部屋の片隅で』の作文集

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部屋の片隅で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

12/8/2024, 4:23:33 PM

部屋の隅。壁に背をつけて膝を抱える。
灯りを点けず、カーテンを開けたままの暗い室内。窓から差し込む月の光が、部屋の中央を白く染め上げていた。

ゆらり、と影が揺れる。
差し込む淡い光が、形を持ち始める。
白と黒。混じり合って、くるりくるりと回り始めて。
白い踊り子が可憐に舞い。黒の獣が雄々しく駆け回る。
まるで物語の一幕のように、美しく幻想的な光景。
時が経つのも忘れ、静かに魅入っていた。


「今宵も楽しんでもらえたようで」

不意に聞こえた声。
気がつけば、いつの間にか部屋の片隅に誰かが立っていた。光沢のある白の着物が、月の光を反射する。
きらきらと輝いているような錯覚を覚えて、思わず目を細めた。

「さて。此度は何があったかな」

低く静かな声に問われ、口を噤んで俯いた。
何もないと言うのは簡単だ。大丈夫だと、誤魔化す事にも慣れてしまっている。

「沈黙は、時に雄弁に物事を語る。家族の事で何かあったようだな」

びくり、と肩が震える。

「そうだな。弟の事か」
「あいつは関係ない。あいつのせいじゃないし、仕方がなかったんだ」

これでは認めているようなものだ。
そうは思いながらも、仕方がないのだと繰り返す。

分かっている。いつもの事だ。
家族で出かける予定があった。ずっと楽しみにしていた事だった。
けれど弟が朝から熱を出し。出かける予定は、当然のようになくなった。
今、この家には自分以外誰もいない。
朝から病院へと行った両親と弟は、このまま今夜は帰らないのだろう。

いつもの事だ。
こうして予定や約束がなくなる事も。
一人で過ごす夜も。
次の日に、帰ってきた弟や両親に謝られる事も。それに笑って大丈夫だと答える自分も。

繰り返し過ぎて、何も感じられなくなるくらいには。


「ありがとう、楽しかった。もう大丈夫だから」

顔を上げて笑ってみせる。
雲のない月の夜に見られる、この特別な舞台を楽しんだのは本当の事だ。
現にさっきまであったはずの、自分で消化しきれない心に溜まったどろどろとした気持ちが、今はもう消えてなくなっている。
嘘は言っていない。
だがその答えは、相手にとって満足のいくものではなかったようだ。

「幼子が物分かりのいい言葉を述べるものではない」

静かな声に叱られる。
音も立てずに近づいて、大きな手が頭を撫でた。

「幼子とは我が儘であるべきだ。何にも縛られず、自由勝手に笑っておればいい」

我が儘。自由。
自分が忘れてしまったもの。
兄になったのだからと、言い聞かせてなくしてしまったそれは、遠い国の言葉のように思えた。

「機は熟している。招き終わらせるよりも、意向を変えてこのまま拐かす方が良いか」

何を言っているのだろう。彼の言葉はいつも難しい。

「何?どういう事?」

聞いても、静かに笑うだけで答えはなく。
頭を撫でていた手が離れ、抱き上げられる。
間近で見る彼の、月のような目が穏やかに細まった。

「共に参るか。弟がおらねば、その笑みが陰る事はないだろう」

弟のいない世界。
想像して、それは嫌だと首を振った。
何もかも、弟中心ではあるけれど。それでも弟が笑っていられる世界が一番で、大切だった。

「そうか。なれば機を見て弟も手招こう。応えるかは分からぬ故、体は残しておかねばなるまいな」

呟く彼の大きな手に目を塞がれる。
急に何も見えなくなり、少しだけ不安を覚えるけれど。
ゆらゆらと、揺れる感覚と。
彼の歌う、澄んだ声に。
不安も、悲しみも、寂しさも。全部融かして。
何もかもを忘れて、眠りについた。





