『神様が舞い降りてきて、こう言った。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ある古い書物の一節にて。
これはある伝説と古の言い伝えだ。
「王子は神に願った、富が欲しいと」
すると、その王子の前に神様が舞い降りたのだ。
神は言った、「富を授けよう。だが1つ条件がある」
その条件とは眠りをその青年から盗る。
「我が名はヒュプノス、眠りの神だ。富を授ける代わりに君の眠りを貰う」
そう言い、王子は眠りを盗られた。
その後、王子様は莫大な富を得た。だが、同時に眠らない身体になってしまった。
国民はそんな王子をみて、怖く考えていた。
富を得たとは言え、眠らない身体。もちろんその王子様は体を悪くして6日間で亡くなった。
眠るということは人間にとって、大切な事だ。
これは語り継がれる伝説の物語「眠り王」。
富を得るか、死を選ぶのか。
富に目を眩んだ者の末路だ。
ー オリジナル小説・ドゥコ作中の書物ノン・ドゥカ・ドゥコから ー
神様が舞い降りてきて、こう言った。
幸せだとかを一切削ぎ落としたような人生を送っていた。
37歳、婚約した女が自殺した。彼女の遺書の中で、おれはDV男になっていた。彼女は精神を病んでいたのだ。警察の取り調べは三日三晩続き、葬式に出られなかったのでせめて線香をあげに行った。玄関で親父さんにしこたま殴られて、彼女の家に入ることは許されなかった。そんなことよりも、お袋さんに泣かれたことの方が余程堪えた。おれたちの過ごしてきた日々が、木っ端微塵に破壊されたような気がしたのだ。
釈然としない気持ちを抱えたまま、行きずりで女を引っ掛けたら、えらく当たりが出た。その女は彼女と比べても数段上の美人だったし、何よりお喋りじゃなかった。おれたちは戯れるようにキスをして、その後セックスをした。その行為はなんの意味も持たず、ただそこにあるだけだった。
ラブホの安いレースカーテンから差し込む日差しに目を覚ました。中身の抜かれた財布と、これまた空っぽの心がそこには残った。
シーツにくるまりながら、おれは幻覚をみた。彼女の病気が感染ったのかもしれない。けれどそれは。幸せな夢だった。彼女の顔をした神様は、一言、「嘘つき」とそう言った。
シーツには血と嘔吐痕が染み付いて異臭を放っている。おれではないから、きっと、あの女のものだ。
彼女を幸せにしてやりたいと思っていた。彼女を幸せにすることで、不幸になることが、おれにとっての何よりの幸せなのだと、信じていた。
ある日、世界中のありとあらゆる人々に、ありとあらゆる手段によってメッセージが届けられた。
『約束の日、神様がこの世で最も偉い人間の前に降り立って、「人類は生き残るべきか?滅びるべきか?」と問うでしょう』
そこからはもうてんやわんやだ。
降臨とその時刻が明確に示されたことで既存の宗教も新しい宗教も色々言い始めるし、
色んな人々が「この世で最も偉い人間とはなんだ」って喧々諤々の討論を始めるし、各国の首相や様々なリーダー達が「私こそが」と胸を張り始めるし、
もしかしたら「約束の日」のその瞬間に人類が滅びてしまうかもしれないなんて、誰も気にしていなかった。蚊帳の外にされていた。
果たして約束の日、約束の時間。
祈ったり喚いたりしていた人達を他所に、神様はその時刻に生まれたばかりの赤ん坊のもとへ現れた。
医者にも母親にも目を向けず、今へその緒を切られたばかりの赤ん坊、その子を抱く看護師のもとへと神様は歩み寄って、言う。
「人類は生き残るべきか?滅びるべきか?」
まだ羊水と血液にまみれた赤ん坊はただ「おぎゃあ」と泣いて、神様はそれに「そうか」と頷いて、その「神様」としか言い表せない姿を消し去った。
「最も偉い人間」が何と答えたのか、神様はそれでどんな結果を得たのか。
分かるのは神様ばかり。
赤ん坊は、とりあえず今はご機嫌で笑っている。
~鳥かご~
今日は本当に良く騒いだ
久々に会った高校の友達との旅行
遊び疲れた俺たちは
帰りのバスの中でぐっすり寝てしまった
目を覚ますと、見慣れぬ建物の中
周りには誰もいない
お調子者の鳩山、いつも元気な鶴野、頭のいい白鳥、そして付き合い始めたばかりの彼女である小鳥遊
アイツらは無事だろうか
外のカラスの鳴き声がさらに不安を
掻き立てる
扉を開けようとしたが鍵が閉まってる
窓も開かないが、窓越しから
けぶった庭と鬱蒼とした森が見える
どこからか女性の悲鳴が聞こえた
まさか小鳥遊か?
