白浅凪エツ

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5/19/2026, 4:01:43 PM

【別れ】

「また明日ね!」
「うん……また明日」
 帰りの別れ道で、いつも通り彼女は挨拶をして去っていく。
 明日。
 また、明日。
 いつも通り。
 また、明日。
 3年生になり、その"いつも"の終わりが、刻一刻と近づいているのを、感じずにはいられない。
 12年続いた彼女との明日が、1年後にはなくなってしまう。
 彼女と明日を迎えるのを、こんなにも大事に思っていたなんて。
 この前の模試の結果は、比較するのも無惨なくらい、彼女には差をつけられていた。
 1年後の彼女には、知らない誰かが隣にいて、いつしか、私のことも、忘れてしまうのだろうか。
 私は無意識に、制服の袖を握りしめる。
 それだけは。
 それだけは、嫌だ。
 例え追いつけないのだとしても。
 昨日までの自分に、別れを告げるために。
 私は初めて、参考書を開いた。

5/18/2026, 1:52:15 PM

【恋物語】

「ねえ、最近ちょっと避けてる?」
 不意にそう言われて、私は息を止める。
「そ……そんなことないよ?」
「本当にそう? 最近、私のことをちゃんと見てくれてない気がするな〜」
 なんとか蚊の鳴くような声を絞り出すも、彼女の言うとおり、私は訝しむ彼女の目を直視できない。
 先週の帰り、足を滑らせた彼女を抱き止めてから、どうしようもなく、意識してしまう。
 受け止めた彼女の重みと、両手に伝わる彼女の温かみ、鼻孔をくすぐる彼女の甘い香り。
 そして、逆に私を心配して見上げたときの、彼女の瞳。
 彼女とは幼馴染で、お互いの家のお風呂へ一緒に入るくらいには、気のおけない間柄だ。
 それでも、あの時ほど近くで彼女を感じたことはなくて。
 流れ込んだ彼女の感触は、私の五感を奪うには十分過ぎた。
 以来、私の胸の奥は、彼女に支配されてしまったのだ。

5/16/2026, 4:10:37 PM

【愛さえあれば何でもできる?】

「愛さえあれば何でもできる」
 そんなありふれた綺麗事を漫然と信じられるほどの純粋さは、すでに持ち合わせていない。
 どれだけ愛があったって、実力、知識、運、才能、その他諸々の壁が、いくらでもそびえ立ち、理想を阻む。
 それでも、諦めきれないのだ。
 憧れとも呼ぶべきこの愛は、止められない。
 だからこそ思うのだ。
 愛だけあっても何かができるわけではない。
 でも、愛があるからこそ、何度でも始められる。
 例え昨日立ち止まったことだとしても、今日また始めようと思う。
 それこそ、本当の愛なのだろう

5/15/2026, 1:51:04 PM

【後悔】

 子供の頃に、ちゃんと勉強しておけばよかった。
 子供の頃に、ちゃんと運動しておけばよかった。
 子供の頃に、ちゃんと人と話しておけばよかった。
 子供の頃に、ちゃんと現実に向き合っておけばよかった。

 そんな後悔が無数に湧き出しては消えていき、そしてまた湧き出す。
 何度も。
 何度でも。

 でも、そのたびに思う。
 あの頃の自分に説教したところで、あの頃の自分はどうせ何も変えないし、何もしない。
 良くも悪くも、積み上がった今だからこそ、向き合おうと思えるのだ。
 夢が、理想が、はっきりとわかる今だからこそ、向き合おうと思えるのだ。
 だから今日も、少しずつ、小さくても少しずつ。
 1年前からやっておけばよかったと後悔した昨日を思い出しながら。
 やったうちに入らないような少しだとしても。
 1年後の自分が、少しはマシだと思えるように、この後悔を、糧として生きるのだ。
 子供の頃を、やり直すように。

5/14/2026, 11:22:04 AM

風に身を任せて生きられれば、どれだけ楽だろうか。
風に乗れなかった私は、必死に走るしかないのだ。

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