『蝶よ花よ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
作品No.130【2024/08/08 テーマ:蝶よ花よ】
蝶よ花よと、大切にされたこともあった。それさえも、遠い昔の話になってしまったけれど。
あの頃は、自分がこの世で一番美しいと信じていた。万人に愛されて当然だ——と。
でもそれは、ひと時の夢幻だった。
あの頃の私を知る人がなくなり、この世に残されて幾年月。色艶を失った身体だけが、私として存在している。
美しい私は、もういない。私を愛でてくれる人も、もういない。
いつまで、生きていればいいのだろう。失っていくばかりなのに、虚しいばかりなのに——いったい、いつまで。
蝶よ花よ
8/8。私の誕生日。
LINEには友達からのお祝いメッセージ。
家族からも誕生日プレゼントとおめでとうの言葉。
美味しいものもたくさん食べた。
まだまだ短い時間しか生きていないけど、
蝶よ花よと大切に育てられてきたなぁと思う。
そう思わないと、きっと誰かに怒られる。
来年も、再来年も、何年経っても、
自分が幸せになれる誕生日を過ごせるよう、
頑張ろうと思う。
蝶よ花よ…(゜゜)…愛されるイメージ
今日は昨日と違って睡眠もバッチリだし、寝落ちせず書ききるぞ!
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辞書によるところ
蝶よ花よ=子供をこの上なく大切に育てる様。
多く女児に使う。
蝶よ花よ=箱入り娘の等式で結んでも差し支えはなさそうだ。
さて、自分はどうだったろうかと考える。
親や親族にそれなりに大切にされてきたという実感はある。
自分の事を「箱入り娘」と言うのは、何だか照れてしまうが。…まあ、良いか?
「箱入り娘」は、親や親族、出会う人にそれなりに大切にされてきたが、それ以外からも大切にされてきたことを誇りに思っている。
それは、言葉だ。
「箱入り娘」が困っている時、悩んでいる時、いつも言葉が「箱入り娘」を助けてくれた。
その種類は豊富だった。
励ましの言葉から、戒めの言葉、慰めの言葉、未来を示唆する言葉まで。
本やテレビ、ラジオ、人との会話。
言葉という言葉を介して「箱入り娘」の元に届いた。
言葉が届くたびに「箱入り娘」は、「生きなさい」と背中を押されているのを感じた。
力強く、時に優しいその気配に
「箱入り娘」は、言葉に生かされているのだと信じるようになっていった。
「箱入り娘」は年頃になると、自身に降り積もった言葉を使ってこの世界について考えるようになった。
何故?何故?何故?と言葉を投げかける度に、それまで受け取っていた言葉達が光り出す。
「これが答えかもしれない。いや、こっちも答えかもしれない」
パズルのピースを当てはめるように、言葉を当てはめ、言葉と戯れていた。そうするうちに、見えているものの奥に、隠れているものが見えるようになっていた。
それに気付くと、世界により色が満ちていくのを感じた。
蝶よ花よと大切にされた「箱入り娘」だったが、
テンプレートという、便利で、誰とも摩擦の起こらない画期的な道具を使ううちに、語彙を失うことになる。
それと同時に、かつて見えていた景色までも、表面しか見えなくなっていた。
それに気付いた「箱入り娘」は、ここで言葉と向き合うようになるのだった。
少しずつではあるが、取り戻した言葉で紡ごう。
雨に凍える人に、優しい言葉の傘をさそう。
己の道を行く人に、そっとエールを風にのせよう。
孤独に震える人に、静かに寄り添い一人ではないと伝えよう。
言葉は人を救う。
「箱入り娘」はそれを信じて、今日も言葉と向き合っている。
蝶よ花よ
貴方は蝶よ花よと私を扱ってくれて、
誰よりも、世界一、宇宙一、私を愛してくれる。
そんな貴方が私は好き。
大好きなの。
会うたびに愛が増して、
会えなくても愛は増してく一方で。
そんな事思っていた頃が懐かしい気がする。
貴方が会えなくても、私はいつでも会えるのにね。
何で会えないか。
私はそんなこと聞けなかった、怖かったから。
都合のいい女でありたくなかったから、
都合のいい時だけ呼び出してくる関係が。
でもどんどん泥沼にはまって動けなくなっていく。
そんなの自分でも分かっていた。
だからこそ、早いうちに別れたかった。
だけど、別れを切り出そうとしても切り出せなかった。
だって、怖かったから。
自己中なのかもしれない。
都合のいい時だけ会うのも、
きっと私が都合のいい女だからなのかもしれない。
それでもいい。
もっと早く別れればよかった。
この世に自己中以外の愛があるの?
