『紅茶の香り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#紅茶の香り
ぐっすん…うっ……うぅ…
部屋からは、お嬢様の泣き声が微かに廊下まで響く。
コンコンコン────。
お嬢様、入りますよ。
私はそう言って、お嬢様の部屋へと入る。
"お嬢様、どうされましたか?"
泣いてるお嬢様に、尋ねた。
"今朝飲もうとした、お父様から貰った紅茶が無いの。
探していたら、どこからか微かに紅茶の香りがしたの。
その方向に向かうと、妹が私の紅茶を飲んでいたの。
そんな事でグズグズ泣くのは良くないと分かっているわ。
だけど、お父様から貰ったたった一つの紅茶でしたもの。"
お嬢様は、必死に声を振り絞り、そう告げた。
"そうでしたか……。
では、私が作りました、紅茶…如何なさいますか?"
"え?"
お嬢様は、キョトンと目を丸める。
"……??私は最近紅茶を1から作るのにハマっておりまして……案外簡単に見えるかもしれませんが、とても難しいんですよ。"
"……で、では頂こうかしら……"
お嬢様は、どことなく嬉しそうに言う。
"お嬢様、こちらでございます。"
私は、お嬢様にそっと紅茶の入ったマグカップを置いた。
"頂くわ。"
お嬢様は、恐る恐る私が作った紅茶を口にする。
すると────。
"何これ……美味しいわ!"
先程は泣いていた、お嬢様の顔が今ではとても眩しい程輝いていた。
その後、お嬢様は幸せそうに紅茶を口にする。
"私、決めたわ!"
お嬢様は、そう言う。
何をですか……??
"紅茶 ではなく、 幸茶"
そして、この世界では紅茶 ではなく、それを飲む事で幸せになれるという噂が広がり、
幸茶と呼ばれるようになった___。
言葉は恐ろしい。
何よりもそれを理解した人間になりたい。
言葉は心だと思う。今まで何度も書いてきた。それなのに、私は簡単に「死ね」と言ってしまえるような人間になりかけている。
中学校に入学してまもない頃、言葉遣いに最新の注意を払っていた。それが、だんだんと荒くなり、人を傷つけるために使ってしまった。最低だ。ありえない。言葉は美しくて大好きだ。それなのに言葉を汚しているのは私自身だ。言葉を悪者にしているのは私なんだ。怒っていたからって簡単に暴言を吐き散らしていいわけが無い。理不尽に人を振り回してはいけない。傷つけてはいけない。
たとえ暴言ではなくても、否定の言葉を吐いてはいけないのだ。肯定するのだ、みんながみんな私と同じ考えでは無いんだ。あのアニメが嫌いだ。その一言で話したくないと思わせてしまうのだ、分かり合えないと線を引かれてしまうのだ。過去の過ちはもう正せない。だから少しでもいい自分でいなくちゃ、言葉を扱う人間として恥じぬ生き方をしなければ、言葉の使い方、それが何よりも上手な人になろう。優しい人になろう。
甘い匂いが嫌いだ、鼻に付く
甘い飲み物も食べ物も、口に残る感じも嫌い
海外に行って自分のお土産の紅茶を選ぶときに、
甘い香りのものがあって、うげ!と思ったけど
砂糖入ってないから飲んだら甘くはないよ、ってシンガポール人が言うから買った
激うまだったよ
香りに惑わされないでね
紅茶の香り
どういう種類がいいのかはよく分からんけど
紅茶っていい香りよね
人生1度はアフターヌーンティーみたいなのやってみたい
君の部屋に来ると優しく迎え入れてくれた。
何も聞かず、ただそばにいてくれた。
君は紅茶を淹れに席を立った。
ケトルとマグカップを二つ持ってきて再び俺の隣に座る。
「落ち着いた?」
完全に元に戻ってはいないけど。
「うん、ありがとう。」
その間もずっと背中をさすり続けてくれている。
ケトルが音を立てた。
「早いね。」
「すぐ沸くやつだからね。」
マグカップにお湯を注ぐ君。
どれがいい?と尋ねながらティーバックを広げる。
昔から紅茶好きだもんな。
一つ選んでマグカップに入れる。
優しい名前の呼び方。
「ずっとここにいるからね。」
君みたいに優しく紅茶の香りが漂い始めた。
#紅茶の香り
プリンスオブウェールズが好きだったの。
紅茶のコニャックと詠われるお茶。
でも本当に、私は解っていたのかしら?
“コニャック”の語感に酔っていただけでは??