灯りを消して、カーテンを開けた。
部屋の片隅。壁を背にして座る。

数年前に、兄がそうしていたように。


家族で出かける予定の日の朝、熱を出した。
いつもの事だ。思い通りにならない自分の体に、嫌悪すら抱く。
兄がその予定を楽しみにしていた事を知っていた。知っていたはずであるのに、熱は一向に引く様子はなく。
結局あの日。暗い家に兄一人をおいて、病院で両親と共に一夜を明かした。
いつもの事。次の日に家に戻って兄に謝り、そして兄が作った笑顔で大丈夫だと答える。
その時も、変わらないと思っていた。

最初は眠っているのだと思った。
壁に背を預け。緩く微笑みを浮かべて。
だが触れた体は氷のように冷たく、硬く。
時を止めた兄の体が倒れていく様を、半狂乱になる母の姿を、ただ呆然とみている事しかできなかった。
兄の時が止まったあの日から、この家も時を止めた。
母は兄を喪った現実を受け入れる事が出来ず。父は受け入れたように見せかけてその実、この家に兄の幻を見続けている。
兄の部屋は、あの時のままだ。

ふ、と息を吐く。
あの夜。兄はここで最期に何を見ていたのだろうか。

兄はいつでも優しかった。
泣きわめく事も、我が儘を言うでもなく。家族に心配をかけまいと、笑顔で嘘をつく。
簡単に病に伏して兄を傷つける自分を、心の底から心配してくれた。
その兄が見た景色を、見てみたかった。


部屋の中央。月の光が差し込むその周りで、暗闇が蠢いた。
浸食するように光と混ざり合い。光でも闇でもない、歪な何かが形を作る。
その動きは手招いているようにも見えた。

こんな醜悪なものを、兄は見ていたのか。

顔を顰めて立ち上がる。
カーテンに手を伸ばして。


「お気に召さなかったかな」

低い声が聞こえて、振り返る。
部屋の片隅。
いつの間にか、白の直衣を身に纏った美しい男が。
虚ろな目をした子供を腕に抱いて、立っていた。



20241208 『部屋の片隅で』

12/8/2024, 1:34:58 PM

部屋の片隅に立つ、
貴方のそばに近づく度に心臓が高鳴っていく。
Andante, Andantino, Allegro, Presto.
一歩ずつ、一歩ずつ。
目が合わせられず、ただ貴方の顔をちらりと見ては
目を外して、忙しなくその視界を泳がせて。

まるで自分の眼がレンズになったようだった。
眼の中で動画が流れているような、流れる映像の“枠”が
ないことの違和感だけがずっと残るような。

信じられなくて、夢のようで、よく分からない。

握った手は細く、冷たく、大きくて。
私の着けている指輪が彼の手の肉と私の手の肉で挟まれた、
その感覚だけが現実にあった。
それ以外は全て、幻のようだった。
手を離してすり抜けていくその感覚一つですら、
霧のようだった。

それは部屋の片隅であった話。
内緒話のような触れ合い。ささやかで小さなFermate.

部屋の片隅から離れていく。

andante,and.

「部屋の片隅で」 白米おこめ(遅刻)

geschmackvoll!

12/8/2024, 1:28:46 PM

昭子は部屋に置くロッキングチェアを探すことにした。
 家具屋さんにロッキングチェアなんてあったかしらと昭子は考えた。ロッキングチェアなんて探した事がなかったから、検討もつかなかった。
 とりあえず大型のインテリアショップに行ってみた。店内を一回りしたがそれらしい物が見当たらない。昭子は店員を探して質問してみた。ロッキングチェアは店の隅に一商品だけ取り扱いがあった。ただ、昭子が想像しているような物ではなく、普通の椅子の足にカーブした板をつけただけのように見えた。ただ、自分の想像している物がうまく説明できなかった。
 昭子は近くにある本屋へ行ってみた。インテリアの本があるのではないかと考えたのだ。インテリアの本はたくさんあった。昭子は自分の好きな写真の載っている本から順にぱらぱらと見ていった。素敵な写真がたくさんあった。昭子はロッキングチェアの事は忘れてそのインテリア雑誌にのめり込んだ。今までインテリアや家具なんて興味もなかったのに。
 昭子は一番魅力的に感じた部屋が載ってる雑誌とロッキングチェアの写真の載っている雑誌の2冊を購入した。
 家に帰るまでの時間ももどかしく、喫茶店に入ってじっくりと雑誌を見ることにした。その喫茶店は駅前から少し外れた場所にある。静かな店内が気に入っていた。
 
