『雫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私の名前は雫。
型に合わせて、どんな形にもなれる。
でも、傾斜とかがあるとただただ流されるしかない。
誰の手にも取られることがなくって。
でも、よく流されて。
一人より、集団を好む。
案外好きなんだ、この名前。
どれだけメリットが無いように見えても。
私にとっては、大切なんだ。
『雫』
俺が来た街、雪落(ゆきおち)は所謂都会と言われる所だ。そして雪落には洞窟がある。
言ってる事がわからないって? ああ、知ってる。だって俺もだもん。俺もネットで少し聞いただけだもん。だからあると思わなかったんだもん。
俺の職業は写真家。今日はその洞窟の写真を取りに行く予定だ。その為にここにかなり昔から住んでいる人に話を聞いた。
だから本当なんだ。この街に住んでいる人の中でもごく少数しか知って居る人はいないと思う。
何故少数の人しか知らないか、それはその洞窟に行った人達はみんな霧のように消えるからだ。
原因はわからない。なんか花が原因だみたいな事が噂であるが定かでは無い。
てことで今日、と言うか今から俺は洞窟の中に入る。真相を確かめるのだ。
ちなみに、この洞窟にはその少数の人達の中で有名な物がある。それが『sang・Rosse(サン・ロゼ)』と言うとても綺麗な雫らしい。いつもは透明だがたまに別の色が見れるのだとか。
早速洞窟に入る。中は思ったよりも広いみたいだ。人が2人横に並んでも入るくらいの横幅だ。洞窟内は少し湿っており、上からは水滴が落ちてきて居る。
そして、何も無い。たまに雑草とか水溜りがあるくらいだ。噂の花も無いし、やっぱり嘘だったのか?
その後も2歩、3歩と進んでいく。だが、本当に何も無い。ただの洞窟だ。
その時、少し先に光をみつけた。入り口に戻ってはいない。あそこに何かあるのか?
その光を放って居る場所まで進んでみる。すると、見えてきたのは一輪の花。
「まさか本当にあったとは……」
思わず呟いてしまう。あると思っていなかった。
これは写真に収めなければ。きっと金になる。
そしてその白い花の写真を撮る。そしたら、なにかおかしいと思った。
「なんだ、この違和感。この花、何かがおかしい」
「勘がいいな、人間。お前はあまり生かしておけないやつのようだ」
「は?」
その声がした1秒後、目の前の花が開き、鋭い歯が俺の右足を持っていく。
「あ? ああああああああああ!!!」
バランスが崩れ、その場に倒れる。そして右足の方から来る激痛に思わず叫んでしまう。なんだ、何があった?!
上を向いてみると、花が器用に笑っていた。その歯からは俺の血が滴って居る。まさか……?!
「『sang・Rosse(サン・ロゼ)』と言う名前、そしてたまに見れる透明とは違う雫って言うのは……?!」
「まさか人間達に知られて居るとはな。まあ、お前の想像通りだ」
そうか、なら人が帰ってこなかったと言うのもこいつのせいか……。
「証拠隠滅だ。大人しく死んでくれ」
そして、花が茎を伸ばし、口を大きく開き、近づいてくる。
俺が最期に見たのは、赤い雫だった。
「涙って血液から出来とるんやって。っちゅーことは吸血鬼も血の代わりに涙でもええんちゃうん?」
そんな突飛な僕の疑問に幼馴染は即答した。
「アカン、コスパが悪い」
「コスパ……?」
思ったのと違う回答だ。てっきりヘモグロビンの違いについて言われると思っていた。
にしても、コスパって……まるで消費者みたいだ。
「血は傷つけたらすぐ出るやん、ここ切ったらようけ出るみたいな場所もある。けど、涙ってないやん。人によってツボ違うし、号泣しても量たかが知れてるし。タイパも悪いな」
「タイパ……、でも涙って感情によって味ちゃういうし、時間をかけた方が美味しいのかもしれへんで?」
「まぁ、そりゃ欠伸とかで出る生理的な涙より感情による涙の方が美味いけど」
「さっきから当事者みたいな発言やな?」
僕の指摘に彼が鋭い犬歯を覗かせて薄く笑った。まるで牙のような。あれ、牙?
