『無色の世界』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君のいない世界は意味を持たない…
ふたり離れて世界は色を失くして…
時だけが ただ過ぎてゆき
何も変わらない
何の痛みも感じない
憂鬱で無気力な日々…
色も痛みも無い
この無痛世界…
どこまで続くのか?
色を染め相対…
逢いたい…逢いたい…
色を失くしたなら…
またふたり振り出しから
染め愛たい…
君に今何をしてますか?
…逢いたい…
#無色の世界
「事故に遭ったんだって」
ただその一言が耳に届いた瞬間、周囲から音と色が消え失せた。ひたすらオレの頭がその言葉を否定し続ける。そんなはずはない。ありえない。だって、ついさっき……本当にちょっと前に『また夜にね〜』と笑顔で話をしてたんだから。……ありえない。そんなこと。
「ジュンくん顔色が悪いね」
腕を引かれてようやくそこにおひいさんがいることに気が付いた。
「どうしたんすか?」
「……え、それはぼくのセリフ……だね?」
オレの無意識のうちに発した言葉に、珍しくもおひいさんはたじろいだ。ただ、腕を引いてオレを椅子へと導く。
「今日は合わせでの練習だし、休んでも問題ないね。……ね? 茨」
「ええ、ジュンなら直ぐに合わせられるでしょうな。……そんな状態で練習したって身になりませんし」
二人のその対応に、再び視界がぐにゃりと歪んだように感じた。さっき聞こえた言葉が肯定されたような気がしてしまうからだろう。何かの冗談だと言ってくれ。だから休むなんて以ての外だと、言ってくれ……。
「きっと後から連絡が来るだろうから……ジュンはそれを待った方が良いね」
オレにとって最後の砦だったナギ先輩までもがオレに配慮する。ああ……どうして誰も否定してくれないのだろう。視線を持ち上げて、誰かが「冗談だ」と言ってくれることに期待をする。いつもは色鮮やかな世界で煌めいている人たちが、今はモノトーンに見えた。
ただ一言がオレの世界から色を奪った。いつその色は戻ってくるのか、オレにはわからなかった。
「好きなものは何?」と尋ねられて、
すぐ「色々。」と返答するのは、
何事にも無関心で無為無能である、
というアピールですか?
#21「無色の世界」
気づいたら、色が抜けていた。
目の前のものが色を失っていた。。
周囲の風景や人の色を見い出せなかった。
全てに飽きてしまった。
何も楽しくなくなった。
退屈と凡庸が私の日常になった。
それでも私は、
正しい色を知っていた。
だから正しいふりが出来ていた。
太陽は赤、空は青、雲は白、葉は緑、栗は茶、
夜は黒、ひまわりは黄、桜は桃、ぶどうは紫、
正しく分かることができた。
色が抜けた世界に色を塗れた。
それで十分だと思っていた。
ふと気づいたら、
君の色が抜けていた。
色を塗ろうと思った。
君の色は何色だっけ。
肌の色は何色だっけ。瞳の色は何色だっけ。
髪の色は何色だっけ。唇の色は何色だっけ。
君の鞄は何色だっけ。君の靴は何色だっけ。
君の声は何色だっけ。君の心は何色だっけ。
君の色が分からなかった。
君に飽きを感じていた。
君に色を見い出せなかった。
それがとても悲しかった。
何が正しいのか分からなくなった。
【無色の世界】
目の前に手を伸ばす。開いて、閉じて。騒めく雑踏や点滅する信号のメロディーを、足早に通りすぎる人々を、確かめるように。
隣に座っていた学生が一瞬怪訝な顔をして立ち去っていったのを、ぼんやりと見つめた。
(あ、今日の講義忘れてた)
背後から聞こえる噴水の音をBGMに、ようやく自分が何をしなければいけないか思い出す。……確か、二限に必修単位の授業があった。一緒に昼食をとっている友人は別のコースを選択している。必然急かす相手がいない講義は、漫然と受けなければいけないものになってしまっているので。
