月辻

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俺の友人は日記を書く習慣がある。
俺自身は正直そう云うのは面倒だし
どうせ続か無いからしないけれど。

その友人の日記には鍵が掛かっている
それ程中身を見られたく無いらしい。
確かに、日記ともなれば己を赤裸々に曝け出す
場所でもあるだろうから見られたくないのも分かる。
ある日その日記を付けていた友人が亡くなった。
原因としては長い間患っていた病を拗らせたらしい。
担当医の言葉によると最期の言葉は
『絶対に日記の中を見ずにそのまま燃やしてくれ』
だったそう。
正直するなと言われた事をしたくなるのが
人間の性と云うものである。
もう誰も住まずにもぬけの殻と化した友人の家に入り
その例の日記を探す。
日記自体は適当な場所に放ってあった。
お、あった。
と内心思いながら
一つの違和感が生まれた。
そう。日記に掛かっている鍵を開ける鍵が無いのだ。
何時も彼奴はどうやって書いていたのだろうか…?
けれど、そんな事はどうでもいい。
友人には申し訳無いが鍵を壊させて貰う。
ペンチで鍵を切る。パチンッペンチの刃が鍵を壊した音がした
開いた開いた。
劫説、中にはどんな内容が書いてあるのだろうか
なんてわくわくしながらページを捲る。
―――
何も無い。
何も書いてない。
ただの真っ白なページがひたすら続いていた。
なんだ、とんだ期待外れだな、。
なんて残念がりながら最後のページに辿り着いた。
これで最後だな。
そう思い最後のページを捲った
そのページにはびっしりと文字が書かれていた。
――――――
『言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと』

俺はその瞬間背筋が凍りとてつもない後悔をした。
何故分かった…?今俺がこの日記を見ていることが
否、恐ろしいのそこでは無い。
恐ろしいのは、これらが【今】書かれているということだ
正確には今では無い。
詳しくは分からないが少なくとも友人が亡くなってから
この文字が書かれたのは分かる。
この日記はインクで書かれていた。
インクは時間が経てば段々滲み乾く
けれどこの文字は違う…。明らかに最近書かれたモノだ
俺はすぐさま日記を閉じ暖炉に薪を焚べその日記を燃やした


『言っただろ。言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま燃やしてくれと言っただろ。絶対に中を見ずにそのまま』

題名:閉ざされた日記

1/18/2024, 4:19:41 PM