—————————
お題:部屋の片隅で

12/8/2024, 1:16:35 PM

部屋の片隅で、楽しそうにおしゃべりする人がいる。
部屋の片隅で、コロコロ笑う人がいる。
背もたれのない椅子を、壁に添わせて使う人。
私より勉強が得意で、
私より感受性が豊かで、
私より早起きな人。
今日も部屋の片隅で、幸せそうな人がいる。
その人よりも、私はその人を愛している。

12/8/2024, 1:00:21 PM

「部屋の片隅で」

最近、うちに住み着いているおちびに落ち着きがない。
なんだ?腹でも痛いのか?一体どうしたんだろう。

「おちび、そろそろ寝るぞー。」
「あっ……ねんねもうちょっとあとなの、だめー?」
「夜だからお化けが来ちゃうよ?」「やー!」

どうもお化けは苦手らしい。幽霊は平気なのに、なんでだ?
「おばけ、こわいのー。」「じゃあ寝ような?」「ん。」
「ちょっとこわいから、だっこちて?」「はいはい。」

抱っこされているうちにいつの間にか眠ったみたいだ。
さて、もう寝るか。
こうして自分たちは眠りについた。

……何時間か経った後、どこからともなく音がすることに気づいた。何、どこから音が……?
最近は治安が良くないから少し不安になる。

周りを気にして、いろんな方向を見る。
暗いからよく見えない。……そういえばおちびは?
ベッドにいない。どこ行った?!

改めて部屋を探す……まもなく小さな子どもは見つかった。

部屋の片隅で、こちらに背を向けて何かしている。
え、こんな時間に……「何してるの?」「!!」
「夜更かしは良くないよ?」「……。」

「あ、あのね……。」「うん?」「しゃんたしゃんに、おてがみかいてるの。」「あ、そうなの。」「んー。」

「あのね、いいこにちてたら、しゃんたしゃんがね、ぷれぜんと くれるんだってー!⬛︎⬛︎ちゃんからきいたの!」「そっかー。」

「えとねー、ボクね……いいこ?」「?」「ボク わるいこ?」
「おちびはとってもいい子だよー。」「いいこ?」「うん、いい子。」「!!ニンゲンしゃん!ぎゅー!」「よしよし。」

「ところで、何が欲しいの?」「んー。ひみちゅだよー。」「そっかー。サンタさんへのお手紙は上手に書けた?」「んー!」「よかったね。それじゃ、もう寝ようか。」「ん!」

「おやすみ。」「ニンゲンしゃ、おやしゅみー!」

おちびが寝入ったのを確認して、こっそり手紙を見る。ごめんな。手紙には、多分こんなことが書かれていた。拙い字で一生懸命書いてあった。

さんたさん へ
ぼくの おとうとに、 ねるじかんを あげて ください。
ニンゲンさんに、 もっと わらって もらえる ものを ください。
ぼくは、 みんなが だいすきです。 だから、 もっと いっしょに いたいです。 こんどは いっぱい げんきに いいこで いさせて ください。

⬜︎⬜︎より❤︎

……そんなこと願わなくたって、これからもずっと……いや、君が望む限り、ずっと一緒にいるのに。

……なんてことを思いながら、自分もまた眠りについた。

12/8/2024, 11:35:54 AM

飽和した
ファイルの束が
せり出して
肩身の狭い
推しの祭壇

12/8/2024, 10:21:32 AM

すみません、お題の確保です……


「部屋の片隅で」

12/8/2024, 10:16:03 AM

「1人の夜に」


家族と暮らすと
1人の時間というものが
なかなか作りずらい
仮に部屋にいたとしても
生活音が聞こえてくるだけで
1人でないと思ってしまう


憂鬱だった
1人きりになりたい
何も考えず
ただ1人になりたい
ずっと思っていた


突然だった
一人暮らしになったのは


朝アラームで起きて
満員電車に揺られ
9時に業務が始まり
18時に終わると
帰りにスーパーに寄って
30%オフになった唐揚げと
ティッシュペーパーを買い
自宅に戻る