それなら教えて欲しかった。
これから、
ピアノの調律が狂っていくように、
貴方との関係も狂っていくなんて夢にも思わなかった。
【蝶よ花よ】
ー美しくあれー
ーNo.3ー
「ごめんね。私が悪いの。」
母は私を抱きしめた。それが最後の母との記憶だ。
「貴方と私は不釣り合いよ。だって私は、美しいから。」
私はそう言い放った。折角告白してくれた相手をこっぴどく振る、学校一の美少女。それが私。自分でも分かってる。最低な事をしてるって。でも、私は彼等には勿体ない。
家に帰り、居間に居る母と喋る。
「ただいま、ママ。」
母は何も言わずに、笑っていた。
「今日も告白されたわ。それを振ったら、罵詈雑言をかけられた。酷いものよね。」
母は何も言わずに、笑っていた。
「今日は疲れたから、もう寝るわ。おやすみ、ママ。」
私はそう言い、居間をあとにした。
自室に戻り、宿題を終わらせる。そして備え付けの冷蔵庫から軽食を取り出し、夕食を済ませる。風呂にも入り、ベットに飛び込むと、ため息が出た。
「ママに会いたいよ。」
「ごめんね。ごめんね。」
私の記憶の中に居る母は、謝ってばかりだった。でもそれは、父が家に居ない時だけ。父が帰ってくると、満面の笑みで出迎えていた。しかし、父は母を毛嫌いしていた。不気味だと嘲笑っていた。そしてそんな生活に耐えかねた母は、自殺した。
「死んで清々する。」
父は母の葬式で、涙を見せる事はなかった。そして、家に帰ってくる事も無くなった。私の顔は、母に似すぎて不快らしい。今の私には、父が残した豪邸と母の遺産、そして母に似た美しい姿だけだ。愛なんてものは、持ち合わせていない。私に愛は、不要なのだ。
あぁ、蝶よ花よ。もっと私を引き立てなさい。そして母を私を、見捨てた醜いあの男を殺しなさい。でも大丈夫よ、ママ。私がママの分まで幸せを掴んで上げるから。心配しないでね。
#喋よ花よ
#今日のお題
#涙海の小説
うちの玄関に置いてあるプルメリアとジュリアン?とかいう花の前にたまにアゲハ蝶が飛んでくる。実は私の母親は花が大好き。私もそんな母に似たのか
またもう1個プルメリアを家に置くことになった。
私は昔花というものが嫌いだった。それにつけくわえて虫もきらいだった。それに喋が来る度にギャーギャー言いながらにげてあるいていた。けれど
つい最近になって、花の良さと可愛さと可憐に咲き誇る小さな花が可愛くて母親にプレゼント🎁したり
自分の部屋でも迎え入れて買っていたり。
なぜか、プルメリアだけは大好きなんだ。
プルメリアはめーっちゃ値段高くて最初ひぇぇ( °ω°):∵って思ったけどその月、私の誕生日だったのだ。
その時、、、たまたまホームセンターの花の前に綺麗なアゲハ蝶が2匹飛び回っていた。私はあぁ可愛いな、お母さん、この花買いたい。と言ってかった
。あ、ちなみにプルメリアが大好きなのは香りもいいしなにせハワイなどのお花なんだ。
私は庭に飛んでくるかわいくて可憐なアゲハ蝶ち
ゃんに少しだけ微笑みながら
お花の蜜を吸ってくれてありがとう。
リス子の形見のひまわりとそして
空高く舞い上がる葉っぱ(プルメリア)に
毎朝おはよう、と心の中で話しかけている。
それはあたしだけの秘密。
「蝶よ花よ」
蝶よ花よ と育てた子がこんなになるなんて
とても嬉しい。
我が子が1番だ。
次の子も 蝶よ花よ と......
