『鳥のように』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
誰もいない空間
空っぽな自分とただただみんなを照らす空
空高く飛ぶ鳥に釘付けになる
夢中で追いかけた
そこになにかが待っているのかもしれない
自分を満たしてくれる物があるかもしれない
そうやって追いかけた
しばらくすると そこに足場はなかった
落ちた衝撃と共に目を覚ます
またか
そうやって生きている
今日も空っぽな自分だ
【鳥のように】
「えー……お祖母様のこと?」
上を向いた視線が、左から右へきょろりと動く。
「自己肯定感の高さも、半端ないよ。強くていいよね、色んな意味で」
グラスの氷を、ストローでぐるぐるとかき混ぜるだけかき混ぜて、ため息をつく。
「『鳥のように自由に生きたかった』とか! 言うけど! いやいやいや……好きなことやってストレスフリーだよ。周りにいる人間のこと、なんも考えてない。迷惑だって気づいてない。お姫様も大概にして欲しいよ。大した家柄でもないのに。時代錯誤もいいとこ」
つけつけ言って、さっぱりしたのか、グラスのアイスティーを一気に飲み干す。
「ごめん、いつもいつも。お祖母様のことになるとダメだ」
「いや、聞いたのこっちだし」
「で、なに? ラスボス、攻略するの」
半ば冗談で尋ねると、苦笑いが返ってくる。
「まったく、倒せる気がしない」
「だよね〜」
ボヤくと、「『お祖母様』って言うのな」と面白そうな顔になる。
「あぁ、そこ? 本人の希望なんだよ。外にいてもついクセで。でも、攻略されたらされたで、悲しいかな」
「しないって」
空模様
くるんと回ると、スカートの裾がふわりと広がる。
そのままくるくる空と大地の狭間で踊ると、ふっと身体が宙に浮いて、そのまま空の中で踊り始めた。
煌めく星のリボンで髪を結い、夜明け色のブラウスと、空模様のスカートを身につけて、水たまりみたいな靴を履いた、空の少女は、くるくるくるくる踊り続けた。
夕焼けも夜更けも朝焼けも超えて、飽きる事なく踊り続けた。
くるくるくるくる登り続けて、そのうち空に溶けて消えた。
鏡
「世界で一番美しいのはだあれ?」
「それは私です」
「……んっんん。もう一度聞くわ。世界で一番美しいのは」
「私です」
「何でよ」
「世界で一番美しい人が私の前に立ったら、私にその人が映る。ということは、私が世界一美しいということです」
「同率一位じゃん。ていうかあんた鏡でしょうが」
「鏡としても世界で一番美しい自信があります」
「人間では?」
「私です」
「じゃあ鳥なら?」
「私ですね」
「ずっる! 全部あんたじゃん!」
軽やかな思考になる
鳥のように
ふんわりと柔らかな
鳥の羽のように
優美になる
大空を舞う鳥のように
風の流れに身を任せ
羽ばたいていこう
鳥のように
まだまだこれから
何も恐れることはない
前だけ向いて飛んでいこう
鳥のように
弟しては、鳥の様だと表現されたのが、癪に障ったのだろう。
『私には翼は無い!彼ら
私は、生き物が好きだ。
動物園の香りは苦手だが、世間の言う『キモい』に該当するような見た目でも普通に可愛いと思って見れる。
今回のお題は、『鳥のように』。
みんなは、鳥と聞いてどう思うだろうか?
鳥、というと、空を自由に飛んでいる姿を想像する。
将来は、空を自由に飛ぶ鳥のように、のびのびと生きてみたいものだ。
この世界には制約が多すぎる。
必要最低限、人をやったりとかはしないよう、ルールを設ける必要があるが、本当に必要最低限だ。1日くらい、『これだけはないと困る』って法律だけで生きてみたい。
まあ、私は政治家になるつもりないんですけどね。
コンクリートが砕けてボコボコになった道。
辺り一面の田んぼ道をゆっくり歩く。
時折、髪をなびかせる風が吹く。
ふと空を見上げる。
昔、空を飛んでみたくて、
家の裏でこっそりと
ホウキにまたがってみた事を思い出す。
あの時は、黒い服に黒猫がいなかったから
飛べなかったんだ!
