蝶よ花よと育てられたいのちだった。ぬくい綿の中で育てられた、傷ひとつない無垢な魂だった。その無垢さは悪意より深くひとを傷つけ、そのくせ人一倍よわく、やわく、もろかった。ねぇ、きみのそれ、なぁに?ゆるゆると笑いながら問うたそれは眩しかった。己が悪になり得るなど思いつきもしないだろうそれは、美しい笑顔を私にも向けた。さて、大切にたいせつに育てたものが鋭い刃を持って己を襲ったとき、貴方ならどうするだろうか。私は?No.8【蝶よ花よ】
8/8/2024, 2:32:35 PM