんだよ。その髪飾りもよく似合っているし、目の前にこんなに可愛い女の子がいきなり現れたから、私も戸惑っているんだ」
そう伝えると、彼女の顔が、首から順にグラデーションのように染まっていく。これはフグではなくタコだな、なんて戯言は飲み込む。
「 」
口は動いているけれど、言葉は出ない。そんな逆パントマイムをしばらく見ていると、落ち着くためだろうか、彼女が数度深呼吸を繰り返す。
「ご、ごめんね。なんか、その、ごめん」
こんな反応をするとは思わなかったものだから、兎にも角にも先手で謝っておくのが吉だろう。
「べ、別に全然、ごめんじゃないです、悪くないです。こちらこそ、その、いきなりごめんなさいです。さっきも出会い頭に変なこと言って」
俯きながら言葉を紡ぎ出す彼女の表情は、半年前とちがって、前髪に隠れてしまってよく見えない。
「いや、さっきも言ったけど、ありがとう、というか嬉しいのは本当だよ。嘘じゃないよ」
可愛い女の子から、愛してる、なんて言われて嬉しくないなんてことは、あまりないだろう。そこに込められた意味は置いておくとして。
「私、もう三月だから、卒業してどこか遠くに行っちゃう前に、とにかく次に会ったら言おうと決めてたんです。愛、してるって。」
「英語だったけどね」
「それは緊張しすぎて!だって、全然心の準備出来てないのに!いきなり目の前にいるから!」
「それは、うちのアパートと大学の間の通学路だから、いきなりってこともないと思うけどね」
そう言いながら、そういえば最近、卒業前の締めの大掃除で、大学に行くのも久しぶりだったな、と思い当たる。一部屋しかないはずのアパートの部屋から、信じられないほどの段ボールの山が運び出される光景は、まるでマジシャンの帽子から次々飛び出す鳩のようだった。
「言語がちがっても、想いが同じならいいんです!気持ちが大事なんです!」
「うんうん、そうだよね。その通りだ。ありがとう」
「また!そうやって、はぐらかす!」
はぐらかしているつもりはないんだけれど、なんと言うのが適切なのか。わかりかねていると、今度はしっかり正面に瞳を向けて、彼女は言葉を紡ぐ。
「だっていつも私には、君は誰からも愛される良い子だって言ったり、愛されていて幸せだねって言ったり、そう言ってくれるけど」
はっきりと、しっかりと、言葉を繋ぐ。
「でも、愛されているのは、先輩だって同じだよ!少なくとも、私は愛してる!先輩は私に愛されてるから、幸せになれるんだよ!」
顔を背けたい、だけど彼女の瞳からは目をそらすことが出来ない。
「だから、生きて!ちゃんと私のこと見てて!もっとこの髪飾りが似合うようになるまで、ずっと!」
私も、前髪が長ければ、この止めることの出来ない涙も、まともに言葉を紡げない震えた唇も、恥ずかしい全部を、隠せたのだろうか。
「・・・・・・・・・・・・うん。ありがとう。」
ようやくしぼりだせた言葉は、私も、彼女も、少し幸せにさせてくれた。
改めて振り返ってみると、そりゃあ踏切の真ん中でずっと佇んでいる人間を見れば、彼女じゃなくとも驚くし、声をかけずにはいられないに決まっている。
私にとって幸運だったのは、やってきたのがぼうと待っていた電車ではなく、可愛い可愛い彼女だったことだろう。
明日も明後日も、何もわからない人生だけど、とりあえず、立つ鳥跡を濁さずとリサイクルショップに売り払った大量の段ボールたちを取り戻すことから始めよう。
『Love you』 2024.2.23.Fri
※BL二次創作『A3!』より 卯木千景×茅ヶ崎至
◆◆◆
それは、珍しく二人とも定時に上がれそうな日のことだった。
珍しく急ぎの案件がなく、珍しく忙しくもなく、本当に珍しく、何事もなく定時を迎えることができたのだった。
茅ヶ崎からのLIMEには、
『久しぶりに飲みに行きましょ。先輩の奢りで』
と、冗談めかして書いてあった。