実際私は未だにコニャックウイスキーを知らないのだ。
ウイスキーは解るの。ホワイトホース位なら解るの。
コニャックはその美味しい奴??
いやいや、アイリッシュウイスキーは好きじゃないぞ。コニャックだって、苦手な香りがするかもしれない。
今は紅茶なら圧倒的にアールグレイ!
むしろここ20年ほどはアールグレイしか飲んでいないと言って過言にならないくらい。
今の私には、紅茶の香りと言えばアールグレイ。
でもフオートナムとハロッズではかなり違うしフォーションは少し苦手。
“紅茶の香り”とは言っても多様過ぎて、きっとそれぞれちょっとずつ違うのよね。
紅茶に共同幻想を見ている感じ?
全然違う物を思い浮かべて、今“紅茶の香り”を語り合ってるんだ。不思議ね。
【紅茶の香り】
砂塵の舞う
血生臭い戦場に
君の匂いが
香り立つ
帰ろう
帰ろう
紅茶が
冷めてしまう前に
紅茶も冷めてきて
なんとなく口数が減ってきて
そろそろ終電だからって
帰り支度をみまもるこの寂しさがきらい
泊まってく?だなんて
酔ってたら言えたのかな
しずかな部屋に残されたのは
紅茶の香りと私だけ
・紅茶の香り
1、夜8時には寝る。
2、お姉ちゃんにわがままを言わない。
3、家の中で騒がない。
綾人が小学校一年生の冬、我が家に新しいルールができた。
遊びたい盛りの小学生には、苦しいルールだ。だけど、それ以上に嫌なのは、限界まで張り詰めた糸のような空気だった。
静かすぎるリビングで、綾人は顔を顰めながら宿題に向かう。
お母さんは黙って本を読んでいた。
『受験期の子供の支え方』
綾人にはその意味はよくわからない。
でも、そんなにしかめっつらをするなら、読まなければいいのにと思っていた。
息が詰まりそうな長い時間は、いつも突然、終わりを迎える。
「あー、お腹すいたー!マドレーヌ残ってたよね?食べていー?」
場違いに明るい声。どうやらお姉ちゃんの勉強はひと段落したらしい。
我が家はお姉ちゃん中心に回っている。もちろん、お母さんは嬉しそうに頷いた。
「はい。綾人にも」
にっこり。笑いかけられて、ありがとた。
お姉ちゃんのせいで貴重な冬休みが台無しなんだ。ちょっとくらい、困らせてやりたかったのに、お姉ちゃんは肩をすくめただけだった。…気に入らない。
綾人の気も知らないで、お姉ちゃんはすとんと、綾人の隣に腰を下ろした。
目の前の机に置かれたのは、マドレーヌと、紅茶のカップ。
紅茶には殺菌作用があって、風邪をひきにくくするらしい。お母さんがあんまりしつこく飲めというから、お姉ちゃんは毎日一杯は紅茶を飲む。
紅茶の香りは、つんと尖っていて、綾人はあんまり好きじゃない。…なんて、子供っぽくて言いだせやしないけど。
お姉ちゃんが淹れる紅茶は甘くて飲みやすい。匂いさえ我慢すれば、いけなくもないのだ。
鼻を近づけると、湯気が鼻をくすぐった。
くしゅんっ
それはとても小さなくしゃみ。でも、決定的なくしゃみ。お母さんが立ち上がる。
「綾人。こっちに来なさい」
0、風邪をひいてはいけない。
口には出さないけど、これが最も大切なルールなんだと、綾人は気づいていた。
***
天井の木目が、ぐるぐると回っていた。暑くて、寒い。
お姉ちゃんの受験日の二週間前、最悪のタイミングで、綾人は熱を出した。
たった一人、ベッドの上で、綾人は震える。
僕のせいで、お姉ちゃんのジュケンが失敗したら、どうしよう。お母さんは、怒るだろうな。
お姉ちゃんは?
どうしても、あの優しい笑顔で、笑ってくれるとは思えない。
もしかして、ちょっとお姉ちゃんを困らせたいなんて、願ってしまったせいだろうか。
…その発想はとても怖くて、綾人は逃げるように布団に潜り込む。
次に起きたのは夜だった。
部屋の机には、湯気を立てるうどんと…紅茶を乗せたお盆。
紅茶?
カップのそばには、一枚のメモ用紙があった。
『はやくげんきになりなよ』
鼻をつくのは、つんと尖った香り。
口をつけると、それはふわりと甘さに姿を変える。
「紅茶だってよ」
アレだろ、日本の水とイギリスの水では硬度が違うから云々ってやつだろ?
