病室』の作文集

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病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

8/2/2023, 1:47:45 PM

『病室』
病室の窓から見える景色はいつもつまらなかった。
でも、私はいつも外の景色を見ていた。

友達は毎日病室に来る。頼んでもないのに。
毎日花を持って来る。

8/2/2023, 1:47:07 PM

目が覚めたらそこは、病室だった。
青白い蛍光灯が僕の脳を刺激する。
「やっと起きた、」
泣き晴らしたのだろう、目が赤く蚊に刺されてしまったように膨らんでいる。
ぎゅっっと骨が軋んでしまうぐらいの力で僕の左手をにぎってくる彼女は高く結んだポニーテールを揺らしながら僕の目を見つめる。
「本当に良かった、よかった、、」
安堵の声を漏らし、嗚咽する。
当の僕はなぜ病室にいるのかわからずこんなにも自分を心配してているくせにブラックコーヒーを飲んだ時のような表情を浮かべてしまう。本当に申し訳ない。
「そっか、あのね、」
困惑、と書かれた僕の顔を見ておおよそ理由を察したのだろう、彼女は続ける。
「ヒロくんは交通事故に遭ったの。信号無視のトラックとぶつかっちゃった。一時期は危なかったんだよ」
そうか。僕は不慮の事故で意識を、、
「よかった、戻ってきてくれて」
また涙ぐむ彼女はポニーテールがよく似合っていて、目が二重でくりくりしている。かわいい。くりくりした目を見つめているとなんだか水晶みたいで、吸い込まれそうだった。吸い込まれそうになっていると一つの疑問が生まれた。




この女の子は、




一体誰なのだろう。と。


なぜ僕の名前を知っている。
ほんとうに、ほんとうに誰なのだろう。
女の子経験はゼロなはずなのに。
事故のせいで記憶が飛んでいる?
僕は頭をかきまわしてみる。
記憶はきちんと処理されている。名前も性別も出身もすべて。
今度は記憶を辿りながら僕は考えを巡らせる。回想する。
ミックスジュースみたいにかき混ぜる。
でもそのどこにも目の前の彼女は混ざっていない。含まれていない。1%も。
ではあなたは誰なのだ。

「ねえ、ヒロくん。退院したらヒロくんの大好きな苺パフェ食べに行こうよ」
くりりとした目が僕の目とぱちり。と絡み合う。
「あ、でも韓国料理もいいなー。ヒロくん辛いのも好きだもんね。」
うーん、と彼女は考え込む。
うーん、と僕も考え込む。




僕は苺パフェと辛いものがどうしようもないぐらいに
大好きであるが、誰にもその内を明かしたことはなかった。

8/2/2023, 1:46:17 PM

『病室』

 一人、この世界に取り残されたような気分。
窓を見ると、街の人々はロボットのように働いている。
夜になると、カーテンを閉めるために看護婦が来る。
カーテンを閉められると、嫌な気分になる。
寂しさ、悲しさ、虚しさ。
それだけじゃない。
たまに、誰かの視線を感じる。
そんなときは、布団に潜り込む。
気づくと、寝ている。
また、朝が来て人々はロボットのように働く。
まるで、誰も自分の存在が知らないよう。
たまに、見舞い客が来る。
でも、一時間もしないうちに自分の家に帰る。
家族のいる温かい家に。
僕には、家族はいない。
みんな、どこかに行ってしまったから。
また、夜が来た。
いつもと同じように、眠る。
そして、朝になるの繰り返し。
でも、その日は違った。
見舞い客が、たくさん来た。
しかも、一時間立っても誰一人帰らなかった。
それが、何日か続いた。
その次の日。
なぜか、とても心臓が痛かった。
そのことを、看護婦に言うと看護婦の顔が、真っ青になって廊下に走っていった。
少し立つと、顔が真っ青になった医師と看護婦が来て、僕の腕に何かを刺した。
刺された途端、とても眠くなって眠りについた。
気づくと、お腹の辺が包帯で巻かれていた
ゆっくりと、周りを見るといなくなったはずの家族と医師がいた。
家族と医師はなにか話していて、僕のことには気づいていなかった。
声を出そうとしたけど、うまく声が出なかった。
だから、医師の袖に手を伸ばして袖を引っ張った。
すると、医師と家族がこっちを向いてびっくりしていた。
医師が、「おはよう。」と涙目になりながら言った。
僕もおはようと言おうとしたけど、やっぱり声が出なかった。
医師は、僕の様子を見て声が出せないとわかってくれたらしい。
医師は、また家族の方を向き何かの話をしていた。
僕は、また眠くなって寝てしまった。
僕が起きて、何日か経ったあと何があったか医師が教えてくれた。
僕は、心臓病だったらしい。
見舞い客がたくさん来たときは、余命宣告をされたからだそう。
ても、僕が心臓が痛いといったときに、すぐに手術の準備ができていたから大丈夫だったらしい。
家族は、僕の手術代を払うために働きに出ていたらしい。
僕は、それを聞いて泣いた。
だって、家族が僕を捨てたと思っていたから。
医師の話を聞いたあと、家族が来た。
僕は、泣きながら謝った。
一ヶ月後。
僕は、家族と幸せに暮らしている。 
終わり

