病室』の作文集

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病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

8/2/2023, 2:09:58 PM

【病室】

私は先天性の障害があったので乳児の時にも入院していたらしいが記憶がないので、私にとっての初めての入院は切迫早産の時だった。初めてのお産、初めての入院…安静を言い渡され24時間の点滴生活は私の心を蝕んだ。
ベッドで天井を見ていると天井の模様というかシミというか、それらが虫に見えてきて形を変えて動いてるようにさえ見えた。心細くて不安だったのだろう。
それだけではなく肌掛け布団のカバーに小さな虫がいる、と実家の母が来たとき私は訴えた。私としては本当に見えたので「ほら、ここにいるでしょ!」と言ったが、母には見えなかったらしく、困った顔で私を見た。本当にいたと思うのだが、見えたのは私だけだったのかもしれない。
入院生活は3ヶ月を越えた。産婦人科でこんなに長く入院する人は少なかったので病棟の主になっていた。出産後もすぐには退院できなかった。他の赤ちゃんは1週間で退院していくのに私が発熱したため子どもと2週間いたため、新生児室では頭ひとつ大きくなった我が子がいた。
病室は独特なところだ。重苦しい空気、いろんな病状の人がいるので話す言葉も選ばなくてはならない。そしてなんとも言えない孤独感。頭は暇だから悪いことしか浮かばない。病室でポジティブにいられる人がいたら尊敬に値する。毎日、見舞いに来る家族もあれば1週間に1度も来ない家族もいる。
元気でいるときは、寝ていられるなら入院したい、と思ったりしたが、やはり健康が一番だと教えてくれるのは病室だ。
その後は2度ほど1泊2日の検査入院した。検査を終えて結果を聞くまでは生きた心地はしない。今度こそは痩せて体には気をつけようと自分に言い聞かせるが、異状なし、と言われたとたん暴飲暴食をしてしまう。自分の意思の弱さを思い知る。
そう思うと、たまには病室で反省する時間を過ごすべきなのかもしれない。

8/2/2023, 2:08:10 PM

祖母が亡くなってから、もうすぐ一周忌になる


祖母はよく入院を繰り返していた

病室で一人は寂しいだろうと

毎日のようにお見舞いに行っていた

すごく喜んでくれていたのを 今も覚えている


祖母は病室で一人の時 どんなことを考えていたのだろうか

それは祖母にしか知らないのだから 私が考えても

曖昧な答えにしかならない



おばあちゃん。

私は今、将来の不安や人間関係で悩んでいます。

たまにおばあちゃんの匂いがするのは、私の気のせいなのかな?

それとも、近くで私を見守ってくれてるの?

おばあちゃんが亡くなってから、相談する相手がいなくなりました。

それでも私は1人で頑張ってるよ。

おばあちゃんが亡くなる前から薄々気づいてたんだけど、私パニック障害だったんだ。

いつか話すつもりだったんだけど、もう話せる人いないよ。

前より症状が治って、もう少しで完治しそう。

今まで1人で頑張って来たんだよ。

褒めてよ。

おばあちゃんが亡くなる前は、毎日現実逃避していたけど、もうそれもやめて、真剣に将来のことを考えるようになりました。

やりたいこと、見つけたよ。

だから今はその夢に向かって、必死に生きてるよ。

過去の後悔はあるけど、また会いたいって思うけど、私がそっちに行った時は、また名前呼んで抱きしめてよね。

その日まで人生楽しんでやるからな!