「娘は私と妻が、蝶よ花よと育てたのだ。よくも知らぬ男と夜遊びするなど許すはずがない!」
塾の帰り道、エイミを迎えにきた父に、ただ花火大会を男女混合のグループで行く許可を得ようとしただけなのに。エイミは、過保護を自負するような父の発言に赤面した。たまたま一緒に行くクラスメイトのササキくんも近くにいるというのに恥ずかしいったらない。
「いやだからササキくんの他にも女の子達もいるって…。」
「おとうさん、エイミさんが蝶のように美しいのはその通りですが、そろそろ虫籠から出して自由にしてあげたらどうですか。」
「何言ってんの?ササキー!?」
エイミの訂正に被せるように父を挑発する発言をするササキに、エイミとその父は目を剥いた。まるで恋愛小説のなんちゃって中世で婚約を申し込む貴公子のような物言いだが、ササキはただの現代のクラスメイトだし、エイミとそのような関係ではない、
「お前におとうさんと呼ばれる謂れはない!だいたいエイミが青虫毛虫の頃から育てていたのに蝶になったとたんチヤホヤする奴になんやかんやと言われるのはおかしい!」
「…私、青虫毛虫呼ばわりはちょっと嫌だな。父さん。」
父が激昂するのもやむを得ないと思いながら、少しズレを感じる父とササキの会話にエイミは腕をさすった。黙って行くのも心配をかけるだろうし、実際に会って話した方かいいかと思っていただけなのに、なんだか話の流れがおかしい。
「落ち着いてください。エイミさんが蝶なら僕は花です。」
「はな」
父娘の反応が思わず被った。ササキくんは何を言っているのだろう。親に許可をもらう時に側にいて大丈夫な人選を完全に間違ったかもしれないとエイミは遠い眼をした。信用してもらうにはぴったりな頭が良さそうな優等生だと思っていたのだが。
「葉を食べる青虫毛虫を駆除してもらい、適切な切り戻しに、決して根腐れしないようやり過ぎない水遣り、焼けない程度の日あたりの確保に、適切な時期の肥料、温度湿度の管理、雑草も抜いてもらって生きてきました。」
「くじょ…」
エイミの独り言も気にせずササキはそこで胸をはった。
「その結果が僕という花です!」
「はぁ。」
父娘の気の抜けた返事もそのままにササキは目を落として続けた。
「僕は、悪いことをしたいという人間ではありませんし、勉強も運動もそれなりにできる方だと思いますし、真面目だとも言われます。しかし、他人との会話がどこか噛み合わないのです。」
それはそうと父娘は顔を見合わせた。
「花には蝶が、蜂が、虫達が必要なのに、これではどうすればいいかわからないまま満開の大人になってしまいます。蝶にだって、蜜を吸う花が、卵を産み付ける葉を選ぶことがいずれ必要な筈です。」
その表現方法はそれでいいのかなと額に手を当てながらもエイミはササキの言いたいことが少しわかってきた気がした。
「….ササキくん、花は蝶を害したりはしないよね?」
「僕は食中植物として育てられていません。」
その答えに口角を上げてエイミは父に向き直った。
「父さん、花火大会にくるのはササキくんだけじゃなくて、女の子の友達もたくさんくるの。男の子もササキくんだけじゃないけど、クラスメイトで、女の子の方が多いくらいよ。ひとけのない所なんていかないし。途中で写真も送るから。少しは信頼してよ。じゃないと免疫がなさすぎて、チョロい女になっちゃうよ。」
チョロいという言葉に少しショックを受けたような父親だったが、知っているエイミの女友達がくることがわかって、チラチラとササキを見ながら、渋々エイミの花火大会の夜間外出に頷いた。
「おい、鳥や狼からエイミを守ってくれよ。」
ササキは別れ際にエイミの父からそう言われて
「僕、花なので、葉とかで頑張ってエイミさんを隠します。」
と答えていた。
ササキくんって少し変な奴だけど、とっても良い人だとエイミは破顔した。
「ササキくん、巻き込んでゴメンね。父の話に付き合ってくれてありがとう。」
やはり恥ずかしくてササキの目を見ては言えないエイミだった。
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久方ぶりの小説。