やれやれ、なんて思いながら返事を打っていれば、隣のデスクの同僚に「卯木がそんな顔するなんて珍しいな。……さては、女か?」などとにやけた顔で声をかけられる始末だった。
つまり。
珍しく、本当に珍しく、柄にもなく、浮かれていた、のだと、思う。
……多分。
◇◇◇
「あー……の、……せん、ぱい?」
「うん?」
やばい、やばいやばいやばい。ナニコレ、どういう状況??? 悲報。茅ヶ崎至、二十五歳成人済み男性、過労の末ついに幻覚を見始めた模様。春組のみんな、カンパニーのみんな、今までありがとう、いたるくんもうダメかも。
オタク特有の早口が脳内を駆け回る。俺にはキャパオーバーです誰か助けて。
一体何が、これほどまでに俺を動揺させているのか。その原因は明白。目の前のこの人、普段はノーロマン極まりないはずの先輩の挙動である。いつもはザルかワクかと言うくらい、全然酔った姿を見せないくせに、(見せるとしても寮の談話室か一〇三号室の中でだけのくせに、)なにがなんだかわからないが、珍しく、本当に珍しく、外で酔っているらしい。
本当か? 俺をからかうために演技してるんじゃないか? なんて、何度も疑ったのだが。多分、恐らく、きっと、……〝マジ〟である。
その証拠に、先程から握られている俺の左手は開放される素振りを見せないし、触れる指から伝わる体温はいつもよりあからさまに高いし、いつも涼しげな目元は誰から見てもわかるほどゆるりと緩んでいる。
外から見えにくい席で良かった。こんなものをそこらのご婦人方に晒したら卒倒してしまう。……俺も卒倒しそう。
これが演技であってたまるか。
「あ、の……」
「うん」
「手……」
「うん?」
微笑むな! いや、いいんです、いいんですけど! 俺が静かにパニックを起こしている間にも、追い打ちをかけるかのように、握られた手の指がするりと絡められていく。きゅ、と力を入れられれば、小さくびくりと肩を跳ねさせてしまい、目の前の男からふ、と声がこぼれる。
恥ずかしいやら悔しいやら腹立たしいやらで、俺の耳はみるみるうちに赤くなる。二十歳超えた男の赤面なんて見ても楽しくないだろうに、先輩コノヤロウはなぜだか心底楽しそうに俺の顔を見つめている。
いや別にね、普段はもっとすごいあれやこれやをしている訳ですし、今更手を繋いだくらいで赤面するほどウブじゃないですよ、ええ。でも相手はあの外面完璧先輩であって、普段は外でこんなことはしない人であって、あの、その……アルコールのせい、ということにさせて欲しい。
いや、ほんとに、マジで。
「あのぉ~……」
「うん」
「そろそろ離してもらえたりは……」
「うん」
「だめだこりゃ」
「はは、ダメなの?」
やっと「うん」と「うん?」以外の言葉を吐いたかと思えば、握った左手を引き寄せられ、口元へと持っていかれる。
あ。
と思った時にはもう俺の指先に先輩の唇が触れていた。
ふに、と押し付けられただけの接触。だが、俺はとんでもない速度で自分の手を引っこ抜く。指先に残る他人の皮膚の感触が、じんじんと熱を帯び、痺れが広がっていく。その刺激が、感覚が、脳内を侵し尽くす前に、己の左手を守るように右手で覆い隠す。広がる感触を揉み消すように、何度も何度も自分の指を擦り合わせる。
なにしてくれやがるんですか、いやほんとにマジで。
数刻前から語彙力の低下が著しい。マジで同じことしか言ってない、マジで。それもこれも全部先輩が悪い。本当に、マジでなんなの。
「逃げちゃった」
「そりゃあ逃げますよ」
「どうして」
「どうして、って……」
どうしてもクソもない。わざわざ言う必要も無いくらい、分かりきった答えだ。
「ここ、外、ですし……」
「別に見えないよ」
「そういう問題じゃ……」
先輩はグラスに残るアルコールを口に含み、くっ、と飲み干してしまう。果たしてこの状態から更に酒を飲んでも大丈夫なのだろうか。
