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12/15/2025, 11:26:52 AM

いくつもの経験を積み上げて
いくつもの記憶を綴り重ねて
一歩踏み出す先を選ぶ
いくつもの失敗を振り返って
いくつもの成功を重ね挙げて
伸ばす手の先を考える
いくつもの昨日を踏み登って
いくつもの自分を踏み越えて
望む未来の導を灯す

‹明日への光›

12/14/2025, 12:18:45 PM

必ず辿り着くのだと
人は星を指し示した
遠い遠い昔々に
人が辿り着けなかった夢だった
今なら己なら先人の知識があるのなら
必ず辿り着くと人は言った

それでいい、と天を見上げた

誰かの夢が導になり
誰かの意思が道になり
誰かの執念が炎になる
そうしてそうして進んだ先に
希望という光が灯り
未来が確かに開かれる
結末が星と語られる
そうして満天を埋めていく
その意志こそが星になる

‹星になる›


遠い遠い地平の向こう
重く鳴り響く鐘の音
高い高い壁の向こう
ざわめき止まぬ民衆の音
風を渡って鳴り響く
君の為の鐘の音
葉擦れの音の隙間に響く
君に贈られた祝福の声
草むらの中で草葉の陰で
そっとそっと そっと祈った
もう二度と見えぬ君へ

‹遠い鐘の音›


粉雪の上をさらさらと
長い裾が流れていく
牡丹雪の中をふわふわと
長いベールが流れていく
化粧も笑みも一つもなく
素のままの美しい顔で
白い道をさらさらと
花嫁が歩いていく
白い空間にふわふわと
花だけが色付いている
恋も愛も一つもなく
先に待つヒトに嫁いでいく
白い雪がさらさらと
白い雪がふわふわと
帰り道を塞いでいく
帰り道を消していく

‹スノー›

12/12/2025, 9:25:46 AM

夜空の向こうに星がある
夜空の向こうに朝がある
夜空の向こうに光がある
夜空の向こうに君がいる

‹夜空を越えて›

12/11/2025, 9:17:55 AM

昔、うさぎのぬいぐるみを持っていた。
さらさらでふわふわであったかくて大好きで
冬も夏も抱き締めて眠っていた。
いつ手放したのかは覚えていない。
多分どこかで捨てられてしまったのだろうけど。
そんなことを不意に思い出して、薄情だなと思った。
兎汁を啜りながら、薄情だなと思った。

‹ぬくもりの記憶›

12/10/2025, 9:39:52 AM

凍傷も火傷も同じ事だと
確か母が言っていた
ぐずついてどろどろになるか
とどこおってぼろぼろになるか
気を付けなさいと言っていた
どちらも深くは死んでしまうと
確か母が言っていた
頭を抱えてうずくまる
腹を抱えてうずくまる
少しは風が凌げそうで
少しは静かな夜だった
この身体が凍ったとて
この身体が焼けたとて
きっとこの子は生き延びる
だって母が言っていた
私をそう生んだ母が言った
腹に当てた指は白く
熱いか冷たいかも分からない
それでも私はこの子に言う
生き延びろとこの子に言う
この身体を壁として
この身体を餌として
生き延びろと私は言う
私もそうして生きていた

‹凍える指先›


白い道を駆けていく
果てなく果てなく駆けていく
白い原を翔けていく
果てなく果てなく翔けていく
白い心を懸けていく
果てなく果てなく懸けていく
白い祈りを掛けている
果てあるように掛けている
この地にいつか花咲くよう
白く白くかけている

‹雪原の先へ›


ふわりと白がくゆって消える
そっと身を屈め耳澄ます
囁きにも満たない息が
静かに熱を染めるだけ

ふわりと白がくゆって消える
そっと抱き上げ耳澄ます
微風にも満たない息が
静かに肌を撫でるだけ

‹白い吐息›


昼間に灯す意味は無いと
消された導に惑って消えた
見上げる事に意味は無いと
消された神話に学ばず消えた
大事に持ち続ける意味は無いと
消された優しさに零れて消えた
絶望の中で意味は無いと
消された希望に閉ざされ消えた
此処までおいでと誘うのに
とびきり良いもので照らすのに
みんなみんな消されて消えた
誰かの悪意に消されて消えた

‹消えない灯り›

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