と、少女のような事を考えながら
心地よい風を感じている。
あー、私も鳥のように空を飛べたらなぁ…
もう一度、ホウキにまたがってみようかな?
黒い服を着て…
#鳥のように 8/21
鳥のように
綺麗な羽を広げ
愛の唄を歌い
あなたと共に空を舞ったら
どんなに幸せだろう
先に旅立ったあなたと
もう一度ワルツを踊ろう
七つの海を渡ろう
その先にある宝を目指して
船は要らないさ
私たちには翼がある
#鳥のように
「鳥のように」
今日も鳥は元気に、うるさいほどにさえずっている。
辛い仕事が終わり、帰宅ラッシュの満員電車も乗り越えて、俺は最寄り駅に到着した。その最寄り駅では毎夜街路樹に鳥の大群が群がっていて、俺はほとほと辟易している。数えきれないほど多くの鳥を含んでいる街路樹は、その真っ黒い影をゆらゆら揺らめかしていて不気味だ。鳥は迷惑だ。まず、うるさい。次に、朝出勤しようと駅に来ると道がフンでびっしりになっていて汚い。あと、なんかむかつく。
俺は毎日、死にてー、とつぶやきながら仕事を頑張っているのに、鳥はきっと死にたいなんて思った事は無く、自由に飛んで、さえずって、フンをしている。俺は人にどう思われているのか気になって仕方ないのに、鳥はそんなこと全く考えていないだろう。そのことがむかつく。そして、これは憧れでもあるんだろう。俺も仕事なんてしないでただ本能に任せて、何も気にせず、鳥のように生きられたらよかったのに。人間なんて全くくそくらえだ。世の不条理さに腹が立って、怒りのままにずんずん歩いていると、石に躓いてすっころんだ。かたくて鳥フンだらけの道に頭から落っこちる。
「いってぇ~……」
ぱっと起き上がれないくらい痛かったが、口から出たのは小さな悲鳴だけだった。こんな時でも、急に叫んだら変な人だって思われるかなぁ、なんて人の目を気にする自分に笑いが込み上げる。痛いときくらい思いっきり叫べよ。どうせ誰も俺の事なんて気にしてないだろ。現に人ごみの中でこんなに思いっきりすっ転んで痛そうなのに、みんな見て見ぬふりじゃないか。恨み節を吐くうちに、だんだん意識が遠くなってきた。どうも悪いところを打ってしまったようだった。人々の喧騒が聞こえなくなっていく。ああ、誰か俺のことを心配してくれればいいのに。そう思ったのを最後に、俺の思考はぷつんと途切れた。
「おーいこんないい天気の時に寝てんじゃねえよ、お前は誰が好きなんだよ!」
突然キンキンとうるさい声に怒鳴られ、何か硬くて細いもので腕を殴られて目が覚めた。
「うるさいな寝かせてくれよ、忙しくて恋なんてしてる暇ないんだよ」
イラっとして反射的に言い返してからぱちりと目を開け、俺は信じられない光景を見た。
まずここ、めっちゃ高い。俺は三階建てのビルくらい高いところにはってある細い糸の上に立っているのだ。こわ!そして周りは鳥だらけ。胸焼けするほどに鳥がいる。最後に殴られた腕を見てみると、そこに腕は無かった。あるのはふわふわした茶色い羽毛である。
「おい黙ってんなよ。お前それでも鳥か?鳥は一秒も休まずにしゃべってるもんだぜ」
俺に話しかけているのも鳥。どうやら俺は鳥になってしまったようだ。とんでもない事だが、俺は妙に冷静だった。多分これは夢だ。
「俺の一推しはあの子だな、ほら、あのひときわ毛並みのつやがいいメスだよ」
諦めずに話しかけてくる鳥が遠くを指さす。確かに他の鳥に比べてつやつやした鳥がいる。
「ああ……まあいいんじゃないの」
われながら気のない返事だ。でも俺は恋バナに全く興味がないのでしょうがないだろう。恋する気持ちは、つらくてたまらない仕事を何とかこなしているうちにどこかに行ってしまった。