8/2/2023, 2:07:26 PM

夜は怖いけど、ままがいてくれて安心したな
同じ部屋だったおばあちゃん2人も優しかった
“病室”

8/2/2023, 2:05:17 PM

🍀病室

聴こえてくるはずだった、
その声は永遠に聴くことは出来なかった。

多床室の病室で、私は泣けなかった。あの子も泣けなかった。泣くことができなかった。どの感情も出せなかった。

唖然とした。

ただ淡々と医師が告げる、

「8月2日午後22時57分、ご臨終です。」

あの子はこの世界にたった数分しか生きられなかった。


共に生きたかった。
共に過ごしたかった。
共に笑いあって泣きあって喜びあって
共に色んな感情を共有したかった。


私はこれからもあの子の数分の生きた証を守って生きていく。

8/2/2023, 1:59:59 PM

白いこの部屋に無機質な電子音と呼吸器の音だけが響いている。規則正しい呼吸が、やまない電子音があなたが生きていることを証明していた。

 ただそれだけが。

 もうどれだけの時間が経ったのだろう。もういつからあなたの声を聞けていないのだろう。
 早く起きてほしいと願うばかりで、何も進まない日常に慣れてしまっていたことがとても悲しくて。

 夏になったら風鈴を買おうと話していたのが、その何気ない会話自体が、あなたの遺言になるかもしれないなんてそんなこと思いたくもない。それなのに。

 手元にあるのは、『尊厳死への同意書』という極楽浄土の蜘蛛すら見捨てた地獄との契約書。

 あなたが何をしたというのか。ただ生きていただけのあなたが、困った人に悩むことなく手を差し伸べられていたあなたこそが仏のような人だったじゃないか。

 ねぇ起きて。こんな紙書きたくないんだよ。まだまだ行きたい場所だって、話したいことだってある。
 風鈴、選んでないよ。青が好きなあなただからきれいな風鈴買いたいって思っていろいろ調べたのにさ。

 涙が一つ、あなたの手に落ちた。
 その瞬間、あなたに強く手を握られた気がして顔を上げれば。

 今更「おはよう」なんて笑いやがって。

19.『病室』

8/2/2023, 1:59:50 PM

目覚めたら病室にいた。白いシーツに白い掛け布団、白い枕、白い壁。色といえば自分の体に通された薄水色の病衣だけ。当たりを見回してわかったが、何故かこの部屋には窓がなかった。ドアがあるので閉鎖している訳では無いが、何故かとても息苦しかった。自分の体には機械が繋がれていた。その機械は大層なもので自分へと続く管がとても太く、これがどのような意味をなしているのか、またこれから成すのか、全く検討もつかなかった。自分はなにかの事故にあったのだろうか。記憶を振り返ろうとはするが何も思い出せない。思い出そうとすると頭に靄がかかり思考が著しく鈍くなる。それでも、ゆっくり、無理をしてでも思い出そうと努力する。すると靄が黒ずみ初めて、意識を覆ってきた。驚いて思い出すのをやめた。今記憶を振り返るのはよくないのかもしれない。大きく深呼吸し、体を伸ばしてみた。特に異変は感じられない。骨や内臓をおかしくしたわけでは無さそうだ。頭に何か障害が?それともウイルス感染?様々なことに頭をめぐらせていると鍵が開く音がなりドアが空いた。女性の看護士が入ってきた。その看護士はとても背が高く、髪を一つにまとめていた。顔は無表情で、背が高い以外に特徴がなく機械のように見えた。
「こんばんは」 看護士が言った
こんばんは、と返した。夜だったのか。
「突然の事でとても混乱していると思われます。あなたの病気について説明させていただきます。」
頷き、話の続きを待った。
「申し遅れました。私は絵柄志(えがらし)といいます。これから病気の説明を行いますが、罹病への経緯そして病気そのものへの説明、その他の質問について全てをお答えすることは出来ません」
なんだそれは。思考が一瞬停止した。
「その理由を聞くことはできますか」僕は尋ねた。
「はい。それはあなたの患った病そのものが原因です。あなたが患った病は記憶に関するもので、『あること』が頭に思い上がると症状が現れます。その症状はとても深刻なもので普通の生活を送ることが出来なくなる損害をあなたに与えます。発症を避けるため、あなたの質問に答えることができないことがあります。あなたは情報を遮断されている状況にあります」
様々な違和感に納得がいった。窓がなかったりする理由はそこにあるのだろう。その『あること』思い出したらどうなるのだろう。その症状について質問しようとしたが具体的な説明がされない以上答えられない質問だと察した。
「既にお気づきだと思いますが、あなたの記憶は消されています。それは『あること』を思い起こさないためになされた処置で、御家族の同意の元行われました。」
覚えていない家族に憤りを感じたが、彼らの立場になりやるせなくなった。
「以上で説明は終了です。なにか質問ございますか。答えられる範囲でお答えします」
自分は恐る恐る聞いた。
「治る見込みはありますか」
「今のところ不明です。」
黙るしかなかった。しばらく黙っていた。
「何かございましたらこちらから伺います。それでは失礼します」
無機質に絵柄志さんは病室を去っていった。