8/2/2023, 1:45:38 PM

病室

 四十代の男は歩道橋の一番上から一番下まで、一気に転がり落ちた。
 不意に足が浮かぶ感覚、背中を押されたような感覚、それに驚いたためか体が強張ってしまい、為す術もなく硬いアスファルトに寝転がる。 
 ここ数年、怪我が耐えなかったが、これはまずいと思った。なんとか助けを呼ぼうと顔を横向きにする。薄っすらと開かれた目には、歩道橋から人影のようなものが去っていくのを捉えた。全身が黒い。ローブを着ているが足はないもの。
 あれはなんだ? そう思った所で男の意識は途絶えた。
 
 次に目が覚めたら病室だった。
 全身にコードが張り付き、口についている呼吸器が生命維持管理装置に繋がっていた。
 歩道橋から転落した男は一命を取り留めたものの、脳の炎症により意識障害、呼吸器障害が起こっていた。
 男はその状態の自分を上から眺めていた。しばし呆然としたあと、今の状況が理解できて顔を青くした。死の瀬戸際に立っていると頬に手を添えた。意識がないのは魂が体から抜けているからだ。
 男は体に入ろうと何度も出入りしてみた。念じてみた。
 看護師が何度かバイタルチェックをして、下の世話をして、声をかけて、を繰り返す。
 誰も浮いている男の事に気づかない。
 途方にくれた男は泣きそうに顔を歪める。するとカーテンが開いた。看護師が入ってくるのと同時に入ってきた者を見て、男は悲鳴をあげる。
 真っ黒い全身に青白い顔をした者がスィっと入ってくると、傍にあった椅子に座り、じっと男の顔を眺める。
 間違いない。あの夜、歩道橋でみたモノだ。死神だったのかと男は急いでカーテンの向こう側に隠れた。そこは集中治療室で看護師が大勢行き来している。もちろん、カーテンからそっと中を伺う男に気づいていない。
 看護師がいなくなると死神はブツブツと呪いの言葉を放つ。
 なんでいきてる。はやくしね。はやくしね、しねしね、と。
 恐ろしい声色に男は絶望を覚えた。
 死神は毎日毎日、同じ時間にくる。朝早くと夕方から面談終了時間まで。看護師がいなくなると呪いの言葉を放つ。
 何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も。
 恐怖によって男は憔悴していった。
 このままだと死神に連れていかれてしまう。嫌だ、と男は手で顔を覆って泣いた。諦めかけた男の記憶に愛する女性が浮かぶ。そうだ。妻を残して死ねない。このまま何もしないよりは。
 男は死神を追い払おうと意を決した。
 時間になり死神がやってきた。男はベッドの傍に座っている死神の前に立つと、指差しながら、あっちにいけ。絶対に死なない。とあらん限りの言葉を放つ。
 こちらに関心をみせない死神に、手応えのなさを感じ涙を流した男は、ぎゅと目をつぶり、目を開けた。視界が揺らめく。座っている黒いワンピースをきた者に向かって、掠れた声をあげた。
「ぜったいに、しぬもんか」
 死神がガタンと立ち上がる。そのままカーテンを開けて去っていった。
 やった。と安堵する男の元に看護師と医者が慌ててやってきた。意識を取り戻した。と声を上げてている。
 男はゆっくりと周囲をみる。
 生き返る事ができた。と涙を流した。
 ずっと奥さんが付き添っていましたよ。と看護師が言う。来ていましたか。と男は嬉しそうに頷く。あ、来ましたよ。と看護師が妻に挨拶をする。
 妻を見て、男は背筋が凍った。
 妻は長い髪をおろし、服は真っ黒いワンピース、黒いストッキングを履いている。青白い顔は若干引きつっていた。 
「良かった、あなた」
 妻の声で男の耳にある言葉が思い出される。 
 死神の呪いの声だ。
 その瞬間、男は全てを悟った。