平日はこの繰り返し
休日も特にすることがなく
ベッドの上で 
淡々と動画を永遠と見る


憧れていた1人での暮らし
なんでだろう
心が空っぽな感じがするのは


母の作る豚汁が恋しい
父のうるさい笑い声が恋しい  
母のがさつに窓を閉める音が恋しい
父の買ってくるコンビニのお菓子が恋しい

ふと寂しくなって
気づけば涙が溢れた

部屋の片隅で
1人の夜に





2024/12/7 部屋の片隅で

12/8/2024, 10:14:57 AM

「部屋の片隅で」
部屋の片隅で今日も座り込んだまま。
あの子に忘れられたまま、ぬいぐるみの体に埃が被る。
あの子が小さいころ、大事にしてくれてた。
そんな記憶が、未だ残ったまま蘇ったりふっと消えたり。
かわいくデコレーションされたくまのぬいぐるみ。
そんなわたしを君は欲しいと言ってくれた。
今はもう汚れてしまったり、デコレーションのパーツが取れたり。
もう君といっしょに遊ぶことは無いのかな。
汚れてしまった体でも、古くなった体でも、もう一度大きくなったあの子と遊べたなら 昔を思い出しながらいっしょに笑って遊ぼうね。

12/8/2024, 10:13:59 AM

花が咲いていた
日の当たらない薄暗い隅っこの事だ
光を集めたような色をして
静かに俯いていた

蕾がついていた
日の当たらない薄暗い隅っこの事だ
固く小さな萼片に守られ
凛と前を向いていた

新芽が出ていた
日の当たらない薄暗い隅っこの事だ
初々しくもぴんと張った葉が
上を目指し仰いでいた

種実が落ちていた
日の当たらない薄暗い隅っこの事だ
雨すら当たらぬ部屋の隅
それでも水を注いだのは私だった

‹部屋の片隅で›


君の涙が好きでした
君が袖を引いてくれるから
力に訴えても許されるから
君の涙が好きでした

君の怒りが好きでした
心のままの声が聞けるから
力で善を為せるから
君の怒りが好きでした

力を振るうのは嫌いでした
それでも君の憂いが晴れるなら
君の笑顔にいつか繋がるなら
そう信じて力を振るいました

笑ってるところは
さいごまで
見ることはできなかったけど

‹逆さま›

12/8/2024, 10:02:58 AM

部屋の片隅で

部屋の片隅で両膝を抱え、蹲る
リビングから聞こえる両親の怒鳴り声に耳を塞ぎたくなる

(早く終わってくれ…)

そう願うしか出来ない無力な自分
そんな自分を包み込む暖かい体温に思わず身体を硬直させた

「もう大丈夫
安心しなさい」

優しい声に顔をあげると優しく笑う老婆がいた

「ばあ…ちゃん…」

「よく我慢したね」

頭を撫でてくれたばあちゃんに泣きながら抱き着いた

「お前は偉いよ」

そう言って抱きしめてくれるばあちゃんの温かさに余計に涙が止まらなかった

12/8/2024, 10:02:20 AM

部屋の片隅で


もし、もし、もしだなんて

ほんとばかげてる

積もりに積もったあなたなんて

ほんとみっともない

もう、もう、めんどうなの

誰かと比べる人生も

上の上から見るあなたなんて

ほんと、首が痛い。

12/8/2024, 10:00:05 AM

部屋の片隅で



私の部屋の片隅には

神と守護霊と埃がおわす

12/8/2024, 9:59:12 AM

#部屋の片隅で


  初めてのキスは、酸っぱくて、ほんのり甘いらしい。

  実際、どうなのかを知りたくて、僕は片思い中の

  君に、キスをしてみようと思った。

  まぁ、若気の至りってやつだろう。

  いつも通り、放課後に君の家を訪ねて、勉強をして、
 ゲームをする。

  しばらくして、部屋の中が暑いと言い、君は着ていた
 服を脱いで、上半身に布を纏わない姿を僕に見せる。

  その姿を見た瞬間、僕の中の理性が、ブツっと切れる音
 がした。

  君の両手を重ねて、身動きが取れないように抑える。

  興奮状態にあった僕は、その場の雰囲気にのまれて、
 君と、初キスを交わした。

  外に出れば、じりじりと陽の光に肌を焼かれ、
 室内にいても、サウナのように蒸し暑い夏。

  外で蝉がうるさく鳴いていたあの日、
 君の部屋の片隅で、甘酸っぱい、キスをした――。

12/8/2024, 9:57:45 AM

(前回の続きです)




部屋の片隅で私は地獄に案内された


(…此処が地獄の私の居場所?)

