溢れる気持ち。
少年は病室のベッドの上で、音もなく佇んでいる。
僕は急性骨髄性白血病で入院している。
骨髄移植こそが、完治への唯一の道だ。
つまり、自力治癒は見込めない。
ドナ−候補は依然として見つかっていない。
見つかったとしても移植手術までは漕ぎつけない。
それが現実だ。
そういえば、樹木の最後の葉が落ちない様子を見て生きる希望を得た話があったな。
僕は窓から樹木を見た。
すると、いつもあるはずの樹木が伐採されていた。
おそらく邪魔になったので木を切ったのだ。
僕はガッカリした。
現実は小説みたいには行かない。
僕はすべてを諦めて絶望した。
己の運命を呪った。
その時、看護師が慌てて入室した。
「武士君、ドナ−が見つかったわ!」
看護師は興奮して伝えた。
「どうせ、なんだかんだで断わられるんでしょう?」
僕は冷たく言い放った。
「いいえ、ドナ−の方は手術に合意してるわ、だから来週手術よ!」
「ええ!ぼ、僕の病気は治るんだね!まだ生きてもいいんだね…。良かった……」
僕は溢れる気持ちを抑えきれず号泣した。
2/6/2026, 9:26:39 AM