『閉ざされた日記』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題「閉ざされた日記」
ずいぶん前、職場の雰囲気が悪くて通うのが嫌だった
そんなある日、手帳を日記に使っている同僚を見て真似をしてみた
何か良いことがあったら一言書く
毎日書く必要がないのと
良いことだけ書くのが良かったのか何年か続いた
そのうち職場の雰囲気も変わって
多分、私自身も変わって過ごしやすくなった
良いこと日記はいつの間にか書かなくなったが
少しのことでも感謝するようになった
あの日の記憶
もう、思い出せない
思い出したくない。
苦しいから
もう、記憶の〝日記〟とは
お別れをする
【閉ざされた日記】
今日は早く起きれた最近少しずつほんっとに小さくだけど成長している気がするでもそれと同時に顔も大きくなってるけど笑今からストレッチする今日は金曜日明日ぷれだから自己紹介ぶんやらんといけんやるべきことから先にやるっていう今年の目標はこれからしっかり叶えていきます
自分を信じ続けあきらめない。いいアプリも見つけて、いい本と出会えて。やぱ図書館行ってよかった。たくさんや本と出会っていきたいと思っただから今からブックカバー買うあとでねー
わたしの日記
いつもいつも
ながくても一ヶ月くらいで
閉ざされる
閉ざされた日記の中で、私たちは今、どこに向かおうとしているのでしょう。
この星の宇宙船に乗って、あなたたちは今、夢の中への明日の旅に出ています。
旅路にはさまざまな出来事が待ち構えているでしょう。
未来には楽しいことがたくさん待っているかもしれません。その未来は今に集約されています。
そして、この扉を開ける鍵は今ここにある、今ここにいる存在を明らかにすることです。
さぁ皆さん、私たちと一緒に旅に出ましょう。この扉を開けて、大きな一歩を踏み出すのです。
閉ざされた日記、その言葉で思い出したことがある…昔の親友達と回していた、交換日記の存在について。1週間で1周するくらいのペースで回していて、時々話題がなくなってふざけたり…楽しい交換日記だった。私達がそれを楽しみに学校に来ていたくらい。1回も…いや、数回しか渡し忘れが無かったくらいに。でもそんな日々も続かなくなってしまった。1人が引っ越してしまったから。ずっと大切に楽しく回していた、下手で、でも自分たちの夢を込めて描いたイラストや文書が乗っている大切な交換日記。あの子が引っ越してから動かなくなってしまった。埃を被って本棚に眠っている、そんな思い出の日記の存在を、そっと思い出してみた。
と 都会の窓はどうしても、嘘しか映さない。
ざ 柘榴が熟れる田舎でこうやってのんびりして。
さ 酒を飲んで、寝て。
れ 檸檬の子葉が、彼がいる場所から生えていた。
た 田んぼの中にある、一軒の家の庭で。
に 二本の梅の木の、間に植えた檸檬の木。
っ 月明かりが私を照らして、木を照らした。
き 君に、この景色を見せたかった。
お題:閉ざされた日記 2024/01/19
『閉ざされた日記』
長年市民に愛されてきたこの図書館は、老朽化のため間もなく建て替えられることになっていた。
仮の蔵書保管場所に指定された施設に本を移すためのダンボール箱が辺りに積み重なり、彼は一日中そこに本を詰める作業に勤しんでいた。
貸出の棚に並んでいた本の仕分けは思ったより早く片付いたが、それより厄介だったのは倉庫にしまいっぱなしになっていた未分類の書籍の仕分けだった。
図書館の本の一部には個人から寄贈されたものもあり、その場合、職員が1冊ずつ本の状態を確認しなくてはならないためその作業は後回しにされていた。
しばらく休館中であるこの機会に面倒な仕事は片付けておけと彼の上司からお達しがあったため、彼はこうして骨が折れる仕事を半ば押し付けられるようにして任されていた。
寄贈されたときのままのダンボール箱を開き、1冊ずつ本を手に取る。そこから得たその本の情報をパソコンに入力し、分類ごとにダンボール箱に詰める。あとは延々とその繰り返し。