どうにかして、ここから出て
助けに行かなくては!
その後、部屋中を探し回り
隠し扉の先に部屋の鍵を見つけた
部屋から出て振りかけると
「鷲の部屋」と書いてある
俺の名前、鷲尾と関係があるのか?
何が起こっているんだ?
言い知れぬ恐怖が体を這い上がる
しかも、薄暗い廊下の先には幾つも
鳥の名前が書かれた部屋がある
彼女や友人を見つけて
この屋敷から脱出してやる!
~誰かのためになるならば~
今日は誰も来なかった
しかし、いつ来ても良いように
準備しておかなくては
扉はキチンと閉まってる
鍵はここに隠してある
カラスも待機中だし
スモークも焚いてある
隠し扉もちゃんと動く
閉じ込められた館での
スリルとサスペンス、
ちょっとしたラブロマンスと
脱出の爽快感を味わいたい
誰かのために
例え、扉を開ける度に暗号の入力が必要で
面倒でも
例え、薄暗い廊下で躓きそうになっても
例え、転がってくる大岩やランダムで開く落とし穴が邪魔でも
今日も趣向を凝らして、この館で
待っている
~神様が舞い降りてきて、こう言った。~
ここ、稼働率がいまいちなんで閉店で。
スタッフの皆さんは、別店舗に異動です。
使えそうな機材は回収します。
建物は『壊そうとすると事故が起こる系』のイベントで使いますのでそのままに。
店長さんは、怪談とか人気企画にヘルプで入ってもらって、もうちょい経営手法を
学んでください。
じゃあ、さくっと撤収しましょう。
お前だけな訳ないから、
特別なんて勘違いすんなよ。
【神様が舞い降りてきて、こう言った。】
#神様が舞い降りてきて、こう言った
私だけじゃ、ダメなの?
他の友達と遊びに行くと言った時の彼女の言葉。
ごめんね、君だけが居れば充分。そう言って僕はすぐにほかの友達の連絡先も、友達と繋がっていたSNSも消した。
だって、君さえ居れば僕は幸せだから。
こんな冴えない男の彼女になってくれた君は僕にとっての女神なんだ。
神様が舞い降りてきて、こう言った。
『お前のカミ(髪)をよこしなさい。カミ(神)だけに…なんつって』
そして神様は私の髪を毛根ごとむしり取ると、天上の世界へ去っていった。
残ったのは大いなる存在の威厳を守り抜いたという事実と、光輝く私の美しい満月。
あの日から、私は神に選ばれし覇月(ハゲ)となった。
だから次の言葉は、よく考えてから口にすることだ。
「ここに神ありけり。ひれ伏せよ!地球人どもに選択肢を与える。ここで、我が神王国にて奴隷として働くか、死ぬか選べ!今日の真夜中の0時から3日の猶予を与える。」そうして私は、死ぬことを選んだ。それは、もうこの世の終わりだと思ったからだ。しかし、友人であるジルは奴隷として働くことを選んだ。そして、三日後私は死んだ。「ん?なんだこの光は!」私は昔おばあちゃんに人は死んだら天国に行って天使になると聞いたことを思い出した。「本当にそれが正しいのであれば私は天使に、、、」目が覚めると私は天使ではなく神になっていた。一方ジルは、奴隷として神の国でトイレ掃除をしていました。そのため、神の国のトイレはとても綺麗です。ジルは、働いても働いても終わらない生活に嫌気が差して自殺しましたが神が何度も彼を蘇らせて働かせるのです。神となった私はジルを助けるために神と戦います。「オラ!トウ!エイ!」神を倒しました。そして、神の国で奴隷として働いていた人は神の市民となり平和に暮らしましたとさ。ちなみに、トイレは掃除をする人がいなくなったため汚いです。
神様が舞い降りてきて、こう言った。
神様「君はもうすぐ恋に落ちるね」
と、突然夢の中で神様が舞い降りて来て、こう言った。
僕は信じられなかった。だって恋に落ちるだなんて思ってもなかったし、僕には好きな人なんていないからだ。
なんで神様は夢に出てきて僕にこんなこと言ったんだろ?
