黄身

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春の妖精の王みたいな顔で笑うあなたが好きだった。好きとも嫌いとも愛しているとも言えず、「幸せでいてね」とあまりに傲慢でむつかしいお願いを繰り返した私に、あなたはよく熟年夫婦じゃぁないんだから、とお手本みたいな美しい顔で笑ってくれた。
花筏に乗って届かぬところへ行ってしまったあなたの目に、この恋の燃えかすがながれつかぬように、この愛のかけらがとどかぬように、わたしはただ祈っている。

3/27/2025, 2:41:17 PM