『雫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
妻の愉しそうな声が、庭の方から聞こえてくる。
そして、妻と楽しそうに話している、彼の声が聞こえてくる。
一筋の冷たい液体が、私の頬を伝い落ちた。
何故だろう。
私は、あわててハンカチを取り出して、
ハンカチを見て、また、目から冷たい液体が頬を伝う。
このハンカチは、妻が初めて刺繍したものだった。
落ち着こうと、コーヒーを淹れても、
冷たい液体は、目から一滴ずつ流れてくる。
気が付くと、リビングのソファに横になっていた。
どうやら、泣きつかれて、眠ってしまったらしい。
目の前に、暖かい紅茶が置かれた。
「貴男。」
妻の優しく澄んだ、いつもの声がした。
「はい。」
何だが、泣き顔を見られるのが恥ずかしくて、
妻と目を合わせられなかった。
すると突然、妻は私を抱きしめた。
「ごめんなさい。わたしは、貴男に甘え過ぎてしまっていた。」
視界がぼやけて、涙が溢れた。
「こちらこそ、ごめん……。彼を招いて良いよって、言ったのに。」
「良いの。貴男のおかげで彼と再会することが叶った、本当にありがとう。」
「私を尊重してくれて、ありがとう。」
私は、妻を抱きしめた。
※意味分かんないかもしれないです
「温かい」
そう言って彼の頬を撫でる。
彼の白くて綺麗な肌は触り心地が良い。
サラサラとした茶色の髪。
ぷっくりしていて真っ赤な色気のある唇。
「目を開けてよ」
しかし彼は一向に目を開けてくれない。
「なんで?嫌なの?はるくんは好きって言ってくれたじゃん、ねぇ、なんでよ」
彼の頬に私の涙が伝う。
「なんで?答えてよ!!………そっか、恥ずかしいんだね。可愛い」
でも、私は彼の澄んだ瞳が見たい。
彼のまぶたを無理やり上げる。
「どうしてこんな………汚いの?」
彼の瞳には私が写っていた。
しかしその瞳は私の好きな瞳じゃない。
「ううっ……」
再び涙が溢れてくる。
涙を拭おうと自分の目を手で擦る。
ピンポーン
インターホンがなった。
急いで涙を拭き取ってドアを開ける。
そこには警察が立っていた。
それからは一瞬だった。
いきなり手錠をかけられて車に押し込まれた。
「はぁ、いつまで立っても絶えねぇな……」
「どういうことですか?」
「ストーカーが勘違いして自分が恋人だと思いこんだりって事が」
「今回はアイドルのファンがストーカ化して自分の家に監禁でしたよね。結局殺してましたけど」
「気持ちわりぃよな」
「はい」
「……お前も、程々にしとけよ」
「はい?」
「とぼけんな。お前がお前の先輩の事付け回してんの知ってるからな」
「嫌だなぁ、してませんよ」
「はぁ、しっかし今回は確信してなかったからな。犯人がミスしてくれていて助かった」
「ミス?」
「聞いてないのか?出てきた時に両目に血がついてたんだよ」
「……へぇー」
「変なためやめろ」
「すいません」
「ガッカリしたか?」
「何にです?」
「あのアイドルの事お前も好きだっただろ?」
「いえ、嫌いでしたよ」
「記憶違いだったか?」
「はい」
彼女はニッコリ笑った。
その瞬間彼女の指先から血が垂れていたことを俺は見逃さなかった。
ー雫ー
雫
あか。あお。しろ。きいろ。
て。め。はだ。くち。
ぼくのジョッキはいっぱいだ。
みどり。あなた。
すぐにあふれちゃった。
窓ガラスに付いた水滴を、僕は指でなぞった。
そこに映る顔は、なぜこんなにも無様なんだろう。
君の頬を伝う雫を、僕は指で拭った。
これ以上、溢れることのないように、
僕は君に手を振った。
テーマ 雫
空にある、あの白いのは何ですか
あれは魚じゃ。魚の群れじゃ。
草々を揺らす、透明は何ですか
あれは鳥じゃ。飛び交う鳥じゃ。
暗い時に空にある、たくさんある、あれは何なのですか
あれはなにでもない。なにでもない。
ではあれ、空から落ちてくるあれは何なのですか
あれは泪じゃ。
誰の泪ですか
ここに生きておる皆の泪じゃ。
なぜ泪が空にあるのですか。我らは下におりますのに
泪を集める象がおってな。その象が、我らの泪を集めて空に行くのじゃ。
象はなぜ空から泪を落とすのですか
象が落としておるのではない。泪のほうで勝手に落ちてくるのじゃ。
集めた泪が無くなって、象は悲しまないのですか
悲しむ脳が、無いんじゃよ。無くなったことにすら気が付かぬ。故に何度も泪を集める。
象は、なぜ脳がないのですか
犬は太陽、虎は月。鳥は風、象は雫。雫に、脳があると思うか?
