ゆかぽんたす

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「大嫌い」
言った彼女の目から雫がこぼれた。一滴、二滴という量じゃなくて、それはとめどなく溢れ両頬を濡らしていった。
真っ赤な目をして彼女は僕を睨んできた。こんな顔は見たことなかった。いつも穏やかで優しい彼女が今日はものすごい辛そうな顔をしている。相変わらず涙は止まらない。そうさせてるのは、僕だ。
「ごめん」
「そんな言葉がほしいんじゃないの」
そうかもしれないけど、僕は謝ることしかできないんだよ。僕は君を幸せにしてあげられることはできない。だから、別れよう。そう切り出した結果こうなった。
彼女の頬から落ちた雫たちが地面に染みを作ってゆく。大きく丸い瞳から絶えず溢れ重力に従って落ちてゆく。彼女の泣き顔を初めて見たわけじゃない。でも今の僕はどうしようもなく狼狽えていた。だってこれは嬉し涙でも悔し涙でもない。彼女の心の底から悲しんで出た涙だ。そして悲しませてるのは僕なんだ。
「ごめんね」
もう一度言って彼女に半歩近づく。その肩を抱いてあげられたならいいのに。だけど僕にはもうそんな資格なんてないから。君からの鋭い視線と涙に耐えるしか、術がないんだ。もう君を、救ってあげられないんだよ。ごめん、ごめんね。

4/22/2024, 7:54:01 AM