あんまりに外が眩しいから
てっきり春かと思ったのだ
凍るほどの冷たい風に
うっかり頭を引っ込めて
あんまりに空が青いから
てっきり暖かいと思ったのだ
日射しに触れて尚冷たい土に
うっかり指を引っ込めて
あんまりに外が眩しいけど
あんまりに空が青いけど
それでも冬かもしれないから
随分と蒸す気がしているけど
また騙されてしまうから
扉を閉ざすしっかり閉ざす
正しい春を待ち望む
‹冬晴れ›
例えば好きな場所に出掛けて
好きな物をいっぱい食べること
例えば丁度良く整えた部屋で
一日中ゲームに集中すること
例えばお気に入りの服で
手を繋いで笑うこと
例えば温かい布団で
ぐっすりたっぷり眠ること
例えばこの言葉が
真っ直ぐに届くこと
私が私でいられること
‹幸せとは›
ふわりと光が空を染める
やっと、やっとだ、あぁやっと
地面に落ちる音ぼろぼろと
黒雨が急速に晴れていく
久方振りに見た白青は
眩しい程の太陽は
誰も彼もが静まり返る
片端から灼け落ちながら
‹日の出›
どんな人になりたいですか
とってもとってもキレイな人
どんな事をしている人ですか
おそうじ上手でキレイ好き
どうやってその人になりますか
まずは持ちもの整理から
年末までにはどうなってますか
悪いものみんなお片付け
‹今年の抱負›
新しい一歩
新しい言葉
まっさらに始まる
新しい日々
私は一つ呼吸をする
昨日と変わらず呼吸する
昨年と変わらぬ心を持って
宣言を一つ此処に刻む
‹新年›
さようならと言う代わり
バイバイと言う代わり
またを言えない君の為
明日を言えない君の為
遠く遠く消えていく
君の面影に手を振ろう
二度と戻らぬ時に遺した
君の最後の祈りを添えて
‹良いお年を›
氷が砕け輝き散らし
風無くもふわり香るベリー
そんな景色を見ていた
そんな景色に触れたくて
いつか息無く弾けて消える
そんな最期を夢に見る
‹星に包まれて›
薄い氷にひらひらと
舞い踊っていた君が
細い木の上でくるくると
伝い歩いていた君が
厚くて太い道の上
手を振った先に消えた時
離別というのは偶然の
積み重ねであると知りました
‹静かな終わり›
夢を見ていました
例えば朝に見たニュースの
昼に眺めた景色の
夜に読んだ本の
それら全てがごちゃまぜに
昨日知った歴史の
先月聞いた噂の
去年遭った不思議の
みんな全部が混ぜこぜに
夢を見ていましたいつかどこかの
滅茶苦茶だけど幸福な日の
‹心の旅路›
鏡よ鏡、この世で一番
美しいのは誰かしら
鏡よ鏡、この世で一番
優しいのは誰かしら
鏡よ鏡、この世で一番
可哀想なのは誰かしら
鏡よ鏡、この世で一番
何なら一番になれたかしら
‹凍てつく鏡›
灯籠に蝋燭を立てて
かまくらに七輪を燃して
大きな大きな焚き火の前で
ご機嫌な君が歩いていく
橙に染まる銀世界を
楽しそうに歩いていく
月灯りだけが照らす青白い世界を
そうかこの子は知らないのだ
淋しい世界を知らなくて良かった
美しい世界を知れなくて残念
最初の最後の雪でした
‹雪明かりの夜›
手を合わせて目を閉じた
例えばお墓、仏壇の前
手を合わせて目を閉じた
例えば神社、地蔵の前
手を合わせて目を閉じた
例えば並んだ料理の前
例えば空っぽの皿の前
‹祈りを捧げて›
ケーキにジュース
アイスにチョコ
美味しいものはいつだって
冷たいのだと決まっていた
お部屋のお布団
伸ばされた腕
落ち着く場所はいつだって
温かいのだと決まっていた
寒い寒い帰り道
公園で苦いお酒を呷る
おかしいなおかしいな
何処で変わってしまったのか
‹遠い日のぬくもり›
水面上でキャンドルが
ゆらゆらゆらゆら揺れている
浪漫があって癒しになると
姉が昔言っていた
水面上でキャンドルが
ふらふらふらふら揺れている
決して火傷をしないように
母が昔言っていた
水が無くなりキャンドルが
ふわふわふわふわ燃えている
静かな静かな街の中
誰も気付かず止められず
‹揺れるキャンドル›
眩し過ぎて目を閉じた
足を摺りながら歩き出す
転ばぬように踏まぬように
過剰な程に気を張って
目を閉じて歩いていく
光の指す方向へ
目を閉じて歩いていく
他に見向きもしないよう
目を閉じて歩いていく
目を閉じて歩いていく
最後の最後に望むモノが
きっときっとあると信じ
‹光の回廊›
いつも目で追う人が居た
少し離れた席の人
其処から此方は見えないから
じっと じいっと 見つめている
その人が誰かと話す度
小さく小さく唇を噛み
その人が画面を見る度
己の携帯を少し見た
じっと じいっと 見つめている
その人は何も気づかない
周りも何にも気づかない
それでもじっと見つめている
早く しまえと
‹降り積もる想い›
お母さんのお母さん
おばあちゃんのおばあちゃん
そしてもっともっと前から
約束を結んでいたの
とてもきれいな髪飾り
ちっとも古びない髪飾り
ずっと付けて絶えず付けて
結婚して子を産むまでは
赤いリボンの髪飾り
きれいな石の髪飾り
遠い昔に約束をしたの
見つかったらお嫁になると
どれだけどれだけ時が経っても
必ず見つけて見せようと
とてもきれいな髪飾り
鮮やかな赤の髪飾り
まだまだまだまだ見つからない
もうすぐ私の番も終わる
‹時を結ぶリボン›
プレゼントは何がいい
意地悪な君はお金といった
渡した小さな紙切れを
不思議そうに透かしながら
プレゼントは何がいい
寂しい君は温もりといった
頬を包んだ皮切れに
暫く静かに瞬いて
プレゼントは何がいい
ぼんやりな君は静寂といった
目と耳を塞ぐ布切れに
長く長く吐息して
プレゼントは何がいい
泣けない君は終わりといった
骨首にかけた肉切れに
ありがとうと言葉が落ちた
‹手のひらの贈り物›
その箱に気が付いたのは
本当の本当に偶然の産物
それほど大きくはないが
酷く頑丈で錠まで付いて
中身は何かと思ったが
さてとんと思い出せず
鍵は何処かと考えたが
さて全く覚えが無い
壊すのは少し予感がして
手にした槌を仕舞い込む
さてこれは何だったか
さてこれは何だったか
箱に描かれた猫が嗤う
感情読めぬ顔で嗤う
‹心の片隅で›
しんしんと雪が降っている
六花が音を食べている
ふかふかと雪が積もっている
銀花が声を隠している
しんしんと雪が降っている
誰の足音も聞こえない
ふかふかと雪が積もっている
誰の言葉も聞こえない
‹雪の静寂›
大きくなって 大人になって
みんなを守るヒーローに
大きくなって 大人になって
誰もに愛されるアイドルに
大きくなって 大人になって
世界を揺るがすクリエイターに
語って語って語り尽くして
白い砂浜 波の音
描いて描いて描き尽くして
青々な山 風の音
叶え叶えと駆けていた
きらめく光は箱の中
いつかいつかと願う声
壺に仕舞われ石の下
‹君が見た夢›