一周まわって心配になってくる。もしかして体調が悪かったんじゃないだろうか、とか、俺より先輩の方が激務なんだからそのまま直帰して休んでもらった方が良かったんじゃないか、とか。疲れが溜まっていたせいで悪酔いというやつをしているんじゃないか、なんてことをぐるぐると悩み始める。
しかし、そんなことを考える健気な後輩――つまり俺――をおいてけぼりにして、先輩の酔いはさらに進んでしまったようだ。
「I kn…… I d…… ……l …… this …… beca…… I'm al…… …… f…… …… y……, but you …… a lot …… me.」
「は」
耳に飛び込んできた日本語じゃない言語に素で焦る。
――あ、やばい、これ先輩マジの泥酔だ。
顔を見ればゆるゆるの目をして俺の事を真っ直ぐに見つめている。さも愛しげな眼差しを俺に向けてくる。早く口を閉じさせなければ、どんな言葉が飛び出てくるか分かったものではないというのに、俺の身体はロックでもかけられたかのように、かちんと固まってしまう。
「Of course, a…… a m…… of the 春組 and …… a lo……, you are th…… l…… of my l…….」
「いや、待て待て待て」
それなりにそれなりの能力を持っていなければ商社勤めなど出来ない。てか、多分就職すらできない。
俺は今猛烈に、英語を聞き取れてしまう己の脳みそを恨んだ。
意味が、分かってしまう。初めの方こそ急な言語チェンジに脳が追いつかなかったが、すぐに順応を始めてしまう。耳が、脳が、先輩の言うことを理解してしまう。
「 I usually can't say it, but today I feel like I can because I'm in a good mood. ……Will you listen to me?」
「ひ、ひぇ……」
もう息も絶え絶えである。どうしろと言うのか。
いや、嬉しくない訳では無いというかめちゃくちゃ嬉しいというか普段見られない貴重な先輩のデレはマジで嬉しいが英語という言語の性質のせいか普段とのギャップのせいかあまりにもストレートすぎるというか、いや、あの、どぅ……ぇ……
「Love you, Itaru.」
「 」
絶句。
殺してくれ。いや、もう既に死んでいる。
茅ヶ崎至、享年二十五歳、死因恥ずか死。
水を奪われた魚のように、何度か口をぱくぱくと動かす。当のご本人様はというと、普段言えないことを言えてご満悦とばかりに、ふわりと微笑んでいらっしゃる。酔っ払いは呑気でいいですね。お陰様で茅ヶ崎の心臓は大変なことになってますよ、ええ。
はくはくと何度か空気を吸い、何度も言葉を言いあぐねて、最終的に捻り出した言葉は、
「ありがとう、ござい、ます……デス」
「……はは」
茶化してやろうとか、反撃してやろうとか、いろんな、本当にいろんなことが頭の中を駆け巡ったが、結局一番伝えたいと思ったのは「嬉しい」ということだった。
嬉しい。嬉しいのだ。嬉しいより恥ずかしいの方がデカいけど、間違いなく嬉しかった。
いつもの軽口を言い合ったり、ちょっとした駆け引きめいた言葉の応酬だったり……。そういうので、別に俺は満足していた。それが先輩なりのコミュニケーションで、素直じゃない――素直になれない――先輩の精一杯の愛情表現だって思ってたから。
そんな先輩が、いつもは言えないようなことを、お酒と英語の力を借りてだけど、言ってくれた……そんなの、嬉しくないわけがない。
俺は当分、下手したら一生、先輩からのストレートな愛の言葉なんて聞けないと思ってたわけ。まあ? 俺のような一般人が踏み込めないような? 複雑な事情とやらが? あるようだし? なんて妄想をしながらさ、「だから俺がたくさん言えばいいよね」って思ってたわけ。別に言ってくれなくても態度でめちゃくちゃ示されてるし。