彼がこの図書館に勤めて5年。ここにある手付かずのダンボールの山は、そのほとんどが彼が勤務する以前に寄贈されたものだった。
寄贈時に毎回ちゃんと整理していればこんなことにならないのにと愚痴を言っても、本は勝手に片付いてはくれない。万年人手不足のこの図書館に手の空いた職員などおらず、チラッと覗いた他の部屋もどこも手一杯のようだったため彼は文句を言えなかった。
思わず気の抜けたようなため息を1つこぼした彼は、「よしっ」と気合いを入れ直し再び本と向き合った。
仕分けるべき箱をようやく半分ほど片付けたかというある日、彼はある1冊の本に手を止めた。
漆黒の革張りの表紙は所々変色していて、背表紙の辺りは大きく亀裂が入っている。随分と古い物なのだろう。表の文字は掠れていて、上手く読めない。
だが彼がその本に手を止めたのは、何もその古さや保存状態の悪さが理由ではなかった。
その本だけはなぜか一緒に入っていた他の本とは違い、細長い紐が幾重にもグルグルと巻きつけられていたのだ。
ちょっとやそっとじゃ切れそうにない頑丈なその紐は、端がこれまた何重にも結ばれていて、解くだけでも一苦労なのが一目で理解できた。
誰が何のためにこんなことをしたのだろうか。何か理由があったのだろうが、この本の持ち主は確かもう亡くなっていたはず。
だがどういった理由があったにせよ、寄贈された本はすべて一度中身を確認しなければならない。そういう決まりだった。
そこで彼は、簡単にその本を開けるために思いつく限りの方法を試した。
手っ取り早く紐の輪から本を抜けないかと引っ張ってみたが位置をずらす事さえ出来ず、普通のハサミで歯が立たないのならとダンボール裁断用の強力なハサミを使ってみても結果は同じ。
残された手段は1つ。彼は地道に結び目を解くしかなかった。
「と……取れたぁ……」
彼が壁掛時計を見上げると、終業時間をすでに5分過ぎていた。他の本の仕分けを一時中断して午前中から始めたにも関わらず、もうこんな時間になってしまっていたのだ。
長時間酷使した目と指先、そして集中力はとっくに限界を迎えていた。
残業はしないようにと日頃から釘をさされているし、体力的にも今すぐ家に帰りたいところだが、ここまでしたのだから当然中身は気になる。
彼は、長い間閉ざされていたのであろうその朽ちかけた本の表紙を慎重にめくった。
結論を言うと、その本は誰かの日記であった。
それも百年以上も前の日記らしく、書いた本人の名前は記されてなかった。
おそらく、誰かの遺した日記が他の蔵書と一緒にさらに別の誰かに移り、巡り巡ってこの図書館に寄贈する本の中に紛れ込んだのだろう。
どの辺りがこの本をこうも頑丈に封印するに至った原因になったのだろうかと、彼は軽く目を通してみたがどこにも思い当たるような内容はなく、それどころか中身はごく普通の日常を記したどこにでもあるような日記のように思えた。
しかし、それは突然の出来事だった。
疑問抱きながら彼が日記の記された最後のページに辿り着いたとき、その日記は急に強烈な光を放った。
眩い光は彼の視界を飲み込んだあと、そのまま瞬く間に消えてしまったという。
知り合いが知り合いから聞き、その知り合いがそのまた知り合いから聞いたというこの話。出処は確かではない。
ただ、この話には続きがある。
彼が図書館からいなくなったことは、すぐに騒ぎになった。
だが、彼の行方は結局分からないままだった。
引越し前の大変な作業に嫌気が差し逃げてしまったのではという人もいたが、彼の同僚はこんな話を残している。
彼が消えたその日。仕事を終え一旦帰宅の途についた彼の同僚は、忘れ物をしたことを思い出して図書館へ戻った。
その時、彼が作業をしていた部屋から見知らぬ男が出てきた。
小柄な彼とは似ても似つかぬその大男の手には、なにやら1冊の古びた本が握られており、そしてその本にはなぜか何重もの紐が巻きつけられていたらしい。