思いません、けれど、象は可哀想です
なにも可哀想ではない。なにが可哀想なものか。
なぜですか
そういうものじゃ。昔から、そういうものと決まっておるのじゃ。
そうですか、そうですか
さあもうおやすみ。また明日。
朝になったら、空には犬です
お題『雫』
※織川より重要なお知らせ。お題関係ないお話しです。
前のアカウントでもお知らせした通り今後はこちらのアカウントで活動していきます。前垢は消しませんので、過去の作品達もまた読んでくださると嬉しいです。
『 雫』
反転して映る世界は誰の目に見えるものなのだろうか
※重要なお知らせ
機種変更をしたのですが引き継ぎが上手くいかないので、もう1つアカウント作っておきました。今後はそっちのアカウントで活動する予定です。後ほどそちらの方でもお知らせいたします
その旅は決して前向きなモチベーションの下に決行されたものではなかった。現実に適応できない自分にほとほと嫌気がさして、いっそ終わるなら誰も自分を知らないような場所で果ててやろうと決心してのことだったからだ。
「ついてきな、いいもん見せてやるよ」
青い瞳のそいつは、嫌がる私の手を掴むと笑いながらあと少し、あと少しと言ってかれこれ3日も深い洞穴の底へとあゆみ続けた。
「あんた、私がどうしてこんな辺鄙なところまでやってきたのか分かってる?」
「知らなかったらこんなことするか? まあいいから、いいから」
洞穴はなおも深く、深く。灯りという灯りはなく、それこそ自分が生きているのかさえも分からない。疲労で足元がおぼつかなくなり、何度も転びかける度に「ああ、まだ足はついている」と不思議と安堵した。
そして、目の前に現れた光景に私は息を呑む。言葉では言い表せないほどの絶景がそこにはあった。深い地の底にありながら、冷たい光が洞穴を満たしている。広がる地底湖には、輝く魚たちが泳ぎ回っていた。
「驚いた?」
驚かない方が難しかろうに、こんな光景を見せられては。見上げると、鍾乳石のようなものがいくつも天井から伸びている。曰く、あれは母なる天樹の根だというのだ。見上げているうち、根から雫が水面に堕ちる。堕ちた雫は、波紋と同時に光の魚となって跳ねた。
「死ぬにはいいところだ、俺もそう思う」
「……分かってて言ってるの?」
くそ、なんてことだ。不覚にも、もっとこんな光景を見てみたいと思ってしまったじゃないか。仕方ない、自殺ツアーは後からでも出来る。どうやら死ぬのは先送りにするしかなくなってしまったらしい。
雫
ダイヤのような雫なら
両手で そっと受けとめたい
真珠のような雫なら
あわてて 帽子を差しだすでしょう
氷のような雫なら
戸惑い そばにより添いたい
k
雫
夜自宅の寝室で、私は布団の中で考え事をしていた。そして気がつくと涙の雫が流れ落ちて頬をそっと濡らした。
高校生になってから辛いことが多く気持ちが沈む日が増えた。けれどそんな私がここまで何とか頑張れたのは両親や離れた場所で応援してくれている妹の存在が大きかったと思う。人を身近に感じるとはまさにこの事を言うのだろう。
これから人を身近に感じられるという事を大事にしながら頑張りたいと思う
『雫』
まるで夢の中にいるみたいだった。
母親になるという覚悟が決まったのはつい10ヶ月前。
ずっとずっと、お母さんになりたくて、夢見ていた。
旦那もお父さんになりたいと、私と一緒に夢を語ってくれた。夢を語らせてくれた。
今日、私と旦那はお母さんとお父さんになる瞬間だったのだ。旦那はひたすら私の汗を拭ってくれて、助産師さんも優しく声をかけてくれる。あとは我が子が私たちの元に来るだけだった。
女の子と聞いた時、私も旦那も喜んだ。
着せたい可愛いお洋服や、おもちゃ、ベッドにおしゃぶり、他にもたくさんたくさん準備したし、アドバイスももらったんだ。
我が子のために私は健康意識で毎日散歩することを意識した。旦那は私1人だと心配だから。と毎日早く仕事を終わらせてくれて、散歩についてきてくれた。食事にだって、気を遣った。この子がすくすくと大きく、ただ生まれてくれればよかったんだ。生まれつきの障害があってもいい。後々障害が判明したっていい。
私は、生まれる前の我が子がひたすらに愛おしくて、ひたすらに毎日愛でていた。
そんな我が子が、ついに会えるんだと、痛みと共に喜びで震えた。
