屋烏

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#3 神様が舞い降りてきて、こう言った


神様が舞い降りてきて、こう言った。

『君に神様になってほしい』と。

昔から断れない性格の私は、二つ返事で了承した。

だけど、後悔はしてない。

だって神様は何もしなくていいみたい。

ただ人間界を眺めて、見守ってるだけでいいんだって。

こんな楽なことないよね。

仕事もしなくていいし。

面倒な人間関係に悩む必要も無い。

あぁ、神様になって良かった。

_____

神様になって何年経ったか。

100年?

もしかしたら1000年いってるかも。

神様というのは退屈だ。

何もしなくていい、じゃなくて、することが何も無い。

ゲームも、漫画も、テレビも、何も無い。

ただ人間界を眺めて、見守るだけの日々。

お腹も空かなければ、眠気もこない。

ずっと起きて、雲の下の小さな生き物を見続ける。

もう嫌だ、こんな生活やめたい。

あぁ、そうだ、かわりの神様を連れてこよう。

そうしたら、私が神様をしなくてもすむ。

誰かいないかな、誰か。

気が弱そうで、断れなさそうな人。

あ、いた。

私は人間の前に舞い降りて、こう言った。

『君に神様になってほしい』と。

7/27/2023, 3:33:13 PM