妻の部屋には日記がある。
たまたま見つけたものだが、中身は見ていない。何故ならそれは紐で何重にもぐるぐる巻きにされていて、まるで封印されている風だったから。
ある時、魔が差して日記の紐をほどいてしまった。
妻が何やら楽しげだったからだ。いつもより念入りに肌の手入れをして美容室で髪を整えて。俺以外に好きな男でもできたのだろうか……そんな気持ちからだった。
不安だった。妻が好きだから。よそに行ってしまうのが怖かった。だから、浮気の証拠など見つかってくれるなよ──願いながら開いた日記は俺を絶望へと突き落とすものだった。
俺と出会う前から、妻は男と深い仲になっていた。日記に事細かに記された当時の楽しい思い出、男への愛に嫉妬で狂ってしまった。
俺は妻を殺した。
何度も何度も、恨みを晴らすかのように刺した。
そうだ、俺に気持ちがないならいなくなってしまえばいい。
何日も部屋にいた。近所から通報があったらしく、外はパトカーのサイレン音が鳴り響いている。
何もかもどうでもいい。もう俺を愛してくれる人はいないのだから。
紙のめくれる小さな音がした。風もないのに誰がそんなことをしたのだろう。妻の日記が最後のページを開いて待っていた。
『記憶がなくなっても、私はあなたを愛しているよ』
──ああ、そうだ。俺は事故で記憶がなくなったんだっけ?
妻に他の男などいなかったのだ。
俺の記憶がないだけで、妻はずっと俺だけを愛していた。なんてことをしてしまったんだろう。
『結婚記念日には、毎年デートしようね』
──今日がその日だったんだ。
鳴らされるチャイム、叩かれるドアの音……
もうダメだ。
同じところへは行けないけれど、せめて俺も同じ痛みを味わわなければ。
転がっていた包丁で首を切った。
ごめん、愛してなくてごめんな。
【閉ざされた日記】
白い布手袋をはめる。
壊れぬように、破れぬように、慎重に手記を開く。
この手記は、貴族の邸宅の地下室から見つかった。
保存状態は極めて良く、日光、湿気、乾燥などからも守られていた。
ターコイズグリーンに染められた皮の背表紙、当時の最高品質の紙、
エメラルドグリーンのインクで記されていた。
この手記の著者は、とても裕福だったことが伺える。
記さている言語は多岐に渡るが、恐らく同一人物だと思われる。
根拠としては、ラテン文字や漢字などに共通の僅かな癖が在ったことから。
全体的に文字は、とても洗練された柔らかい文体。
この文体から、女性だと思われる。
ごくありふれた日常の出来事が記されており、
交際関係は、とても華やかで複数人とそういう関係に在ったようだ。
そして、驚くべきことに最も多い内容は子どもに関してのものだった。
子どもの成長、子どもの可愛いさ、子どもの将来について、などなど
様々な子どもに関する内容が、この手記のおおよそ八割を占めていた。
子どもと過ごす時間は少なかったみたいだが、
子ども一人ひとりに関する情報量がとても多い。
実子と養子合わせて、数十人分の描写が細かく、一人ひとり記されていた。
そして、手記の表紙の見開きには『大切な日々の記憶』と記され、
手記の裏表紙の見開きには、
『世界一の宝物たちへ 世界一の幸せものより』と記されていた。
この手記の内容を解読し終わる頃には、みんな涙で顔がぐちゃぐちゃだった。
この手記の著者たる彼女は、家族のことを心から愛し、
家族たちもまた、彼女のことを心から愛していたことが伝わってきた。
こんなにも暖かく穏やかな手記は、今迄に類を見ないものだった。
私は、今迄どう家族と接していたっけ。
平和で、些細で、何気ない、私の歩む日々を大切にしたいと思えた。
この手記は『麗らかな手記』と名付けられ、博物館で展示されている。
閉ざされた日記
日記に黒歴史はない
読ませる為に書いてもいない
ずっとやりたことをやりなさい
って本だと
朝に1日3ページ書くことって書かれる
書く内容はなんでもいいらしい
シリーズ2冊は買った本だけども
その前には稀に書いてたし
