Open App

花が咲いていた
日の当たらない薄暗い隅っこの事だ
光を集めたような色をして
静かに俯いていた

蕾がついていた
日の当たらない薄暗い隅っこの事だ
固く小さな萼片に守られ
凛と前を向いていた

新芽が出ていた
日の当たらない薄暗い隅っこの事だ
初々しくもぴんと張った葉が
上を目指し仰いでいた

種実が落ちていた
日の当たらない薄暗い隅っこの事だ
雨すら当たらぬ部屋の隅
それでも水を注いだのは私だった

‹部屋の片隅で›


君の涙が好きでした
君が袖を引いてくれるから
力に訴えても許されるから
君の涙が好きでした

君の怒りが好きでした
心のままの声が聞けるから
力で善を為せるから
君の怒りが好きでした

力を振るうのは嫌いでした
それでも君の憂いが晴れるなら
君の笑顔にいつか繋がるなら
そう信じて力を振るいました

笑ってるところは
さいごまで
見ることはできなかったけど

‹逆さま›

12/8/2024, 10:13:59 AM