8/2/2023, 1:44:18 PM

『病室』

去年、入院していたときに書いた詩を紹介します。
読んでいただけたら、幸いです。


   『病室』

目が覚めた 白い天井がやけに近い
ああ そうか 病室だ
楽しい夢を見ていた気がする

とても楽しい夢だったのだろう
薄暗い天井と点滴に
涙が流れた

いったい今は何時だろうか
あの楽しい夢は夢だったのか
この涙はなんだろう

とりとめのない思考は
ただぼんやりと流れていく

白い天井がやけに近いなぁ
もう少し眠ろう
そして また あの夢を見よう

8/2/2023, 1:43:30 PM

僕はいつも独白と謝罪と願望ばかりを綴っている。

僕のそんなものは誰も望んでいないのに、僕の言葉は意味をもって誰かに理解される。人だけは嫌なんだ。神様も悪魔も全部許せる。でも人だけは許せない。理解は鎖。その中に僕を閉じこめる。

本当の監獄というのは理解されること。理解は人間が操るもの。

8/2/2023, 1:39:50 PM

彼氏に振られた理由が彼氏の友達の悪口をいいすぎたウザすぎて病院送りにしたい。
でも今までのストレスと我慢していた気持ちが一瞬で無くなった。降ってくれてありがとう。
次の彼氏は心の広い年上彼氏にします。

今までのクズ彼氏ありがと!!

もっと完璧な彼氏を作って幸せになるよ!!

8/2/2023, 1:39:14 PM

君には言えないけど、お見舞いに行ったあの夏のうち、ほんの一時間だけが僕にとっては大切だったんだ。「じゃ、元気でね」


♢病室

8/2/2023, 1:38:48 PM

目が覚めると、白い天井が見えた。

「……翼!!」

『…父、さん?……こ、ここは?』

「…落ち着いて聞け。ここは病院でお前は運ばれたんだ」

『…病院?な、なんで…』

「お前は幻想病という病気なんだ…。死に際に天使が見えるらしい」

『幻想病……』

『その病気って…治るの?』

「…………生きられてもあと…1ヶ月…らしいんだ」

『………だよ』

『なんでだよ!!!!!』

「翼!!落ち着くんだ!!!」

『僕は病気なんかじゃ無い!!こんなの何かの間違いだ!!』

「翼!話を聞いてくれ!!」

「お前の為なんだ!!!!!!!」

「お願いだから落ち着いてくれ!!」

『はぁ…はぁ……うぅ………』

『僕の為なら…病気じゃ無いって否定してくれよ…』


ー病室ー

8/2/2023, 1:37:07 PM

桜をこの場所で見るのは何度目だろう。
昔はあんなに春が来たと喜んだのに、今は春が来たと感じるのは苦しい。それは私に残された時間がまた減ったと告げているから。
「どうして私だったんだろう」
そんな問いをいくら投げかけたところで時間は答えてはくれない。ため息をつきまた窓の外に目をやれば、さっきまで咲き誇っていた桜は風にあおられ空に舞っていた。
その儚く散っていく様はまるで自分のように思えた。

8/2/2023, 1:35:33 PM

『僕(ぼく)』

いつまでたっても慣れない部屋。
ほのかに香る薬品の匂い。
月夜が照らすのは自分ではなく、病室にあるうつし鏡。

いつからだろう。
私は政府の投薬実験に使われるようになった。
最初こそ拒んだけれど、どんどんどんどんと拒むのを諦めるようになってしまった。
黄色い薬。青い薬。赤い薬。
薬を飲む度に喉をぎゅっと締められるような感覚に陥る。
ただ苦しくて、辛くて、逃げ出したくて。

なんども逃走を試みた。
でも、だめだった。失敗するどころか、飲む薬の量を増やされた。
もう、死んでしまいたかった。

でも、そんな時に現れたんだ。

病室の中にあるたった一つの写し鏡。
ある満月の夜に鏡を見たら、映ってたんだ。

私ではない、誰かが。

驚き、困惑、怒り?
誰かからは感情を感じとれなかった。
だから、試しに話しかけてみたんだ。

「ねぇ、君は誰なの?」

そうしたら

「僕は君だよ」

って。確かに、私の声で柔らかく伝えてきた。
目が虚ろで、血相も悪く私だと名乗る''僕''?
正直寒気のようなものがするかと思いきや、
案外優しいサッとした風が私の心に心地よくあたった。

私の中には何故か落ち着いた気持ちが生まれていた。

それからの日々は早かった。
二人、話すこともないというのにつまらない話しを延々と続け、
たまには二人でふざけあい、たまには二人で愛し合った。

楽しかった。

飲む薬の量はずっと増え続けていたけれど、
薬を飲む度に、君の声が、姿が、鮮明に映ってきて、
私はもっともっとと薬を求めるようになった。
それを見た研究者達はいまま以上に気持ち悪がり、私を犬のように扱い始めた。

薬を床にばらまき、首輪にリード、服は何かをつなぎあわせたもの。

それでも私は欲しがった。嬉しがった。

ただ薬を求めて求めて求めて求めて

ある日、いつもと色の違う色の薬を床に一粒、置かれた。
もはや人の言葉も話せぬ私は「くぅん?」と不思議そうな顔をした。

「それを飲め。飲めばお前は解放される」

解放される?