「あれ?知らんかった?てっきり分かってるからそんな話するんやと思ってたわ」
「へ……?」
「お前ドジやからすぐ指とか切りよるし、なんもないとこでコケるからなぁ……困らんかったわ」
「なっ、なんで……近寄って、…ひッ!」
ジワジワとにじり寄ってくる彼が怖く感じて、後ろに下がると壁にぶつかった。もう逃げ場がない。
「怖がりやし、あぁほらもう潤んでもうてるやん。目ェ擦ったらあかんよ、勿体ない」
じわりと滲んだ雫を拭おうとしたら手首を掴まれた。痛い。
本当に目の前の彼は僕の幼馴染なんだろうか。
「もうつまみ食いみたいなことせんでええんよな?……怖がらんとってや、美味しく頂くだけやから」
そういって彼は僕の眦にキッスをした。
『雫』
作者の自我コーナー
いつものパロ。R12くらいです。
とあるボカロ曲から思いついた話。
吸血鬼をできるだけ現実的に書きたかった。
私の名前は雫です。
周りには友達がたくさんいます。
家もとても広くて、私は大好きです。
私の名前は雫です。
学校は高いところにあって、下を眺めるととても景色がきれいです。
色んな色の服を着て、いっぱいおしゃれすることができます。
私の名前は雫です。
私はこの名前を気に入っていません。
だって名前が「雫」じゃなければ、固い地面に、体を打ちつけることもないのに、
名前が「雫」じゃなければ、高い高い雲のお家から飛び降りずにすむのに。
何で私は「雫」なの?
どうしてあの子は「雫」じゃないの?
私は広い海のおじいさんの腕の中で、ひたすら考えた。
その時ね。おじいさんが言ってたの。
「いつか自分が「雫」であることが嬉しいと思うようになるよ」
私はそれを聞いて頷いた。
「今は自分を大切にするね」
そう言って私はまた雲のお家に帰ったよ。
その時ね、遠くを見たら、私が生まれて始めて見るくらい、綺麗な朝日が上ってた。
そしたらね、私は「雫」でよかったな、って思ったの。
きっと人間は、こんな朝日は見られない。
他のお友だちは、みんな自分を大切にできてるかな?
自分が一番自分と一緒にいるから、まず自分を好きになれればいいね。
Title:雫
透明な水を汚してしまうと、二度と元の透明には戻らない。
純粋な人の気持ちを透明な水だとして。
悪いの気持ちを黒い雫だとしよう。
透明な水に、一滴の黒い雫を垂らしてしまえば、それはとたんに、透明とは言えない。
『透明だった水』『汚れた水』に変わり果ててしまい、二度と透明な水には戻らない。
それは人の心と同じだと思う。
純粋な気持ちを多数の悪意に晒される。
当事者がそれに謝罪をしたとしても、やられた事実は消えない。
ずっと被害者の心に残り続ける。
今、笑っている加害者共よ。
お前の罪は消えたわけじゃない。
僕の心に強く強く残っている。
お前たちの嘲笑う声、言われたこと、されたこと。
昨日のように鮮明に思い出せる。
僕の心は透明には戻らない。
ひとしずく
心に細波をたてた
ひとしずく
心に落ちてきて
光がうまれる
影を産む
火も花も色とりどりに
ひとしずく
星がうまれる
細波あふれて
こぼれおちる
あぁ
もう これ以上は
雫(お題)
水の雫が落下するさまをハイスピードカメラで記録した映像は面白い。美しく丸い水の球が水面に落ちると、衝撃の入った深さのぶん水面に水が戻り、振り子が落ち着くように水の行き来が落ち着いてゆく。雫がまん丸なのは、集まった水が水の集合の中心へ引きつけられるからなんだそうだ。
「雫」の字はいつ頃できたんだろう? 雨降るさまを表した文字らしいのだけど、「雫」の意味として「中心へ集まる」というのもあるらしい。雨粒の落下速度って速いはずなのに、水の雫の性質も知ってたのかな…?