「蝶よ花よ」という言葉と「チヤホヤ」という言葉は、かの清少納言の仕えた定子の和歌から来ているんですって。
帝の妃という立場から、前例のない第二妃に政争で敗れ時の人ではなくなったことを嘆く定子に、慰める清少納言。それに対する返歌に含まれるそう。
"みな人の 花や蝶やと いそぐ日も わが心をば 君ぞ知りける"
知らなかったです。主従の愛尊い。
もともと、今をときめく人をただ持て囃すことを言っていた言葉が大事に育てるという意味を含むようになったことが面白いなぁと思って作ってみました。
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英語では過保護な親をヘリコプターペアレンツ、フランス語では雌鶏と言うんだとか。それもまた面白いなと思っています。
特にフランスの方に鶏とっても愛されてるんですね。鶏を差す言葉も、それらに関する慣用句もたくさんあるようで楽しかったです。
過保護の親の表現としてでてくる雌鶏は、甲斐甲斐しくヒヨコの面倒をみる母性の象徴でもあって、「混乱を極めること」を「雌鶏が子どもを見失うくらい」と表現する慣用句があるのには、鶏に対する愛があってニヤリとしました。
蝶よ花よと育てられたいのちだった。ぬくい綿の中で育てられた、傷ひとつない無垢な魂だった。
その無垢さは悪意より深くひとを傷つけ、そのくせ人一倍よわく、やわく、もろかった。
ねぇ、きみのそれ、なぁに?
ゆるゆると笑いながら問うたそれは眩しかった。己が悪になり得るなど思いつきもしないだろうそれは、美しい笑顔を私にも向けた。
さて、大切にたいせつに育てたものが鋭い刃を持って己を襲ったとき、貴方ならどうするだろうか。
私は?
No.8【蝶よ花よ】
【蝶よ花よ】*修正しました
蔦に覆われた塔の屋上で、フォルは薬草の世話をしていた。
目の前をひらりと蝶が飛ぶのを見て、フォルはどうしようもなく寂しくなった。
『俺の故郷では、子供を甘やかして可愛がって大事に育てることを《蝶よ花よ》って言い方するんだ』
そう言っていたのは、かつてのこの塔の主。緑の賢者と呼ばれたその人は、植物を育てることと薬を作ることがそれはそれは得意だった。
賢者の話はフォルには完全に理解できたとは言い難い。花は動くことができないが蝶は自由に飛んでいく。飛べばその分危険も多いだろう。どちらが幸せだろうか、とフォルは少しの間考えていた。
緑の賢者がどこから来たのかは誰も知らない。ただ、彼が作った薬はどれも素晴らしかった。それを知った国王は、更に多くの薬を作らせようと彼をこの塔に軟禁したのだ。動けない花みたいに。自分たちが蜜を奪うために。
フォルは使用人だった。もっとはっきり言ってしまえば奴隷だ。緑の賢者の世話のためにこの塔に連れてこられた。緑の賢者はフォルの主人でもあった。
事故だった。
過労がたたり体調を崩していた緑の賢者は、塔の螺旋階段で足を滑らせ、酷い落ち方をして、そのまま……
『必ず戻る。君を解放するから、待ってて』
それが緑の賢者の遺言。
幸か不幸か、フォルは人間とエルフの混血で、少しばかり長い寿命を持っていた。だから待った。賢者が残した植物の世話をしたいと頼み込んで。
植え替えを終えて立ち上がったフォルの上を、影がよぎった。雲にしては速く、鳥にしては随分と大きい。
何事かと見上げて、フォルは焦った。
一体の飛竜がこちらに向かって降りてくるところだった。身を守ろうにも奴隷のフォルに武器など与えられていないし、魔法は封じられている。
せめてもの抵抗に、剪定用の鋏を投げつけようとした時。
「攻撃するな、フォルトゥナート!」
呼ぶ人などいなくなったはずのフォルの本名を呼んで。飛竜の背から、小柄な人影が飛び降りた。
「ごめん。待たせた」
そう言って近付いてきた少年に見覚えなどない。
「いやー、転生させてもらえたのは良かったんだけど、思いの外時間がかかっちゃって」
にひひ、と笑う少年の、その笑い方が。緑の賢者にそっくりだった。
「……賢者様……?」
「そうだよ」
「まさか。生まれ変わり……?」
