作品No.130【2024/08/08 テーマ:蝶よ花よ】
蝶よ花よと、大切にされたこともあった。それさえも、遠い昔の話になってしまったけれど。
あの頃は、自分がこの世で一番美しいと信じていた。万人に愛されて当然だ——と。
でもそれは、ひと時の夢幻だった。
あの頃の私を知る人がなくなり、この世に残されて幾年月。色艶を失った身体だけが、私として存在している。
美しい私は、もういない。私を愛でてくれる人も、もういない。
いつまで、生きていればいいのだろう。失っていくばかりなのに、虚しいばかりなのに——いったい、いつまで。
8/8/2024, 2:51:34 PM