『溢れる気持ち』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『境界の灯(ともしび)』
夜の底で、ひとりの青年が立っていた。
世界は静かで、雪の気配が空中に舞っている。
足跡だけが、自分がまだ消えていないことを証明していた。
彼はふと考える。
「なぜ、人を殺してはいけないのだろうか」と。
その答えは理屈ではなく、
胸の奥にある、かすかな痛みの揺れにあった。
――もし誰かを消してしまえば、
その人の笑いの跡も、
沈黙の影も、
肩先に宿った微かな温度も、
自分の中から同時に消えてしまう。
感情は、いつも先に知っている。
「壊したものは、自分の中にも穴を開ける」と。
だから青年の胸には
誰のものともつかない“灯”がともっていた。
あたたかくて、弱くて、でも確かに息をしている灯。
それはこう囁く。
「他人の死は、あなたの内部世界の死でもある」
彼は理解した。
自分が恐れていたのは、
罰でも罪でもなく──
自分の中の“つながり”が消えてしまうことだった。
人は、人という鏡なしには
自分を保つことができない。
だからこそ、
他者の涙を奪うことは、
自分の涙の居場所を奪うことと同じなのだ。
青年は空を見上げる。
輪郭を溶かすように広がる夜空の下、
静かな吐息が白くにじむ。
その瞬間、彼は気づく。
殺してはいけない理由なんて、
難しい言葉はいらない。
ただ、
「世界と自分の薄い糸を、切りたくなかった」
それだけなのだと。
そしてまた歩き出す。
灯を胸に抱いたまま、
自分の感情が教えてくれた“正しさ”を信じて。
「溢れる気持ち」
貴方を見るとどうにもならない気持ちが込み上げてくる。
貴方に救われた時
貴方に褒められた時
貴方に認められた時
貴方に私を仲間だと、大事な人だと聞いた時
貴方に、好きだと言われた時
友人として、後輩として、仲間として
私の欲しかった好意とは違うけど
とにかく嬉しかった。
酔った貴方に言われ、他の仲間、先輩、後輩にも言っていたけれど、
言葉にできないほどの感情が
思いが、嬉しさや嫉妬や。
お酒なんか嫌いだ
それのせいでどれだけ嫌な思いをしたか
だけれど貴方の飲むお酒が好きだ
貴方といるとどうにも飲みたくなる
この溢れそうな気持ちを吐き出すには
きっとお酒しかない。
でも私は飲めない、どうしても伝えたい…
「私も大好きです」と…
気づけば溢れる気持ちが口を動かしていた。
“きらきら”して“ふわふわ”して
ずっと詰め込んでいた鞄は、いつの間にか閉まらなくなっていたのか
それとも
まだ少し寒さの残る中、暖を求めて入った館内の隅の方。
各々が好きな本を手に取り、バスの時刻まで待つ事にしたのだが
「そう言う所も好きだなぁ」
「う?うん。そうかーはいはい…」
もう何度目になるのだろう。
まるでタガが外れたのか、空気を吸うみたいに、本を片手に隣でお喋りしていた幼馴染1が、また私に告白する。
それに対して慣れ過ぎてしまった自分も自分で、ちょっと急だと間が開くものの「そうかー」でスルーしてしまうスキルを身につけてしまった。
なんだコレ。私が悪いのか…?
「いや、本当君達何なの?まだそれで付き合ってないの??」
呆れ顔で迎えに座る幼馴染2は、本に飽きたのか、いつの間にか作っていた折り紙のハートを手に持ち、ふりふりと、こちらとあちらを指してくる。
「いや、うん。断った記憶があるんですけどね…」
ちらりと目線を1に合わせれば、にこりと微笑みひとつ。
まるで、そんな事ありましたか?て言うぐらい、有無を言わせない程、好きのオーラーみたいな物が咲き乱れいた。
その上、幼馴染贔屓とかじゃなく、道を歩けば男女問わず注目を浴びてしまう眉目秀麗。
今は上着下のパーカーフードを目深に被り、マスクもして防備しているのだが、それでも隠せないものってあるのだよね。世の中って不公平。
「……まあ、どっちでも良いですけど、俺の前ではなるべく控えてくれると良いんですけどねぇ」
「ごめんね。善処してるんだけど、気付いたら口から溢れてしまうんだよ。息を吸うだけで愛しさが止まらない。神秘。もう付き合うしかないと思うんだよね」
「“善処”て意味知ってるか?」
そうこうしてる間に、バスの時刻が近付いてきた。
ヒートアップで職員に睨まれ始めた2人の首根っこを掴んで、足早に外に出る。
もう当分、あの図書館利用できないじゃん…止めてくれ…
お題 溢れる気持ち
お題変わったので、とりあえず締めます。
続き考える。多分文じゃない方で消化するかも知れない。
びーえる…?