記憶の糸を手繰り、どれくらい切羽詰まっていたかを確認する。確か、落単までにあと三回ほど余裕があった、はずだ。ならいいや、と腰を上げる動作すらせず、先ほどまで見つめていた人混み観察へ戻った。
ピッポー、ピッポー、コツコツ。今週のオリコンチャートは……。
(頑張ってるなぁ)
捻りもなにも無い感想が浮かんだ。忙しない流れはまるで川だ。留まることを知らず、わたしは一枚隔てた画面の向こうでその光景を眺めている。
──自分でも不思議な事に、昔からずっと。"ここに居る"感覚が薄かった。
スポーツで勝利した時の感動、ピアノで困難な譜面を引き切った時のよろこび。どれをとっても、自分が当事者ではない気がするのだ。わかりやすく言えば、お客さまだろうか。
別に周りに迫害されたりした事はない。そこそこ仲の良い友人も居て、地元から定期的に連絡をくれる家族だって居る。世間一般的にたいへん恵まれている方だ。
だというのに。どうしてこんなにも、靄がかっているんだろうか。
騒めく雑踏にいても、信号機のメロディーを聞いていても水中を見ている感覚になる。手を伸ばして、確かめて。現実だったかもしれないと自分に言い聞かせつつ何年も過ごしてきた。
「んー……」
今日も世界のピントが合わなかった。息を吐く。慣れた作業を終えて、リミットまで迫りつつある腕時計を一瞥して立ち上がった。今日も捗らなかったし、ならば貴重な単位を取る義務を果たそうとしたわけである。
伸びをしてさて駅に向かうか、そう思った時だ。足に小さな衝撃があった。
「おかあさん……」
鼻を啜る音が聞こえてくる。いやに音が近いが、街中ではよくある事だ。講義に向かうには西口が……。
「ん?」
がっしりと抱き付かれている感触が、自分の足にある。遅れて今気付いた。視線をそろりと下ろす。さらさらとした、痛みもない美しい髪。小さな子ども特有の、半分にも満たない低い位置にある頭を、穴が開くほど見つめる。
抱き付く、おそらく彼も。見られている事に気付いたらしい。がばりと上がった顎に、濡れて煌めく瞳からころころと滴が転がっていく。
「おかあさん、どこ?」
この雨粒はなんて美しい色なんだろう。初めてそう思った。
世界から色が失われた後、音はかつてなく鮮やかになった。
C♯の音につややかな青を、Eの音に華やかな赤を。
kの子音に涼やかな白を、uの母音に深い緑を。
そうして、そんな幻を「見せる」ために、人は歌を、演奏を、音楽を磨き上げた。
いまやその目で色を知らない子供たちは、その感覚だけを頼りに色を語る。
世界は変わらず美しかった。美しさの質は変われど。
いつか、今度は音がなくなったとき、次は何が、もっと美しくなるだろう。損なわれていく世界で、美しさはいつまで在り続けるだろう。
#無色の世界
無色の世界はどんな世界だろう。
何色にも染っていない、透明な世界だろうか。
人には個性がある。
一人一人が違う色を持っている。
まさに十人十色だ。
だからこそ、無色の世界は何も無い。
何も無いからこそ、これから"何か"をいれる。
其れによって色が付く。
無色の世界は透き通っている。
何も無い、
唯静かに、
時間が止まった様に、
変化が無い。
個性という名の色があれば、何かと変化はある。
年を追うごとに個性という名の色は変化する。
だが、変化したとしても根元は変わらない。
つまりは、色の系統としては変わりがない。
無色の世界は、廃人の世界。
廃人は、精神がやられちゃってるから。
何も考えられない。
何時か世界から色が消えたら、見えなくなったら?