ああ、もう。急にデレるからほとんど記憶が飛んじゃったじゃないですか。せっかくなら一言一句まで覚えていたかったのに。
俺はようやく暴れ回る心臓を鎮めて、小さな声で先輩に告げる。
「俺も、……です」
「うん」
ここが外じゃなければ濃厚なキスのひとつでもするところなのに。先輩のアホ、ほんとに覚えとけよマジで。
口に出す気もさらさらない言葉を延々と心の中で唱えていれば、先輩の方もようやく少し酔いが覚めてきたようで。
「あー、……茅ヶ崎」
「……はい」
「………………水」
「……ふ、ふふ、はい」
珍しく、あーだかうーだかよく分からない声を上げながら、眼鏡を外して片手で目を覆ってしまう先輩。今日は何から何まで珍しい尽くしだ。あの、そう、あの! いつでもどこでもクールガイな先輩が、どうやら照れているらしい。
人間とは面白い生き物で、目の前に自分より緊張している奴が居れば自分の緊張は解けるし、自分より照れている奴が居れば自分の照れは引くらしい。
水の入ったグラスを差し出すと、ようやく目を覆っていた手を離す先輩。俺からグラスを受け取り、きまり悪そうにちびちびと水を飲む姿がまたおかしい。おかしいというか……可愛い。
「…………酔っちゃった」
「ふはっ……帰りたくない?」
「ううん、今すぐ帰りたい」
「ぶふっ……逆に、積極的ですね……ふ、はは」
ようやく少しだけいつものペースに戻ってくる。お互い真っ赤な顔をして、傍から見れば立派な酔っ払い×2だ。
「明日大雪降ったら先輩のせいですよ」
「雹も降るかも」
「うへえ、勘弁」
くすりとお互い笑い合う。
さあて、酔っちゃった千景ちゃんをきちんと寮までお持ち帰りしないとな。(実質お持ち帰りされてるのは俺の方だけど)
なんて、内心一人ツッコミをかましながら、久方ぶりの恋人とのサシ飲みを終えたのであった。
ちゃんちゃん。
◆◆◆
「おはよう」
「…………おはようございます」
茅ヶ崎の視線がベッドの上から降り注ぐ。何か言いたげな空気を醸し出している。
俺はチェアから見上げて水を向けてやる。
「なにかな」
「いえ別に」
「別にって感じには見えないけど」
「…………」
茅ヶ崎は大変不満そうな目でこちらを見てくる。「ジト目」のお手本のような顔だ。
「……先輩はなんにもなかった、みたいな顔してますけど、俺は覚えてますからね」
なるほど。俺が昨日の今日で平然としていたのがお気に召さなかったらしい。どう考えたっていつまでも照れてるような人間じゃないってわかってるだろうに。
「茅ヶ崎」
「茅ヶ崎は二度寝モードに入りました」
覗いていた顔は引っ込んでいる。どうやらすっぽりと布団を被ってしまったようだ。大方自分で言って恥ずかしくなったのだろう。
忙しない奴だ。
だが、俺は茅ヶ崎のいじらしさを感じて、どうにも構ってやりたくて仕方がなくなってしまった。
それこそ昨日の今日なのだから、「たまには言ってください」とか「普段からもう少し素直に」とか、いくらでも要求することはできるだろうに。こいつが言ったのは「俺は覚えてる」という宣言だけだ。
俺に求めてこないのは俺のせいだし、こいつの物分りの良さのせいでもあるだろう。だが、それでも、忘れてやらないと言った茅ヶ崎が、無性にいじらしく感じたのだ。
俺は梯子に足をかけ、茅ヶ崎の方のベッドへと上がる。
ぺろりと布団をめくるが、特に抵抗はない。抵抗はないが、背中をこちらに向け、二度寝モードとやらを継続しているようだ。
「茅ヶ崎」
「……ぐぅ」
「ふ」
支配人でももう少しマシな狸寝入りができるだろう。
後ろから見える真っ赤な耳に唇を寄せる。
「 」
「うひゃあ」
耳を抑えて跳ね起きる茅ヶ崎。あんまり暴れると天井に頭ぶつけるぞ。
「な、な、は、」
「別に、なかったことになんかしないよ」
意味を成さない音を吐き出す茅ヶ崎に言い聞かせるように、言葉を紡ぐ。