夢から起きた僕は大学に行くのだった。
大学について教室に入るとー。
女子「ねー、君、教科書忘れたから見せてくれない?隣座っていい?」
と彼女は言った。
僕は言った「え、あ、うん、どうぞ…、なんで急に話しかけてきたの?」
女子「うん、前から気になってたんだよね。君のこと。よく同じ講義受けてるなって思っててさ。仲良くしよ?」と彼女は言った。
僕「へぇ、そうなんだ。よろしく。」
女子「うん、よろしく。彼女っている?」
僕「いないけど?なんで?」
女子「いないんだ。よかった!私でよければ付き合わない?友達からでもいいよ👌」
僕「え?え?、僕でいいのであればいいよ…、(え、なんだこれ?夢?まさか?)」
女子「ありがとう❤️、君のこといろいろ知りたいから教えてね!連絡先交換しよ?」
僕「こちらこそありがとう。交換するよ。あ、教科書一緒にみようか笑」
神様の言うとおりに恋が舞い落ちた。
終わり
彼氏に突然振られて、親からも嫌われていて生きていても意味がないと思っていたとき、
神様が舞い降りてきて、こう言った。
「好きなだけ泣いて、好きなだけ人に甘えな」
そんなことができていたら生きる意味がないと思わない。笑
お手上げかな?やっと自分を認められたようだね
失敗して、後悔して、恥をかいて
あなたはこんなにも成長したんだね
自分にイライラすること、すごく辛いけど
それがあなたを成長させる1つのヒント
他人にどう思われたいとか、あの人が羨ましいとか、
理想にちっとも近づけていないことに気付いて落ち込んでも、その後の考え方次第であなたは成長できる。
できなかった分は他人に教えられるし、その時はきっと愛と優しさが詰まっている。
そっか、そうだねぇ
今ね、あの旅先のホテルのおじさん思い出したよ。
彼すごく優しかった。私に向けた笑顔は彼にとってなんでもないものだったろうけど、私の物語ではすごく重要で忘れられないものになった。
優しさって目に見えるものじゃない。経験した人にしか分からない、過去の心の傷を覆い隠したもの。
いつか私の傷も過去になる。そうしたら、同じように苦しんでる人を守ってあげよう。
#神様が舞い降りてきて、こう言った
#3 神様が舞い降りてきて、こう言った
神様が舞い降りてきて、こう言った。
『君に神様になってほしい』と。
昔から断れない性格の私は、二つ返事で了承した。
だけど、後悔はしてない。
だって神様は何もしなくていいみたい。
ただ人間界を眺めて、見守ってるだけでいいんだって。
こんな楽なことないよね。
仕事もしなくていいし。
面倒な人間関係に悩む必要も無い。
あぁ、神様になって良かった。
_____
神様になって何年経ったか。
100年?
もしかしたら1000年いってるかも。
神様というのは退屈だ。
何もしなくていい、じゃなくて、することが何も無い。
ゲームも、漫画も、テレビも、何も無い。
ただ人間界を眺めて、見守るだけの日々。
お腹も空かなければ、眠気もこない。
ずっと起きて、雲の下の小さな生き物を見続ける。
もう嫌だ、こんな生活やめたい。
あぁ、そうだ、かわりの神様を連れてこよう。
そうしたら、私が神様をしなくてもすむ。
誰かいないかな、誰か。
気が弱そうで、断れなさそうな人。
あ、いた。
私は人間の前に舞い降りて、こう言った。
『君に神様になってほしい』と。
神様に恋をした。
久々の完全オフの日。私はただひたすら眠ることしかできなかった。
最近注目の女優――聞こえは良い。きっとみんなはキラキラしたものを想像するだろう。でも現実はどうだ。体力仕事、キラキラなんて程遠い。昨日も遅くまでドラマの撮影があって、ようやく我が家に帰って来られたのだ。
いつも頑張っているのだ。たまの休みくらい、駄目人間をやってもいいよね?