液体でまん丸、凍って六花、気体でH2Oグリッド。
ところで、神道で「みすまる」と言うとまん丸の球だ。命はまん丸。人類全体の動きは流れを持っているみたいに振る舞う。水みたいだ。一人(一滴)はまん丸、個人が花咲いて六花、シンプルな個は目に見えないグリッド…
一人ひとりは大河の一滴みたいだ。けど、六花に二つと同じものが無いように、誰ひとり同じじゃない。でも共通性は多く持っている。落下した雫が周りの水の動きを引き出すように、人間も相互に作用し合う。明るく開放的で朗らかな、楽しくて幸せな「響き・雰囲気・振る舞い」は、澄みきった「良き一滴」そのものだ。
一滴の雫のような「人ひとり」は、やがて大きなうねりの海をも呼ぶ「作用力」を発振できる。無力なんかではないのだ。本当に。
今日も落ちる
雫が1つ、またひとつ
かなしいの
つらいの
誰もわかってくれない
誰にもわかってほしくない
透明な思いのかけらが
だれにも気付かれず零れてく
いつかはわたしにも
見えなくなるんでしょ
ひやりとつむじが冷たい。
どうやら頭上から水滴が落ちてきたようだ。
嫌だなぁ。建物をつたった水って汚い感じがするんだよね。今日はツイてないかも。
…とここまで考えて自分の悪癖に気が付いた。
些細なことをネガティブに捉えがちな私の癖。
そう簡単には直らない。
けど直そうとしなきゃ直らない。
良くないことばかり考えない。
目の前のことに真っ直ぐ集中する。
なんて考え始めたら、なんだか今日は上手く出来る気がしてきた。
-雫-
今日は雨が降っていた。月曜日だから、私の心にも雨が降っていた。でも、雨は必ず止む。明日も頑張る
#17 【雫】
1粒の雫
悲しみの果て
こぼれた涙
この思いは消えない
どんなに月日が流れようとも
『雫』
雫、しずく。
やはり雨をイメージするのが一般的か。
だが私のイメージする『雫』は、冬の寒さで震えるような函館の漁師町でみた、今にも崩れ落ちそうな廃屋の屋根から垂れ下がる大きな氷柱の、その先端に太陽の日が差して水がポタポタと落ちる、その様子が真っ先に浮かんだ。
あの何とも言えない函館の、行き場のない群青の空と閉塞感のある空気、しかしその中に確実に息づく人々の生活。私はこの、余所では決して味わう事のない函館を愛している。
そんな函館でみた、『雫』。
冬の厳寒に芽吹く春の息吹。
そんなものを感じた瞬間だった。
またあの光景を見たくて、私は函館を旅する。
何年後かに、また出会う奇跡のために。
窓を見ていたら雫が落ちてきた、濁ってて汚い
黒と緑が混ざったような色で不快な気もするし落ち着く気もした
雨がやんだら屋根を掃除しないとなと思った
ねぇ、何処に行ったんだい?
君は私を置いて死んだりしない。
魔人と呼ばれる程の君なら此の程度、予測出来ただろう…?
君が私を自由にしてくれると言ったから、私は君に付き従ったのに
君が死んでしまったら私はどうすればいい…?
一生、感情と云う名の檻の中で私は踊らされ続けるのか
否、それは嫌だ
私は自由になる為に
感情と云う頭蓋の檻から羽ばたく鳥になる為に
君に自由を縛られたというのに
君を殺せば私は真の自由になれると、そう思っていたのに
君は死んでも尚、私の心を縛ると云うのかい?
なんて強欲なんだろう
私の友人…いや、
僕の、慕っていた相手は
………
君の事だから、僕が慕っていた事にも気付いていたんだろう?
知っていて、其の儘何も言わず逝ってしまったのか
まあ、君らしいけどさ
『好きだったよ』
そう呟くと、抱きしめたぼろぼろの彼の腕にぽつりと雫が落ちた
お題 : 雫
🕊🐀 ゴードス
眠い。、
来年5月、隕石が堕ちて100mの津波が
来るのかな。。
人生の雫
生まれてから今日のこの日まで、雫を一滴ずつ溜めてきた。
楽しかった日の明るく輝く黄色い雫、
感動し心があたたまったあの日のピンク色の雫、
初めての経験に胸を躍らせた黄緑色の雫。
その一粒一粒はとても綺麗で、いつでも思い出したい尊い光をまとっている。
でも、それだけじゃない。
涙にうちひしがれたあの日の悔しい赤色の雫。
挫折を知り、孤独に追い込まれた灰色の雫。
過去を悔やみ、現実から逃れたかった深い青の雫。
時に、なかったものとして密かに心にしまい、恥じてしまうような気持ちにもなるかもしれない。
だけど、すべての一粒一粒の雫が少しずつ溜まった私だけのコップの中の水は、他の誰にも出せない本当に深く、綺麗な色をしている。
もし今、その色が少し暗くにごってしまっていても、これから一粒一粒明るい雫を溜めていけばいい。
いつか、自分だけの色に辿り着けるだろう。
4/21「雫」
ぽたり。ぽたり。
こめかみから頬、顎を伝った、血雫が落ちる。
「もう、やめましょう。あなたは僕には勝てない」
「そう、かな」
「次の一撃で決めます」
「…決められるのかい?」
「ええ」
迷いのない瞳だ。
オレの息子。小さな頃には膝に甘えてきた。だが闇に魅入られた。
「さようなら」
「嫌だなぁ」
こんな別れ方は、嫌だなぁ。
そう思ったら、血と別の雫が、ぽたりぽたりと落ちた。
(所要時間:7分)
4/20「何もいらない」
ごはん。いらない。
お風呂。いらない。
おやつでご機嫌を取ろうとしても、見抜いているのか、いらない。
パパもいらないらしい。おいおい。
でもママはいるんだろ?