「そんな返事ねえだろぉー⁉つまんねえな。お前は誰が好き……ってあっ、美味そうなもん見っけ!」
いうやいなやばさばさと飛び立った。やれやれ、忙しいやつ。鳥ってみんなこんな感じなのか。
俺はしばらくぼーっとしていた。俺がいるのは電線の上らしかった。鳥たちはあわただしく飛んで行ったり戻ってきたり、誰かと話していたかと思えば違う鳥と話し始めたりとせわしない。最初は引き気味で眺めていたが、どうせ夢なんだから俺も自由にやろうと思いついた。
とりあえず飛んでみる。思ったよりも気持ちがいい。次にちゅんちゅんと鳴いてみた。周りがうるさいので、心置きなく鳴ける。鳥たちは俺の事なんて全く気にしていなかった。かと思えば、初めて会う鳥がいつの間にか隣を飛んでいて勝手に競争になったりもした。相手がちゅんちゅんと話しかけてくるから少し話す。そしてまた違う鳥と話す。何をするにも自由な鳥の生活は気楽だ。
「あの、大丈夫ですか?頭思いっきり打ってましたよね。救急車呼びましょうか?」
気づけば、人のよさそうな、少し頼りない顔をしたスーツの若者が俺の顔をのぞき込んでいた。人間だ。やはり鳥になったのは夢だったのか。頭はまだずきずき痛んだが、気を失った時のようによくないところを打ってしまった感じはしなかった。
「大丈夫です。すみません、ご心配をおかけしました」
「いえいえ、無事ならよかったです。仕事終わりって疲れますよね。僕も何もないところでつまづいたことありますよ」
屈託なく笑う若者を見て、俺のすさんでいた心が澄んでいく。いたんだ。俺を心配してくれる人。
もしかしたら俺が人を拒んでいたのかもしれない。どうせ誰も理解してくれないし、変なことをしたら指をさされるって。でもそうではないことを鳥たちとこの若者が教えてくれた。
「そうなんです。疲れたのか、鳥になった夢を見ましたよ」
「あはは、いい夢ですね」
知らない若者とする世間話は意外と楽しかった。世界は思ったより悪くない。
鳥に憧れている。
羽を広げ大空を舞う、そんな存在に心底夢を見ていた。
何にも囚われず空を飛び、海も、時に山すらも越える
その姿は自由そのものを表しているように感じていた。
鳥になりたい。と私は切実に思った。
人間関係や社会の理不尽なルールなど全て投げ出して
逃げてしまいたかった。
結局、そんな想いは実現する事は無かった。
残念ながら、そんな私は今日も変わらない日を
相変わらず過ごしている。
鳥が群れを率いて、空を飛んでいるのが目にみえた。
まるで見せつけられているみたいで、自分が惨めに
思えた。
鳥になりたかった、それが夢だった。
私は鳥に憧れている、否、憧れていた。
眼前に広がるのは抜けるような青空。真綿のような白い雲が風にのってゆっくりと流れている。この時間ならまだ人もたくさんいるのだろうが、人々のざわめきはまるでさざ波のようで、時間がゆったり流れているように感じられる。
ふと、歌が聞こえた。耳を澄ませてみる。
『翼をください』だ。
『この背中に鳥のように 白い翼付けてください』
『悲しみのない自由な空へ 翼はためかせ行きたい』
私は思わずクスリと笑ってしまった。
「悲しみのない自由な空の上」へゆくために、私は自分の白い翼を捨てようとしているのだから。
なんて皮肉なんだろう。
屋上のフェンスに寄りかかりながらクスクスと笑っていると、不意に涙が溢れた。
目の前を小鳥が通りすぎていく。小さな翼を動かして。
ねえ、鳥さん。
時には強い逆風が吹き嵐が訪れることもあるこの空を、どうしてそんなに一生懸命に飛んでいるの?
いっそその翼を捨てて「悲しみのない自由な空の上」へゆきたくはないの?