そんな感じで、気付けばすっかり夜。だいぶぐっすりと眠ってしまっていた。晩ご飯はどうしよう。出前――いや、さすがに少しくらい外に出るか。
近所の小さな飲食店に入ってみる。初めてのお店だ。個人経営のようで、おじさんとおばさん、そして若い男の子が一人働いていた。客はいない。もしかしてもうすぐ店仕舞いだったのかもしれない。
「注文、まだ大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ」
おばさんが柔らかい笑顔で答える。良かった。温かい雰囲気のお店のようだ。
「じゃあ、この定食を一つ」
しばらくして男の子が料理を運んできてくれた。
口にしてみると、想像していたよりも遥かに美味しい料理だった。閉店間際にしてももっとお客さんがいてもいい筈だ。こんなに美味しいんだから!
箸がすごい早さで進む。あっという間に完食してしまった。
そこへ、「こちらはサービスです」と、男の子がオレンジの乗ったヨーグルトを持ってきてくれた。
「え、いいの?」
「お姉さん、疲れているようなので……」
「私そんなに疲れた顔してる!?」
慌てて顔を手で覆う。でもそうだよね。ずっと根詰めて仕事してたもの。
「すみません、変なこと言って。でも、ビタミンCもカルシウムも肌にいいんですよ。お姉さん綺麗なのに疲れた顔してるのが勿体なくて」
うわー恥ずかしい! そんなセリフよく言えるなぁ。この子俳優に向いているんじゃない?
でもそんなこと考えてサービスしてくれるなんて、天使かな?
「ありがとう」遠慮なくそれを受け取り、口に運ぶ。「美味しい!」
私の言葉に男の子も嬉しそうに笑った。
それが私達の出会いだった。
再会は意外な場所で。
それはまた、オフの日のことだった。
ぼーっとテレビを見ていると、見覚えのある男の子が映った。
――って、え。今人気急上昇の新人アイドルグループ!? あの子、アイドルだったの?
画面の向こうの彼は、あの日とはまた少し違う笑顔を浮かべていた。
そんな彼が忘れられなくて、またあのお店へ行ってみたけれど、アイドルの仕事が忙しいのか、もうお店のバイトは辞めてしまったようだ。
もしかしたらいつか何かで共演できるかもしれない。でも、それがいつになるかはわからない。それならライブに行ってみるしかないと、チケットを取り、初めてライブというものにこっそり参加してみた。
ステージ上の彼は輝いていた。こちらを振り向いたその瞬間、目が合った気がした。彼は、あの時の笑顔をまた見せてくれた。
彼は天使なんかじゃない。もっと、そう、神様のような存在だ。私に幸せな気持ちを与えてくれる神様だ。
私は神様に恋をしてしまったようだ。
「お姉さん!」
帰り道、ふと呼び止められた。振り向くと彼がいた。神様が舞い降りてきたのだ。
「なんでこんなところにいるの? アイドルが出てきていいの?」
「お姉さんの姿が見えて、つい」
お店で一度会ったきりなのに、覚えていてくれたんだ。嬉しい。
「お疲れ様。ステージ素敵だったよ」それはもう神様に思ってしまうくらいには。そして惚れてしまうくらいには。
「お姉さん」
彼が私に手を差し伸べる。
「一目惚れでした。お友達からでも構わない。付き合ってください」
「えっ……えぇ……!?」
突然の告白に困惑する。
アイドルや女優にスキャンダルは御法度だ。そんなことは彼もわかっているはず。
「どうしても忘れられそうにないんです。もしスキャンダルが心配だというのなら、誰も文句が言えないくらい立派なアイドルになってみせます。だから、それからでもいいから、僕を一人の男として見てもらえませんか」
神様だと思っていた一人の男はそう言った。
彼はどうかしている。そして、私もどうかしている。
「はい……」
差し伸べられた手を握った。
『神様が舞い降りてきて、こう言った。』
神様が舞い降りてきて、こう言った。
あなたの寿命と宿命と運命を教えます
そう言って、俺がこの世に生まれようって時に、長々と一生分の話をしてくれたのは覚えているが、内容は全く覚えてない。
ドラマチックな人生だったかもしれないし、そうじゃなかったかもしれない。
忘れたって事は、そんなもんなんだろう。
それで良いんじゃないか?