「そういうこと」
聞きたいことも言いたいことも沢山あった。だけどそれらは一旦飲み込んで、フォルは泣きそうになりながらも笑顔を作った。
「おかえりなさい、賢者様。ずっと、待っていました」
少年は「うん」と頷くと、長年フォルの首にあった隷属の首輪を壊してしまった。大量の魔力を一気に流し込むという、実に乱暴な力技で。
「よーし、さっさと逃げよう」
フォルは生まれて初めて飛竜に乗った。
そして、塔から動くことができなかった賢者は、空を飛ぶ自由を手に入れたのだなと思った。
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緑の賢者:
元日本人。異世界転移させられて神様に生産系チートをもらったら軟禁された。転生後は薬師ではなくテイマー。
フォル:
親を失い、エルフにも人間にも馴染めなかったハーフエルフ。緑の賢者の手伝いをしていたので薬草栽培の知識が少しある。
“蝶よ花よ”
呼び鈴を押す、指が震える。数日前から約束を取り付け、車を停めるためについ数分前に電話までして、今更何を、というところだが、やはり理由が理由なだけに緊張してしまう。やっとの思いでなんとか指を押し込むと、待っていましたとばかりにチャイムが鳴り終わる前に重そうな扉がゆっくりと開いた。
「いらっしゃい、待ってたわ」
「ご無沙汰、してます」
にっこりと少女の様に微笑む女性の奥には、緊張気味にソワソワとしている、女性と瓜二つの顔を持つ彼女が立っている。本当によく似た母娘(おやこ)だなあと場違いなことを考えていると、笑っている方のつまりは母親の方にどうぞ、と促され慌てて靴を脱いだ。
不仲な実家より踏み入れた回数が多いかもしれないというほどに何度も訪れた場所だというのに、まるで初めて来た迷路みたいな気分で前を歩く母娘の後ろをついていく。
リビングにたどり着くまで、俺は何度も何度も心の中でこの日のための一言を復唱していた。何度も何度も恋人として会っているし、冗談の延長で結婚はいつにするの?なんて聞かれ続けていたので断られるとは正直思ってはいないけれど。蝶よ花よと育てられた大事な大事なたった一人の愛娘をいただくのだから、やっぱり格好は大事だ。噛まない様に、とちらないように。ダイニングテーブルの下で、前に座る彼女の母親には見えないように、ぎゅっと拳を握った。その拳にそっと彼女が手を添えた。彼女だって断られるとは思っていないのだろう。その手に後押しされる様に、俺は顔を上げた。
「娘さんを、僕にください」
彼女の母親は待ちくたびれちゃったわ、とだけ明るく言って彼女によく似た顔をほころばせた。
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気づいたら1週間以上サボってました
結婚エアプです:))
蝶よ花よ
と育てているうちは、その子のことをまだ一人の「人」として向き合っていないのではないか。
陽キャ陰キャ、上司部下……レッテルや属性を貼り付けて接しているうちは、まだその人自身を尊重してしっかり向き合うことができていないのではないか。
蝶よ花よと大事にされる
可愛いあの子のいく末は
職業婦人か
玉の輿かと
いずれ潰える夢をみる
─── 蝶よ花よ ───
素敵な髪飾りをありがとう
綺麗な着物をありがとう
帯も小物も
わざわざ誂えてくれて
本当に嬉しい
泣かなくてもいいじゃない
少しだけ
ほんの少しだけ遠くへ行くだけ
私の気持ちはずっとお母さんと一緒よ
ごめんなさい
二十歳のお祝い全てを
死装束にしてしまって
蝶よ花よ。
蝶も、花も、儚いから美しい。
どこで、どうあっても美しい。
それに比べ、なんと人間とは愚かなものか。
皆がそうとは言わないが。
弱者を見下し、嘲笑う。
他と違うだけで偏見を持ち、差別する。
「個性を尊重しよう!」とか、
「平等に!」とか、
「差別や偏見をなくそう!」とか。
いったいどの口が言うのだろうか。
表立った「差別や偏見」を無くすことは出来る。
だが、水面下で起きているものまでは無理だ。
そういうことはすべて「綺麗事」ではないか?
