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2/23/2025, 9:14:57 AM

虹の麓には宝物があると
君は笑って指を差した
遠い遠い景色の向こう
きっといつか一緒に行こうと

虹の麓には花畑があって
君は俯き泣いていた
遠く遠く川の向こうへ
君と共には行けなくて

‹君と見た虹›

2/22/2025, 12:35:53 PM

「はい始まりました夜空最速選手権。
 司会は私、いつでもあなたを見守る満月と」
「実は固定化されてません、実況の北極星で
 お送りします」
「さて選手達も続々と登場しております。
 それぞれ意気込みを伺いましょうか」
「ではエントリーナンバー1番、
 夜空を走ると言えばこの方、流星選手!
 今回は流星群の皆様とご参加ですね」
「空を飾るに相応しい姿、見せ付けて行きます!」
「流石は流星選手、激しく燃えております」
「流星選手は燃え尽き症候群のハンデが
 ありますからね…」
「表彰台にたてるかの問題がありますか…。
 気を取り直してエントリーナンバー2番、
 一晩に世界中、計算上は光速を超えると噂
 サンタクロース……のトナカイ選手!」
「こちらもチームでご参加ですね」
「最速のトナカイを決めに来た。他は知らないな」
「なんという自信!他の選手には目もくれない」
「例年は協力して重いソリを引いておりますが、
 単独走になることが吉と出るか凶と出るか」
「エントリーナンバー3の飛行機選手は
 少々到着が送れている模様です」
「最速選手権でこれは幸先の悪いスタートですね」
「スタート時刻に間に合わない場合は
 強制失格となりますので皆様ご承知おきを」

‹夜空を駆ける›

2/20/2025, 1:13:54 PM

口に出してはいけなかった
言葉にしてはいけなかった
思うことだけは許された
ばれないから許された
世間の一般をなぞらえた
自分の定義を調整した
興味の矛先を確かにずらし
手段と目的をすり替えた
してはいけないことだった
許されない筈のことだった
世間の風向きを静かに押した
作り上げた自分で圧した
伝えたいことがあった
とうに意味の無い事だった
伝えたいひとがいた
とうに届かない事だった
間に合わないことに気付いても
とうに止められぬ事だった

‹ひそかな想い›

2/20/2025, 1:02:49 PM

触れた指先は冷たくて、
そしてただ硬かった。
整えた爪先唇は、
美しいまま変わること無く。
撫でた髪は荒く短く、
抜けはしないが伸びもしない。

あの人に似せた人形を、
あの人の代わりの人形を。
その魂を宿せぬままに、
その名呼ぶことも出来ぬままに、
ただ沈黙貫く人形を。

ある朝瞬き微笑んだ、
見知らぬ表情の人形を。

‹あなたは誰›


机の中の封筒を本棚に差した
写真立て裏の封筒を鉢の下に置いた
下駄箱の封筒を引き出しに仕舞った
皿の上の封筒をポストに入れた
栞代わりの封筒を額縁に挟んだ
新聞から落ちた封筒を靴の上に投げた

‹手紙の行方›

2/18/2025, 9:39:47 AM

その道の先にあるものが
誰もが羨む名声なら
その道の先にあるものが
誰もが賛する発明なら
その道の先にあるものが
誰もが頷く和平なら
その道の先にあるものが
その道の先にあるものが、
そんなものでなくても
ただ一つ私だけを導く星ならば
ただ私だけに光って見えるとしても
私はこの道を行くだろう

‹輝き›


例えば君が駆け出す瞬間、
ゴムとアスファルトの擦れる音
例えば君が振り向く瞬間、
高く風切り落ちる音
例えば君が立ち止まる瞬間、
閃光目眩む爆発音
例えば君が、
例えば君が、
例えば君が生きてる瞬間、
何より守りたい鼓動の音
そのためならば、
そのためならば、
誰も何も己も全てを
代わりに殺してしまえるから

‹時間よ止まれ›

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