神が本当にいるなんて、信じていなかった。けれど、玄関から出ると、僕の目の前にそれは居た。
「……どうも、神です」
漫画や小説に出てくるような威厳のある感じじゃなくて、コミュ障で俯いていて、なんだか親近感を持ってしまう。
「神様がどうして僕のところに?」
「それは……わたしが出来損ないであるからです」
もっと俯いて神は言う。僕が持っていた神のイメージと違いすぎて、少し拍子抜けた。
「取り敢えず、お茶飲まない? 家入りなよ」
神相手にタメで良いのか分からないけれど、僕は自然とそのように喋っていた。
「ありがとうございます……」
神は顔を上げてそう言った。そこに浮かぶ笑顔は懐かしい思いがして、僕は少し涙した。
#神様が舞い降りてきて、こう言った。
「神様ァ!3回目だぜ神様……」
拝啓神様。4月に「神様へ」で1度目、今月頭に「神様だけが知っている」を書きました。そろそろネタ切れそうですが大丈夫でしょうか。某所在住物書きは、19時着の通知画面を見た途端、目を閉じ、上を向きため息を吐いた。
「4月は神様のお告げのハナシ書いて、今月最初は御『神』木だけが知っている、ってネタにしたわ。
二番煎じだが、お告げネタもう1回出すか……」
もう1回神様ネタあるよ、とか託宣貰ったら、俺、「無理ぃっ!」てダイス振って宇宙規模の冒涜系深淵物語でも書くのかな。物書きはため息とともにいあいあし、ふんぐるいむぐるうなふであった。
――――――
片や現実ベースのネタが多い連載風アカウント、
片や完全非科学の信仰・神秘系なお題。
なかなかに水と油、混ぜるのが難しそうな組み合わせですね。こんなおはなしをご用意しました。
最近最近の都内某所、某アパートに住む人間嫌いで寂しがり屋な捻くれ者、藤森と言いますが、
この藤森のアパートには、稲荷神社に住む子狐、不思議な不思議なお餅を売り歩く御狐見習いが、週に1〜2回やってくるのでした。
「茶香炉さん、ちゃこーろさん、おはなし聞かせてくださいな」
今日もコンコン子狐が、葛のカゴ持ちホオズキの明かりを担いで、ピンポンピンポン。藤森の部屋までやってきて、インターホンを鳴らします。
部屋に入れて、少しお話をして、いつもならお餅を買ってハイおしまい、なのですが、
「茶香炉さん、いともかしこき、ハヤスサノオのミコトの子、ウカノミタマのオオカミサマの、しもべがコンコンゆるします。おはなし聞かせてくださいな」
何を察したかコンコン子狐、藤森の部屋の床に置きっ放しになっている、焙じ茶製造器もとい茶香炉の、匂いをくんくん嗅ぎまくり、クワァッ!とひと声鳴いてから、くるくるとてとて。周囲を回り始めたのです。
「くださいな、くださいな……」
子狐が人の言葉を話すのは棚に上げておくとして、
茶香炉が、話などするものか。藤森は思います。
それとも、大切に使った物に魂が宿るとかいう、「つくもがみ」か何かだろうか。藤森は考えます。
くるくるくる、くるくるくる。
何十周回ったともしれぬ子狐。突然ピタリ足を止め、その場にちょこんと座り込むと、
なんということでしょう。
『いや、付喪神は100年を経た器物に宿る精霊であって、お前に大事にされた「ワタシ」は厳密には、何だろうな……』
今回のお題どおりか別の物の怪か、ともかく「何か」が茶香炉に「舞い降りて」きて、藤森の声と抑揚で、真面目に堅苦しく話し始めたではありませんか!