もうなんかダメだ。
好きだなんて認めたら止められなくなった。
あれなんつーの?びーえる?とか言う女子がやたらと好きなやつ。
何回目かの出演オファーで仕方なく引き受けたやつ。
その相手のやつが思ってた以上に可愛くて。
コイツが相手役なら恋も表現しやすいかなーとかそんな始まりだったと思う。
でもやたらと人懐っこくて、でも案外重たい過去持っててそして何より仕事に一生懸命で。
今まで女としか付き合ったこと無かったけどアリかもしれないとか思ってしまったのが運の尽き。
そう思ってしまったら感情なんてたぶんダダ漏れでコイツには何でもしてやりたいって思う。
幸運な事にこのドラマと言うやつは結構絡みがあるやつで堂々とコイツと絡むことが出来る。
コイツも真摯にこのドラマに向き合ってるからどんな絡みでも笑顔で嫌がらずに演じてみせるのが救い。
それに乗じて台本にないスキンシップを取ったり情熱的に演技を超えて絡み合ったりする。
その頬に触れて首筋を辿り男にしてはしなやかなその肌に何度も何度も触れては口付けをした。
嫌がられたりしないかなんて考えなかったわけでもない。
まるで本当の恋人かのようにそれが普通かのようにすべて笑って受け入れる。
「俺が本当に男の人好きになったらどうしよう」
「この役はいいよね。こんなに君に愛されて」
そんな熱に浮かされた目でまっすぐ見つめられた時は理性が飛ぶのを必死に抑えた。
これはきっと演技上のことなんだからそんなはずはない。
咄嗟に聞き返すと慌てたように「冗談だよ」と笑って返された。
その答えに落胆したり、それでも毎日繰り返される虚構の睦言。
縮まる距離感にドラマ外での戯れのなかに甘い駆け引きがある気がしてならない。
「本当に君は男の人が好きではないの?」
堪らず聞いてしまったことがある。
「当たり前だろ」
目を逸らして素っ気なく言われてそれ以上踏み込めなくなった。
それでもいつでも隣りにいて気付けばどこか触れ合ってて姿が見えなくては探して探されて。
触れ合ってると心が満たされて誰か他の人と仲良くしてると気に食わなくて思わず嫉妬丸出しで間に入ったりした。
こんなにも周りにもきっと分かるぐらいアイツに惚れているのにその線を越えることが出来ない。
ただただ演技の上でしか触れ合えないその口付けを何度も何度も重ねて思いを乗せてこの熱を伝える。
お前が好きだよ。好きだよ。
目が合うアイツは目を見て伏せてそれをそのまま受け入れる。
それでも俺らは…。
(溢れる気持ち)
あれ…打ってる途中で7時なった。
これはどーなるの?今日の分??