……だろ?
「ただいまー」
ほらな。帰ってきたママを、わがまま子犬は尻尾を振って迎えに行った。
(所要時間:5分)
4/19「もしも未来を見れるなら」
もしも未来を見れるなら。
…いや、やっぱり見たくない。
戦争と経済破綻と汚染、個人的な話なら間違いなくボケて金もなく捨てられる、そんな未来しか思い浮かばない。つらい。
もしも未来を見れるなら、希望のある未来を見たい。
そのために今できること―――を考えられるくらいなら、こんな悲観的な未来予想はしないのだけど。
少しだけ、何かを担う気になってもいいな。
(所要時間:6分)
4/18「無色の世界」
湖の底に、都がある。
宮殿の壁も屋根も、触れでもしなければわからない。水に溶けるような無色。
時たま日差しが入ると、波に揺られる光にきらりきらりときらめく。
湖の底に、都がある。
もう誰も住まうことのない、古い古い都が。
(所要時間:4分)
天から落ちた雫の粒が地上の花の手に優しく触れて、
「こんにちは、そしてさようなら」
と言って地面に吸い込まれて消えました。
花はその身を震わせ、地面に向かって囁きました。
「ありがとう、キミのおかげで僕は今日も生きていける」
そうして陽の光を浴びる為、両掌を目一杯広げたのでした。
テーマ『雫』
「大嫌い」
言った彼女の目から雫がこぼれた。一滴、二滴という量じゃなくて、それはとめどなく溢れ両頬を濡らしていった。
真っ赤な目をして彼女は僕を睨んできた。こんな顔は見たことなかった。いつも穏やかで優しい彼女が今日はものすごい辛そうな顔をしている。相変わらず涙は止まらない。そうさせてるのは、僕だ。
「ごめん」
「そんな言葉がほしいんじゃないの」
そうかもしれないけど、僕は謝ることしかできないんだよ。僕は君を幸せにしてあげられることはできない。だから、別れよう。そう切り出した結果こうなった。
彼女の頬から落ちた雫たちが地面に染みを作ってゆく。大きく丸い瞳から絶えず溢れ重力に従って落ちてゆく。彼女の泣き顔を初めて見たわけじゃない。でも今の僕はどうしようもなく狼狽えていた。だってこれは嬉し涙でも悔し涙でもない。彼女の心の底から悲しんで出た涙だ。そして悲しませてるのは僕なんだ。
「ごめんね」
もう一度言って彼女に半歩近づく。その肩を抱いてあげられたならいいのに。だけど僕にはもうそんな資格なんてないから。君からの鋭い視線と涙に耐えるしか、術がないんだ。もう君を、救ってあげられないんだよ。ごめん、ごめんね。
『雫』
ふらっと立ち寄ったリユースショップで、前から欲しかった雫型のペンダントを見付けた。大きさも色合いも値段も丁度いい。きっとあの紺色のワンピースに合わせたら似合うかも。
お気に入りのワンピースを着て、早速ペンダントを付けてみる。うん。やっぱり似合う!嬉しくてそのまま今度は夕飯の買い出しへ向かった。
ところがそれから記憶が無い。
気付くと夕暮れの川原にひとり佇んでいた。私はどうしてここにいるのだろう‥。途方に暮れて辺りを見ると足元に何か光る物がある。あ、さっき買った雫型と同じ物だ。しかもこれはブレスレット?私は土から半分出ているチェーンを思い切り引っ張った。するとブレスレットと一緒に、骨になった左手が出て来た。