「おまえ、だれだ?」
これには藤森もびっくり仰天。SAN値チェックのお時間です。0/1D6と思われます。
『誰って。今回のお題を知らないのか。お前が前回投稿分で売っ払おうとしていた茶香炉だ。今お前の目の前に在るだろう』
「前、なんだって?」
『にしても困るじゃないか。ワタシに今、お役御免など。12月のクリスマス近辺で後輩の手に渡る予定なのだから、それまではだな。そもそも、』
「12月、クリスマス……?」
ぺらぺらぺら、ぺらぺらぺら。
藤森の声した「何か」の話は、子狐が掛け合いで途中参加して、なんやかんやの座談会。
話のペースについていけない藤森は、ただただポカンで、開いた口が塞がらず、
ハッ、
と気が付いたら、何故か早朝のベッドの上。
夢オチだったのでしょう。あるいは微粒子レベル程度は可能性が残されているのでしょう。
ともかく茶香炉は以降ウンともスンとも言わず、いつもどおり、完全にただの茶香炉であったのでした。
おしまい、おしまい。
神様が舞い降りてきて、こう言った
無言で見つめてるだけで
何も言うことはない
自覚があろうがなかろうが
何を言おうが言うまいが伝わらない
伝わるとしたら
自覚が出来ることに限られる
言葉に出来るか出来ないか
そんなことはさほど問題ではない
それが気がつくこと
気がついてから
それは言葉に出来るようになる
言葉だけでは辿り着けない
どんなに語ろうとも
何かが抜け落ちていて
腑に落ちない
言葉で伝えれることには
常に限界が存在する
言葉とは形であり
言葉とは入れ物だから
言葉だけでは不可能
言葉に込められた
その何かに
言葉は彩られている
神様が何かを言おうとするなら
それはその人に伝わるもの
啓示とは言葉そのものではないと思う
もしも神様が目の前に
舞い降りてきたならば
私は溢れ出る思いを
言葉にするのも忘れ
あなたの深い愛に抱かれて
赤子のように眠るでしょう
『神様が舞い降りてきて、こう言った』
私には天使と悪魔が憑いている。
私が決断しようとするたびに、両サイドから好き勝手囁いてくる。
{コッチの方がイイヨ
いやいや、アッチでしょ}
あまりにも長くあまりにもしつこいので、ある日とうとうキレ散らかした。
すると何処からともなく神様が現れこう言った。
"アナタたちがそんなにかまわなくても"
"その人間はもうすぐ死ぬから"
それを聞いた瞬間、あんなにベッタリだった天使と悪魔が、あっさりといなくなった。
心の底から安堵した。
「ああ、これで心置きなく好きなように死ねる。」
―――シボウ理由
#24【神様が舞い降りてきて、こう言った】
ふと目を覚ますと、とても豪華なベットの上にいた。
体を起き上がらせて周りを見た。
僕は病院のベットにいたはずだ。でも、ここは知らない場所....嗚呼、死んだのか。やっと死ねた。
病気になってから自殺をしなくてすんだため、ずっと前から死を待っていた。
其れが今日だったようだ。
「お!目覚ましたか」
突然僕の目の前に人が現れた。
「貴方は誰なの?というかここは何処?」
「俺は中原文也、人間界だと神という存在だな」
「ふ〜ん」
「驚かないんだな。普通の奴は全員驚くんだかな」
自称神様の文也はペラペラと人の顔も伺うこともせず、喋っていた。
「其れで?神様が僕に何の用?」
「いや、唯気に入ったから連れてきただけだが?」
「そんな事していいの?」
「まぁ、俺は神だからな」
自信満々に言われた。
すると、ドアがいきなり空いた。
「文也様!何していらっしゃるんですか!?」
「おー!この人間気に入ったから連れてきただけだぜ」
「まぁ、いいですよ。僕はこれで失礼します」
急に入ってきた人は直ぐに部屋からいなくなった。
「そういや、お前の名前は?」
「津島治、18歳」
「治、お前も今日から神だからな?」
「はぁ?嫌だよ」
「若しならないなら、俺の補佐な」
「ずる、でも君なんかの補佐は嫌だからなるよ」
「よし!偉い偉い」
頭を撫でられた。
「子供扱いしないでくれない?」
「俺22歳だが?そしてお前は18歳子供だ」
「神様のくせに若くない?」
「最近なった」
突然目の前に現れた神様は僕に神になれと強制した。
だが、前の生活に比べたら此方のほうが幾分かマシかもしれない。
# 76