嫌だ。私はもっとあの子と、自分と、''僕''と会いたいの!

「グルルルルゥ…ガウガウッ!!」

私は研究者達を威嚇したが、抵抗もむなしく、無理やりごっくんと薬を飲まされた。

瞬間、目の前が白い光に包まれた。
直感で私は死ぬのだと悟った。

死ぬ?…嫌だ!!嫌だ嫌だ!

私はもっと生きて、もっと薬を飲んで、もっと僕に会うの!!

ただ周りを取り巻く明るい光が鬱陶しくて私は叫び続けた。

「''僕''に会わせてよ!!」

ーーその頃の病室。

「今回も失敗か」
「あぁ。やはり、この病室で実験するのはダメみたいだ」
「なんで毎回この病室の被験者達は狂うんだろうな」
「さてな。まぁ、次来るやつは失敗しないだろ」
「被験者の命軽いなwまぁでも、全員被験者兼''患者''だからな」
「''鏡犬病(きょうけんびょう)''ねぇ…鏡をみたら犬みたいに退化する病気か…」
「まだ治し片見つかってねぇから実験か…酷い世の中だわ」
「でも鏡に触れなければ治るんだろ?あそこの部屋鏡なんかないよな」
「あるわけないだろ。そんなんじゃ計画が初めから転んじまってる」
「だよなぁ…あっそろそろ報告書書かなきゃ」
「コーヒーでも買って戻るか」

コツコツコツコツ……

…あぁ、''僕''の可愛いコレクション達。
今、迎えに行くからね。

…君も、いつでも迎えにいってあげられるよ。
これを読んでいる僕の新しい''君''


お題『病室』

8/2/2023, 1:33:59 PM

中学のときの友達が、自分の部屋のことを病室って言っていた。
 近所で工事中だった空き地に家が建っていて、ははあ羨ましいねえこちとらそんなものごとにはなんの関わりもないなんて僻んでいたら、ふと思い出した。
 団地住まいだった私を、家に呼んでまでして遊んでくれた友達のことだ。私には一軒家が珍しくて、家に上げてもらっただけではしゃいでいた。
 その友達は明るくて活発で、友達が多くて、優しい女の子だった。だから聞き返したものだ。
「病室って、病気を治すための場所じゃん。ここ家でしょ?」
「そう。わたしにとっては家じゃなくて病院で、この部屋は病室なんだ」
「なんでよ」
「生きるための部屋だから」
「やっぱ家じゃん」
 思い出しても当時も、厨二病だなーと思う。
 だけどよくよく思い出してみると、あの部屋には彼女の好きなものはなかった。漫画とかアニメ雑誌とか、テレビとかが。だから私が漫画やらアニメ雑誌やらを少しずつ貸していたんだとわかった。だからうちよりもお金持ちであるはずの彼女に、私から貸していたんだって。
 今頃どうしてるかな。メチャクチャバリキャリウーマンになってるかな。それでときどき、ウッホって二次元の妄想を膨らませたりしてるだろうか。
 そうだといいな。

「病室」

8/2/2023, 1:29:21 PM

青空だ。堅苦しいベッドの上から、ひどく大きな窓を通して外を見る。上の方の階だから、かなりの絶景だ。わたしが行ったことのある街並みが全て見えて、懐かしい気分になる。と同時に寂しくもなる。
もう行くことはないのだな、と。





#病室

8/2/2023, 1:27:44 PM

病室

この瞬間に慣れることはないだろう。

無表情な機械の画面に映る、真っ直ぐな線。人が亡くなったことを意味する、この線。実際にこの線を見たことがある人はどれくらいだろうか。ドラマなんかでは、奇跡的に最愛の人の死の瞬間に立ち会える。立ち会うのが幸か不幸かはべつとして、そんなに運がいい人がどれほどいようか。

どんな死因であれ、人に思われながら死ぬことは、美しい死だと僕は思う。医師がこんなことを言うのは不謹慎かもしれない。しかし、美しい死というのは、それだけ難しいことなのだ。
いつ死ぬか分からない。覚悟は出来ていても、心の準備は出来ていないかも。死と、美しい死と向き合うことは、勇気がいる。そう、運以前に僕らの心の問題でもあるのかもしれない。