1人になって様々な考えが頭を交差した。
発症したら自分は死ぬのだろうか?『あること』ってなに?自分自身でその『あること』にたどり着いてしまったら?じゃあ考えるということ自体がタブー?
これからどうすればいい?
自分は自分の置かれた状況に絶望した。

8/2/2023, 1:58:14 PM

自由とは、いまよりも大きな
「不自由の檻」に入ることだと思う。

今まで出来なかったことが
出来るようになった。
でも、それが増えすぎたり、
庭が広すぎると、
何をしていいかわからなくなる。
或いは、出来てたことがやりづらくなる。

8/2/2023, 1:54:54 PM

病室




手術が終わり、入院1日目の夜。
気分が悪くなり、目が覚めてしまった。暗い病室の天井。
病院の夜は少し怖い。段々天井の模様が、得体の知れないモノに見えてきた気がする。
何も考えないようにしていると、手術痕に痛みが走る。
どうすることもできないので、強く目を瞑って寝ようとした時だ――
誰かに足を引っ張られた。下に向かって引っ張られるかのように。
怖くて目が開けられなかったし、確認をしたくもなかった。
ずりずりと下に引っ張られる感覚。でも、ベットから落ちる感じはない。
だが、ずっと引っ張られている。ずりずり、ずりずり、ずりずりと。
薄目を開けようと思ったが、やっぱり怖い。見たくないものを見る羽目になるのは嫌だ。
助けを呼ぼうと思っても、体が言うこと聞かない。――金縛りだ。
このまま、朝を来るのを待とうと思っていたが、ふとあることに気がついた。

「あ、ここの病院、初めて入院するから案内してほしいかも。お願いできますか……?」

小声でそう言った。すると、足が軽くなり、体も軽くなった。
少し周囲に警戒しながら、ゆっくりと上半身を起こした。

「……案内するのは嫌なのね」

思わず苦笑してしまった。あんだけ、アピールがあったのに。

「しばらく、入院が続くと思うけど、よろしくお願いします」

また小声で言った。次の日以降、金縛りも足を引っ張られることもなかった――
認めてくれたのだろうか?それとも――

8/2/2023, 1:49:24 PM

病室


はぁ、とついたため息が静かすぎる空間に響く。
汚れなんて知らないような白さに囲まれて、少しだけ消毒の匂いがした。
ホームシックのような寂しさと取り残されたような恐怖感。
もう何年もいるような気がするのに、まるで昨日来たかのように頭の中が霞がかっていて。
あれ、待って。なんでここにいるんだっけ。

