黄身

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1/17/2025, 3:04:25 PM

風の妖精のいたずらは、わたしとあなたの柔らかな日々にひと足先の『春』を振り撒く。

No.21【風のいたずら】

12/20/2024, 3:46:41 PM

ベルの音がひとつ鳴って、僕の鼓動は一層早くなる。
いつか君はこれを「命の消費」だと言った。私のためにたくさん鳴らしているんでしょう?一生で鼓動する回数は決まってるんだって。だからこれは『命の消費』だね、って。きれいにわらって。
なんてことを言うひとに、恋をしてしまったんだろう僕は。
僕とベルと、君の笑顔が、銀世界に刻みをひとつ。

9/21/2024, 10:30:26 AM

大事にしたいものをちいさな腕に抱えて歩いてきた。何よりも大事に、一生懸命に持っていただけなのに、ガラス細工やむっつのあの子のこころみたいに大事にしていただけなのに、いつのまにか心臓から離れなくなってしまった。
脂肪や繊維の癒着した腕は醜悪で、きっと誰もが顔を顰めるようなかたちをしている。
わたしのだいじだいじ。
わたしだけの、わたしのとくべつ。
どうしてそんな顔をする。どうしてそんなにわたしを睨む。わたしは、わたしだけの大切はそんな顔でわたしを見たりしないはずで、あのこはずっときれいで、やさしくて、わたしだけをみていて、
だからこれはあのこじゃなかった。わたしのたいせつがこんなにみにくいわけがない。
それなら壊して、隠してしまおう。見せないように、見つからないように。
大事だいじなわたしのたいせつ。あのこはずっと、ずっと、ずっとずうっと、わたしだけのたいせつでいればいい。

No.19【大事にしたい】

9/5/2024, 12:54:04 PM

貴方のきらめきを求めて、届かないことのわかりきった空に、非力な手を伸ばしていた。おぉ神よ、愚かなわたしをおゆるしください。


No.18【きらめき】

8/31/2024, 10:05:54 AM

「こんなパーティ、ふたりで抜け出しちゃおうよ」
唐突な提案は、澄んだ桃色と深いみどりの香りを纏った、はじめましての君からだった。



四角いきっかりした箱からゆらゆら香ったそれは、わたしの鼻先を擽り、心臓を掴んで離さない。
そのまま私ごと、そちらに連れ出してくれればいいのに。
あのときの「つまらないパーティ」みたいに。
初夏、美しく澄んだ清涼な空気が吹いてわたしは、君の残り香を今日も追う。


No.17【香水】
気が向いたら加筆修正

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