某所在住物書きはネットにネタを求めながら、紅茶でも緑茶でもなく、単純に炭酸飲料を嗜んでいた。
コーラである。なお、紅茶のコーラ割りなるものが存在するらしい。
紅茶は知らぬ。芋焼酎のコーラ割りは美味であった。
「いつだったかな。国産茶葉の紅茶のペットボトル、某緑のコンビニで見つけてさ。アレは美味かった。
……香りはどうだったかな……」
記憶を掘り起こそうと、存在したかしないか思い出せぬ香りを追って、深く短く息を吸う。
無論、部屋の香りがするばかりである。
――――――
最近最近の都内某所、某アパートの一室。
デフォルトで設置されていた家具や家電以外、すべてが処理処分されたリビングは、ただダダっ広く、音が少ない。
部屋の主を藤森という。
元々の予定では、今頃既に部屋を解約し、管理人に引き渡して、10月末か11月初週まで、ホテル泊まりの予定であった。
東京から離れ、故郷の雪降る田舎に帰る算段であったのだ。
何故予定通りになっていないのか。
職場の後輩に計画がバレて、「行かないで」と懇願されたためである。
何故この妙ちくりんなシチュエーションが発生しているのか。
アプリの2個前、3個前のお題において、「この言葉で何書けってよ」の物書きが、苦し紛れかつ立て続けに、トンデモストーリーを投稿したためである。
過去作参照だがスワイプが非常にわずらわしい。
細かいことを気にしてはいけない。
「ホントに東京離れるつもりだったんだ……」
金曜の夜である。
食費節約のため、そしてなにより己の先輩の作る低糖質低塩分ディナーの御相伴にあずかるため、
藤森に東京脱出の中止を求めた例の後輩が、アパートを訪れたはいいものの、
退去のため、鍋等々、売っ払って処分した後である。そもそも調理ができない。
「すごい。珍しい。先輩が、出前頼んでる」
開いた口が塞がらぬ後輩。ほぼほぼ何も無くなった室内を見回し、ただ、驚くばかりである。
「お前が私に、『行くな』と言ったからだろう。本当なら今頃、適当にホテルを探して、そこから職場に通って、メシはバイキングだのルームサービスだのを食っていた筈なのに。それをお前があの日、」
「その袋詰めの2個入りアップルデニッシュ、デザート?私も食べて良い?」
「話を聞け」
タパパトポポトポポ。
仕方無しに急きょプチプライスショップで購入したティーポットから、同じく急きょ購入した紅茶の濃い赤琥珀色が、以下同文、カップに落ちる。
ふわり香り立つのはベルガモットのシトラス。
「先輩が紅茶淹れるのも珍しい」
後輩はカップを受け取り、鼻に近づけて、湯気をいっぱいに吸い込んだ。
スッキリする香りだ。こってりめの肉料理に合わせれば、きっと口の中をそのシトラスで、リセットしてくれることだろう。
たとえば自分と先輩の目の前にある、ちょっとお上品そうな鶏の照り焼き定食のような。
「ミルクが必要なら、一応冷蔵庫に少しある」
ため息吐いて、香りを吸って、ほんの少し口に含み即座に眉をしかめた後、藤森が言った。
「砂糖までは気が回らなかった。欲しければ、すまないが自分でなんとかしてくれ」
「和食に紅茶って、おもしろい」
竹製の割り箸を持ち、手を合わせ、いただきます。
後輩は真っ先に、出前の照り焼き定食の、付属たる味噌汁で口を湿らせた。
「当店、苦情は一切受け付けておりません」
そもそも物が無い状況だ。茶はそれで我慢してくれ。
藤森はぽつり呟き、少し舌が痛いらしく、再度ため息を吐いて紅茶のカップをテーブルに置いた。
今では新しい紅茶を買うのが趣味の私ですが、以前は紅茶が苦手でした。アールグレイだけは飲めたのですが、それ以外は何故が腹痛がおきてしまうのです。
ですがある時紅茶を飲んでそれは変わりました。
友達への贈り物として紅茶を買ったのですがなかなか友達とは会えず、賞味期限も近づいていたため、また別のものを買うことにしてその紅茶を飲むことにしました。
腹痛を恐れながらも紅茶を飲んでみると、まず香りに驚きました。その紅茶からはチョコレートの香りがしたのです。一般の紅茶と言われるものしか飲んだことのなかった私は、紅茶から漂う品のある香りにうっとりし、しかもセットになっていたバニラのクッキーともよく合っていて、あっという間に紅茶もクッキーも無くなってしまいました。
私は満腹感と感動に満たされながら、底の見えるカップから漂う微かな香りを楽しみました。私は友達への贈り物として買わなければ、紅茶の素晴らしさに気づくことは無かったと今思います。苦手意識のあるものに手を出して新しい世界を見つけることは、自分の人生を楽しませてくれますね。
「…こーすいのせいだよぉ」
なんか今日はご機嫌だな。鼻歌まじりに大好きな珈琲を淹れている。君の淹れる珈琲は本当に美味しい。鼻をくすぐる豊かな香り。
「はい、どーぞ」
「ん。ありがとう」
ソファに並んで珈琲を飲む。テレビはニュースから、人気のケーキ屋さんの話題になった。
『こちらケーキに合わせた紅茶がとても人気なんですよね〜』
「…紅茶かー。紅茶って最近全然飲んでねーな。あれも結構いい香りするよな。んなこと言われると飲みたくなるな」
「ちょっとぉ。珈琲飲んでる時に紅茶の話しないでよ。珈琲が気を悪くするでしょ」
「珈琲が?」
君じゃなくて?
