飛花

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神が本当にいるなんて、信じていなかった。けれど、玄関から出ると、僕の目の前にそれは居た。
「……どうも、神です」
漫画や小説に出てくるような威厳のある感じじゃなくて、コミュ障で俯いていて、なんだか親近感を持ってしまう。
「神様がどうして僕のところに?」
「それは……わたしが出来損ないであるからです」
もっと俯いて神は言う。僕が持っていた神のイメージと違いすぎて、少し拍子抜けた。
「取り敢えず、お茶飲まない? 家入りなよ」
神相手にタメで良いのか分からないけれど、僕は自然とそのように喋っていた。
「ありがとうございます……」
神は顔を上げてそう言った。そこに浮かぶ笑顔は懐かしい思いがして、僕は少し涙した。




#神様が舞い降りてきて、こう言った。

7/27/2023, 3:26:08 PM