私は死柄木弔…本名、志村転孤と地獄に行くために
転孤の身体を、わざと刀で彼に傷を付けた。
自分にとって地獄行きの切符になると信じていたからだ。



(死柄木………転孤を1人にさせない。彼と同じ地獄へ行くならば何だってする………たとえ、それが罪になるとしても)



その瞬間は、今でも鮮明に覚えている。
薄暗い部屋、彼の険しい表情、そして私の震える手に握られた刀。彼は抵抗しなかった。ただ私を見つめていた。まるで全てを受け入れる覚悟があるかの様に。


〇〇
『転孤ごめんね………でも、こうするしかないの…』


刀が彼の肌に触れた。そして、彼の肌が裂いた。私と胸に鋭い痛みが走った。それは、肉体ではなく心の痛みだった。



死柄木弔(志村転孤)
『〇〇、お前らしいやり方だな。でも後悔しないでくれよ』


その言葉に、私は涙を堪えることができなかった。
罪を背負い、地獄へ向かう道を選んだ私。 
彼は、どこかに諦めた様に見つめていた。


(転孤、私は、これで貴方と一緒に行けれる…もう
離れ離れにならないよ)


地獄の扉が開き、私は再びその中に足を踏み入れる覚悟ができた。彼に付けた大きな傷は、私が選んだ地獄の道の証だった。それが私たちをもっと深く彼との絆になると信じていたから。


地獄に行く前、
既に私は18歳で相澤消太によって殺害された身。
転孤は、処刑される身になっており、
市中引き回しされては、公開処刑で斬首される。


死柄木弔、、、志村転孤は佐野万次郎と友人

処刑進行が行われている間、佐野万次郎は、
その事実を知らなかった。その日の午後

テテテ

『佐野万次郎様………死柄木弔の処刑が決まりました。
既に、その時が近づいており、貴方に知らせるべきだと感じて参りました』


佐野万次郎は、
『え?嘘だろ…ありえない…』

佐野万次郎は、その言葉を聞き言葉を失う。胸が締め付けられるように痛み息を飲む。

『転孤………どうして?彼は、あんなに強くて…』


使者は静かに首を横に振り

『彼は既に、打首、獄門を言い渡され、市中引き回しを経て処刑される城へと向かっています。もう、戻ることはありません。』

佐野万次郎は、あまりにもショックを受けて強く拳を握った。

『転孤…』

死柄木…転孤が処刑されるという現実が、あまりにも酷すぎて佐野万次郎は、受け入れなかった。



その頃の転孤は、市中引き回しされる中、
周囲の市民たちは、無言で彼を見守っている人
罵声、低い囁き声、冷笑が漏れ聞こえ、罪の報いを当然視する者もいれば、彼がどんな経緯で
処刑されることになったのかを知る人もいたのだ。
そして、石を投げる人たちに悲しい笑みをする転孤。



(先生…お前のことは、幻滅したよ………)




市民たちは

『死柄木、あんなにも若いのに…』

『彼、何歳?』

『20歳だってよー』

『なぜ彼は、こんな道を選ばざるを得なかったんだろうか………』

『もしかして彼は、オールフォーワンに操られていたのかも………』


死柄木を哀れに思う人も沢山いたのだ。

『死が待っているんですって〜』

『処刑されて当然よ』

(先生…俺に罠をかけやがって………)


馬に乗せられて市中引き回しをしている間に彼は
ずっと俯いていたが、一度だけ空を見上げていたのだ。

死柄木弔と呼ばれれる理由

彼の前に立つと必ず[死]が訪れること
絵[柄]のように、彼が人を惨殺すると美しい工芸品に見えること。
[木]のように大きく振り捌くからだ。
そして必ず戦いが終わると死亡した人に対して般若心経を読み、死者を[弔]うからだ。