何時間経ったのだろうか、意識が朦朧とする。
やっと会える存在が遠く感じた。
なぜだか、涙が止まらなかった。
今日は曇り空の時より雨。
何でだろうか、我が子の声なのかなあ、聞こえるんだ。
「くるしいよ」と。
私も苦しいよ、苦しい。でも、あなたも苦しいわよね。
私はふと意識を戻した。
さっきまでがまるで夢の中にいるみたいにふわふわしていて、つらいはずなのに、つらさを感じなかったのに。
我が子の言葉で、私は意識をはっきりと戻したのだ。
そして告げられた。
「赤ちゃんの命と奥様の命、どちらかしか助からないとしたら旦那様はどちらを取りますか?」
やめてよ、そんな、ちょうど私が意識をはっきりとさせた時に限って、そんな話しないでよ。
「そんな、嫁も、我が子も、助かる方法はないんですか?」
「旦那さん、もう出産で20時間経ってるんですよ。ずっと旦那さんがもうちょっとというので、待っていましたが、もう、もう、どちらかしかないんです。」
「なぁ、しずく?俺はまだお前と生きていたいよ、しずくはどう思う?俺たちの子だ、お前がいなきゃ、俺は1人じゃこの子を幸せにできる気がしないよ」
この10ヶ月間泣き虫のあなたは一度も泣かなかったわよね、なんなら、この先も泣かないぞ!と気合い入れてたよね。
私のために涙を流してくれる。それだただひたすら嬉しくて。もっと泣いて、もっと、もっともっと、私の代わりに考えて、困って、命の重みを感じて。
私がずっと夢見たいな気分だったのは、我が子との最後の時間だったからなのかな。あなたが娘を選ぶというのが決まっといたから、せめてでものつもりで、神様は夢の中で私と我が子の時間を作ってくれたのかなあ。
でも、神様が本当にいるなら、もし本当にいるなら、私も我が子も生きてるはずよね。
聞きたくない、でも聞かなきゃいけない、旦那の判断。
「俺は、、、。」
気がつくと、私は冷たくなった赤ちゃんを抱いていた。
旦那は私を選んだのだ。
「あなた、、?」
「ごめん、ごめんなあ。しずくを、とってしまった。
しずくには赤ちゃんが必要だったかもしれないけど、俺には赤ちゃんよりしずくが必要だったんだ。」
「あかちゃん、冷たいね。」
「なぁしずく、この子に名前をつけよう。この子のために買ったもの全てに決めた名前を書くんだ。」
「たった1人の、私たちの子だもの、私もそうしたい。」
「おもちゃだって、絵本だって、全部に名前を書いて、この子を一生赤ちゃんとして、可愛がろう。一生手がかかって、一生かわいい、俺たちの子だよ。」
「うん。」
私の名前はしずく。
私と旦那のもとに生まれた子はレインボーベイビー。
雫
なにか悲しいことがあった訳では無い。
でも…何故か目からは宝石のように雫がポロポロ落ちる。
ぽたり。音は無くただ暴力的な赤が眼に焼きついた。
その赤は着ていた白いシャツをあっという間に浸食し
彼は血溜まりに膝をついて崩れ落ちた。
救急車を応急処置を刺した奴はと頭はやけに冷静なくせに体は動かない。彼の冷えた体に触れることで精いっぱいだった。
顔にかかった前髪をどかすといつもの彼が居た。
こんな目にあっているくせに妙におだやかな顔をしている。まるでいつもの事、と言っているかのように。
「どうしたのさ。僕なら大丈夫だよ。」
そんなはずあるか。血溜まりはおかしなくらい広がってついには私の膝すら汚している。
「あんたを残して死ぬわけないよ。ほら、こっち来て。キスしてくれたら治るよ。」
嫌だ。最後のキスなんてごめんだ。嫌だ嫌だ。
死なないでくれ。頼む。お願いだ。
私をひとりにしないでくれ。
いつの間にか私は見知った部屋に居た。
体中に汗とも涙ともわからないものが伝っていた。
夢か。夢であってくれ。
「…はい。」
電話口の向こうからだるそうな、面倒そうな声が聞こえてひどく安堵した。生きている。
「…良かった。」
「何急に。今何時?…はあ、まあいいけど。気分最悪だよ。目が覚めた。ねえ責任とって寝かしつけてよ。」
「すまない。了解したよ。」
ぽたり。蛇口から落ちた雫の音が真っ暗な部屋に響いた。
雫
テーマ 雫
ぽたぽたと地面に落ちてくる。そして自分の頬にも
「ごめんね....」
直前あいつはそう言っていた。どうして謝るんだ。真っ赤な血が雨で濁って濁って...自分のところに来た。ああ。本当に...