【溢れる気持ち】
何もない。
書けることなんて何もない。
私のままで、俺のままで、吐き出せる言葉なんて何もない。
呼び声に応え、目を開けた。
見知らぬ社の中。最初に見たものは無心で祝詞を奏上する、見たことのない宮司だった。
その宮司には二人の子供がいた。幼い年子の姉妹。好奇心旺盛で、活発で、自分たちの姿を見ることができる稀有な子供たち。
新しく祀られた社は居心地がよかった。宮司だけでなく村の人間はすべて優しく、祝詞の分だけ応えた恵みを心から喜ぶ謙虚さも持ち合わせていた。
何より純粋に自分たちを慕う子供たちの温もりを愛おしいと感じていた。自分だけではなく、東西も同じなのだろう。陽が暮れるまで東は子供たちと遊び回り、帰宅して西の説教を受けることが、いつの間にか日常と化す程だ。
心穏やかな日々が続いていくのだと、自分を含めて誰もが思っていた。子供たちが大人の手伝いで共に麓の町へと行ったきり、帰らなかった時までは。
夕刻になっても戻る者は誰一人いなかった。残った皆が村の周囲や麓までの道も探したが、見つかることはなかった。
帰ってきたのは一晩過ぎ、陽が昇り始めてからだ。
誰もが傷つき、無言だった。何があったのか、話すことすらできない。
そこに姉妹はいなかった。
それから七日が過ぎ、麓への道の途中で姉が倒れているのを東が見つけた。
東に抱きかかえられ、村に戻った姉の姿は、先に戻ってきていた者たちよりも酷いものだった。辛うじて生きていたが、目を覚まさない。
あのまま目を覚まさなければ、東は確実に堕ちていたのだろう。それほど気配が変質しかけていた。姉の生が東を神として留めていた。
その頃になって、断片的ではあるが大人たちから話を聞けるようになっていた。
帰ろうと町を出た瞬間に、薄暗いどこかの屋敷にいたらしい。
鬼がいたと言った。人間の姿をしているが、在り方は鬼だったと。
その鬼に襲われたが、姉妹が身を挺して助けてくれたと話していた。
姉は目を覚まさず、妹の行方は分からないまま。
一月が過ぎ、二月が過ぎて。一つの季節が過ぎた時、妹を探していた西が戻らなくなった。
東は何も言わなかったが、お互いに西の異変を察していた。
感じる根本的な何かが変わっている。それに混じり伝わる悲しみと怒りに、最悪が起きたのだと理解した。
「私たちが堕ちた末路が災厄になるなど、あの時までは気づこうともしなかった。草木が枯れ、人間たちは苦しみ倒れ伏す……本当に酷いものだ。だが、私はそれよりも西の腕に抱かれた妹の姿に痛みを覚えたよ」
穏やかに夏煉《かれん》は微笑んだ。
その目に浮かぶ後悔が、何に対するものなのか。冬玄《かずとら》には分からない。ただ一人だけを案じてしまったことか。それとも、大切な者を守れなかったことなのか。
分かる必要もないと、冬玄は表情一つ変えず、無言で夏煉の話の続きを待つ。
彼にとって大切なのは、燈里《あかり》ただ一人だけだった。
「昔話が長くなってしまったな」
そんな冬玄の姿に夏煉は苦笑し、静かに息を吐く。過去に浸る思考を切り替え、冬玄の目を見据え告げた。
「西は堕ち、災厄を振りまく形に変わった。宮司は西を封じ込めるため追儺の形で、儀を執り行った」
「その方相氏として名乗り出たのが姉か。残りの三人は何だ?」
「あぁ、知ってたのか」
夏煉は僅かに目を見張り、しかしすぐにそれは穏やかな笑みに変わる。小正月に送り出した燈里が連れ帰ってきた睦月《むつき》という少女は過去や未来を夢で見ると、話しに聞いていた。
「あの子供たちは巻き込まれ、姉妹に助けられた子だよ。目覚めたばかりで歩くのも覚束ないというのに、一人で事を成そうとしている姉を言い含めたんだ」
「止めなかったのか?」
「もちろん私も東も止めたさ。だが止められなかった。だから私たちも巻き込まれることにした」
冬玄の気配がほんの僅か鋭くなった。影が揺れるのを一瞥し、夏煉は冬玄の目を見据えて告げる。
「東が西を繋ぎとめる鎖になり、子供たちが四方を囲い封じ込めた。そして私は西を戻すための方法を調べるためにここにいる。あれを戻さなければ、子供たちはずっと解放されることはないからな」
暗に害にはならないと伝えるものの、冬玄の警戒が緩む様子はない。かつての共に在った時とはまるで異なる彼の姿に、夏煉は驚きと共にその変化をどこか嬉しく思った。
ふふ、と堪えきれず笑みを溢し、次の瞬間には真摯に冬玄に向き直る。表情を改めて夏煉は低く告げた。