カッカッカッカ…



馬に乗り、市中引き回し
その先には、処刑台が待ち構えている
彼の表情は、今や無力で無言の講義みたいに瞳を閉じている。

拷問で受けた傷跡も、新たに縄でできた傷跡も
血も、滲み出ている。彼の手首には縄の食い込みで血が紫に変色しては細い血の筋が、指先へと流れ落ちていく。



処刑場に辿り着き
彼を見て涙ぐむ者も現れて、静かな啜り泣き声が響き始める。彼の生き様を非難する声も少しずつ途切れ、そこには青年1人が辿る最期を見守る哀惜が広がっていた。 



『てんこ!てんこ!』

と、泣き叫ぶ佐野万次郎が転孤の最期を見守るために来たのだ。



『お前じゃないんだろ?オールフォーワンだろ!黒幕は!何でだよ!こんな目に…』


佐野万次郎の叫びは、物間寧人に聞こえて物間は

『処刑は、処刑です。黒幕がいたとしても、この人は、たくさん人を惨殺した殺人鬼です。




私は幽霊として転孤を見守りながら彼を抱きしめた。


(ん?この温かさは〇〇?)


相澤消太により俺は猿轡を強引に外されて
絶世の句を読んだ




『オールフォーワンに裏切られた。だが、
君が為尽くす心は水の泡消えにし後は澄み渡る空』

首と頸を出して大きな穴を見て小さく泣いて微笑む


グハァ!!………

俺は、斬首された



暗闇の中で私と転孤が再会する


『俺の心を支えてくれたのは〇〇だけだった』


彼女は優しく微笑む

だが、彼女と俺は地獄の中へと堕ちた

12/8/2024, 9:56:40 AM

部活をやってる時は夢中だった

どうしても自分の物が欲しくて

バイトしてお小遣い貯めて

やっとの思いで買ったBachのトランペット

銀に光るその楽器は本当に綺麗で

大事に大事にしてたっけ

だけど高校を卒業して

楽器に触れる機会が無くなると

あれだけ大事だったトランペットは

他の荷物に埋もれていった

ふと思い出した今日

たまには磨いてみるかと

荷物をかき分け

久しぶりにBachの文字を見た









「部屋の片隅で」

12/8/2024, 9:56:08 AM

部屋の片隅で

ディズニー帰りで書けそうになかったすまんな

12/8/2024, 9:45:27 AM

部屋の片隅で

部屋の片隅で
怯えているの
お母さんとお父さんが
喧嘩をやめるまで

毎日毎日
喧嘩をしてる
お父さんが不倫をして
お母さんは怒ってばっか

ああ
誰もいないところに行きたい

部屋の片隅で
震えているの
お母さんとお父さんが
言い合いをやめるまで

毎日毎日
言い合いをしている
お母さんが愚痴を言って
お父さんはそれに言い返している

ああ
誰も知らないところに行きたい

毎日毎日
うんざり

ああ
早く離婚してくれないかな

12/8/2024, 9:34:38 AM

No.195『部屋の片隅で』

1人の方が楽?
…だから部屋の隅で1人で泣いてたの?
でもさあ、辛いなら頼って欲しかった。
…なんてこんなふうに言うのはずるいよね。
言い出せないよね。
ごめんね、気づいてあげられなくて。
ごめんね……。

12/8/2024, 9:34:18 AM

【部屋の片隅で】
Dom/Subユニバースです。
わからない人ごめんなさい。
Corner・・・部屋の隅を向いて座る
Sh・・・静かに

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ごめんなさい…」
「ハァ〜…」

僕が悪いのはわかってるのに怖い。

「"Corner"」

彼の声が冷たく響いた。
びくりと肩が震える。

「なんで…」
「"Sh"聞こえなかった?」

ゆっくりと足が部屋の隅に動く。
体育座りで固まると、冷たい声が飛んでくる。

「15分」

不安で不安でたまらなくなる。
優しい声だけを楽しみにして、壁を見つめ続けた。
                        fin

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