これが「いじめ」に繋がることもあるのでは?
「小さな誤解」が拡大して「差別」となる。
「小さなからかい」が「いじめ」となる。
よくあることだ。
だから、「理不尽」が溢れている。
何もしてないのに「誤解」によって怒られる。
被害者なのに「誤解」で加害者となる。
「差別と偏見」「不平等」が多すぎる。
それによる「誤解」。
さらに「誤解」による「理不尽」。
「小さなこと」が「事件」となる。
だから、この世はこれほど生きづらいのか?
【蝶よ花よ】
行く当てもなく彷徨っていた
ただ自分が空を飛べることは
地を這う彼らを見て悟った
恨む視線が僕をつつくけど
空が飛べたって行き先が無ければ
この無限と広がる青の中
頼れるものが無くこんなにも孤独だと彼らは知らない
もう翅を動かすのでさえ億劫で
辞めてしまおうと何度思い立ったことか
だけど辞められないのは
触れられない空間の中で
きっとこの甘い香りが鼻を掠めて僕を導くから
2024-08-08
「蝶よ花よ。」
※百合表現あり
なぜ貴女は、それほどまでに美しいの?
私なんてこんなに見窄らしいというのに。
「今日はなんの日かわかる?」
貴女の声が聞こえる。
忘れるわけないじゃない!
今日は私達が結ばれた日!
周りの目はまだ厳しいけれど、
貴女となら乗り越えられるわ!
でも伝えられない
私は植物状態らしいの。
意識はあるのに、抱きしめたいのに、
行動することができない。
いっそ本当に植物になって
動物や虫達と一緒に
歌を歌えればいいのに
「私の死期はもう近い」
そう先生が言っていたのが聞こえたわ
貴女は先生の前でも泣いてくれたのよね?
それがどうしようもなく嬉しかった。
それと同時に貴女を泣かせてしまった私を
憎いと思った。
私だって貴女のために泣きたいわ。
正直、私は死ぬのは怖いし
貴女を五感で感じられないのが辛い
貴女ともう会えないと思うともっと辛い
死にたくない
でも、もう避けることはできないのよね?
植物状態でも手術で延命はできるらしいけれど、
私の身内は貴女だけだし、貴女もお金が多くない。
そんな中で私達が幸せになる未来なんて見えないわ
そんなことを考えていると私の頬が濡れた。
「え、涙…?」
そうかこれは涙なんだ。
私は生涯の一番最後に貴女のために泣けたのね、
嬉しい、嬉しい!!!
この涙は私を育てる水で、貴女は私を照らす太陽!
蝶よ、花よ!
彼女と私のもとで咲いて、
私達の人生にスポットライトを当ててちょうだい!
今なら私永遠に、
ツー
「ぇ、」
この音は何、なんでこの子は
そんなに嬉しそうに泣いているの?
死んでないよね、死んじゃだめだよ!!!
私を置いて一人で逝かないで、幸せにならないで。
もう一度、お母さんって呼んでよ。
植物状態で幻覚を見て自分を大人だと思い込んだ少女
と
シングルマザーのお母さんのお話
「今日は貴女の誕生日だったのよ
20歳、おめでとう。」
蝶よ花よ
蝶よ花よと育てられた
いつも母の後ろを歩いていた
いつもご飯をくれて遊んでくれる母
そんな母が居なくなった。
ご飯も遊びも自分でやらなきゃいけない
花の蜜を吸い、蝶を追いかける
吾輩は猫である、、、なんつって
「蝶よ花よ」
夜想歌、独り呟いても。
月明かりが照らしても、
花が咲き乱れ初めても、
蝶が周りを舞ってもね、
君には届かない。
嗚呼、"蝶よ花よ"。
どうか、どうか僕の歩く道に____
「また明日」って笑う君が居てくれませんか?