形式はいいのだけど
道中の経験談が邪魔かな
エピソード的なあれ
ページ数が必要だったのか
説得力にしたかったのか
とは考えたけども
手軽に書くのを楽しむなら
日記なり随筆なりある
日記だと義務になりやすいし
その日にこだわってしまう
随筆だと書く最初が重いかもね
あと見せることを前提で書くと
見られないとモチベーションが厳しい
書いみることを目標に書きましょう
構えちゃうんだよね
でも書くだけでいいんだよ
自分を楽しんで遊ぶ
そこからスタートでいい
閉ざされたってのはもう誰も読めない
そんな日記なのかもね
閉ざされた日記
ぶっちゃけこのアプリのことだと思ってる(厳密に言えば閉ざされてはいないが)。
誰にも見られる予定のない文章には何も制約がない、と言えば聞こえがいいが。実際のところ、自分が見て悶えることを書きたくはないものである。でも下手くそさを言い訳に書かないとマジで文章作成能力って落ちるよね。
今だって続きが浮かばない時は文体崩して馴れ馴れしいもの・・・・・・。だ・である調で最初から最後まで(+三人称)で書くのって難しい。というか面白くできる自信がないな。だからこそのチャレンジともいうが。
もうすこし余裕できたらやりまーす。やらなそう。
毎日一緒にいたい
とーしたら、一緒にいられるの
心配で心配でしかたない
勝手に自分が思ってるだけなのかな。。、
何を思っているの?
あなたのいない今日が寂しい
つらすぎる
俺の友人は日記を書く習慣がある。
俺自身は正直そう云うのは面倒だし
どうせ続か無いからしないけれど。
その友人の日記には鍵が掛かっている
それ程中身を見られたく無いらしい。
確かに、日記ともなれば己を赤裸々に曝け出す
場所でもあるだろうから見られたくないのも分かる。
ある日その日記を付けていた友人が亡くなった。
原因としては長い間患っていた病を拗らせたらしい。
担当医の言葉によると最期の言葉は
『絶対に日記の中を見ずにそのまま燃やしてくれ』
だったそう。
正直するなと言われた事をしたくなるのが
人間の性と云うものである。
もう誰も住まずにもぬけの殻と化した友人の家に入り
その例の日記を探す。
日記自体は適当な場所に放ってあった。
お、あった。
と内心思いながら
一つの違和感が生まれた。
そう。日記に掛かっている鍵を開ける鍵が無いのだ。
何時も彼奴はどうやって書いていたのだろうか…?
けれど、そんな事はどうでもいい。
友人には申し訳無いが鍵を壊させて貰う。
ペンチで鍵を切る。パチンッペンチの刃が鍵を壊した音がした
開いた開いた。
劫説、中にはどんな内容が書いてあるのだろうか
なんてわくわくしながらページを捲る。
―――
何も無い。
何も書いてない。
ただの真っ白なページがひたすら続いていた。
なんだ、とんだ期待外れだな、。
なんて残念がりながら最後のページに辿り着いた。
これで最後だな。
そう思い最後のページを捲った
そのページにはびっしりと文字が書かれていた。
――――――
『言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと』
俺はその瞬間背筋が凍りとてつもない後悔をした。
何故分かった…?今俺がこの日記を見ていることが
否、恐ろしいのそこでは無い。
恐ろしいのは、これらが【今】書かれているということだ
正確には今では無い。
詳しくは分からないが少なくとも友人が亡くなってから
この文字が書かれたのは分かる。
この日記はインクで書かれていた。
インクは時間が経てば段々滲み乾く
けれどこの文字は違う…。明らかに最近書かれたモノだ
俺はすぐさま日記を閉じ暖炉に薪を焚べその日記を燃やした
『言っただろ。言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま』
題名:閉ざされた日記
×××が死んだ。
自殺だった。
