真っ暗な夜から三日目の
空に浮かぶ目が嗤っている
白い眼をきゅうと撓ませ
地で祈るヒトを嗤っている
‹三日月›
もしも君の人生に
足跡一つ残せるなら
喜びを知り怒りを知り
哀しみを知り楽しさを知り
勝利を敗北を才覚を努力を
道理を理不尽を優しさを
献身を痛みを絶望を希望を
刹那を永遠を夢を愛を
知って知って生きてきた君の
人生に一つ残せるなら
‹色とりどり›
雪が沢山降ったから
雪が沢山積もったから
二階の窓から足踏み出して
高く高くの空中散歩
雪が沢山降ったから
雪が沢山積もったから
一階の窓から穴掘って
深く深くトンネルを
雪が沢山降ったから
酷く脆くて重いから
気付いて気付いて気付いてね
扉を開けてしまう前に
‹雪›
例えば君にゆるされるなら
地を踏みしめる感動を
例えば君にゆるされるなら
出会いの奇跡に祝福を
例えば君にゆるされるなら
挑戦の意思に歓楽を
例えば君にゆるされるなら
悲嘆の別れに労りを
例えば君にゆるされるなら
目指す先への尽力を
例えば君にゆるされるなら
栄誉なる死に同行を
‹君と一緒に›
あんまりに外が眩しいから
てっきり春かと思ったのだ
凍るほどの冷たい風に
うっかり頭を引っ込めて
あんまりに空が青いから
てっきり暖かいと思ったのだ
日射しに触れて尚冷たい土に
うっかり指を引っ込めて
あんまりに外が眩しいけど
あんまりに空が青いけど
それでも冬かもしれないから
随分と蒸す気がしているけど
また騙されてしまうから
扉を閉ざすしっかり閉ざす
正しい春を待ち望む
‹冬晴れ›
例えば好きな場所に出掛けて
好きな物をいっぱい食べること
例えば丁度良く整えた部屋で
一日中ゲームに集中すること
例えばお気に入りの服で
手を繋いで笑うこと
例えば温かい布団で
ぐっすりたっぷり眠ること
例えばこの言葉が
真っ直ぐに届くこと
私が私でいられること
‹幸せとは›
ふわりと光が空を染める
やっと、やっとだ、あぁやっと
地面に落ちる音ぼろぼろと
黒雨が急速に晴れていく
久方振りに見た白青は
眩しい程の太陽は
誰も彼もが静まり返る
片端から灼け落ちながら
‹日の出›
どんな人になりたいですか
とってもとってもキレイな人
どんな事をしている人ですか
おそうじ上手でキレイ好き
どうやってその人になりますか
まずは持ちもの整理から
年末までにはどうなってますか
悪いものみんなお片付け
‹今年の抱負›
新しい一歩
新しい言葉
まっさらに始まる
新しい日々
私は一つ呼吸をする
昨日と変わらず呼吸する
昨年と変わらぬ心を持って
宣言を一つ此処に刻む
‹新年›
さようならと言う代わり
バイバイと言う代わり
またを言えない君の為
明日を言えない君の為
遠く遠く消えていく
君の面影に手を振ろう
二度と戻らぬ時に遺した
君の最後の祈りを添えて
‹良いお年を›
氷が砕け輝き散らし
風無くもふわり香るベリー
そんな景色を見ていた
そんな景色に触れたくて
いつか息無く弾けて消える
そんな最期を夢に見る
‹星に包まれて›
薄い氷にひらひらと
舞い踊っていた君が
細い木の上でくるくると
伝い歩いていた君が
厚くて太い道の上
手を振った先に消えた時
離別というのは偶然の
積み重ねであると知りました
‹静かな終わり›
夢を見ていました
例えば朝に見たニュースの
昼に眺めた景色の
夜に読んだ本の
それら全てがごちゃまぜに
昨日知った歴史の
先月聞いた噂の
去年遭った不思議の
みんな全部が混ぜこぜに
夢を見ていましたいつかどこかの
滅茶苦茶だけど幸福な日の
‹心の旅路›