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2/12/2026, 9:42:58 AM

ここで一つ約束をしよう
忘れてしまっても構わない
誰にも誰にも見えないように
たった一つだけ指切りを
もう一度ここに来た時は
もう一度ここに来れたなら
約束約束その時は
その時こそは必ず

‹この場所で›


一人残らず平和を愛し
一人残らず命を惜しみ
一人残らず他者を愛し
一人残らず時を惜しみ
一人残らず聖者のように
一人残らず賢人ならば
この世の誰もが一人残らず
確かに幸せになれたかな

‹誰もがみんな›


好きな色を知ったから
その色の花を贈ってみた
チューリップにカーネーション
ダリア ダンジー クレマチス
マリーゴールド キンセンカ
オトギリソウにゲッケイジュ
さてさてどうか
さてどうか
気が付くことができるかな

‹花束›


笑っていれば楽しくなって
笑う門には福来る
だからって口端を吊って
三日月に唇縫い合わせ
喜びの歓声も親愛の吐息も
零れないよう封された

静かな美しい人形と
並ぶ人だけが幸せに

‹スマイル›


わたしの書いたお話が
たくさんの人に読まれました
とても良く出来たお話だと
とても人気になりました
イラストになって
マンガになって
アニメになって
ドラマになって
とてもとても読まれました
とてもとても好かれました

わたしはひとり原稿の
ぽっかり空いた空間に
入れるはずだった二文字を
呑み込み呑み込み泣いていた

‹どこにも書けないこと›


昔は意味があったけど
今は要らないものがある
例えば時を刻む針
例えば紙を渡す赤
例えば声を繋ぐ線
例えば今を映す箱
例えば人を祈る柱
昔は意味があったけど
今は要らないものがある だから
今はどんなに必要でも
いつか要らなくなる時が来る
いつかいつかこの   も

‹時計の針›


石を一つ 柿を一つ
花を一つ 手を一つ
うすらぼんやりした意識
それでもひとをあいしてた
社を一つ 餅を一つ
金を一つ 手を一つ
うすらぼんやりした視界
それでもひとをあいしてた
時が一つ 時が一つ
時が一つ 時が一つ
うすらぼんやりした願い
それでもひとをあいしてた
穴が一つ 穴が一つ
声が一つ 悪意が一つ
とってもはっきりした気持ち
そう ひとなんて

‹溢れる気持ち›

2/4/2026, 11:39:18 AM

場所で意味が変わるのだと
蠱惑的にあなたは笑う
額は祝福 頬は親愛
瞼は憧憬 髪は思慕
手甲は敬愛 足甲は服従
手指は賞賛 足指は崇拝
どこにするかとあなたは問うた
問われずとも決まっていた
小さなあの子の似姿に
祈りを込めて口付けた

‹Kiss›

2/4/2026, 9:07:19 AM

もし本当に遠い未来
君が生まれて来るのなら
探してはあげない
追いかけてあげない
君の力で辿り着いて

でも本当に遠い未来
君が生まれ変わるなら
隠れたりしない
逃げたりしない
君が望むなら辿り着ける

‹1000年先も›


旅立つ友に花束を
その道程に晴天を
振り返る友に花束を
並んだ初心を無くさぬよう
消え行く背中に花束を
まことの友よ願わくば
その身に満ちたる愛の音を

‹勿忘草(わすれなぐさ)›

2/2/2026, 10:05:40 AM

昔、好きな遊具があった
回る球形のジャングルジム
ゴンドラみたいなブランコ
列車ごっこじみた遊動木
小さな魚のいる噴水
今はほとんど無くなって
すっからかんな公園に
静かな風が吹いている
砂埃だけが遊んでいる

‹ブランコ›


艱難辛苦の荒波を超え
遂に果たした世界平和
沸き立つ民衆を潜り抜け
政の思惑を振り切って
走って走った故郷へ
大切な人達の居る場所へ

けれど必死に止める人がいて
その為に襲う人すらいて
何だか嫌な予感がして
走って走った故郷へ
何度も辿った道筋を

地図を見た 方角を数えた
けれど其処には何も無い
人も家も草も地も
何も何も何一つ

耳元に声が囁いた
間髪入れずに頷いた
何処にも帰れぬ平和なぞ
何にも何にも価値が無い

‹旅路の果てに›


開けた手のひら大きな蛙
怯える無様を嗤っていた
開けたプレゼントは虫まみれ
上がる悲鳴を嗤っていた
掛けた言葉の棘まみれ
震える背中を嗤っていた

開けた靴箱に手紙が一つ
拾う指先を見つめていた
開かず手紙はびりびりと
開かずプレゼントは潰されて
開けた手のひら振り払われ
「永遠に赦さない」と
冷たい声で嗤っていた

‹あなたに届けたい›


大好きだよ、と君が言う
その目は私を見ていない
愛している、と君が言う
その目は私を見ていない
そっと近付いて口付けた
その目は私を見ていない
見えないくせに見ようとして
ほんとうほんとうバカな人
さようなら、と最期にちゃんと
君に言えていたのなら

‹I LOVE…›


故郷に戻ってきた
優に数十年振りだった
駅からのバスは無くなって
三十分の徒歩の道
友人達とぎゅうぎゅうに
なりながら通学したなと
バスの面影を追おうとして

買い食いした商店も
駄弁っていた公園も
入り浸った友人の家も
更地か、あるいは全く別の
建物に成り代わっていた

そういえば
実家も立て直したと聞いていた

不意に
わたしが懐かしむべき街は
もう無いのだと気が付いた

‹街へ›

1/28/2026, 9:38:51 AM

優しい優しい女の子
涙にハンカチ
笑顔に花
優しい優しい女の子
傷に手当
暴力に忍耐
優しい優しい女の子
罪に赦し
罰に慈悲
優しい優しい女の子
気持ちに鈍感
殺意に無力
優しい優しい女の子
けれど誰も覚えてない
なのに誰にも想われない
優しい優しい女の子
可哀く愚かな聖人紛い

‹優しさ›

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