8/2/2023, 1:47:45 PM

『病室』
病室の窓から見える景色はいつもつまらなかった。
でも、私はいつも外の景色を見ていた。

友達は毎日病室に来る。頼んでもないのに。
毎日花を持って来る。

8/2/2023, 1:47:07 PM

目が覚めたらそこは、病室だった。
青白い蛍光灯が僕の脳を刺激する。
「やっと起きた、」
泣き晴らしたのだろう、目が赤く蚊に刺されてしまったように膨らんでいる。
ぎゅっっと骨が軋んでしまうぐらいの力で僕の左手をにぎってくる彼女は高く結んだポニーテールを揺らしながら僕の目を見つめる。
「本当に良かった、よかった、、」
安堵の声を漏らし、嗚咽する。
当の僕はなぜ病室にいるのかわからずこんなにも自分を心配してているくせにブラックコーヒーを飲んだ時のような表情を浮かべてしまう。本当に申し訳ない。
「そっか、あのね、」
困惑、と書かれた僕の顔を見ておおよそ理由を察したのだろう、彼女は続ける。
「ヒロくんは交通事故に遭ったの。信号無視のトラックとぶつかっちゃった。一時期は危なかったんだよ」
そうか。僕は不慮の事故で意識を、、
「よかった、戻ってきてくれて」
また涙ぐむ彼女はポニーテールがよく似合っていて、目が二重でくりくりしている。かわいい。くりくりした目を見つめているとなんだか水晶みたいで、吸い込まれそうだった。吸い込まれそうになっていると一つの疑問が生まれた。




この女の子は、




一体誰なのだろう。と。


なぜ僕の名前を知っている。
ほんとうに、ほんとうに誰なのだろう。
女の子経験はゼロなはずなのに。
事故のせいで記憶が飛んでいる?
僕は頭をかきまわしてみる。
記憶はきちんと処理されている。名前も性別も出身もすべて。
今度は記憶を辿りながら僕は考えを巡らせる。回想する。
ミックスジュースみたいにかき混ぜる。
でもそのどこにも目の前の彼女は混ざっていない。含まれていない。1%も。
ではあなたは誰なのだ。

「ねえ、ヒロくん。退院したらヒロくんの大好きな苺パフェ食べに行こうよ」
くりりとした目が僕の目とぱちり。と絡み合う。
「あ、でも韓国料理もいいなー。ヒロくん辛いのも好きだもんね。」
うーん、と彼女は考え込む。
うーん、と僕も考え込む。




僕は苺パフェと辛いものがどうしようもないぐらいに
大好きであるが、誰にもその内を明かしたことはなかった。

8/2/2023, 1:46:17 PM

『病室』

 一人、この世界に取り残されたような気分。
窓を見ると、街の人々はロボットのように働いている。
夜になると、カーテンを閉めるために看護婦が来る。
カーテンを閉められると、嫌な気分になる。
寂しさ、悲しさ、虚しさ。
それだけじゃない。
たまに、誰かの視線を感じる。
そんなときは、布団に潜り込む。
気づくと、寝ている。
また、朝が来て人々はロボットのように働く。
まるで、誰も自分の存在が知らないよう。
たまに、見舞い客が来る。
でも、一時間もしないうちに自分の家に帰る。
家族のいる温かい家に。
僕には、家族はいない。
みんな、どこかに行ってしまったから。
また、夜が来た。
いつもと同じように、眠る。
そして、朝になるの繰り返し。
でも、その日は違った。
見舞い客が、たくさん来た。
しかも、一時間立っても誰一人帰らなかった。
それが、何日か続いた。
その次の日。
なぜか、とても心臓が痛かった。
そのことを、看護婦に言うと看護婦の顔が、真っ青になって廊下に走っていった。
少し立つと、顔が真っ青になった医師と看護婦が来て、僕の腕に何かを刺した。
刺された途端、とても眠くなって眠りについた。
気づくと、お腹の辺が包帯で巻かれていた
ゆっくりと、周りを見るといなくなったはずの家族と医師がいた。
家族と医師はなにか話していて、僕のことには気づいていなかった。
声を出そうとしたけど、うまく声が出なかった。
だから、医師の袖に手を伸ばして袖を引っ張った。
すると、医師と家族がこっちを向いてびっくりしていた。
医師が、「おはよう。」と涙目になりながら言った。
僕もおはようと言おうとしたけど、やっぱり声が出なかった。
医師は、僕の様子を見て声が出せないとわかってくれたらしい。
医師は、また家族の方を向き何かの話をしていた。
僕は、また眠くなって寝てしまった。
僕が起きて、何日か経ったあと何があったか医師が教えてくれた。
僕は、心臓病だったらしい。
見舞い客がたくさん来たときは、余命宣告をされたからだそう。
ても、僕が心臓が痛いといったときに、すぐに手術の準備ができていたから大丈夫だったらしい。
家族は、僕の手術代を払うために働きに出ていたらしい。
僕は、それを聞いて泣いた。
だって、家族が僕を捨てたと思っていたから。
医師の話を聞いたあと、家族が来た。
僕は、泣きながら謝った。
一ヶ月後。
僕は、家族と幸せに暮らしている。 
終わり

