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無色の世界

「まずそう…」
 午前の授業が終わり、弁当を開くとなんとも食欲のそそらないメニューだった。彩りがないのだ。定番の日の丸に卵焼き、唐揚げ、ほうれん草と人参のサラダ、ミニトマトとデザートにオレンジゼリーまで入っている。入っているのに、だ。トマトを摘みつつ、窓の外に目をやる。うっすらと灰色掛かった快晴の空だ。雲一つ存在していない。真っ白な太陽が世界を照らしている。
 その日、世界から色が消えた。

4/18/2023, 2:14:25 PM