だが、僕らは生にも死にも向き合わなければならない。生きるのが、死ぬのが当たり前になってたまるものか。

死の瞬間だけではない。生きている瞬間もだ。その瞬間に慣れることはないだろう。慣れてはいけないんだ。

8/2/2023, 1:26:05 PM

病室とは、病を善い方向へ向かわせるための所だ。
そう定義するなら、僕にとって病室は海であり、山であり、空である。同じように、僕の看護師は波であり、蝉であり、静寂である。
さて、僕は山に登り、空を突きぬけて海になった。
なのにどうしてだろう、快方には向かわない。

8/2/2023, 1:23:01 PM

お題:病室
『願いと祈り』

ベットで眠る私の元へ
あなたはいつも逢いに来た
私はあなたに気が付かず
言葉の一言もあげられないのに
あなたは絶えずここへ来て
ただ一言だけ告げて去る

あなたが何を残して去るのか
確認なんてできないのに
私はあなたに何を残せるのだろう

私の中の灯火が消えゆくと知ってしまった時から
あなたは何かを祈っていた
その願いを私は知らぬまま
あなたを残してゆくのでしょう

それは、私の中の灯火が消えてから知ったこと
あぁ、愛しい人
あなたの願いなど知りたくなかった
私は何も残せていないから
それは私の願いでもあるのよ
もう私の声は届かないけど
でも口は動かせるから
かつてのあなたがくれたこの願いを
次はあなたに
『どうか(私の分まで)幸せであれ』

8/2/2023, 1:20:09 PM

2日目 お題:病室

俺は昔から病弱で入院と退院を繰り返していた。今回も数日前から高熱が続き入院する事となった。なんでこんなに体が弱いのだろう。俺も友達と出掛けたりしたいのに…。今日も病院の隣にある小さな公園で遊んでいる子供達の笑い声が聞こえる。羨ましいな、と考えていると病室のドアが開いた。
「あ、起きてる。熱下がったの?体調はどう?」
彼女は幼馴染の由香だ。今回もお見舞いに来てくれたみたいだ。
「大丈夫。ついさっき熱が下がった所。」
「ほんと?よかったぁ…あ、リンゴ持ってきたの。食べる?」
「うん。ありがとね。」
彼女はカバンの中から予め切られたリンゴを取り出して俺に渡してきた。よく見れば彼女の手には少し傷がついていた。きっと不器用ながら頑張ってむいて来たのだろう。少し形が不恰好だがとても美味しかった。
「美味しい。」
「ほんと?頑張ってむいたんだ。早く退院出来ますようにって祈りながらね。」
「ありがとう。早く退院できるように頑張るね。」
それからしばらく最近起きた事などを沢山話した。病院は嫌いだけどそういう日も悪くはないなと思いながら。

8/2/2023, 1:14:19 PM

病室


入院していたときのこと


となりのベッドから

はっくしょん
はーっくしょん
ぶぇーーっくしょん

とくしゃみが聞こえて
カーテンの隙間から
おばあちゃんの入れ歯が
転がりこんできた


別の日
昼食に冷やしうどんが出された
ふーふー
息を吹きかけながら食べる
おばあちゃん


なかなか楽しい入院生活でした


おしまい

8/2/2023, 1:12:23 PM

病室
そこはいつ来ても、真っ白な部屋だった。
季節が冬だったのもあるが、天井から床に至るまで汚れと古くなって変色したところを除けば真っ白だった。
消毒液のツンとした匂い。何かの薬の匂い。
唯一明るかったのは、お見舞いの花と君の笑顔だった。
君はベッドの上で本を読んでいて、僕はリンゴの皮を剥く。紙が捲られる音とシャリシャリとリンゴの皮を剥く音が響く静かな部屋だった。
ー早く元気になって、雪遊びをしよう。
ー僕がリンゴのウサギを作れるようになるまで待って 
 いてよ!やっとまともな形にできるようになったん
 だよ!
ーそんなの待ってられないよ!いつになるかわからな
 いじゃん!
そんなくだらないことを言い合った病室。
死に限りなく近い空間で、僕らは生の約束をした。

ーちなみに、君は僕がリンゴのウサギを作れるようになる前に全回復し、僕はぶつぶつ文句を言いながら、君にせがまれて、ようやく作れるようになったウサギを作るのはまだ先の話。

8/2/2023, 1:12:22 PM

ひらひらと揺れるカーテンの音。


ちょっぴり眩しい太陽の光。



今日も私の世界が動き始めた。

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