8/2/2023, 1:45:38 PM

病室

 四十代の男は歩道橋の一番上から一番下まで、一気に転がり落ちた。
 不意に足が浮かぶ感覚、背中を押されたような感覚、それに驚いたためか体が強張ってしまい、為す術もなく硬いアスファルトに寝転がる。 
 ここ数年、怪我が耐えなかったが、これはまずいと思った。なんとか助けを呼ぼうと顔を横向きにする。薄っすらと開かれた目には、歩道橋から人影のようなものが去っていくのを捉えた。全身が黒い。ローブを着ているが足はないもの。
 あれはなんだ? そう思った所で男の意識は途絶えた。
 
 次に目が覚めたら病室だった。
 全身にコードが張り付き、口についている呼吸器が生命維持管理装置に繋がっていた。
 歩道橋から転落した男は一命を取り留めたものの、脳の炎症により意識障害、呼吸器障害が起こっていた。
 男はその状態の自分を上から眺めていた。しばし呆然としたあと、今の状況が理解できて顔を青くした。死の瀬戸際に立っていると頬に手を添えた。意識がないのは魂が体から抜けているからだ。
 男は体に入ろうと何度も出入りしてみた。念じてみた。
 看護師が何度かバイタルチェックをして、下の世話をして、声をかけて、を繰り返す。
 誰も浮いている男の事に気づかない。
 途方にくれた男は泣きそうに顔を歪める。するとカーテンが開いた。看護師が入ってくるのと同時に入ってきた者を見て、男は悲鳴をあげる。
 真っ黒い全身に青白い顔をした者がスィっと入ってくると、傍にあった椅子に座り、じっと男の顔を眺める。
 間違いない。あの夜、歩道橋でみたモノだ。死神だったのかと男は急いでカーテンの向こう側に隠れた。そこは集中治療室で看護師が大勢行き来している。もちろん、カーテンからそっと中を伺う男に気づいていない。
 看護師がいなくなると死神はブツブツと呪いの言葉を放つ。
 なんでいきてる。はやくしね。はやくしね、しねしね、と。
 恐ろしい声色に男は絶望を覚えた。
 死神は毎日毎日、同じ時間にくる。朝早くと夕方から面談終了時間まで。看護師がいなくなると呪いの言葉を放つ。
 何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も。
 恐怖によって男は憔悴していった。
 このままだと死神に連れていかれてしまう。嫌だ、と男は手で顔を覆って泣いた。諦めかけた男の記憶に愛する女性が浮かぶ。そうだ。妻を残して死ねない。このまま何もしないよりは。
 男は死神を追い払おうと意を決した。
 時間になり死神がやってきた。男はベッドの傍に座っている死神の前に立つと、指差しながら、あっちにいけ。絶対に死なない。とあらん限りの言葉を放つ。
 こちらに関心をみせない死神に、手応えのなさを感じ涙を流した男は、ぎゅと目をつぶり、目を開けた。視界が揺らめく。座っている黒いワンピースをきた者に向かって、掠れた声をあげた。
「ぜったいに、しぬもんか」
 死神がガタンと立ち上がる。そのままカーテンを開けて去っていった。
 やった。と安堵する男の元に看護師と医者が慌ててやってきた。意識を取り戻した。と声を上げてている。
 男はゆっくりと周囲をみる。
 生き返る事ができた。と涙を流した。
 ずっと奥さんが付き添っていましたよ。と看護師が言う。来ていましたか。と男は嬉しそうに頷く。あ、来ましたよ。と看護師が妻に挨拶をする。
 妻を見て、男は背筋が凍った。
 妻は長い髪をおろし、服は真っ黒いワンピース、黒いストッキングを履いている。青白い顔は若干引きつっていた。 
「良かった、あなた」
 妻の声で男の耳にある言葉が思い出される。 
 死神の呪いの声だ。
 その瞬間、男は全てを悟った。

