鳥のように
「あなたはねー、小さい頃何になりたいかって聞いたら鳥って答えたのよ。
まさか人間以外を選ぶなんて想像してなくてびっくりしたし面白かったわよ。」
夕食の時間、お母さんが思い出すように言った。
「鳥って言ったの?私!」
だとしたら小さい頃私はなんで鳥と言ったのだろうか。
でも、鳥になれたらいいなぁ。
人の目も気にせずに自由に飛べる。
気を遣わなくてもいいし、のびのびと過ごせる。
今の私にとってそれは何よりも羨ましく、望んでいることだった。
親や先生に従わないといけない毎日。
友達なんて気の合う人とだけ一緒にいたい。
お金なんか気にせず自由に生きたい。
どれも私のわがままでこんなこと無理だってわかっているけど自由に過ごしたい。
そう思う気持ちは止められなかった。
「今は何になりたいの?」
「うーん、公務員かな。」
「え〜、いいじゃない公務員!大変そうだけどお金に困らなさそうね。」
嘘だよ、お母さん。
本当は鳥みたいになりたい。
将来何になりたいかなんてわからないよ。
ただ、鳥のように自由にありのままに過ごしたい。
完
8/22/2023, 8:30:42 AM