「子供たちに危害を加えない限り、私は北と敵対するつもりはない。子供たちも西ではないと気づいたのだから関わることもないだろう……だが西は分からない。あれがまだ意思を持っているのかさえ、封じる前から判断できなかった」
「今になって外に出た理由は何だ?」
冬玄の問いに、夏煉は机の上に置かれたファイルを手に取った。
付箋がされているページをめくる。そこには、とある地域の開発事業の計画書が記されていた。
「最近、山が切り開かれてな。子供たちが立てた柊が崩れてしまったんだ。どこにいるのか、子供たちが探しているが、まだ見つからないようだ」
冬玄に向けて開かれたページには、大きな公園の写真がいくつか載っている。無人のブランコの写真を一瞥して、冬玄は何も言わずに踵を返した。
だが扉の前で立ち止まり、振り返ることなく静かに問いかける。
「西にとって……お前たちにとって、その宮司の姉妹はどんな存在だ?」
問われて夏煉は虚を突かれたように目を瞬いた。次いで柔らかく微笑み、窓の外へと視線を向ける。
「そうだな。北にとっての宮代が、私にとっての子供たちだった。敢えて聞きはしなかったが、東も西も同じだっただろう……特に、西は口や態度には出さないだけで、一等二人を大切にしていたよ」
自身の在り方すら歪ませるほどに、姉妹を想っていた。
失ったことを悲しみ、自身の無力さを嘆き、そして奪った相手を激しく憎んだ。
その溢れ出した気持ちが厄となり、全てを苦しませてしまうほど、西は姉妹を愛していたのだろう。
「西と同じ末路は辿ってくれるなよ、北。私は宮代のことも大切なんだ」
「言われずとも分かっている。燈里の手を離すつもりはない。手を離す時が来たとしても、無理に繋ぎ留めることもない……燈里を泣かせるつもりはないからな」
扉を開け、挨拶もなく冬玄は部屋を出ていく。
一人残った夏煉は、ファイルを仕舞いながら淡く微笑んだ。
「言葉にしたからには守ってくれ」
どうか、と呟く言葉は祈りのようだ。
かつて愛した子供たちの姿を浮かべながら、夏煉はそっと目を伏せた。
20260205 『溢れる気持ち』
いつだって触れていたいし
いつだって見つめていたい
この気持ちは留まることを知らず
泉のように溢れ出てくる
あなたを好きになるまで
こんな気持ち知らなかった
いつだってぎゅーっと抱きしめてほしい
その唇に触れてほしい
私にこんな邪な気持ちがあるなんて
知らなかった
2/5『溢れる気持ち』
「溢れる気持ち」
深海よりも深い場所から
あらゆるものを潰すほどの水圧を超えて
君への想いは溢れ出す
溢れんばかりの独占欲を晒さないように、
貴方への想いを吐き出さないように、
今日も仮面を被って取り繕う。
…いつか本音を云えたなら……。
あの人のことを想うだけで『溢れる気持ち』を透明なグラスにこぼして、待つこと小一時間。
一見ただの透明な液体でしかなかったそれが、どういうわけか、透明な上澄みの部分と、重たくて澱んだ部分の二層になっていて──どうして、いつの間にこんなことになってしまっていたのだろう。
光を通せばきらきらと光る、透明で綺麗な気持ちのまま──この距離のまま、一方的に想うだけでよかったはずなのに。
現状の関係以上を欲しがって、濁らせたくなんかない、なのに知らぬ間にどんどん濁ってしまうこの恋情を。
私は一体、どうしたらいいのだろう?
溢れる気持ち。
少年は病室のベッドの上で、音もなく佇んでいる。
僕は急性骨髄性白血病で入院している。
骨髄移植こそが、完治への唯一の道だ。
つまり、自力治癒は見込めない。
ドナ−候補は依然として見つかっていない。
見つかったとしても移植手術までは漕ぎつけない。
それが現実だ。
そういえば、樹木の最後の葉が落ちない様子を見て生きる希望を得た話があったな。
僕は窓から樹木を見た。
すると、いつもあるはずの樹木が伐採されていた。
おそらく邪魔になったので木を切ったのだ。
僕はガッカリした。
現実は小説みたいには行かない。
僕はすべてを諦めて絶望した。
己の運命を呪った。
その時、看護師が慌てて入室した。
「武士君、ドナ−が見つかったわ!」
看護師は興奮して伝えた。
「どうせ、なんだかんだで断わられるんでしょう?」
僕は冷たく言い放った。
「いいえ、ドナ−の方は手術に合意してるわ、だから来週手術よ!」
「ええ!ぼ、僕の病気は治るんだね!まだ生きてもいいんだね…。良かった……」
僕は溢れる気持ちを抑えきれず号泣した。
あなたへの溢れんばかりの気持ちは
ひどく私を蝕みました
不可逆な退廃とあなたとのくらし
