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7/26/2025, 4:20:46 AM

近年の君は長袖を着ることが多かった。
日焼けしたくない、なんてお年頃を言って。
なのに明るいレースの窓辺で
手足晒して転寝する君を
馬鹿だなあと思うけど。
その光景があんまりに、
あんまりに眩しいものだから、
未だに何も言えないでいる。

‹半袖›


もしも話は好きじゃない、と
そんな事は分かりきっていて尚
暇だから、なんて雑に投げた話題を
顔顰めながらも地味に真面目に考えて
口開く寸前にテストや賭け事は辞めてねと
言えば案の定また唇が捏ねられる
ふらつく視線が天を床を、
そうして背後に焦点が合って
ならば一つ、と取ってつけたように言う
その先に告げられる言葉を、きっと正確に知っていた

‹もしも過去へと行けるなら›

7/24/2025, 9:50:03 AM

確たる証拠も無いモノを
『確かな真実』なんて笑ってしまう
本当だと言うのならソの身を以て証明して
何度死のうと何度生まれようと
異種族でも天敵でも食物連鎖の中でも
距離も時間も光年ほどに離れようと
言葉も意志も交わせぬモノと成り果てても
違わず弛まず正確に
余所見もせずに唯一だけを
決して変わらずに見つけては愛し続けて
ソの魂魄が擦り切れても尚
塵に無為に虚ろとなっても!

‹True Love›

7/23/2025, 9:03:31 AM

曖昧で良いの私忘れっぽいから
カレンダーの印だって分からなくなるわ
適当で良いの私迷子性だから
広げた地図だって辿り着けないの
偶然で良いの私天邪鬼だから
大事な大事な約束事だって
一つも守れた試しが無いわ
逢えれば良いのいつかどこかで
そこにどんな意味があったって
逢えれば良いのいつかどこかで
それがどんなカタチだったって
逢えれば良いのいつかどこかで
あなたに逢えたならそれだけで

‹またいつか›


功績を持って死んだなら
神の目に留まる生き様なら
星となって星座となって
いつまでも天に描かれると
少し前にページを撫でた
無名のまま在り来りに死ぬ
そのほんの少し前の日に
きっと神すら灼き付くような
そんな人になるからと
当然続いていくような日に
遙か未来を描いていた
小さな小さな魂を
神すら記憶しない些細を
掬ってすくって空に落とした
小さな小さなイシだった
星にも為れぬイシだったけど
一際大きく輝いて
眩しく夜空を駆けていった
きっと誰かがまた同じ
同じ願いを掛けて祈る
星が流れて意志を追う
その先にきっと君も居る

‹星を追いかけて›

7/21/2025, 9:45:05 AM

一匙掬って君の為
一匙含んで君の為
例えその口が君の望む
美しい言葉を操れずとも
一つ開いて君の為
一つ握って君の為
例えその手が君の望む
美しい世界を描けずとも
一つ歩いて君の為
一つ進んで君の為
例えその足が君の望む
美しい未来へ着けずとも
一つ学んで君の為
一つ超えて君の為
例えその知が
それでも君が
より良い生を望むなら

‹今を生きる›


遥か遠くとソレは言う
目指す頂点へ弛まずに
輝きの先へとソレは言う
到達の栄光へ過たず
深く深くへ私は臨む
例え他誰も望まずと
青空をゆく純粋を
得られなかった私には

‹飛べ›


初めて目を開いた日
初めて一人で座った日
初めて立って歩いた日
初めて一人離れた日
初めて
初めて
初めてを重ねて
そして今日もまた新しく
鮮やかに笑って旅に出る
初めの一歩を重ね重ねて
全てを特別に変えていく

‹special day›


ふわふわと
きらきらと
木漏れ日が
明滅する
さわさわと
ゆらゆらと
枝葉の影が
増減する
ふらふらと
きりきりと
影が
揺れて
揺れている

‹揺れる木陰›

7/17/2025, 10:12:43 AM

今日は何処で誰に会おうか
どんな絶望と奇跡を見ようか
謎を解いて知識を得て
不思議を知恵に煮溶かして
それは誰かの夢の跡
目を開けて見る夢の色
今日は誰の夢を見ようか
好きに気儘に頁を捲れ

‹真昼の夢›


髪の長さを二人揃えて
約束の爪先に紅い色
反対の指は交換こ
溢れた赤を同じだけ
服も靴も合わせて中間
違うところは合わせて削って
同じだけ混ぜて同じだけ混ざって
そうして相似に為れたなら
二人で一つ 一人で二つ
そうして同一に成れたなら
どちらか消えてもどちらが消えても
誰にも分からなくなれるなら
そうしてそうしてそうしてはじめて
はじめてふたりで
ふたりで
ひとりで

‹二人だけの。›


この生命達は
いつまで生き耐えるんだろうか
この生物達は
いつ息絶えるだろうか

‹夏›

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