8/2/2023, 1:44:18 PM

『病室』

去年、入院していたときに書いた詩を紹介します。
読んでいただけたら、幸いです。


   『病室』

目が覚めた 白い天井がやけに近い
ああ そうか 病室だ
楽しい夢を見ていた気がする

とても楽しい夢だったのだろう
薄暗い天井と点滴に
涙が流れた

いったい今は何時だろうか
あの楽しい夢は夢だったのか
この涙はなんだろう

とりとめのない思考は
ただぼんやりと流れていく

白い天井がやけに近いなぁ
もう少し眠ろう
そして また あの夢を見よう

8/2/2023, 1:43:30 PM

僕はいつも独白と謝罪と願望ばかりを綴っている。

僕のそんなものは誰も望んでいないのに、僕の言葉は意味をもって誰かに理解される。人だけは嫌なんだ。神様も悪魔も全部許せる。でも人だけは許せない。理解は鎖。その中に僕を閉じこめる。

本当の監獄というのは理解されること。理解は人間が操るもの。

8/2/2023, 1:39:50 PM

彼氏に振られた理由が彼氏の友達の悪口をいいすぎたウザすぎて病院送りにしたい。
でも今までのストレスと我慢していた気持ちが一瞬で無くなった。降ってくれてありがとう。
次の彼氏は心の広い年上彼氏にします。

今までのクズ彼氏ありがと!!

もっと完璧な彼氏を作って幸せになるよ!!

8/2/2023, 1:39:14 PM

君には言えないけど、お見舞いに行ったあの夏のうち、ほんの一時間だけが僕にとっては大切だったんだ。「じゃ、元気でね」


♢病室

8/2/2023, 1:38:48 PM

目が覚めると、白い天井が見えた。

「……翼!!」

『…父、さん?……こ、ここは?』

「…落ち着いて聞け。ここは病院でお前は運ばれたんだ」

『…病院?な、なんで…』

「お前は幻想病という病気なんだ…。死に際に天使が見えるらしい」

『幻想病……』

『その病気って…治るの?』

「…………生きられてもあと…1ヶ月…らしいんだ」

『………だよ』

『なんでだよ!!!!!』

「翼!!落ち着くんだ!!!」

『僕は病気なんかじゃ無い!!こんなの何かの間違いだ!!』

「翼!話を聞いてくれ!!」

「お前の為なんだ!!!!!!!」

「お願いだから落ち着いてくれ!!」

『はぁ…はぁ……うぅ………』

『僕の為なら…病気じゃ無いって否定してくれよ…』


ー病室ー

8/2/2023, 1:37:07 PM

桜をこの場所で見るのは何度目だろう。
昔はあんなに春が来たと喜んだのに、今は春が来たと感じるのは苦しい。それは私に残された時間がまた減ったと告げているから。
「どうして私だったんだろう」
そんな問いをいくら投げかけたところで時間は答えてはくれない。ため息をつきまた窓の外に目をやれば、さっきまで咲き誇っていた桜は風にあおられ空に舞っていた。
その儚く散っていく様はまるで自分のように思えた。