さっきまでのご機嫌さんはどこへやら、君はぷくぅと頬を膨らます。それが可愛くて肩を抱いた。
「ごめんごめん。ホント珈琲に悪いよなぁ。お詫びに今度ここのケーキ食べに行こうぜ。たまには紅茶も飲みたいし」
「ちょっとぉ!」
たまにちょびっといじわるしたくなるのは、君のぷくぅが見たいからなんて言ったらますますぷくぅしてくれるかな。
▼紅茶の香り
紅茶の香りにうっとりしすぎて
ティーパックを取り忘れた君が
渋さに眉を顰めるまでの一部始終を
いつのまにか目で追っていた
君の一挙手一投足、全ての特徴に
再認識する心…やっぱり
何度も覗き見た顔なのに
夏休みの後半には思い出せなくて
その程度だったのだと安心したのに
冷めた紅茶の口あたりくらい好きだった
今じゃもう…
紅茶は美味しいけどコーヒーより飲まないな。
紅茶はアールグレイが好き!紅茶飲む時は
なんだか品が良くなる私がいる。
そういえば子供の頃はリプトン紅茶を良く飲んだっけ
今はもっぱらプーアル茶のようなダイエットに効きそうなお茶ばかり
美味しい紅茶にたまにはお砂糖入の甘い紅茶もいいな
今では
珈琲をよく飲む。
若い頃は
珈琲の味がわからなくて、
紅茶メインだった。
セイロン
ウバ
ダージリン
種類もいろいろ。
紅茶の美味しさを
さらに
引き立たせているのは
ティーカップ。
陶器製の
素敵なデザインも
とても好きで、
レトロな
昔ながらの
喫茶店に行くと、
ヴィンテージ物の
ティーカップに
出会える。
少し蒸らして
同じデザインの
ティーポットと共に
セットで
出してくれるお店は減りつつも
レトロな
時間を素敵に
過ごす。
美味しい紅茶
美味しい手作りケーキ
香りと共に
ちょっと気取った。
癒し空間。
紅茶の香りに誘われて。
その香りを追いかけて歩いていると、森の中に入りました。
森を数分歩いていると、小さな料理店があり、
そこから気品に満ちた甘い香りが漂ってきました。
その紅茶の香りに惹かれて、私はその料理店に入りました。
「ご注文はお決まりでしょうか。」
「紅茶はありますか。」
「ありますよ。紅茶ですね。」
「お客様、こちら、紅茶です。」
そう言われて出された紅茶は、上品な香りを放っていました。
一口。
その紅茶は驚く程に美味しかったのです。現実を感じない程に美味しく、上品な紅茶でした。
「ここはイーハトーヴか何処かですか。」
「いいえ、ここは貴方の住む、現実世界ですよ。」
『紅茶の香り』
香りのタイムマシン
いつも通りの生活
流れてきた香り
知ってるな、この香り。
いつ嗅いだのか記憶を探る
途中の道のりで見かけるたくさんの思い出。
そして、見つける
何年も前、あの店で嗅いだこの香り。
あの景色。
窓の外の雪景色の見ながら
1人楽しんだ紅茶の香り。
フラワリーな香り。
草いきれな雰囲気。
マステカルな味わい。
追憶するダージリン。
純愛するラブリー。
異名のシャンパン。
「今日までも頑張った私偉すぎだろ」
それらスパイスになったものを楽しみながら、私はゆっくりと夢を見る準備をした。
「……んだあ、うめえ」
今日が金曜日の夜で良かった。
日曜日だったら、私はストロングだった。
_2023.10.27「紅茶の香り」
セリフはクソなんだがそれ以外なんかオシャレ。なんかおもろそうだなと思ったのでやってみました。
ちなみに紅茶好きな人は分かるらしい。
その手に持ってる物で調べてみてください。
紅茶の香り。
紅茶は発酵茶なので、体を温める。淹れたてはもちろん、さめた紅茶もその効果は変わらない。寒い季節に活躍できる。頭を使って疲れる事務職に従事していたときは、あっつい紅茶に苺ジャム(プリザーブド)を入れるのも美味しかった。