ああ、今日も教えてくれないんだね。
鳥のように
「あなたはねー、小さい頃何になりたいかって聞いたら鳥って答えたのよ。
まさか人間以外を選ぶなんて想像してなくてびっくりしたし面白かったわよ。」
夕食の時間、お母さんが思い出すように言った。
「鳥って言ったの?私!」
だとしたら小さい頃私はなんで鳥と言ったのだろうか。
でも、鳥になれたらいいなぁ。
人の目も気にせずに自由に飛べる。
気を遣わなくてもいいし、のびのびと過ごせる。
今の私にとってそれは何よりも羨ましく、望んでいることだった。
親や先生に従わないといけない毎日。
友達なんて気の合う人とだけ一緒にいたい。
お金なんか気にせず自由に生きたい。
どれも私のわがままでこんなこと無理だってわかっているけど自由に過ごしたい。
そう思う気持ちは止められなかった。
「今は何になりたいの?」
「うーん、公務員かな。」
「え〜、いいじゃない公務員!大変そうだけどお金に困らなさそうね。」
嘘だよ、お母さん。
本当は鳥みたいになりたい。
将来何になりたいかなんてわからないよ。
ただ、鳥のように自由にありのままに過ごしたい。
完
人は鳥に憧れて
いつからなんだろうか?
多分人が自由を無くしてしまった頃からだろうか?
何も無い空を飛びたい
自由への憧れは人の本質なんだろうか?
わからない
人はどうして自由を求めてるのに翼がないんだろう。
進化という神の仕業は我らに自由を許さなかったか?
僕は鳥になりたい
なるんだ。
鳥のように
鳥のように自由に空に飛んで行けたら。
鎖に繋がれた私は、なんて惨めなんだろう。
私はかごの中の鳥。
鳥のように自由に空に羽ばたきたい。
さよならを言う前に
好きと言っておけば良かった。
さよならを言う前に
もっと感謝を伝えれば良かった。
さよならを言うより前に
ありがとうを伝えていきたい。
#さよならを言う前に
題.鳥のように
あの頃と同じままで。
今でも、青い鳥はみんなの傍らに。
「鳥になりたい」
通りすがった親子の会話が聞こえた
4歳くらいの男の子が目を輝かせていた
鳥のように飛べたなら
どこへでも行けるのだろう
あの青い空の果てでも
木漏れ日のさす木の中へでも
時間に縛られることもなく
隣の家の庭になっているような
高い位置の木の実なんかも食べられる
小鳥なら
道行く人々に可愛がってももらえるだろう
木のうろの中で休むことも楽しそうだ
大きな鳥なら
その羽根を広げて果てなくどこへでも行けるだろう
海をも超えて行けるかもしれない
何ものにも捕らわれず
自分の意志の赴くまま
でもその自由を謳歌する羽を切り落とされたなら――
自由と意思と尊厳すらも無くなってしまう
いたずらに自然に弄ばれた後
ただの骸になるしかないだろう
それでも君は
鳥のようになりたいと思うのかい?
/『鳥のように』8/21
【鳥のように】
今思えば、なんて意味のないことかもしれないけど。
あなたは形に残るものを嫌がっていたように思う。
何かを買うとき、悩むふりをして渋っていた。
僕は鈍くて、舞い上がっていたから気づけなかった。
たまに手に持って眺めていたのはなぜだろう。
もしかして、どうしたら手放せるか考えていたのか。
僕に気づかれたら面倒だと思っていたのかもしれない。
想像に過ぎないけれど、外れていると嬉しい。
あなたはすべてを置いていってしまった。
揃いのマグカップも、僕からの贈り物もすべて。
あなたは何一つ持っていかなかった。
まるで夢だったかのように、あなたの存在だけがない。
しょせん偽りの生活であることはわかっていた。
でも確かめれば終わると察していて、沈黙を貫く。
その隠し事の内容を、僕はまだ知らない。
きっとこの先も知ることはないし、確かめるすべもない。
知らないとは思うけど、僕は物の場所をよく覚えている。
あなたの温もりが消えた日、朝から家中を探し回った。
あなたの物も無ければ良かったのに、すべて残っていた。
どうして持っていってくれないのか。恨み言も届かない。
写真は撮らせてもらえなかったから、そもそも無い。
個人情報の記載されたものも無くなっている。
別れの言葉も書き置きも無く、合鍵が机に置かれていた。
終わってしまったのだ、と僕は呆然として実感した。
どうせ終わる夢なら聞いておけばよかった。
キーホルダーの外された合鍵を手に、後悔の念を抱く。
飛び去ったあなたが戻ってくることはないかもしれない。
だけど、せめて忘れないように。僕は鍵を壁にかけた。
鳥のように羽ばたく。鳥のように空を飛んでみたい。人生もっと自由に羽ばたきたい。