死んだんだ。
あたりが雲のような暗さで覆われた。何も無い。もう何にもない。心の中は空っぽ。
だんだんと寒くなってきたな。あんまり生きれなくてごめんね。
倒れたときに頭を打った。二人の真っ赤な血が繋がっていた。
おわり
頬に描く、その雫は
白く塗りつぶして気取らせない感情を
象徴するのだという
笑いながら、泣き
泣きながら、笑う
遠い昔、
生きることすべてが演じることだった
人々がいたのだという
演じることなく生きれることは
きっと、幸せ
でも
演じる場もなく
それでいて
本心を気取らせない仮面をつけて
気持ちの欠片たる象徴も描けず
ほんの時折
苦しさに、天を仰ぐ
雨粒を頬に受けて
すぅと流れ落ちる感触に
忘れかけた何かを取り戻した気がして
眠るように、目を閉じた
創作 「雫」
オランダの涙と呼ばれる滴形のガラスがある。
丸い部分をハンマーで叩いても割れない程、丈夫なガラスなのだそう。 ただし、細く伸びる尾を折るとガラスは呆気なく砕けてしまうのだとか。
カチリと蛍光灯がつき俺はのろのろと本から顔を上げた。お菓子と飲み物を抱えた彼女が苦笑いしつつ部室に入って来る。
「ほら、カフェオレとおやつ」
「……ありがとう」
「残念、だったね。小説コンテストの結果」
「うん」
「でも、全国大会に初出品で佳作は凄いことだよ!」
そういう彼女は、文章を書かせればあっさり最優秀賞やら特別賞やらをとってしまう。文章の出来に波がある俺とは、月とスッポンだ。そんな彼女からのありがたい慰めの言葉を、深いため息で吹き飛ばす。
「泣いてるの?」
彼女が心配そうに、俺を覗き込む。俺は顔を見られたくなくて本を顔の前にもってきた。来年こそ、彼女を越える。そう、宣言したい。なのに、涙が止まらず、声にならない。
そのガラスは、俺に似ている。打たれ強いのに、もろい。心の尾を折られた俺は、溢れる悔しさの雫をしばらく止められなかった。
(終)
彼女の瞳から透明の雫が溢れ出した。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。私が悪かったよね。私があんなことをしてしまったから、あなたが泣いてしまった。傷ついてしまった。後悔したって、どうにもならないけど、すごく後悔してる。
何度言うけど、ごめんなさい。またあの時のように笑顔になっているあなたがみたいです。
#17『雫』
惜春の想い募り
貴方の瑠璃の瞳を見つめては
明日の夢を見るの
青いままの果実かじった
小鳥のうたを聴いていました
時間泥棒はその小鳥のうた搾取して
活動しまくって
衰弱した小鳥のうたを笑いながら
また搾取します
時間泥棒の住処は
病棟の檻のよな部屋
治療はトランプとか
空いた時間
手の平サイズ手にして
魂振り込め詐欺活動
支配性グランドマザーの手の平の中ぐるぐると
目覚めたら
小鳥の魂 搾取して遊び
また衰弱した小鳥のうた聴いて
満足しては病棟の檻部屋に
戻ります
彼の箱庭は
支配性グランドマザーの
手の平の中から出られずのまま
雫に限らず峠・凪のような国字と呼ばれる日本独特の文字がある
山の上り下りの境目が峠
風がやんで波穏やかな様子が凪
無駄のない、だれもが想像しやすいありのままのような文字
雫も同様だ
雨だれが下に落ちていくさま
けれど滴もしずくと読む
漢字があるのに国字の「雫」を作った理由は何だったのか?滴と使い分けなければならなかったとして何が雫で何が滴だったのか?誰が作らせたのか?作ったのは誰か?
あれこれ想像してみる
いつの時代だろう?滴は当時しずくと読まなかったとか?滴が入ってくる前に雫を作ったのか?
勝手に想像して勝手に謎を深めるというのも、たまにはおもしろいものだ
正解にたどり着く必要などないのだから
お題「雫」