8/2/2023, 1:35:33 PM

『僕(ぼく)』

いつまでたっても慣れない部屋。
ほのかに香る薬品の匂い。
月夜が照らすのは自分ではなく、病室にあるうつし鏡。

いつからだろう。
私は政府の投薬実験に使われるようになった。
最初こそ拒んだけれど、どんどんどんどんと拒むのを諦めるようになってしまった。
黄色い薬。青い薬。赤い薬。
薬を飲む度に喉をぎゅっと締められるような感覚に陥る。
ただ苦しくて、辛くて、逃げ出したくて。

なんども逃走を試みた。
でも、だめだった。失敗するどころか、飲む薬の量を増やされた。
もう、死んでしまいたかった。

でも、そんな時に現れたんだ。

病室の中にあるたった一つの写し鏡。
ある満月の夜に鏡を見たら、映ってたんだ。

私ではない、誰かが。

驚き、困惑、怒り?
誰かからは感情を感じとれなかった。
だから、試しに話しかけてみたんだ。

「ねぇ、君は誰なの?」

そうしたら

「僕は君だよ」

って。確かに、私の声で柔らかく伝えてきた。
目が虚ろで、血相も悪く私だと名乗る''僕''?
正直寒気のようなものがするかと思いきや、
案外優しいサッとした風が私の心に心地よくあたった。

私の中には何故か落ち着いた気持ちが生まれていた。

それからの日々は早かった。
二人、話すこともないというのにつまらない話しを延々と続け、
たまには二人でふざけあい、たまには二人で愛し合った。

楽しかった。

飲む薬の量はずっと増え続けていたけれど、
薬を飲む度に、君の声が、姿が、鮮明に映ってきて、
私はもっともっとと薬を求めるようになった。
それを見た研究者達はいまま以上に気持ち悪がり、私を犬のように扱い始めた。

薬を床にばらまき、首輪にリード、服は何かをつなぎあわせたもの。

それでも私は欲しがった。嬉しがった。

ただ薬を求めて求めて求めて求めて

ある日、いつもと色の違う色の薬を床に一粒、置かれた。
もはや人の言葉も話せぬ私は「くぅん?」と不思議そうな顔をした。

「それを飲め。飲めばお前は解放される」

解放される?

嫌だ。私はもっとあの子と、自分と、''僕''と会いたいの!

「グルルルルゥ…ガウガウッ!!」

私は研究者達を威嚇したが、抵抗もむなしく、無理やりごっくんと薬を飲まされた。

瞬間、目の前が白い光に包まれた。
直感で私は死ぬのだと悟った。

死ぬ?…嫌だ!!嫌だ嫌だ!

私はもっと生きて、もっと薬を飲んで、もっと僕に会うの!!

ただ周りを取り巻く明るい光が鬱陶しくて私は叫び続けた。

「''僕''に会わせてよ!!」

ーーその頃の病室。

「今回も失敗か」
「あぁ。やはり、この病室で実験するのはダメみたいだ」
「なんで毎回この病室の被験者達は狂うんだろうな」
「さてな。まぁ、次来るやつは失敗しないだろ」
「被験者の命軽いなwまぁでも、全員被験者兼''患者''だからな」
「''鏡犬病(きょうけんびょう)''ねぇ…鏡をみたら犬みたいに退化する病気か…」
「まだ治し片見つかってねぇから実験か…酷い世の中だわ」
「でも鏡に触れなければ治るんだろ?あそこの部屋鏡なんかないよな」
「あるわけないだろ。そんなんじゃ計画が初めから転んじまってる」
「だよなぁ…あっそろそろ報告書書かなきゃ」
「コーヒーでも買って戻るか」

コツコツコツコツ……

…あぁ、''僕''の可愛いコレクション達。
今、迎えに行くからね。

…君も、いつでも迎えにいってあげられるよ。
これを読んでいる僕の新しい''君''


お題『病室』

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