「…こーすいのせいだよぉ」
なんか今日はご機嫌だな。鼻歌まじりに大好きな珈琲を淹れている。君の淹れる珈琲は本当に美味しい。鼻をくすぐる豊かな香り。
「はい、どーぞ」
「ん。ありがとう」
ソファに並んで珈琲を飲む。テレビはニュースから、人気のケーキ屋さんの話題になった。
『こちらケーキに合わせた紅茶がとても人気なんですよね〜』
「…紅茶かー。紅茶って最近全然飲んでねーな。あれも結構いい香りするよな。んなこと言われると飲みたくなるな」
「ちょっとぉ。珈琲飲んでる時に紅茶の話しないでよ。珈琲が気を悪くするでしょ」
「珈琲が?」
君じゃなくて?
さっきまでのご機嫌さんはどこへやら、君はぷくぅと頬を膨らます。それが可愛くて肩を抱いた。
「ごめんごめん。ホント珈琲に悪いよなぁ。お詫びに今度ここのケーキ食べに行こうぜ。たまには紅茶も飲みたいし」
「ちょっとぉ!」
たまにちょびっといじわるしたくなるのは、君のぷくぅが見たいからなんて言ったらますますぷくぅしてくれるかな。
▼紅茶の香り
10/27/2023, 2:43:19 PM