紅茶は茶葉の種類も豊富なので、好奇心でいろいろなものを物色もした。私が子供の頃からある黄色いパッケージは「知ってるつもり」でいたので、それ以外のアソートを選んでみるのが専らだった。人気の高いアールグレイやアッサム、ダージリン、ウバ、オレンジペコ、海外の会社で作ったものなどなど…。
あるとき、「お財布が寂しい」状況になって、ほぼ20年ぶりに黄色いパッケージの紅茶を買った。驚いた。すごく美味しい。
何故だろうかと思ったが、心あたりがありすぎて、却って判らない。子供の頃はこればかりだったから、刷り込みというやつかもしれない。以前、いろいろ飲んでみてるうちに、私の感覚は「名だたる銘柄の紅茶」よりも、「イングリッシュブレックファスト」を美味しく感じることを自覚していたのだけど、この黄色いパッケージは最強に美味しいと感じた。おやつだけじゃなく、食事のときもバッチリ美味しい。…日本の会社だからかな?などと考えたが、日本に大きな産地はない。やっぱり幼少のミギリの刷り込みか。
友達が珍しく遊びに来たとき、「私、アールグレイは苦手でダメなのよ」と言ったので、コーヒーにしたことがある(コーヒーの香りも素晴らしいよね)。アールグレイは、英国人貴族のグレイさんが「こういう紅茶を作りたい」と産地の農家とやりとりしてできた品種とか聞いたことがある。独特な香りが強いので、お菓子の香り付けにも使われることが多い。
紅茶の香りは、雰囲気を纏っている。ちょっとだけ時間をとって温かい紅茶を飲むと、確かに心が落ち着く。食品だから相性はあるけど、私は単純にそうだ。
【91,お題:紅茶の香り】
とぽぽ、という小気味良い音とともに、辺りに広がるフローラルの香り
...この匂いは
「まぁた紅茶、しかもカモミール?」
「!...バレたか...」
小さく苦笑しながら、コップに入った暖かな液体が運ばれてくる
手渡されたものを口にし、違和感に気付いた
「ん...?...これ、他になんか入れた?」
首をかしげもう一度、今度はよく味わって飲む
「なんだと思う?」
「っあ!もしかして...リンゴ?」
「お、当たり」
昼も夜もなくなった、暗闇に閉じ込められた世界では植物なんてほとんど育たない
肉や魚はとんでもない貴重品だ、ましてや植物、果物なんてまずお目にかかれないような超超高級品
「はぁ!?そんな高級品どこで...」
「ん、ちょっとね」
どうやら答える気はないらしい
「てゆーか、ルカはずっとカモミールばっか飲んでるよね?飽きない?」
コクリと喉を鳴らし、ルカが口を開いた
「お気に入りなんだ、他のハーブティーも好きだけど...これは特別だからね」
「ふーん、別に紅茶嫌いじゃないけどたまには他のも淹れてよね、ホットミルクとか!」
「...それはエドが甘党なだけじゃ」
「ばれた?砂糖多めで頼むよー」
「砂糖もミルクも貴重品だと言うのに...」
しばらくお互い沈黙し、淡々とカモミールティーを飲み干す
と、唐突にエドが声を上げた
「ねぇこれって、紅茶とハーブティーどっち?」
「んんん...?ハーブ...ティー...?かなぁ?」
「紅茶も葉っぱ使ってない?」
「そう言われると、なにも言えないねぇ」
「ハーブってなんだっけ?」
「薬とか香料に使う草全般を指すらしいよ」
「...もしかして、紅茶もハーブティーも同じ?」
「それ私も思ったところ」
また沈黙、視界からの情報が無い以上、話のネタは尽きやすい
少しし、またしてもエドから口を開いた
「......もうこれさ、どっちかに決めない?紅茶か、ハーブティーか」
「紅茶」
「あ、奇遇僕も紅茶」
.................。
「「.........もうこれでいいか」」
紅茶の香りがフッと鼻を撫でていく、静かな夜の外気の中
ただ二人の姿だけが、なにも変わらずそこにあった