其れは心が、感情が薄れていたり、壊れていたり。
自分を大切にしないとね。
何時か無色の世界を目の当たりにするだろう。
その時感じる事は何だろうな。
個性は人それぞれ。
被ることは有り得ない。
だからこそ、自分だけの、
自分に合った色を
見つけたいな。
お題〚無色の世界〛
【無色の世界】
無色の世界を赤色で彩った。
「父さん、誕生日おめでとう。」
目の前で血に濡れた人が横たわっていた、僕のせいで。僕からの誕生日プレゼントは安らかな眠りだった。今まで幸せでしたか。今まで生きてきて自分の妻に、息子に、恨みを持ったことはありましたか。
「スカート汚れちゃってるよ。」
スカートについた血を最悪だと、不満気な目で見てからつぶやく。
「こんな身なりでごめんね。」
血に濡れた顔を拭って顔に当たる水をそのまま身に受ける。兄に顔を向けると笑われた。
「新しいスカート買ってやるって。」
無色の世界
「まずそう…」
午前の授業が終わり、弁当を開くとなんとも食欲のそそらないメニューだった。彩りがないのだ。定番の日の丸に卵焼き、唐揚げ、ほうれん草と人参のサラダ、ミニトマトとデザートにオレンジゼリーまで入っている。入っているのに、だ。トマトを摘みつつ、窓の外に目をやる。うっすらと灰色掛かった快晴の空だ。雲一つ存在していない。真っ白な太陽が世界を照らしている。
その日、世界から色が消えた。
無色の世界
あの時からずっとモノクロの儘、只々虚ろな時間だけが過ぎ去っているよ。
テーマ:無色の世界 #157
僕は無色の世界に住んでいた。
生まれつき、
色というものが分からなかった。
みんな白黒に見えているらしい。
色が同じように見えている僕には、
色の名前なんてわからないけど。
だからといって不便だと感じたことはない。
たまにケチャップとマヨネーズを間違えたりするけど。
一番困ったのは学生時代、
美術の授業だった。
色の判別がわからないため、
絵を塗っていてもしっくり来なかった。
しまいにはからかわれたりもする。
「花はこんな色していない」だの、
「変な色の虫」だの……。
でも、何を言われても僕はなんとも思わなかった。
みんなには色が見えていて、僕には見えていない。
ただそれだけのことだから。
「私ね。あなたと一緒で住む世界が無色に見えるの」
働いて一年目のとき、そういった女性がいた。
あぁ、僕だけじゃないんだと思った。
「私は生まれたときは見えていたの。今思うとその当たり前が当たり前じゃなかったんだって、すごく実感しているの」
「色がある世界は今の無色の世界よりずっといい?」
僕は彼女に聞いた。
「勿論、きれいだとは思う。あなたも一度見てみたら世界が変わって見えるわ」
彼女は、働きながら大学院に通う学生だった。
色について研究しているらしく、
いつか無色の世界を変えて見せる!!
そう意気込んでいた。
彼女を見て、僕は素敵だなと思った。
自分と同じ境遇の人でも、
それに対して変化をもたらそうという
努力をしている人もいるんだなぁ、と。
彼女の研究が成功したら、
どれだけの人が救われるんだろう。
「貴方にも、見せてあげる。美しい色彩の世界を」
彼女はそう言って会社を2年で辞めていった。
彼女の研究が成功しますように。
心の中でそっと願った。
それから十数年。
彼女の研究は世界に認められていた。
十数年前、
一緒に働いていたときよりもお互い歳を取っていたが、
彼女の目は僕の無色の世界でも輝いていた。
彼女は有名になった。
でも、時折手紙をくれた。
そして何通か手紙が来たあと、
僕宛に彼女から小包が届いた。
なんだろうと開けてみると、
その中に便箋。
『貴方に美しい色彩の世界を』
短い文が書かれていた。
それは彼女の運営する会社のキャッチコピーだ。
彼女の去り際に言っていた言葉を思い出した。
そして中から一つの眼鏡が出てきた。
彼女が長い研究の末、辿り着いた答えだ。
僕はその眼鏡をかけた。
辺りがキラキラして見えた。
僕の知らない世界がそこには広がっていた。
私の心はモノクロだった
冷たく、真っ暗で色というものは言葉だけの存在だった。
でもある人にあって
冷たいもの、真っ暗なもの、は残ってはいるけど
白でも黒でもない
たくさんの色と言うものが心の中に広がって
ああこれが色ってものなんだ
あなたは私に優しさを教えてくれた
暖かさを教えてくれた
色を教えてくれた
鮮やかさを教えてくれた
あの人に出会ってから私の心は
全然違った今までの事を全て
受け止めてくれた
それが嬉しかった
それが安心した
お題[色のない世界]
No.29
無色の世界
貴方と出会っても
僕の世界は無彩色のまま
モノクロに閉じ込められて
もう二度と色付くことはない
君があまりにも綺麗に笑うから
無色の世界に色がついたんだ
無色の世界
The World with No Color
神との対話
人間なんて
本当に必要なのか?