どんな表情を浮かべるか少し悩む。悩んで、困ったように眉を下げ、気の抜けた笑みをこぼす。
「ちょっと恥ずかしいけどね」
「……せ」
「せ?」
「先輩はズルい!!!」
「ははは」
キッ、と睨む顔さえ可愛いのだ。間違いなく重症なのはこちらの方だろう。
耳を押さえたまま壁際まで後ずさった茅ヶ崎を追って、ベッドの上へと侵入する。ぎし、と音をさせながら近付き、茅ヶ崎を囲い込む。
「ズルい俺も好きでしょ?」
「…………いっそ殺してくれ」
「あはは」
唇に触れるだけのキスをして、茅ヶ崎を抱えながら布団に倒れ込む。俺は一体いつからこんなにバカになったんだろうか。
珍しく定時に上がれて、珍しく浮かれて、珍しく酔っ払って、珍しく素直になった、そんな珍しい日の次の日に、珍しくバカになってみるのも、悪くはないかなって、思ったんだ。
それだけ。
『いつもからかってばっかりであんまり伝えられてないけど、俺はお前のことをすごく大事に思ってるよ』
『もちろん春組の家族としてもそうだし、恋人として、最愛の人だと思ってる』
『普段は言えないけど、今日はなんだか気分がいいから言えそうなんだ。聞いてくれる?』
『Love you, Itaru.』
Love you 誰かに向けて言ったことがありません
最初はキミを利用するつもりだった。眩いキミの光を喰らえば、この苦しみから解放されると思ってキミに近づいた。
孤独だったキミは単純でボクをすぐに信用した。
けれど、共に居るうちに情が湧いてきてしまい、いつしかキミのことを大切な存在だと思うようになっていた。
__ボクはキミのことを好きになってしまった。
嗚呼、なんて愚かで滑稽なことだろう!!
それでもボクの身体はキミの光を求め続けるのだ!
これはキミを利用しようとしたボクへの罰だ。それでもこの罪は償いきれないだろう。
ならいっそ、この身が闇に染まってもキミを愛し続け、身体を焦がし続けよう。
【Love you】🏵️
„I love you”―海外でよく聞く直球な愛の伝え方にも興奮するが、「月が綺麗ですね」という遠回しな伝え方にもまた、静けさの中に燃えるような情熱が潜んでいるようで、乙女心がくすぐられる。
【Love you】
『何でって?君のことが好きだからさ!』
それらしく笑い掛けながら言っていた、これは建前。
『私に近付けば何か良い事でもあるんじゃないかと思ってたんでしょ。』
そう、これが本音。
『まーどっちでも良いじゃん。』
いや待て、果たして本当にそれが本音だったのだろうか…?
今、何がしたいのか全く分からなくなってしまって、初めの頃を何度も思い返す。
『君のことが好きだから…』
これは確かに建前だった筈だ。
『近付けば何か良い事でもあるんじゃないかと思って…』
これは本当に本音であり、私はただ単に損せず賢く生き延びたかっただけなのだとしたら、私は何故彼女にずっと付き纏っていたのだろうか。
冷静に考えてみるとおかしい、彼女の雇い主と接触したタイミングでさっさとそちら側に取り入っていれば、こんな風に自らを危険に晒すような路を往く必要なんか無かったろうに。
人は誰しも間違いを犯すものだとは言えど、これは奇妙だと思った。
無いのだ、彼女を切り捨てるという発想に至った記憶が、それはもう不気味なほどに。
本当の本音はどこに消えてしまったのだろうか。初めから建前しか存在しなかったのだろうか。
そうなのかも知れない。ずっと建前ばかりを余計に飾って生きてきたものだから、それに愛想を尽かした本音はもうどこか遠い所へ行ってしまったのだと言われても、納得が行く。
それじゃあ殆ど、建前が本音みたいなものか。
これまで自分の中での建前上本音とされていた事、建前上の本音の為に作られた建前、その全てが私の中でひっくり返っていくような、そんな音が聞こえた気がした。
『まーどっちでも良いじゃん。』