自宅近くの公園で首を吊った状態で発見されたそうだ。スカーフが首に食い込んでいた以外に遺体に不審な点は無く、自殺以外には考え辛いという事だった。
·····私もそう思った。
×××の母は目を真っ赤に腫らして泣いていた。
「分からなかったの」
ぽつんと小さく、消え入りそうな声でそう言った。
◆◆◆
今、私の手には彼女の形見だから貰って欲しいと言われた手帳がある。×××の母から託された物だった。
「あの子の事、忘れないでやってね」
そう言った声は、やっぱり消え入りそうだった。
文庫サイズの青い手帳には、彼女らしい丁寧な字でスケジュールが書き込まれていた。
仕事の予定、カラオケ、映画、ショッピング、旅行、自分と家族と友人、それに推しの誕生日。そう言った予定と共に「楽しかった!」「ミーティング疲れた~(><)」など、一言日記のような感情の発露が見られた。
「·····ええかっこしい」
思わずそんな言葉が零れた。
私は青い手帳を閉じて、タブレットの画面にあるSNSのアイコンをタップする。
何人かいるフォロワーの一人、真っ黒なアイコンで名前以外プロフィールも何も無いその鍵垢が、×××のもう一つの日記。
そこに書かれているのは、愚痴と毒と僻みと妬み。そして自罰と自嘲と自己否定。失望絶望悲観厭世。とにかくこの世のあらゆるものを否定し、自分自身と世界の終わりを望んでいる。
「こっちがアンタの本当の姿だったんだよね。·····というか、どっちも本当、か」
画面をスワイプしながら呟く。
前向きで、頑張り屋で、誰ともうまく付き合える×××。
後ろ向きで、悲観的で、何もかもを否定する×××。
うまく保たれていた彼女のバランスが、何かのきっかけで崩れてしまったのだろう。
彼女の母も、私も知らない何かで。
彼女の母も私も、それを知ることはない。
「アンタはきっと、それでいいんだよね」
一番最初の投稿まで戻ってみる。
〝最初で最後〟その言葉と共にすっぴんの×××が写っている。白い歯を見せて、大好きなドーナツを手に持って。
彼女にとってたった一人のフォロワーに向けたその笑顔は、「それでいいんだよ」と言っているようだった。
END
「閉ざされた日記」
私は小学生の時、私含め三人で交換日記をしていた。
なぜか憧れを持っていた交換日記。やろうと決めてからすぐに皆で文房具屋に行き、お小遣いを出し合いシンプルなノートを買って、私たちの交換日記がスタートした。
誰にも秘密でいようという約束で始めたそれは、自分たちだけで内緒のことを共有しているという感覚がわくわくして、楽しくて、自分の番が回ってくるのを待ち遠しにしていた。
そんなある日、いつまで経っても回ってこないと、一人が言い出した。私は次に渡したし、もう一人に聞いてもわからないと言う。全員自分の家や思い当たる所を探したが、ついにノートは見つからなかった。
それから半年ほど経って、部屋を片付けていたら、前に失くしたと思っていたノートが急に出てきた。一番最近のページを見ると、私が書いた誰にも届いていないページ。
失くしてからもう時間も経っているし、一回は探しても無かったと言った手前、今更告げるのもと思い、生まれた罪悪感と一緒にそっと引き出しの奥にしまった。
あれから何年が経っただろうか。もうすぐ成人するというのに、いまだにあのノートは引き出しの中で眠っている。私の昇華しきれない記憶と罪悪感と共に、今日も日記は閉ざされたままだ。
誰も私を見ないで。
何度願ったことか。毎日毎時間願っても誰も叶えてはくれない。
私は私の顔が嫌いだった。顔のパーツとなるもの一つ一つ。
だから整形について調べていっぱいお金を稼いだ。それだけでは幸せになれないと家から遠い場所で生きていく事を決めた。
家族はいい顔をしなかった。
それはそうだ。だが私の決意が硬いとわかるとそれ以上干渉することはなかった。
若干の罪悪感を追いやり飛び出した地での日々はそれらを忘れさせてくれるくらいに充実していた。
誰も私を知らない。誰も私を見ない。
程よい無関心は呼吸が楽だ。