なんてくだらない
誰にも分からないかもしれないが
俺には分かる
全てどうだっていいんだ
君には関係ないだろう
そんなことにこだわってどうしようと言うのか
全くくだらない
今にもお前を殺してやりたいが
暴力に暴力は全くの無意味だ
誰が許してくれるのか?
地獄なんてものは無いが
本当の地獄を味わっている者は多くいる
助けてあげたいが、俺には何もできない
愚かな人間たちよ
あ〜、何が現実で、何が幻想なのか
何が真実で、何が虚構なのか
許しなどあるものか
【無色の世界】
色がない世界って
ぼーっとできて良さそうに見えるけど
逆に落ち着かないと思うな
色のない世界は最初はいいけど
そこで人生を終えるまで居るなんて苦痛だと思う
人それぞれか。
この世界が1番落ち着ける場所なんだ
信じれないかもしれないけど
慣れてしまった以上、しょうがない
どんなに快適な世界であろうと
隣の芝は青いってやつだ
ここを生きよう。
――――どれだけ辛かろうと
朝一番に君にキスをして、おはようと笑いかける。
ご飯を二人で食べて、並んで洗い物をして、二人で出掛ける。
繋いだ手をプラプラ揺らして、雑貨屋や服屋で買い物して、小洒落たカフェで休憩しつつ早めのランチを食べる。
一口あげたり、もらったりと、カフェ中にバカップルぶりを見せつけちゃう。
お腹を満たしたら映画館で映画を見る、もちろん席はペアシート。
ゆったり寛ぎながら流行りのアニメ映画やら邦画をたくさん見る、けど最後は寝ちゃってて、呆れながら君が起こしてくれる。 欲を言えばココでキスしてほしい。
夕焼け色に染まる商店街を、今晩のおかずを考えながら二人並んで歩く。
君の屈託のない少年のような笑顔。
眩しくて温かい笑みに、心が疼いた。
この世界なら、この無彩色の世界なら、君と二人、自由に生きていけるのにね。
お題「無色の世界」
無色の世界
無色の世界ってどんな世界だろう?
白黒でも色はある
透明?
透明だと様々な物の形も解らない
人も動物も植物も解らない
何も無い世界
何も見えない世界
誰もいない世界
想像してもよく解らない
色を意識する事はたまにしかないけど
様々な物を認識する為には色は大切なんだと改めて思った
色を愛していた。この世界の彩を愛していた。
全てが美しくて、愛しくて、だから筆を取った。私が見たまま、思ったままを一枚の紙に、丁寧にていねいに。
自己満足のそれを誉めてくれる人がいた。心待ちにしてくれる人がいた。私の愛する色を、共に愛してくれる人がいた。
なのに。
ああ。なんで。色が見えない。あんなに愛した彩が、世界が、どうしてこの目に映らない。
愛しい人の、愛しい色彩すら。
ねえ、私、あなたの描く絵を、本当に愛していたのよ
私は私がそう気づく前からずっとそこにいて、しかし、ただ単に色がないのではつまらないので、空気そのものが深く、でもうっすらとしていて、私は自身が線であることを思い出す。そうすると一つ弦を弾いたときのようなびいいんという音で、はじめて紫外線のようなかたちになってそこに座るのです。
『無色の世界』