何が本音で何が建前なのか分からない私は、いつものようにそれを建前らしく言った。
「君のことが好きだからさ!」
アメリカのドラマ好きでよく観るんですけど、めちゃI love you言う。めちゃくちゃ言う。これは多分ドラマだからとかじゃなく文化。愛のド直球言語化文化。恋人とか伴侶だけじゃなく、親子間兄弟間でもI love youとlove you tooを交わす。電話の切り際とかにサラッと交わす。し、頭にキスとかする。言葉にもするし行動もする。わかりやすくていいな。日本の奥ゆかしさとかあえて遠回りする表現もいいと思うけど、自分には結構難しいっぽい。サノバビッチもアイラビューもサラッと言いたい。だから何やねんいう話ですわ
いつも自由奔放で好奇心の塊みたいにいろんな事に目を輝かせていたね。
食べる事が大好きで丸みをおびた柔らかい体に触れるのがとても好きでした。
家に帰るといつも嬉しそうに出迎えてくれたけれど、出かける時は寂しいのかそっぽを向いていた事を覚えています。
年を取って体が弱くなってだんだんと出かける回数も減って…それでも帰ると変わらずに出迎えてくれたね。
君と最後に会った時は家を出る時はいつもは見送りをしてくれないのに、玄関まで出てきて顔をじっと見つめてきたから不思議だった。
まさかあれが最後になるなんて思わなかったんだ。
もっとたくさん一緒にいてあげられたら良かった。
何をするにも全力だった君。
でももう少しゆっくりしていって欲しかったよ。
もう会うことは出来ないけれど、それでも私は君といれた時間はとても幸せでした。
君はどうだったかな?
少しでも幸せでいてくれたなら嬉しいです。
ずっと忘れない。
愛犬、私の愛娘のさくらへ。愛を込めて。
『Love you』
出逢いはとにかく最悪だった。
新しい職場では、土曜日の業務終了後、全スタッフ合同で、技術力向上のための勉強会が行われていた。
その勉強会の前に全員注文している仕出し弁当があったのだが、それを注文するとかしないとかの件で少々もめた。
その担当者が、彼だった。
外食も出来合いの弁当も、肉料理が多い。
小学2年生で肉を食べらなくなった私は、相手の気分を害さないように丁寧にお断りをした。
つもりだった。
しかし先輩は「私以外全員頼んでいるから、私にも頼んで欲しい」と言ってくる。
一人だけ違う人がいると面倒だというのだ。
驚いた。
一手間取らせるのは間違いないが、そこまで大きな手間か?
これって「自分の仕事を増やすな」という意味も含むよね。
バカ正直か。
本心で話す人なのは分かったけど、
言葉の選び方、悪くね?
軽い口論の末、
申し訳ないが、我を通させてもらった。
その頃貧乏学生で、食費月5千円で生活していた私にとって、1個5百円の弁当代は高かった。しかも半分くらいは食べられないのが分かっているので、ここはどうしても譲れなかった。
学生アルバイトのくせに、生粋だと思っただろう。
しかし、後になって聞いてみると、この時、面白いやつだと思ったらしい。
口論の元となった「肉を食べない」も、私に興味を持った理由の一つだというのだ。
それを聞いて、本当にバカらしくなった。
あの口論は何だったの?
何がどう縁に繋がったのだか。
あれから、ずいぶん長い付き合いになった。
私から「好きです」と言ってないし、
彼から「付き合ってください」とも言われていない。
一緒にいる時間が長くなり、いつの間にか隣にいた。
完全に伝えるタイミングを失ってしまった言葉。
今頃言い出したら、ぶん殴る。
〝Love you〟
どれだけの人が、愛を1日に伝えているのだろう。
映画なんかでよく聞く、Love you.
日本人の私からしたらキザだなんて思うのだけれど、
現地の人はどんなふうに思っているのか。
なんにせよ、ゆっくり愛の言葉を囁けるのが、
結局は幸せなんだろうな。