モテるためにしたのではない。
関心を集めないための整形。
ここなら。
そう確信した私の日常は突如崩れた。
今年の新卒に、中学時代のクラスメイトがいた。
閉ざされた記憶があり
お題︰閉ざされた日記
つまらないな、と思った。封のされた手紙の束を全て開封し終え、疲れもあったのか浅い感想しか出てこなかった。
この手紙の束は古い家を購入し掃除をしていたときに見つけたものだ。宛名も差出人の名前も無くすべてが不明な手紙だが、おそらくこの家の前の持ち主が書いたものではないだろうか。そんなことが分かったところで結局捨てるのだから無意味だけれど。
……捨ててしまうのは、勿体無い気がした。
■■
「そう、そう、上手ね」と微笑みかけてくれた先生のような人を愛情と呼ぶのだろうか。
こちらはもういい年した人間だというのにまるで小さい子相手にされたみたいだった。
(へ、へへ、なんだかてれくさいな)
にやけながら頭の後ろをガシガシ掻いた。
たかが一つ当たり前のことができただけだというのに褒められて、甘やかされたみたいで、天にも登る心地。
頭の中のモヤモヤがどこかへ弾け飛んで、薬でも消えなかった憂鬱が砕けて無くなった。人に褒められただけでこんなにも簡単に生命力が湧いて出てくる。
■■
幸せ、かは分かりませんが、ふとあなたのことを思い出します。あなたの背中を追いかけてここまで来ました。あなたの隣にやっと立てると思ったら、あなたは別人になっていて。あまりの豹変ぶりにあなただと認められず、衝動のまま殴ってしまったこと、よく覚えています。
■■
去年の誕生日は一緒に食事に行った。今年の誕生日は?あれ!今年の誕生日どこにも行ってないじゃない!
と思ったけれど、部屋に飾ってあったくまのぬいぐるみを見て思い出した。そうだ、このくまさんを貰ったんだった。
忘れてるなんて、なんて薄情な奴だろう。
■■
「正しい自分」を探してるんだろ。目を閉じていると自分が誰だか分からなくなるからなぁ。周りの状況が見えないと自分という存在すら危ういものだ。
■■
「いろんな味を楽しめる」が謳い文句の小さなケーキ6つセット。どれも似たようなチープな味で、見た目だけが違う同じケーキ6つセット。これをなんと表せばよいか。不出来さ、足りなさ、どれだけ着飾っても同じ味の、滑稽さ。それが恐ろしいほど愛おしい。
■■
時が止まったように感じる。静かで、誰もいない、なんの変化もない。異世界に飛ばされたみたいで恐ろしい。自分一人しか生きていないなんて、孤独で寂しい。
■■
朝の静かな空気と薄い空は良いものだ。気持ちがスッと落ち着く。不安と隣り合わせとも言えるが、健康な日は穏やかだと思えるよ。
■■
あの夜からずっと抜け出せないでいる。僕たちの間ではタブーばかりが増えた。もっと僕が強かったら……そんなことを思う。
何かを見ようとしてやめてしまった。今となってはそれも正しかったのかもしれない。
殴りたいし殴られたい、誰かに罰してもらいたい。哀れだな、僕たち。
今すぐにでも殴ってほしいよ。でも、恋人を犯罪者にしようとするような僕はきっと君を愛していないんだろうな。
あの日、あの時、君との思い出を大切に書き残していた日記。
新しいページに書き残すことは、もう、ない。
だけど願ってしまう。
君と私の時が動き出すことを。
どうしたって願ってしまう。
心の底に沈んでいる閉ざされた日記をもう一度開けることを。
私は、日記を書き始めた。
家族、仕事、自分のこと。
でも、日記を書いていると嫌なことを思い出すことがあった。
だから、私は日記を書くのをやめようとした。でも、今も現在付き合っている方から「日記は書いていたほうがいい。」と言われた。
なぜかと聞くと「日記を書くのはとても大事なことだし、辛いこと、苦しいこと、悲しいことこととか書くことで自分が抱えていた悩みが少しでも減るからだよ。」と言ってくれた。
たしかに、書くことによって気持ちは少し楽になっていた気がする。
私は日記はやめず書き続けることにした。