答えを探し求めています
溢れる気持ち
今日も一生の帰り道
嬉しくて
大好きで
顔がにやけてしまう
溢れる気持ち
『溢れる気持ち』
午前に
「お手紙です」
と、俺宛に届いたお便り。
離れているあの子からだった。
なんとなく開けるのがもったいなく躊躇われて、気に掛かりながら、ずるずると、こんな夜更けにまで引き伸ばしてしまった。
真っ暗闇の中、外に出て座る。
風はないのに、空が泣いているみたいな不思議な音が聞こえてくる気がするほど、なにかの存在を感じてならなかった。
一つ大きく息を吐いて、手のひらの上で小包を開く。
すると、
溢れてきたのは透明な水だった。
夜のためか、まるで黒曜石の煌めきを閉じ込めたような、つらんつらんとした輝きを放っていて眩しいくらいだ。
それを零さないようにしっかり手でお椀を作っていると、
あの子の明るい声が聞こえてきた。
声と一緒に手のひらの中の泉にキラキラした文字が浮き上がって踊っては消えてゆく。
その文字は白金色をして、それは天の川のようだった。
ふと、天の川を渡って出会う男女の話が頭をよぎる。
1人のようで1人じゃない。
この世界で生きている間に気づけて良かったことを、改めて身に沁みて再確認した。
日だまりのなかのような言葉たちのあと、最後にあの子の輪郭がぼやけて見えた。
ぼやけていてもわかる笑った顔。
それはやわらかく揺れたあと、そのまま静かに消えていってしまった。
…感動しすぎてあっという間の恋文だった。
しばらく余韻に浸りながら手のひらを見つめていると、その泉に流星群が映り込んだ。それらは次々に流れてまるで川の流れのようになった。
思わず空を見上げると、見事な流れ星たちが、一途に行く先を目指して降り続けていた。
綺麗だ…。
手元に目線を戻すと、かけがえのないそれを口に含んだ。
僅か数分のお便りは、俺の世界に再び光を連れてきてくれた。
深呼吸して、夜の空気で肺をいっぱいにしたあと、俺はさっと立ち上がった。
何かが溢れている間は
その何かを理解できないものなの
身を裂く
音と痛みと呼吸が
ただ
そこにあるだけで
何かが溢れる前には
きっともう戻れなくなっている
1度だけ
教えて求めて繋がって
まだ
終わっていたくないと
なにもなかった
溢れて始めて私は
私の中を知る
『溢れる気持ち』
溢れてしまった"好き"は
もう止めることはできなくて。
朝から夜までずっと
貴方のことでいっぱいな私。
想うだけでは止まらなくて
言葉にする "好きです"
いつか貴方に届くことを願って
今日もただ君が好き。
溢れる気持ちを抑えずに
まっすぐ君に伝えたい
君が僕にしてくれたように
溢れる気持ち
「お兄ちゃん」
僕をそう呼んで、慕ってくれる幼なじみ。
僕も、年の離れた妹ができたみたいで、可愛がっていた。
でも、小学校高学年になる頃には、妹みたい。って思えなくなった。
中学生になって会わなくなれば、この想いは消えるだろう。そう思っていたのに、会えなければ会えないほど、想いは募る。
「好き。って言ったら、困らせるかな」
抑えきれない溢れる気持ち。
伝えるかどうか、僕はずっと悩んでいる。
溢れる気持ち
いつも窓辺に座っている君。
僕は、それを良く見つめていた。
綺麗になびいた黒髪と、透き通るような瞳を、僕の瞳が捉えた瞬間、どうしようもなく愛おしいと感じた。彼女は誰よりも美しく、誰よりも賢い。
人を寄せつけないような鋭い眼光を、誰も見つめようとしないのだ。僕はいつも疑問だった。
「おい! なんでいつも独りなんだ」
「友達ができないから」
「じゃあ、僕が友達になってやる」
それが、初めて君と喋った時だった。
そんな君が、今では僕の帰りを待つ存在になった。
料理を作って、いつも待っている。
僕の奥さんとして、これからも一緒に生きていく。
この溢れんばかりの愛情を、これからは君と、君のお腹に存在する僕たちの我が子に注ぐと誓おう。
「冬の枯れ木」
陽のやわらかな紅色
1人揺られるバスの中見てる
夕日を彩る白熱灯
上へ上へと
枝を何本も生やしながら伸びてゆく
ただひたすらに進んでゆく
その姿は美しくて
見惚れていた
葉や花で飾られるのを待ち続けて
ただひたすらに進んでゆく
いつ飾られても、平気なように
風にあおられ続けても
ただひたすらに伸びてゆく
その姿は飾られていないのに美しくて
時には誰かに枝を折られても
誰かに飾られている方がいいと言われても
ただひたすらに伸びてゆく
その姿は美しかった